FAQ-test

交通事故

運転手の使用者(勤め先など)や、いわゆる運行供用者に対して、損害賠償請求できることがあります。

 

使用者責任というのはどういうものか。

民法715条1項本文では、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められています(使用者責任)。

例えば、従業員が、会社の仕事で自動車運転をしている際、事故により他人に損害を与えた場合、会社は、その従業員と連帯して、その損害について賠償しなければなりません。

 

運行供用者責任というのはどういうものか。

自動車損害賠償保障法3条本文では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」と定められています。

この規定によって、自動車の運行供用者は、①自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、③自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと、の3点を立証しない限り、損害賠償責任を負うことになります。

通常の損害賠償責任の追及による場合、証明責任は被害者側にありますが、この規定によれば加害者側に証明責任があります。

 

弁護士に委任すると……

交通事故の直接的な加害者である運転手に対して損害賠償請求したくとも、資力がない等の理由でこれができない場合もあります。そのような場合、他の者に責任追及することにより、被害回復を図ることができる場合があります。

交通事故の補償問題等でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

交通事故に遭い、現在治療しています。今後、解決までにどのような流れを辿りますか。

 

まずは、しっかりと治療に専念されてください。

傷が完治するか、それ以上の改善が見込まれない状態となった(症状固定)後、加害者が加入する保険会社から示談案が提示されます。

その金額に納得できない場合は、裁判(又は、調停・ADR)を提起します。

 

解決までの流れ

事故発生から解決までは、概ね次のような流れをたどります。

1.事故発生
2・治療
3.症状固定
4.後遺障害の認定
5.賠償額(示談案)提示
6.示談交渉
7.ADR・調停・裁判
8.解決

 

弁護士に委任すると……

解決までの過程においては、例えば、「保険会社の対応が悪い」、「後遺障害の認定に納得ができない」、「賠償額の提示に納得ができない」といった、さまざまな悩み、不安が出てきます。

そのような中で、一つずつ問題点をクリアし、適正な賠償額の獲得という一つの解決に導くためには、専門家によるサポートが不可欠です。

交通事故のことでお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

 

「症状固定に至った」というのはどういうことですか。

治療を続けても大幅な改善が見込めなくなった段階を、「症状固定」といいます。

症状固定に至る前は、治療費、休業損害、入通院慰謝料などが請求できるのですが、改善が見込めなくなった後は、これらが請求できなくなる代わりに、「後遺症による損害」として、逸失利益や、後遺障害慰謝料を請求できます。

では、「症状固定」を決めるのは誰でしょうか。

実務では、保険会社から治療費の打ち切りを告げられるケースもありますが、必ずしも治療費一括払いの打ち切り=症状固定ではありません。治療費の打ち切りはあくまで保険会社の主張であってこれに従う必要はありません。

症状固定は医師が診断することであり、そのタイミングは被害者自身と症状経過を見てきた医師とが一緒に決めるべきことです。症状固定については、医師と相談のうえ、慎重に決めてください。

大きく分けて、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3種類です。

積極損害

積極損害とは、被害者が事故のために支出を余儀なくされた費用のことで、具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。

消極損害

消極損害とは、その事故がなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害のことで、後遺障害事故の場合、症状固定前は休業損害、症状固定後は後遺症逸失利益がこれにあたります。

後遺症逸失利益の算定方法としては、例えば、有職者又は勤労可能者の場合、《基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(将来利息の控除)》によって求められます。

また、18歳(症状固定時)未満の未就労者の場合、《基礎収入額×労働能力喪失率×(67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数)》によって求められます。

後遺症慰謝料

目安は、次の表のとおりです。

(財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額選定表基準(いわゆる「赤い本」)

第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

 

重度の後遺障害の場合には、近親者にも別途慰謝料請求権が認められる場合があります。

また、自賠責14級に至らない後遺障害があった場合等でも、それに応じた後遺障害慰謝料が認められる場合もあります。

 

弁護士に委任すると……

上記で詳細に述べたように、交通事故における賠償額の算定は非常に難解であり、専門家によるサポートが不可欠です。

高木光春法律事務所では、ご提示いただいた資料を基に適正な賠償額を算出し、被害者の代理人として加害者ないしその保険会社との今後の交渉や、法的手続きを行います。

交通事故に関する法律相談で重要なことは、事故態様、治療の状況(症状固定しているか否か)、相手方保険会社との交渉状況、弁護士費用特約の有無等です。

それに関連する資料、たとえば、診断書や交通事故証明書などをお持ちいただければ、相談ができます。

 

交通事故の法律相談では何が聞かれるか?

交通事故の事案では、過去の裁判例の集積等により、過失割合や、慰謝料額の基準などが類型化されています。

そのため、相談時にお伺いする内容もある程度決まっています。具体的には事故態様、治療の状況(症状固定しているか否か)、相手方保険会社との交渉状況、自分の加入している保険に弁護士費用特約がついているかどうかなどです。

 

交通事故相談では何が重要か?

・事故直後から適正な頻度で病院に通っているか。

通院期間は、慰謝料の算定において重要な意味をもちます。しかし、事故から日数が経ってから突然病院に通いだしたり、日数が経つにつれ通院頻度が高くなったりすると、賠償額を上げるための行動との疑いをもたれることもあります。

仕事の関係でなかなか病院に行けなかったり、無理をして病院に行かない方もおられるかもしれませんが、適正な賠償額を獲得するためには、交通事故の解決にとっては定期的な(且つ適正な)通院が不可欠です。

・十分な治療を受け終わっているか?

最終的な示談は症状固定後しかできませんので、症状固定の有無は重要です。ただし、症状固定前でも、保険会社への対応等に関してご相談をお受けすることはもちろん可能です。

・過失割合の対立はないか?

過失割合については一定の基準が存在しますが、事故の事実認識の違いのほか、事実認識に違いがなくとも、基準自体に修正要素があるため、相手方保険会社が提示してくる過失割合が適正であるとは限りません。

過失割合に対立がある場合などは、ご相談ください。

・弁護士費用特約の有無を確認しよう!

ご自身や同居のご家族が加入されている保険に、弁護士費用特約がある場合、交渉・裁判を弁護士に依頼するための費用を保険でまかなうことができるため、それだけ解決に向けた選択肢の幅が拡がります。

弁護士費用特約の有無を、よくご確認ください。

交通事故により損害を被った場合、「不法行為に基づく損害賠償請求権」に基づいて請求していくことになりますが、この請求権は、損害つまり事故によって被った損害及び加害者つまり事故の相手方を知った時から3年で消滅時効にかかります。

怪我や死亡による損害については、この期間は5年に延長されます。

ただし、自賠責保険への被害者請求権については、事故から3年で消滅時効にかかりますので、注意が必要です。

 

消滅時効とはどういうもので、いつ時効が完成しますか?

相手方保険会社の出してくる和解条件に納得できなかったり、後遺症の認定等級に納得できなかったりして、示談しようとしないケースもあるようです。

しかし、事故から3年以上が経過すると、請求権が時効にかかり、請求できなくなる可能性があるので、注意が必要です。(厳密にいえば、「損害及び加害者を知った時から3年」とされていますが、ひき逃げなどの事例でない限り、事故から3年と考えておくのが無難です。)

なお、後遺障害については、後遺障害の症状が固定してから消滅時効が進行します。

 

弁護士に委任すると……

事故から長期間経過している場合、消滅時効を意識した交渉、その他の手続きが必要となります。高木光春法律事務所では、時効が迫っている事件については、最優先でその処理にあたり、受任後直ちに時効中断の措置をとります。

傷害事故の場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。

積極損害

積極損害とは、被害者が事故のために支出を余儀なくされた費用のことで、具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。

消極損害

消極損害とは、その事故がなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害のことで、傷害事故の場合、休業損害がこれにあたります。

慰謝料

慰謝料の額は、入院や通院期間を基礎として算出されます。

 

弁護士に委任すると……

賠償額については一定の基準が存在しますが、基準への当てはめには相当程度の知識を要するほか、煩雑な事務作業が要求されます。適正な賠償額を算出するにあたっては、専門家による助言が有効です。

高木光春法律事務所では、ご提示いただいた資料を基に適正な賠償額を算出し、被害者の代理人として加害者ないしその保険会社との今後の交渉や、法的手続きを行います。

交通事故を起こした場合、加害者は、行政上、刑事上、民事上の、3種の責任を負うことになります。これらは別個独立の責任であり、それぞれ同時並行で手続きが進行します。

 

行政上の責任

交通事故における行政上の責任とは、道路交通法に基づいて行われる行政処分のことで、反則金の支払い、免許の停止・取消などがあります。なお、反則金は「罰金」とは異なり、刑事上の処分ではなく、行政上の処分ですので、刑罰ではありません。そのため、反則金を科せられても前科はつきません。

 

民事責任

交通事故を起こした場合、それによって他人に生じさせた損害について賠償しなければなりません。

損害には、人身損害(人損)と物的損害(物損)があります。

さらに、人損は、財産的損害と精神的損害に分けられ、財産的損害は積極損害と消極損害に分けられます。

民事上の責任については、別に詳細に解説いたします。

 

刑事責任

交通事故によって人を死傷させてしまった場合、刑事特別法や道路交通法に基づいて加害者に刑罰が科されます。

交通事故に関しては、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に、次のような条項があります。

(危険運転致死傷)

第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。

 

(過失運転致死傷)

第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

まずは、相手方保険会社が提示してきた示談金額と、仮に裁判になった場合に認められるであろう金額(裁判基準による賠償額)を比較してみてください。そして、単なる金額の多い少ないだけをみるのではなく、仮に裁判になった場合の時間や労力、弁護士費用の負担を考慮し、相手方保険会社の提示する示談に応じるかどうかを決めるべきです。この判断は専門家である弁護士のアドバイスを受けてするといいでしょう。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、裁判上、賠償請求した場合、どの程度の支払が命ぜられるかについて、ご提示いただいた資料に基づいてシミュレーションします。

保険会社の提示した金額に納得がいかない、裁判をすべきか悩んでいるという場合は、高木光春法律事務所にご相談ください。

怪我の苦痛、治療のストレス、職場からの離脱、家族への負担…。交通事故は、人の生活を一変させます。

怪我が完治するか、症状固定となり、治療が終了すれば、相手方保険会社との間で、示談に向けた交渉を行うことになります。しかし、あなたとは利害が対立する相手ですから、常に誠実な対応をしてくれるとは限りませんし、保険会社が提示する賠償額は、いわゆる裁判基準よりも低い水準に抑えられています。

「保険会社の提示に納得ができない」、「これ以上のストレスを抱え込みたくない」という方は、是非、高木光春法律事務所にご相談ください。

あなたの最大利益の実現に向けて、強力にサポートします。

保険会社が提示してきた賠償額には不満がありますが、弁護士を依頼するとなると、その費用もかかるので、あきらめて示談に応じた方がよいのでしょうか?

 

示談案にどうしても納得ができないという場合は、ご自身が加入されている保険に、弁護士費用特約がついていないかご確認ください。これが利用できれば、自己負担なしで弁護士を依頼し、賠償額の増額を期待することができます。

 

弁護士費用特約の意味

任意保険に加入していても、例えば赤信号で停止中に後ろから追突されたなど、ご自身に全く過失がない場合には、被害者側の保険会社は交渉を代行することはできません。

その場合、ご自身で加害者側の保険会社と示談交渉を行うことになりますが、その作業は相当に骨が折れます。

このような時、任意保険に「弁護士費用特約」がついていると、非常に便利です。

通常、1事故につき、300万円までの弁護士費用が補償されることが多く、ほとんどのケースで、自己負担なしで弁護士を依頼することができます。

弁護士費用特約を利用するにあたっては、保険会社の紹介等は必要なく、ご自身で選ぶことができます。

また、ご自身ではなく、同居の親族が加入されている保険でも補償される場合がありますので、保険会社に問い合わせるなどして、よくご確認されることをお勧めいたします。

損益相殺の意味

損益相殺とは、交通事故によって損害を受けた被害者が、その事故によって利益も得た場合に、公平の見地から受けた利益を損害から控除して損害賠償額を定めることをいいます。

この控除については、民法その他の法律に明文があるわけではありませんが、当事者の公平の見地から、判例によって認められています。

損益相殺として控除できるのは、利益と損害が「同一の原因」によって生じ、利益と損害との間に「同質性」がある場合とされています。

例えば、交通事故により被害者が死亡し、遺族が生命保険金を受領した場合でも、生命保険金は、既に払い込んだ保険料の対価とみなされるため、同質性がなく、損害からの控除はされないとされています。

損益相殺がされるか否かに関しては裁判例の集積があり、概ね次のとおりとなっています。

控除した例
受領済の自賠責損害賠償額
政府の自動車損害賠償保障事業填補金
受領済の各種社会保険給付
遺族厚生年金
休業補償給付金・療養補償給付金
傷病手当金
高額療養費還付金
遺族基礎年金
遺族共済年金
控除しなかった例
自損事故保険金
搭乗者傷害保険金
生命保険金
傷害保険金
労災保険上の特別支給金等
生活保護法による扶助費
社会儀礼上相当額の香典・見舞金
雇用対策法に基づく職業転換給付金
特別児童福祉扶養手当
介護費用の公的扶助
身体障害者福祉法に基づく給付

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、損益相殺に関して納得がいかない、専門的な見地から検証してほしいという方からのご相談をお受けしております。

損益相殺に関し、お悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

死亡事故の場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。

積極損害

積極損害とは、被害者が事故のために支出を余儀なくされた費用のことで、具体的には、治療費、付添看護費、葬儀費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などがあります。

消極損害

消極損害とは、その事故がなければ得られたであろう利益を失ったことによる損害のことで、死亡事故の場合、死亡逸失利益がこれにあたります。

算定方式としては、就職者または就労可能者の場合、《現実の年収額又は学歴計あるいは学歴別の男女別平均賃金×(1-生活費控除率)×67歳までのライプニッツ係数》によって求められます。

また、18歳未満の未就労者の場合、《学歴計の男女別あるいは全労働者平均賃金×(1-生活費控除率)×(67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)》によって求められます。

死亡によって本来得られるはずの利益が得られなくなった反面、本来支出するはずだった費用(生活費)の支出を免れることになるため、適正な損害額の算出という見地から、生活費に相当する割合について、控除されることになります(生活費控除)。

現在の裁判実務では、概ね次のような基準で控除されます。

①     一家の支柱 被扶養者1人の場合 40%
被扶養者2人以上の場合 30%
②     女性(主婦・独身・幼児を含む) 30%
③     男性(独身・幼児を含む) 50%

 

死亡慰謝料

死亡慰謝料の目安については、次のように紹介されています。

財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行
損害賠償額算定基準(いわゆる「赤い本」)

一家の支柱 2800万円
母親、配偶者 2400万円
その他 2000万円~2200万円

財団法人日弁連交通事故相談センター専門委員会
交通事故損害額算定基準(いわゆる「青本」)

一家の支柱の場合 2700万円~3100万円
一家の支柱に準ずる場合 2400万円~2700万円
その他の場合 2000万円~2400万円

 

以上は、あくまでも目安で、具体的事件に対する慰謝料額は、諸般の事情を総合的に考慮した上で裁判所が判断します。

事故態様が悪質な場合(飲酒運転、赤信号無視等)、事故後の行動が極めて悪質な場合(ひき逃げ、証拠隠滅、被害者に対する不当な責任転嫁等)などには、基準額を上回る慰謝料が認定されることもあります。

 

弁護士に委任すると……

上記で詳細に述べたように、交通事故における賠償額の算定は難解であり、専門家によるサポートが不可欠です。

高木光春法律事務所では、ご提示いただいた資料を基に適正な賠償額を算出し、被害者遺族の代理人として加害者ないしその保険会社との今後の交渉や、法的手続きを行います。

先日、交通事故に遭い、追突され車を壊されました。修理費を相手方保険会社に請求したところ、「修理費が車両時価より高いので、車両の時価分しか払えません。」と言われてしまいました。しかも、その時価も実際より低額すぎて車の買い換え費用にはまったく足りません。

 

いわゆる「経済的全損」と判断される場合、残念ながら修理費全額を請求することはできません。しかし、車両の時価については増額の請求・交渉ができるほか、自動車を再調達するにあたって必要な費用についても上乗せして請求できる場合があります。

 

経済的全損とはどういう意味でしょうか?

自動車事故の分野で、「全損」には、一般的な意味の「物理的全損」つまり、修理ができない場合と、修理費がその車両の買い換え費用を上回る「経済的全損」とがあります。

経済的全損と判断されてしまうと、たとえ自分には一切過失がない事故だったとしても、修理費全額を賠償してもらうことはできません。被害者の方にとってはとても納得のいかないことですが、判例が確立されているので争うのは困難です。

車両の時価については、相手方保険会社は、業務上の慣行として有限会社オートガイドという会社が発行している「レッドブック」に基づいて主張してくることが多いようです。

しかし、一般的にいって、「レッドブック」に記載されている価格は、中古車市場で購入できる金額よりも低額である場合が少なくありません。

裁判で実際に認められる損害額は、レッドブックによる価格ではなく、中古車市場で調達するのに必要な価格(再調達価格)ですから、実際の時価がレッドブックより高額であることを示す資料があれば、相手方保険会社との間でも交渉ができます。

まず、被害に遭った車と同等の車両を中古車市場で調達する場合、どの程度の価格になるかを調査しましょう。自動車の場合は、色や装飾、走行距離等の条件によって価値、価格が変わってきますから、なるべく同じ条件のものをピックアップする必要があります。

また、損害として認められるのは、車両時価だけに限らず、被害に遭った車を中古車市場で調達する場合にかかる諸費用も含まれます。

例えば、登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料、自動車取得税、新しく取得する車両本体価格に対する消費税相当額、事故車両の自動車重量税の未経過分などです。

これらによって、裁判上認められるであろう損害額と、相手方保険会社による提示額との差を比較してみましょう。

そして、単なる金額の多い少ないだけをみるのではなく、仮に裁判になった場合の時間や労力、弁護士費用の負担を考慮し、相手方保険会社の提示する示談に応じるかどうかを決めるとよいでしょう。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、物損事故に関してもご相談をお受けしております。今後の交渉方法や、裁判上請求することの是非等について、適切なアドバイスを差し上げますので、お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

交通事故の被害者は、加害者が加入する保険会社に対して、保険金額の限度で損害賠償額の支払を求めることができ、これを被害者請求といいます。

 

自賠責保険の被害者請求

加害者(被保険者)が賠償金を支払ってくれればよいのですが、支払いをしない場合や示談が成立していない場合、被害者がいつまでも損害賠償金を受け取れないことになりかねません。

そこで、自賠責保険においては、保有者に損害賠償責任が発生した場合、被害者が、直接保険会社に対して、損害賠償額の支払を請求することができます。

被害者請求権は、3年で消滅時効が完成します。

そこで、加害者との示談がなかなか成立しないときは、被害者はとりあえず保険会社に対して請求するか、時効中断の申請をして、保険会社の承認を得るなどして、時効が完成しないよう注意する必要があります。

被害者が死亡した場合や、交通事故で被害者が重度の傷害を負ったことにより死亡した場合と同じ位の精神的苦痛を被った場合については、親族に固有の慰謝料請求権が認められることがあります。

交通事故により、被害者が亡くなった場合、被害者を相続した親族が、加害者に対する損害賠償請求権を相続により取得することになります。(相続人の範囲については、相続に関するページを御参照下さい。)

そのこととは別に、民法711条では、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」と定められています。

そのため、被害者が交通事故により死亡した場合、事故によって被害者本人が取得した慰謝料請求権を、親族が相続するだけではなく、その親族本人も固有の慰謝料請求権を取得することができます。

また、条文上では、被害者が死亡した場合についてのみ定められていますが、最高裁判所は、傷害を負った者の母が、被害者が生命を害された場合にも比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは、民法709条と710条に基づいて自己の権利として慰謝料を請求しうると判示しています。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、交通事故に遭った方の、親族の方からのご相談もお受けしております。交通事故の補償問題等でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

先日、交通事故に遭い、けがをしました。加害者が加入する保険会社から賠償額の提示を受けましたが、とても納得できる金額ではありません。増額を求めたところ、「これ以上は払えないので、不満があるなら裁判をしてください」と言われてしまいました。そもそも賠償額の算定基準とはどのようになっているのでしょうか。

 

交通事故の賠償額は、ケース別にだいたい類型化されていますが、金額の基準が複数あります。自賠責基準→任意保険基準→裁判基準の順で高くなり、裁判をすることで賠償額が増額されることがあります。

 

賠償額算定の「支払基準」は3種類あります

人身交通事故は、当事者にとっては一生に一度あるかないかの一大事ですが、社会全体でみると日々、人身交通事故が起きているので、過去の分を含めると膨大な数の事例が集積されています。そのため、事案ごとで不公平な結果にならないように、また、個別の事案で判断に迷わないように、「**の結果が生じたら、**円の賠償額になる。」という「基準」が、明確に確立されています。

問題なのは、この「基準」が、複数あるということです。

もっとも低い基準は、自賠責保険による基準です。

自賠責保険は、交通事故が生じた際に、被害者への補償が最低限なされるために加入が義務づけられている強制保険ですので、これによって補償される金額も最低限に留まります。

次に低い基準は、任意保険による基準です。

これは、任意保険の賠償責任保険について、各保険会社が自ら定めている支払基準で、公表されているわけではありませんが、一般的には「自賠責基準+α」というイメージです。

交通事故の被害に遭われた方が相手方保険会社と交渉をすると、相手方保険会社は、この任意保険基準で示談金額を提示してきます。

もっとも高い基準は、裁判基準です。

交通事故の事案は、裁判所で扱う場合も、「**の結果が生じたら、**円の賠償額になる。」という「基準」が存在していて、しかも、赤い本と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部)、市販されている資料(通称青本と呼ばれる「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター)から、その「基準」がわかります。

交通事故の発生に関してご自身にも責任がある場合に、過失割合に応じて損害賠償額が減額されることをいいます。事故類型ごとに過失割合の基準があります。

 

賠償額の調整

交通事故により損害が生じても、ご自身にも過失があるという場合、いわゆる過失相殺によって賠償額が減額されることになります。

 

過失相殺って?

民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています。過失相殺は、当事者の公平の見地から、被害者に事故の発生や損害拡大に落ち度がある場合に損害賠償額を減額する制度です。

一般的に、各損害費目を合計して総損害額を算出し、総損害額から過失相殺して賠償額を算出します。

過失相殺率については、現在では相当詳細に運用基準が定められ、その運用表に則って決められます。

もっとも、当該の事故がどの類型の事故にあたるのか、どのような修正がなされるのかについて理解するには、専門知識も必要となりますので、保険会社から提示された過失相殺率に疑念がある場合は、それを鵜呑みにすることなく、弁護士の意見を聞いてみるのが得策といえます。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、事故態様などのご事情をお伺いし、適正な過失割合について検証いたします。

保険会社から提示された過失割合に納得がいかないなどのご事情がありましたら、高木光春法律事務所にご相談ください。

 

企業法務

 株主総会では,どんな点でもめそうなのか,まずは原因をつかんだ上で,綿密に準備していくことが重要です。

第1に,問題点の把握です。もめそうということは,会社に何らかの原因があるということです。この場合,会社の経営についてどんな点が問題になるのかを具体的につかむことが必要です。

第2に,株主総会では,様々な質問がなされることもあります。株主からの質問に対して,当日にスムーズにかつ的確な回答を行うためには,想定問答集の作成がきわめて有効です。

第1で述べたように,問題点を具体的につかめば,それに対して回答を準備でき,また対応を提案でき,回答者が冷静に回答することが可能です。もっとも,このようなことを実施するには,早期から想定問題集の作成に取りかかり,問題点をつかんだうえで,幅広くかつ具体的に想定質問を作成しそれに対する回答例を準備する必要があります。

第3に,当日までにリハーサルをすることが有効です。いくら想定問答と回答を準備しても実際の現場できちんと対応できなければなんにもなりません。また,当日は予想外・想定外の質問や,運営に際してのトラブルが生じることもあります。

総会当日に,予期しない事態に対応するには,リハーサルなどを行うことが有効です。

 コンプライアンス経営,日本語に訳すと遵法経営ですが,法令を遵守する以外にも,社会良識,社会ルール,社内規則,企業倫理などさまざまなルールを守って経営するということを意味します。

最近では,レストランの食材の産地偽装,反社会的勢力との接触,偽装請負,企業による脱税・申告漏れ・所得隠し,顧客の個人情報やプライバシーの流失等が,コンプライアンス違反として大きく取り上げられています。

コンプライアンス経営は,法令等にしたがって経営をするという当たり前のことですが,利益を追求するあまり,個々の社員の判断でコンプライアンス違反が行われてしまったり,意識の低さから重大なことにはならないだろうという甘い考えから,大丈夫だろうということで違反の経営をしているケースもあります。

コンプライアンスを無視した利益追求は,短期的には企業の業績に繋がるかもしれませんが,長期的には企業によい影響を与えません。何より今プライアンス違反の経営が明るみに出ると,企業の社会的評価は致命的に低下し,企業の存続が危ぶまれる事態に陥りかねません。また,監督官庁等による法的な制裁がなされるおそれもあります。

コンプライアンス経営は,企業の永続的な発展を図る上で不可欠と言えます。まずは,経営者がコンプライアンス経営の意識を持ち,全従業員に徹底させていく必要があります。

企業の営業・販売の面,金融・財務の面から法的問題がありそうなのか,どこを改善していけばいいのかは,弁護士にチェックを依頼することをおすすめします。

高木光春法律事務所では,営業・販売の面,金融・財務の面から法的問題のチェック,改善点のご提案,コンプライアンスプログラムや,行動指針,コンプライアンス規定の作成等を行います。

お互いの会社同士の関係がうまくいっているときや,社長同士の個人的つながりがある場合,口約束だったり,ごくごく簡単な取り決めのみだけを書いてある書面で取引をしている例が見られます。

また,契約書のチェックをしなかったために,相手方の会社に一方的に有利な契約を結ばされている例も見受けられます。

取引をしていれば,トラブルに巻き込まれることは多々あります。そのときに,解決の糸口となるのがまずは契約書です。契約書に書いてあることについては,契約内容が法令に反しない限り,その契約に従った処理がなされます。裁判になった場合でも,契約書に書いてあることについてはお互いが合意した内容として重視されるのが普通です。

契約書は,企業を守る重要な盾と言っても過言ではありません。

高木光春法律事務所では,取引基本契約,個々の取引契約,秘密保持契約等様々な契約書のチェックを日常的に行っております。契約書の重要なポイントは次の3点です。

(1) 将来のトラブルを予測して,回避するための契約内容にする。

(2) できるだけ自分の会社に有利な内容の契約書を作る。

(3) 自分の会社に不利な内容の契約書を作らせない

顧問契約を結んでいただいている会社からの依頼内容として一番多いのは契約書のチェックです。

高木光春法律事務所では顧問契約がなくても,会社の方からの契約書のチェックは随時受け付けております。

 訴訟で判決が出たり,和解したり,民事調停がまとまっても,相手方が支払いに応じてくれるかはわかりません。

相手方が支払わない場合には,強制執行ができます。強制執行には,大きく分けて,不動産執行,動産執行,債権執行の3種類があります。

不動産執行は,相手方の不動産の差し押さえをし,不動産が売却された価格から一定のルールに従い配当を受けることにより債権の回収を図るものです。動産執行は,同じく債務者の動産を差し押さえ,動産が売却された価格から一定のルールに従い配当を受けることにより債権を回収するものです。債権執行は,債務者が第三者(第三債務者)に対して持っている債権(たとえば売買代金債権)を差し押さえ,第三債務者から支払いを受けることにより債権回収を図るものです。債権執行の中心は銀行預金の差押えが中心となります。銀行預金を差押えれば,回収すべき金額の範囲内である限り,差押時の預金残高をそのまま回収することができます。

これらの手続きは,方法の選択,タイミング等,専門的な判断を必要としますし,時間との勝負でもあるので,いち早く弁護士に依頼して手続きを取ることをおすすめします。お困りの場合には、高木光春法律事務所にご相談下さい。

 中小企業,特に親族もしくは極近い人間関係で経営をしているような会社にとって,事業承継は一つの大きな課題です。跡継ぎがいない場合にどうするのかという問題も生じます。

何もしないままに,先代の社長が亡くなり相続人が多数いるというような場合には経営基盤が不安定になりかねません。また,業績の良い企業であれば株式時価が高くなっており,相続人である次期社長は多額の相続税に悩まされることになりかねません。さらに跡継ぎがいないまま,先代が亡くなれば,会社を続けることはむずかしくなります。

これらのことが原因で,会社を続けることがむずかしくなり,ひいては雇用の喪失,地域経済の悪化につながりかねません。

そこで事業承継をスムーズに進めるために,法律は大きく3つの制度のを整備しています。

第1に,事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度というものがあります。相続税の納税猶予制度とは,現経営者の相続または遺贈により親族である後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税の納税が猶予されるという制度です。一方,贈与税の納税猶予制とは,現経営者からの贈与により,親族である後継者が取得した自社株式に対応する贈与税の納税が猶予されるという制度です。

手続きとしては,経済産業大臣の認定,税務署への納税申告が必要で,期限等の定めもあるので,要件を満たすかどうか検討したうえで計画的に申請する必要があります。

第2に,事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例の制度があります。現経営者(被相続人)の方が亡くなったときに備え,後継者の親族(相続人)に自社株式を集中して遺言等で承継させようとしても,他の相続人には遺留分という権利があります。この遺留分を侵害された相続人が遺留分に相当する株式などの譲渡を要求してきたような場合には自社株式が分散し,会社の経営基盤を揺るがすおそれがあります。経営承継円滑化法はこのような場合に備え,民法の特例を設けています。この特例により,現経営者(被相続人)の推定相続人全員の合意の上で現経営者から贈与等された自社株式について①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意),または②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)することができます。その結果,①除外合意によって後継者が贈与等によって取得した自社株式については,他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので相続に伴う自社株式の分散を防止することができます。②固定合意により,自社株式の価額が上昇しても遺留分の額に影響しないことから,後継者は相続時に想定外の遺留分の主張を受けるということを防止できます。そして、適用会社要件,適用経営者要件,適用後継者要件という3つの要件を満たした上で,a推定相続人全員の合意,経済産業大臣の確認,b家庭裁判所の許可が必要です。この制度についても,様々な要件,手続きの時間的制約もありますので,法律の専門家である弁護士に相談するのが良いと思います。

第3に,円滑な事業承継のために,低利融資制度と信用保証制度があります。まず低利融資制度は①会社または個人事業主が後継者不在などにより事業継続が困難となっている会社から,事業や株式の譲渡などにより事業を承継する場合,②会社が株主から自社株式や事業用資産を買い取る場合,③後継者である個人事業主が,事業用資産を買い取る場合,④経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社の代表者個人が,自社株式や事業用資産の買い取りや,相続税や贈与税などの納税などを行う場合に低利融資が受けられる場合があります。次に,経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社及び個人事業主が,事業承継に関する資金を金融機関から借り入れる場合には信用保証協会の通常保証枠とは別枠が用意されています。

以上のように,法は様々な事業承継の制度を用意しています。高木光春法律事務所は,個々の事務所の事情に応じ最適な事業承継の方法を提案し,計画的に事業承継を進めて行くことができます。

高木光春法律事務所は、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づき、経営革新等支援業務を行う者に認定されております(いわゆる認定事業者)のでぜひご相談下さい。

会社の方の法律相談を受けているときに,もっと早く相談されていれば良かったのにと残念に思うことがあります。あと数カ月早く相談されていればもっと打つ手があったのに,損害も少なくてすんだのに,逆にもっと多くの利益を得たり債権の回収ができたのにと思うことがあります。

そんなときに経営者の方からは,こんな問題相談してよいかどうか分からなかった,こんな小さな問題で弁護士に相談するのは恥ずかしかったという声を聞きます。

しかし,経営者の方が小さいと思う問題,相談して恥ずかしいと思うくらいささいなことと思われている問題の中に,実は大きな危険が潜んでいる場合もあります。

小さな問題でも大きな問題に発展することがありますので早めに手を打つ必要があります。あるいは,小さな問題と考えていたものが実は法律的には大きな問題であったいうこともあります。

こんな問題,相談してよいのかと思ったときが相談のタイミングです。

高木光春法律事務所では,経営者の皆さまが相談しやすいように日々努力しています。少しでも不安があるときは,ぜひご相談ください。

会社の方からの相談で多いのが,未払の債権の回収の相談です。

何度催促してももう少し待ってくれと言って支払わない、当初の約束に反し低額な分割払いを求めてくる,連絡が取れなくなった。

このような状態は,相手方で約束を軽くみているか,相手方の会社の経営状態が悪化していることが多く,スピーディーな債権回収が必須です。額が大きい場合には,自分の会社の経営も危うくなってしまいます。

債権回収の方法には,大きく訴訟前の回収と訴訟による回収の方法があります。高木光春法律事務所では相手方の態度や,相手方の資力,相手方に対する債権の明確さなどに応じて,依頼される会社の皆さまに最適な債権の回収方法を提案させていただき,速やかに実施いたします。

弁護士に債権回収を依頼するメリットは,大きく3つあります。

1つめは,法的手段(訴訟)というプレッシャーを与えることができるという点です。弁護士が委任を受け,内容証明郵便を送っただけで相手方が支払うケースもあります。

2つめは,上で述べたように,相手方の対応に応じて,適切な法的手段を選んで,実施できるので,債権回収がしやすくなります。

3つめは,強制執行を見すえた計画的な回収を考えられる点です。判決で勝訴しても,支払ってくる会社ばかりではありません。判決がでたにもかかわらず支払わない場合,強制執行という手続きで強制的に回収する必要があります。強制執行を見すえて,相手方の財産をあらかじめ差し押さえたり(仮差し押え),財産の移転を禁じたり(仮処分),強制執行を見すえて計画的に回収を図ることができます。

債権回収も,高木光春法律事務所が得意とする分野です。まずは,早めに高木光春法律事務所にご相談ください。

 まず,3つの制度は裁判所を通した法的な手段であることで共通します。

この点で,裁判外で再建を図るリスケや中小企業再生支援機構による再生や,裁判外で会社を清算する任意整理とは違います。

そして,民事再生と会社更生は,法的に企業の再建(建て直し)を図る目的で行うもので,企業を清算する(終わらせる)目的で行う破産と違います。

まず,民事再生,会社更生の違いです。

民事再生は,すべての個人と法人を対象とします。現経営陣は,そのまま引き続いて会社を運営していくこともできますが,裁判所により監督委員が選任されることが多く,重要事項については監督委員の同意が必要となります。また,経営陣が経営を続けることが不適当な事情がある場合には,経営権が管財人に引き継がれる場合もあります。原則として抵当権などの担保権の行使を禁止することはできません。債権の調査手続等を経た後,原則として債務者が再生計画案を裁判所に提出します。この再生計画案が債権者集会などで認められ,裁判所がこれを認可すればその再生計画が確定し,再生計画案に沿って再生していくことになります。

これに対して,会社更生は,対象が株式会社に限定されていて,比較的大規模で債権者数も多い場合の再建が想定されています。民事再生と異なり,会社の経営権は管財人に引き継がれ,旧経営陣は会社の経営から離脱します。抵当権などの担保権は全て手続内に取り込まれ,手続外で行使することはできません。事業を継続しながら管財人のもとで更生計画が作成され,計画に従って更生していくことになります。

次に,破産ですが,会社が債務超過に陥り,債務を弁済することができない状態になった場合に,裁判所が選任する破産管財人によって債務者の財産を包括的に管理・換価して,総債権者に公平に分けることを目的として行われる会社の清算手続です。

3つの制度はいずれも,経営状態が悪化している場合にとられる手段ですが,会社の規模,債務の多寡,債権者の数,スポンサーの有無,債権者の意向などによってとりうる手段を検討していくことになります。また,法的な再建によらず,金融機関等の債権者との調整で再建を図る方法もありますので,まずは,弁護士に相談し,その会社に適切な手段を選択することが重要です。

高木光春法律事務所では,会社の個別的な状態を踏まえ検討の上適切な手段をスピーディーに取ることができます。

 会社の経営が悪化し,再建がむずかしい場合には,破産を考える必要があります。会社が金融機関から借入をしている場合,多くの場合は代表者も連帯保証人になっています。そこで,会社が破産する場合には多くの場合で代表者も大きな債務を負っているので破産を考える必要があります。

破産が裁判所に申し立てられ,債務超過にあると認められて破産手続開始決定がなされると,裁判所から破産管財人が選任されます。破産は管財人が会社及び代表者の財産を包括的に管理・換価して,総債権者に公平に配分することを目的とした手続きです。会社の財産は原則としてすべて換価の対象となり,回収した金銭は破産財団を構成し,一定のルールに従って債権者に配分され,手続きが終了します。代表者の場合も,原則として代表者の有する財産は換価され,回収した金銭は破産財団を構成し,一定のルールに従って債権者に配分され,手続きが終了します。

会社が資金繰りにいきづまった場合には,まずは会社の現在の財務状況を正確に把握することが必要です。資金繰りにいきづまった原因,短期,長期での今後の資金繰りの見通しを立てる必要があります。

その上で,再建できそうである場合には再建型の手段,再建の見通しが立たない場合には破産などの清算型の手段を選択していくことになります。

再建型での方向性には,裁判所を通さない手法としては,金融機関との間でのリスケ,事業再生ADRの活用,中小企業再生支援協議会への持ち込み,経営革新等認定支援機関による支援等があります。裁判所を通しての手法としては,比較的中小規模の再建を想定した民事再生,大規模な株式会社の再建を想定した会社更生の制度があります。

資金繰りに困ったときは,早めに弁護士に相談し場合によっては顧問の税理士も同席の上で,会社を今後どうしていくのか具体的には再建が可能なのか,破産なのかを見極めていく必要があります。そして,再建が可能であると判断される場合には,その会社の実情に応じた最も適切な手段を取る必要があります。

高木光春法律事務所は、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づき、経営革新等支援業務を行う者に認定されております(いわゆる認定事業者)ので是非ご相談下さい。

 

企業顧問

弁護士費用(着手金・報酬金・手数料など)は、当事務所報酬規程の標準額から原則として減額させていただきます。

 

社内研修会等への講師派遣

労務管理、売掛金の回収、クレーム対策、パワハラ、コンプライアンスなど、経営者に求められる法的知識について実施します。講師料は3万円(消費税別)と交通費等実費です。

1 電話、メール、ファックス、Web等による法律相談

ご相談の回数や時間に制限はありません。

2 簡易な法律関係調査

事業にかかわる法律の規制や判例等を調査して報告するサービスです。

3 簡易な契約書その他の書類のチェック

4 従業員の皆様からの法律相談

ご紹介いただいた従業員の皆様の法律相談(例えば、離婚、交通事故、相続、借金、成年後見等)についても対応いたします。

当事務所は、「予防法学」と言って、紛争を未然に防ぎ、損害を軽減させるための法的サポートに力を入れています。

日常業務の中で、「昔から使っているひな形の契約書は問題がないか」「取引相手から送られてきた契約書にそのまま署名して大丈夫だろうか」「労務管理の見直しをしたいがどこに注意したらよいのだろうか」といった不安や疑問をお持ちになったことはありませんか。紛争を未然に防ぐため、顧問弁護士を転ばぬ先の杖として活用し紛争を防ぎ、また損害の拡大を防ぐことが最大のメリットです。

法人の方の顧問料は月額2万円から、個人事業者の方の顧問料は月額1万円からです(いずれも消費税別)。

ご依頼の方の会社の規模や相談の頻度等によって料金を設定させていただきます。

 

借地・借家トラブル

建物を借りるときの初期費用として、保証金を支払うよういわれているのですが、保証金とはどのようなものですか。敷金とはどのように異なるのですか。

 

賃貸借契約期間中に、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃借人に債務不履行があった場合、保証金から差し引かられることになり、その意味では敷金と同様の機能を果たします。ただし、保証金は「建設協力金」などと称して授受されることもあり、賃貸人が変更になった場合に敷金とは扱いが異なることになるので注意が必要です。また、保証金については、償却の定めがあったり、返還時期について特別の定めを置く場合があります。

 

保証金が使われる場合

近年では、特に事業用の建物では、敷金ではなく、保証金として一定の金銭の授受をすることが増えています。

保証金は、賃貸借契約期間中に、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃借人に債務不履行があった場合に、損害分に充当されることになり、その点では敷金と同様の機能を果たしますが、敷金とは異なる趣旨で授受されることもあるので注意が必要です。

すなわち、保証金は、「建設協力金」などと称して授受されることがあります。

この「建設協力金」とは、例えば地主がビルを建設する際に、その建設資金の全部を自己資金や銀行からの借り入れだけで賄うのではなく、テナントから一部を借り受けて費用に充てようとする際の金銭のことです。

このような性質であるため、担保というよりは賃借人からの「借入金」なのですが、金利の定めを置かずに授受されることも多く、賃貸人にはかなり有利な仕組みになっています。

このような性質の保証金については、返済期限を「明渡時」ではなく、「7年」とか「10年」と定めることもあります。しかも、期限時に一括で返還するのではなく、長期の分割払いとするケースが多いのです。

このような保証金の場合、敷金ともっとも大きな違いが生じるのは、賃貸人が変わった場合です。

敷金を差し入れた場合には、賃貸人が変わった場合でも、賃借人は明渡後、新賃貸人に対して敷金の返還を求めることができます。これに対して、建設協力金としての保証金の場合は、実質的な性格が貸金であるため、賃貸人が変わった場合でも、旧賃貸人に対して返還を求めなければなりません。

賃借人の債務不履行を担保するという機能は一緒でも、実質的な性格や、それによって賃貸人変更後の取扱いが異なるという点には注意が必要です。

 

保証金の「償却」とは

保証金の場合、契約更新時や契約終了時に、何割かを「償却する」と定められることがあります。

ここでの「償却」という言葉は、要するに「返さなくてもよくなる」という意味で用いられています。よほど賃借人に不利な条件でなければ、このような特約も有効として取り扱われます。

現在、借地上に建物を所有し居住していますが、だいぶ老朽化が進んできたので、建て替えか、増改築をしたいと思っています。どのような手続きを踏む必要があるでしょうか。

 

借地契約の場合、契約上、建替え・増改築には賃貸人の承諾を要するとされていることがほとんどです。その場合、賃貸人の承諾を得るため、交渉を行う必要があります。

 

地主の承諾は必要か?

借地契約には、「賃借人は、賃貸人の承諾なしに増改築をしてはならない」という条項が定められているのが一般的です。

賃貸人としては、自由に借地人が建替え・増改築を行えるとすれば、それだけ賃貸人自身による土地利用が妨げられ、借地権を強固なものとしてしまうからです。

もっとも、建物はいずれは古くなりますし、長い年月の間には、家族が増えて手狭になったり、家族の介護の必要性等から間取りや仕様を大きく変える必要が生じることもあります。

借地人としては、一切、建替え・増改築ができないとすると大変困ったことになります。

そこで、賃借人側が承諾料の支払いを提示し、賃貸人との間で合意を取り付け、建替え・増改築を行うのが通常です。

 

地主の承諾が得られない場合の対処方法

建替えや増改築をしたいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

申立てにあたっては、増改築の種類、規模、構造、使用の目的、借地権の対象土地、現存する建物、増改築部分のそれぞれの位置、形状及び相互の関係を示す図面などの記載、あるいは資料を添付する必要があります。

また、申立ては、増改築を始める前に行う必要があります。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

建物買取請求とは、借地契約が借地人による契約不履行など、借地人の都合ではない理由で終了した場合に、賃借人が賃貸人に対し建物を買い取ってもらうことです。

造作買取請求とは、賃貸借契約継続中に、賃借人が賃借物に取り付けたもの(造作)を、賃貸人に買い取ってもらうことです。

借地契約が期間満了により終了し土地を返還する場合、本来であれば土地上の建物を取り壊して返還すべきということになりそうですが、それではあまりにも不経済です。とはいえ、賃貸人が、賃借人の所有していた建物をただで利用できるとすれば、賃借人の犠牲の下で賃貸人が合理的な理由もなく利益を受けることになりますから、不公平な結果となります。

そこで、認められたのが、賃借人による建物買取請求権です。

この権利を賃借人が行使した時点で、賃貸人との間で建物についての売買契約が成立してしまいます。しかも、建物買取請求権は、特約により排除することができません。

建物買取請求権は、賃借人の利益を守る、非常に強力な権利といえます。

なお、実際には、賃貸借期間が満了しても賃貸人は容易に更新を拒絶することはできず、借地権は事実上、半永久的な権利といっても差し支えがないほどに、強力な権利です。

 

建物買取請求権における「時価」とは?

建物買取請求権における「時価」は建物を取り壊した場合の動産としての価格ではなく、建物が現存するままの状態における価格であって、敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきとされています(最高裁昭和35年12月20日判決)。

 

借家人の造作買取請求権とは何ですか?

造作とは、借家人が建物に取り付けたもので、建物をより使いやすくするものをいいます。例えば、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などがあります。エアコンなど取り外しができるものは造作にはなりません。

賃貸人の同意を得て取り付けた造作であれば、賃借人の契約不履行によらずに契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対し買取を請求することができます。買取価格は当該造作の客観的な時価ということになります。

ただし、造作買取請求権は特約により排除されてしまいますので、契約書を最初によく確認しておく必要があります。

現在、借地上に建物を所有し居住していますが、この建物を第三者に譲り引っ越しをしたいと思っています。自由に譲ることはできるでしょうか。

 

借地上の建物を第三者に譲る場合は、建物と土地の使用権(借地権)と切り離して譲渡することはできませんから、当然、借地権付きで譲渡することになります。しかし、借地権譲渡にあたっては、賃貸人の承諾が必要となります。

 

借地権は自由に売却することができるか?

民法上、借地人は、賃貸人の承諾を得なければ、借地権を売却したり、賃貸物を転貸(又貸し)したりできないとされており、これに違反すると、最悪の場合、賃貸借契約を解除されてしまいます。

これは、賃貸借契約が当事者間の信頼関係を基礎として成立するものであるためです。賃貸人としては信用ができそうな相手だと思ったから貸したのに、突然、見ず知らずの、経済力もなさそうな人物に賃借権を譲られたら困るからです。

なお、賃貸借契約の際に、自由に賃借権を譲渡できる旨を定めていた場合は、承諾は必要ありません。その場合は、一般的に、契約時に多額の「権利金」が授受されることが多いようです。

居住用マンションの一室を借りている借家人が、旅行会社の事務所として部屋を使用していることが分かりました。建物賃貸借契約を解除することはできますか。

 

賃借人に用法違反があった場合で、それによって賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊されていると認められる場合は、契約を解除できます。信頼関係が破壊されているか否かは、事務所としての使用形態、来訪者の有無・程度等の具体的な事情も考慮して決せられます。

 

 契約解除は簡単にはできない。

一般的な契約の場合、契約違反があれば契約不履行として、契約を解除することができますが、賃貸借契約の場合、それに加えて、契約不履行により賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊された場合でなければ、解除することができません。これは、賃貸借契約が信頼関係を基礎とする契約であることに加え、解除された際の賃借人側の不利益が非常に大きいことから、解除権に一定の制限がかけられているためです。

 

用法違反をしている賃借人はどのような場合に追い出せるか?

例えばアパートの居室内での楽器の使用を禁止していた場合でも、1度や2度、演奏したというだけでは通常、有効に契約を解除することはできません。

他方で、再三注意をしたにも拘わらず賃借人が従わず、しかも隣近所に多大な迷惑が掛かっているというケースであれば、解除も認められうるでしょう。

契約段階で認めていなかった営業(風俗営業等)を行った場合や、住宅用に賃借した場合に店舗や事務所として使用した場合にも用法違反になり、契約を解除することができます。ただし、使用形態、来訪者の有無・程度等の具体的な事情を考慮して、実質的に賃貸人に悪影響を及ぼさない場合には、信頼関係破壊が認められないとして、解除が認められない場合もあります。

信頼関係破壊が認められるか否かはケースバイケースですが、判例上、解除が認められたものとしては、次のようなものがあります。

・アパートにおいて徹夜麻雀をしばしば行い、騒音のために他の居住者の睡眠を妨げた事例(東京北簡判昭43.8.26判時538号72頁)

・使用目的を飲食店として賃貸した店舗において、賃借人が金融業を営んだ事例(名古屋地判昭59.9.26判タ540号234頁)

・賃貸家屋が暴力団事務所として使用された事例(宇都宮地判昭62.11.27判時1272号116頁)

・賃貸店舗の営業態様を純喫茶から風俗喫茶に変更した事例(東京高判昭59.3.7判時1115号97頁)

・2階建て住宅の一部分を賃借した賃借人が8匹ないし10匹の猫を飼育した事例(東京地判昭62.3.2判時1262号117頁)

借地上の家が、だいぶ老朽化しているので、不動産業者とも相談のうえ、更地にして新たな家を建て、借地権付きで他に売却することにしました。そのことを地主に相談したところ、「名義書換料」と引き換えに建替えと借地権譲渡を承諾するといわれました。名義書換料とはどのようなもので、どのくらいが相場ですか。また、名義書換料を払わなければ絶対に増改築はできないのでしょうか。

一般的な借地契約では、借地権譲渡や増改築は地主の承諾が必要とされており、承諾の代価として支払うのが「名義書換料」であり、比較的、一般的な慣習といえます。地主が承諾しない場合、裁判所に対し、「承諾に代わる許可」を求めることができます。

 

なぜ名義書換料の授受がなされるのか?

賃貸借契約では、法律上、無断での賃借権譲渡や転貸が禁止されているほか、契約で、無断で建物の増改築が禁止されているのが一般的です。

賃貸人とすれば、建物が増改築されるとそれだけ契約終了が遅くなり自身で土地を活用できなくなりますし、信頼関係を有しない第三者に借地権が譲渡されたり、増改築がなされたりすると借地管理に支障を来すおそれがあるためです。

もっとも、増改築や賃借権譲渡がなされるとしても、それに見合う見返りがあれば、賃貸人にとってもメリットのある話といえます。このような背景事情から、名義書換料の授受がなされるのです。

 

名義書換料の相場

「相場」は地域等によって変わりますが、概ね次のとおりといわれています。最終的には、当事者間の話し合いによって決められます。

 

種類 内容 相場
賃貸借譲渡、
転貸承諾料
賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸(又貸し)する際に授受されるもの。 借地権価格の10%程度。
借地権割合は、路線価図に記載がある。
建替え、
増改築承諾料
借地上の建物の建替え・増改築時に授受されるもの。 更地価格の3%程度。具体的な料率は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、決められる。
借地権の
条件変更承諾料
建築する建物の種類など、借地条件を変更する場合に授受されるもの。 更地価格の10%程度。

 

賃貸人が借地権の売買を承諾してくれない

賃貸人が承諾してくれない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「借地権設定者の承諾に代わる許可」(代諾許可)を求めることができます。

裁判所は、賃借人からの申立てを受け、双方から事情をきき、相当と認めるときは、その許可を与えることになります。このとき、裁判所は、賃貸人側にも配慮し、承諾料に相当する金銭の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可します。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡、建替え・増改築の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

時価の上昇、周りの家賃相場よりも家賃が安くなった場合、固定資産税の負担が増えた場合など借家人に対して値上げ請求をすることができます。

 

原則として、契約期間内の家賃は一定です。

しかし、契約書に「契約期間内の値上げは無い」という条項がなければ、期間内でも値上げ請求をすることはできますが、普通は契約更新時に請求することになります。

借家人が値上げに応じないが、どうしても家賃を上げたい場合には、簡易裁判所に家賃の値上げを求める調停を起こします。

民事調停法24条の2の調停前置主義により、いきなり裁判にすることはできません。

値上げが認められる条件としては、

土地建物に課せられる税金(固定資産税、都市計画税など)の負担が増えたとき

周辺の家賃相場と比べ、家賃が低い場合

土地建物の価格が高騰したとき

契約書に「家賃の値上げをしない」という特約がないとき

です。

調停の際には、上記の条件を調停委員や裁判所が総合的に判断します。

現在、一軒家を借りていますが、周辺の同等条件の物件と比較して相当高額な賃料を支払っていたことが分かりました。できれば減額を求めていきたいのですが、どのようにすればよいでしょうか。

 

まず、近傍の賃料と比較して高額であることが分かる資料を集めます。

交渉方法としては、まずは任意に話し合いを持ち、まとまらない場合は、民事調停を申し立てるのがよいでしょう。

 

賃料の減額はどんな時に認められますか?

借地借家法では、建物の借賃が、土地建物の価格低下等の経済事情の変動によって、あるいは近傍同種の建物の借賃に比較して不相当になったときは、契約の条件に関わらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の増減を請求することができるとされています。

つまり、賃借人からも賃料の減額を請求することができます。

 

減額交渉、請求の仕方

まず、オーナーないし物件の管理会社宛に、賃料減額に関する要望を伝えます。

賃貸借契約は継続的なものですから、相手との信頼関係を害さないことが肝要です。適正な賃料額にすることで、借主側としても、更新の際に移転する動機が薄れ、あるいは、より長期間入居することが可能となり、結局はオーナー側としても利益があることを説明します。

任意の話し合いで決着がつかない場合は、民事調停を申し立てて、賃料の改定を求めることができます。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

賃料改定により、月々の負担が減ったとしても、その分、弁護士費用の負担がかかってくるようであれば本末転倒ですから、どのような形で弁護士に委任すべきかは、慎重に検討する必要があるでしょう。

もっとも、ビルのワンフロアを借りているなど、賃料額が相当高額な場合は、それだけ減額幅も大きくなりやすいため、事案によっては、民事調停等を弁護士に依頼しても、差し引きで大きな利益が生じる可能性もあります。

また、減額幅がそれほど見込めない場合でも、調停にはご自身で出頭し、弁護士は継続的にご相談に応じ、後方でサポートするという形でお手伝いすることも可能です。

賃料減額交渉でお悩みの方は、一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

大家さんが一方的に家賃の増額を求めてきて、「この金額でなければ、家賃を受け取らない」といわれました。どうしたらいいでしょうか。

 

家賃の増額に納得できない場合は、賃借人としては、相当と考える家賃(普通はこれまでの家賃)を供託することで、とりあえずは債務不履行責任を免れることができます。なお、賃貸人から賃料増額請求がなされ、裁判上これが確定した際は、増額請求の時点からの差額を支払う必要があります。

 

家賃増額にどのように対処するか?

賃貸借契約の継続中、「賃貸人が突然家賃の賃料の増額を求めてきた」、あるいは「賃貸人が賃貸借契約の解除を通告してきた」などの事情で、賃料を受け取ってくれなくなることがあります。そのような場合でも、賃借人がそのまま放置すると、今度は賃料不払いを理由に賃貸借契約を解除されてしまいます。

このように、債権者がお金の受領を拒絶した場合については、供託という制度が用意されており、賃貸借契約の存否や賃料額に争いがある場合に広く利用されています。

 

供託はどのようすればいいか?

供託は、具体的には、債務履行地(一般的には賃貸人の住所地)を管轄する法務局で行います。

供託書のほかに、賃借人が法人の場合は資格証明書、代理人が申請する場合は委任状など、必要書類を添えて提出します。そのうえで、自身が相当と考える賃料(普通はこれまでの賃料)を供託します。

供託を行うと、賃料を直接賃貸人に支払った場合と同様の効果が生じ、債務不履 行の問題は生じません。

なお、賃貸人は、賃料を供託された場合は、「新賃料の一部として受け取る」という形で、還付請求することができます。

また、その後、裁判で賃料増額が認められた場合、賃料を全額払っていたことにはなりませんから、実際に支払った金額と認められた金額の差額に、年1割の利息を付けて支払うよう、賃借人に請求できることになります。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

供託自体は、専門家のサポートが必要なほど難解な手続きではありませんので、ご自身で法務局に赴き、法務局職員の方のアドバイスを受けながら手続きを行うことができると思います。

ただし、手続きに際して不安もあるでしょうし、また、近い将来に賃貸人側から賃料改定を求める民事調停を申し立てられることも想定されます。

もし、専門家の助言やサポートの必要性を感じたら、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。

現在、アパートの一室を中年の夫婦に貸していますが、既に半年分も不払いの状態となっています。立退きを求めることはできるでしょうか。

 

賃貸借契約の場合、解約条項があっても、一度の不払いにより契約解除することはできませんが、概ね3か月位不払いが続けば、有効に契約を解除できます。もっとも、直ちに明渡訴訟を提起するのがよいとは限らず、場合によっては借家人と明渡しに関する条件を再協議したり、将来の強制執行妨害を防止するための措置を講ずる必要があります。

 

家賃滞納者の立ち退かせ方

建物賃貸借契約は、月々の賃料を支払ってもらう代わりに、建物を使用させることを内容とする契約ですから、賃料の支払いがない以上、貸主側としては契約を解除して建物の明渡しを請求することができます。

もっとも、明渡しによる借主側のダメージは大きいので、最低でも2か月分以上の不払いがなければ契約を有効に解除できません。

ところで、仮に有効に契約を解除できる場合でも、直ちに明渡しの裁判に持ち込むことが得策かというと、そうとも限りません。裁判を提起し、明確な対立構造を作り出すことで、借主側の「居座り」を助長し、かえって長期間居座られて経済的損害を拡げることもあります。

しかし、話し合いでの解決にこだわり、いたずらに交渉に時間をかけてしまっても、やはり損失を拡大させます。賃料を滞納している借家人は、「○か月後には大きな入金がありますから、それが入ったら大家さんに優先的にお支払いをしますよ。」などと言葉巧みに支払いの猶予を求めてきますが、大抵の場合、あてになりません。

結局のところは、迅速・的確な交渉と、適切な時期の訴訟提起によって、あまり損害を被らず明渡しを実現することができます。

なお、明渡訴訟の提起にあたっては、将来の強制執行妨害を防止するため、しかるべき保全措置を講ずる必要があります。

どういうことかというと、例えば1年以上賃料を滞納しており、難なく明渡しの勝訴判決を得たとしても、その判決により強制執行ができるのは、裁判の相手方(被告)になった賃借人に対してだけです。

しかし、悪質な賃借人の場合、このことを逆手に取り、訴訟継続中、貸主に内緒で、第三者に転貸する(建物の占有を移転する)ことにより強制執行を免れようとします。実際にこれをされると、賃借人に対する勝訴判決では追い出すことができず、改めて当該第三者に対して明渡訴訟を起こさなければならなくなります。

このような事態を回避するため、占有移転禁止の仮処分を申し立てることにより、明渡請求の相手方を賃借人に固定することができます。

建物の賃貸借契約が終了したのですが、賃貸人から原状回復を求められており、もしやらない場合は、代わりに自分がやって敷金から差し引くといわれています。原状回復はどの程度する必要があるのでしょうか。

 

原状回復とは、借りた当時の状態まで戻すことではなく、通常の使い方をしていて生じた損耗等は、賃借人が復旧する必要はありません。

 

原状回復の内容

国土交通省が発表したガイドラインによると、賃借人が負担しなければならない現状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物の価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」とされています。

つまり、通常の使用による自然損耗等の修繕は、賃借人の原状回復義務には含まれないのです。原状回復とは、賃借人が借りた当時の状態に戻すという意味ではありません。

例えば、賃貸人から、壁紙(クロス)の張り替え、畳の表替え、床の張り替え、天井の塗り替え等を求められても、基本的には賃借人はこれに応じる必要はありません。

賃貸人の中には、これらの費用を敷金から差し引き、甚だしくは、さらに不足分を賃借人に請求できるのが当たり前と考えている人も多いようですが、そのような請求に応じる必要がないことはもちろん、堂々と敷金の返還を請求すればよいのです。

 

敷金から原状回復費用を差し引かれてしまったときの対処方法

まず、賃借人の原状回復義務の範囲に含まれるか否かを確認しましょう。

もし、義務に含まれないものなのに、敷金から控除していた場合は、文書により返還を請求します。これに応じない場合は、民事調停や少額訴訟等の申立てを検討します。

返還請求額が少額で、あまりコストをかけたくないという場合でも、その事情は賃貸人も同じであるため、早期且つ任意に返還を受けられるケースもあります。

敷金とは、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃貸借契約期間中に生じた賃借人の債務不履行を担保するために、賃借人が賃貸人に対して差し入れておく金銭のことです。

敷金は、建物明渡時に残額があれば返還されます。

もっとも、実務上は、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関してトラブルが生じることが多いため、国土交通省が平成10年3月に取りまとめた原状回復に関するガイドラインを策定、公表しています。

このガイドラインには法的拘束力がありませんが、裁判所も基本的にはこのガイドラインを尊重しながら原状回復義務の範囲を定め判断しているのが実情です。

アパートの一室を借りており、このたび退去することになったのですが、大家さんが、原状回復に費用がかかるなどといって敷金を返してくれません。どうしたらよいでしょうか。

 

 

まず、賃貸人(大家)から、敷金から控除したとする費用の明細を取り寄せ、各項目が、敷金から控除できるものかを国土交通省のガイドラインから確認します。その上で文書等により敷金の返還を請求しましょう。

 

敷金から差し引かれる補修費用等にはどのようなものがあるか?

敷金とは、賃料の不払い、賃借物の損耗・損壊など、賃貸借契約期間中に生じた賃借人の債務不履行を担保するために、賃借人が賃貸人に対して差し入れておく金銭のことで、保証金の一種です。建物明渡時に残額があれば返還されます。

あくまでも「賃借人の債務不履行を担保するもの」なので、普通の使い方をしていて、自然に汚れたり、壊れたりした場合は、もともと賃借人が負担する必要はありません。そのような自然損耗等に対しては、月々支払っている賃料により賄われていると考えられるからです。

実務上は、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関してトラブルが生じることが多いため、国土交通省が原状回復に関するガイドラインを策定、公表しています。

このガイドラインには法的拘束力がありませんが、裁判所も基本的にはこのガイドラインを尊重しながら原状回復義務の範囲を定め判断しているのが実情です。

よくある例として、賃貸人側は、壁紙(クロス)の張り替え費用などを賃借人に負担させようとしますが、通常、賃借人が負担する必要のないものです。

 

敷金を返還してもらうための方法

ガイドラインに基づいて、返還を強く求めても埒が明かない場合は、まず内容証明郵便により返還を求めるのが一般的です。

敷金返還請求する場合のひな型を参考までに揚げておきます。

 

敷金返還請求書の文例

敷金返還請求書

 

私は、平成〇〇年〇月〇日に下記物件について貴殿との間で賃貸借契約書を締結しました。この契約は、平成○○年○月○日限りで終了し、同建物の明け渡しも既に完了しました。ついては、本契約に基づき、貴殿に預けている敷金の○〇円を本状到着後○日以内に返還してください。

( 私名義〇〇銀行〇〇支店普通口座× × × × × × へ、振り込んでください。)

「原状回復をめぐるガイドライン」では、家賃滞納や故意・過失による汚損・毀損を除いて敷金は返還することになっています。

なお、同日までに振り込みがない場合は、法的手続きを考えます。

物件の表示

○ ○ 市○ ○ 町○ 丁目○ 番○ ○ 号

○ ○ ○ マンション○ ○ ○ 号室

平成〇〇年〇〇月〇〇日

通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号

氏名○ ○ ○ ○ 印

披通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号

○ ○ ○ ○ 殿

 

もちろん、ご本人名義の文書でもいいのですが、弁護士に依頼し、弁護士名で送付した方が、後日の裁判沙汰を警戒して、相手方としても任意に支払いをする可能性が高くなります。

それでも返還に応じない際は、費用対効果や心情的な部分も考慮し、少額訴訟か、民事調停の申立てを検討します。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

賃貸人側が敷金の返還請求に応じない場合でも、弁護士が代理人として介入することにより、賃貸人側が紛争の長期化を嫌って支払いに応じてくるケースもあります。

弁護士費用のご負担も考慮に入れた解決方法を検討、ご提案いたしますので、お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

長期間賃料を払わない借家人を追い出したいのですが、明渡訴訟を起こす前に注意すべきこととは何ですか。

 

明渡の勝訴判決を得たとしても、それに基づいて強制執行ができるのは、被告になった者(賃借人)だけです。賃借人が建物の占有を他人に移転しないよう仮処分を申し立て、事件の相手方を固定する必要があります。

 

仮処分が有効と聞きましたが・・・。

明渡訴訟の提起にあたっては、将来の強制執行妨害を防止するため、しかるべき保全措置を講ずる必要があります。

どういうことかというと、例えば1年以上賃料を滞納しており、難なく明渡しの勝訴判決を得たとしても、その判決により強制執行ができるのは、裁判の相手方(被告)になった賃借人に対してだけです。

しかし、悪質な賃借人になると、このことを逆手に取り、訴訟の間に建物を第三者に転貸したり譲渡する(建物の占有を移転する)ことにより強制執行を免れようとします。

実際にこれをされると、賃借人に対する勝訴判決では当該第三者を追い出すことができず、改めてその者に対して明渡訴訟を起こさなければならなくなります。

このような事態を回避するためには、占有移転禁止の仮処分を申し立てることにより、明渡請求の相手方を賃借人に固定する必要があります。

 

仮処分にはお金がかかります。

賃借人が貸主に無断で第三者に占有を移転することを防止するという事柄の性質上、仮処分命令は、原則として、賃借人からの弁明を聴かずに出されます。

その代わりに、裁判所から一定程度の保証金を法務局に預けるよう求められます。この保証金は、貸主が明渡訴訟に敗れ、しかも賃借人が仮処分によって損害を被った場合の担保として要求されるもので、問題がなければ後日返還されます。保証金の具体的な金額は、賃借人が悪質かどうかといった事情にもよりますが、概ね賃料の1~3か月程度です。

しかし、一時的とはいえお金を預けることは賃貸人にとって不利益といえるでしょう。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

占有移転禁止の仮処分は、相手方の性質によっては不要と考えられる場合もあり、また保証金の問題もあるため、実際に行うか否かは、十分に協議のうえで決めていくこととなります。

仮処分は、訴訟とは別個の手続であり、相当の時間・労力を要するため、明渡事件自体とは別事件の扱いとなりますが、高木光春法律事務所では、明渡事件の弁護士費用等も考慮し、無理のない範囲で費用のご提示をさせていただきます。

30年の借地契約期間の満了に伴って、地主から更新料の支払いを請求されました。更新料は支払わなければならないのでしょうか。

 

借地契約で、更新料についての定めがなければ、地主から請求されても支払う必要はありません。また、更新料の定めがあっても、不当に高額であれば、交渉の余地があるでしょう。

 

更新料はどういう性質のものか?

更新料とは何かについては、昔から議論があり、一般的に、不足賃料の一括前払いや、更新拒絶しないことについての対価などと説明されています。

借地契約の更新時に、「慣習」として地主が更新料を請求してくることもあるようですが、更新料は法律に定めがないものですので、契約内容となっていない限り、支払義務はありません。また、更新料が契約内容となっていても、その金額が法外なものであれば、無効となることもあります。

更新料の金額・相場についてですが、借地契約で、具体的な金額や算定方法が決まっていれば、それによります。ただし、賃借人に一方的に不利な内容であれば、無効となる可能性があります。

「当事者双方の協議に基づき金額を決める」等の約定がある場合は、協議により決めることとなりますが、一般に、更地価格の3~5%とされることが多いと思われます。

 

地主から更新料を請求された場合の対処方法

賃貸人から一方的に更新料の支払いを求められても、言われるままにこれに従う必要はありません。まずは、更新料の授受に関する特約があるかを確認しましょう。

仮に特約がない場合であっても、賃貸人との関係はその後も続くものですので、支払を一切拒絶することが常に適切とはいえません。賃貸人との協議の中で、円満に契約更新をするための妥協点を見出していくことも大切です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、更新料の授受に関するトラブルについても、ご相談、ご依頼をお受けしております。

更新料に関する協議は長期化することも多く、期間の経過とともに当事者間の溝が深くなり、ストレスも大きくなります。そのような場合は、法律家によるサポートが有効です。お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

現在、住宅を人に貸しているのですが、今度、遠方に赴任していた息子夫婦が転勤から戻ってくることになったので、できれば賃貸借契約を終了させたいのですが。

 

賃貸借契約を終了させるには、その旨を賃借人と合意するか、契約更新を拒絶する必要があります。更新拒絶により契約を有効に終了させるには、契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の通知をする必要があり、且つ、更新拒絶につき正当事由が備わっている必要があります。

 

更新を拒絶する場合のやり方

住まいは生活の拠点であり、移転するには多額のコストがかかるため、法律は賃借人を厚く保護しています。賃貸借契約の期間が満了しても、契約は自動的に更新されてしまいます。

賃貸人は、賃借人に出て行ってもらうためには、まず契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の意思表示をする必要があり、且つ、「正当事由」が備わっていなければ、更新拒絶の効力が生じません。

 

「正当事由」はどんな場合に認められますか?

「正当事由」があるかどうかは、賃貸人側、賃借人側双方の事情のほか、立退き料の授受など総合的に考慮して判断されます。具体的には次のようなものです。

賃貸人が建物を必要とする事情(賃貸人の資力等)

賃借人が建物を必要とする事情(賃借人の資力等)

賃貸借に関する事前の経緯(賃貸借に至った経緯、権利金、更新料等の支払いの有無・金額、滞納家賃の有無など)

建物の利用状況(代替性の有無等)

建物の現況(建物の老朽化の程度など)

賃貸人による財産上の給付の申し出(立退料の提供)

一般的に、賃貸人がその建物を必要とする相当な理由がある場合であっても、それだけで正当事由ありと判断されるケースは少なく、多くの場合、正当事由を補完する金銭の給付(立退き料の支払い)が求められます。

礼金とは、賃貸借契約時に賃借人が賃貸人に対しお礼として支払う金銭のことで、契約終了後も、返還されないものです。

第二次世界大戦後の住宅不足のときに、立場の弱かった借主が、貸してもらいたい一心で、契約させてもらうお礼として賃貸人に支払った金銭の名残です。現在ではむしろ住宅過剰となっていますから、礼金0を売りにしている賃貸建物も多く見受けられます。

建物の性質等によりますが、概ね賃料1、2か月分であることが多いといえます。

建物を自分で使う必要が生じたので、立退き料を支払って退去してもらおうと思っているのですが、通常、どの程度支払う必要があるのでしょうか。

 

立退き料は、明渡の正当事由を補強する事情として機能するため、正当事由の内容により金額の多寡が左右されます。

 

立退き料とはどういうものか?

正当事由がある場合に限り、更新拒絶や解約申入れができるとされていますが、実際には「正当事由」だけでこれらが認められることは少なく、賃借人に対する金銭的給付(立退き料)がなされて初めて、更新拒絶等が認められることが多いです。

その意味で、立退き料は、明渡の正当事由を補強する事情として機能しているといわれています。

 

立退き料の相場

立退き料の額は、各種事情により定められるものであるため、確たる相場が存在するわけではありません。

対象の建物が住居用であれば、賃借人も比較的容易に移転先を探すことができますが、店舗であれば、出店場所によって大きく客足が変わるあるいは当面の減収などの事情により、賃借人が受ける影響が大きいため、立退き料の額も大きくなりがちです。また、建物の老朽化が著しい場合などは、立退き料は低く抑えられる傾向にあります。

具体的な事例における適正な立退き料の額については、過去の事例を参考とすることができます。また、提示金額等によっては、その交渉方法にも工夫が必要となります。

もし、立退き料のことでお悩みであれば、高木光春法律事務所にご相談ください。

賃借建物に修繕の必要が生じた場合、誰が修繕するのですか。

 

原則として、賃貸人が修繕をすべきことになります。賃貸人が修繕をしない場合は、賃借人自身がこれを行い、かかった費用を「必要費」ないし「有益費」として請求していくこともあります。

ただし、「修繕は賃借人が行う」との特約も有効であるため、そのような特約があれば賃借人負担で行うことになります。

 

賃貸人の修繕義務の内容

民法では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています(606条1項)。

修繕が必要な場合としては、雨漏りがする、ドアに鍵がかからない、窓枠が外れている、電気・ガス・水道の設備が故障により使えない等が考えられます。

ただし、不具合があった場合であれば常に修繕をしなければならないわけではなく、破損・故障等により、賃貸借契約の利用ができない、あるいは著しく支障が生じる場合にのみ、修繕義務が生じるとされています。従って、水道のパッキングのすべりや障子やふすまの張り替えなどの修繕は借家人の側に修繕義務があるとされています。

また、賃借人自身が損壊した場合は、賃貸人は修繕する義務はないとされています。

 

修繕義務を借家人に負わせる特約の効力

借家契約では、「修繕費は借主が負担する」との特約条件が付けられることもあり、このような特約も原則として有効とされています。

ただし、一般にこの特約の射程範囲は、通常予想される修繕だけに留まり、例えば地震や水害等で予想もしない天災などで目的物を修繕する必要が生じたときは、賃貸人が修繕すべきと考えられています。また、高額な家賃をとっておきながら、大規模な修繕まで借家人に負担させる特約は無効と考えられます。

賃借人が賃料を滞納しています。滞納賃料を取り立て追い出したいのですが、どのようにしたらよいでしょうか。

 

弁護士名での請求書を、内容証明郵便で送付することが有効です。その後の交渉を弁護士に委任することも可能です。

 

内容証明郵便による請求

内容証明郵便とは、郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう特殊な郵便方法です。請求自体を証拠化し、請求に対する強固な意思を示す趣旨で利用されます。

賃借人が賃料を支払わない理由として、単に「甘え」でズルズルと支払いをしなかったり、他への返済を優先し、賃料を後回しにしているケースもあります。そのような場合であれば、弁護士名での督促により、明渡請求に対する緊張感が生まれ、任意での支払いに応じてくることもあります。

また、内容証明郵便での督促は、支払を求めるという意味以外にも、紛争の存在自体を顕在化させるという意味もあります。

後日、明渡訴訟を提起する際にも、「賃料不払いにより信頼関係が破綻したか否か」が問題となる場合がありますので、早い段階で賃料の支払いを巡るトラブルが存在し信頼関係が希薄化していたことを証拠としておくことには、大きな意味があります。

 

家賃滞納がある場合の最終手段

弁護士名での督促状を内容証明郵便で送付しても任意に支払わない場合、さらなる法的手段を執る必要がありますが、事案や、賃借人の言い分等に応じた手続きをとる必要があります。

もっとも直接的なのは、明渡訴訟を提起し、その中で未払い賃料も請求していく方法ですが、未払い賃料の支払や明渡条件を巡って話し合いを持つため、民事調停を申し立てるという方法もあります。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃貸人の性格、言い分等、個別具体的な事情に応じて、実効的な回収方法を選択し、速やかに着手します。

賃料の未払い問題でお困りの際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

借地権を譲渡したいのに、賃貸人がこれに承諾しない場合、「借地非訟手続」という制度を利用します。これは、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めるものです。

裁判所は、さまざまな事情を考慮し、相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。

ただし、その際には、いわば承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

なお、「借地非訟手続」を利用できるのは、「借地」の場合のみであり、「借家」の場合は利用できません。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、賃借人の方の代理人として交渉を行うほか、必要に応じて借地非訟手続を申し立て、借地権譲渡の目的を達成します。

賃貸人との交渉が難航している際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

土地の賃貸借契約

①建物の所有を目的とするものかどうか ②建物の種類は住宅か店舗か ③期限(最低30年) ④借地権の譲渡と転貸 ⑤地代・敷金・権利金 ⑥地代の支払い方法 は最低限決めておきましょう。

例えば、閑静な住宅街に土地を所有しており、それを他人に貸すという場合、店舗などを建設されては困るという場合もあるでしょう。

土地の用途については、当事者間で自由に決めることができますので、その場合は、「居住用建物に限る」等の制限を定める必要があります。

また、一般に、鉄筋コンクリート造など堅固な構造の方が老朽化しにくく、賃貸人本人による土地利用が妨げられますので、どのような建物を許容するのかを、慎重に検討する必要があります。

建替えや増改築、大規模修繕等については、賃借人による土地利用を長期化させ、賃貸人本人による土地利用が妨げられますので、書面による賃貸人の承諾を要するとするのがよいでしょう。建替え、増改築、大規模修繕の申し出があった際は、承諾料の支払と引き換えに承諾するのが一般的です。

契約更新時、更新料の支払いを求めたい場合は、その点を契約書上で明らかにしておく必要があります。更新料については法律に規定がなく、契約条項にない限りは請求が認められません。

 

建物の賃貸借契約

①期限(1年以上―定期借家権を除く) ②用途の制限 ③譲渡転貸の禁止 ④家賃、敷金などは最低限決めておきましょう。賃貸人の権利を強化するために造作買取請求権の排除や、契約解除時の明渡遅延相当損害金額を、賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込む場合もあります。

建物の賃貸借契約の場合、賃借人による造作買取請求権を契約条項で排除しておくことができます。

造作とは、建物に取り付けられたもので、建物をより使いやすくするもの、例えば、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などで、賃貸人の同意を得て設置した造作、賃貸人から買い取った造作は賃借人の契約不履行によらずに契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対し買取を請求することができます。

買取価格は当該造作の客観的な時価ということになりますが、必ずしも具体的な価額は明らかではないので、賃貸人・賃借人間で意見がまとまるとは限りません。そこで、賃貸人としては、あらかじめ特約で請求権を排除しておくことができます。

また、賃料不払いなどで建物賃貸借契約を解除した際、より早期に明渡をさせるため、契約解除以後の明渡遅延相当損害金の額を賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込むこともできます。

2倍程度であれば、有効と判断され得ますが、それ以上となる場合は、契約条項自体が無効と判断される場合もあるので、注意が必要です。

 

せっかく契約条項を定めても無効とされる場合があるか?

借地借家法等の強行法規に反する規定、借地人にとって一方的に不利な規定は、無効とされる可能性があります。

例えば、「1度でも賃料の支払いを遅滞したら契約を解除できる」、「解除した後は、賃貸人が代わりに中の物を排除するなどして明渡を強行でき、後日、その費用を請求できる」等の規定や、法外な更新料を定める規定などは、無効となります。

賃貸人側の便宜のため、合理的な理由なく賃借人に負担を課すような条項は、後日トラブルのもととなるので、慎重な配慮が必要です。

 

弁護士に依頼すると・・・・・・

高木光春法律事務所では、契約書書式のチェックや、契約条項の解釈をめぐるトラブルなどについて、ご相談・ご依頼をお受けしております。個別具体的な事例に沿ったアドバイスを差し上げます。

 

労働問題

  労働審判は,労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人(使用者側1人,労働者側1人)で組織された労働審判委員会が,個別労働紛争を,原則として3回以内の期日で審理し,適宜調停を試み,調停による解決に至らない場合には,事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。

次のような特徴があげられます。

①迅速な対応が要求されること

労働審判は,迅速な解決を目指すものであるため,原則として3回以内の期日で審理が終結されます。

第1回目は,申立てから40日以内に指定されます。

労働審判委員会は,第1回期日に,当事者の陳述を聴いて争点及び証拠の整理をし,可能な証拠調べを実施して審理の終結を目指すこととされ,第1回期日に審理を終結できない場合等に初めて次回期日を指定すべきこととされています。

このように,労働審判は,訴訟が長期間かかることに比べると,日程が非常にタイトです。そして,第1回目の期日で主張や証拠が出揃い,裁判所(労働審判委員会)の心証が得られ,調停案(和解案)が提示されることも多いです。

労働審判においては,第1回目が勝負といえます。そして,このことは会社側にとっては,迅速に対応することがきわめて重要であることを意味します。解雇の有効性等が争われる場合には,会社側に解雇が正当であることの立証責任があります。したがって,第1回期日までに,事前に会社の主張をきちんと文書(答弁書)にまとめ,その証拠を十分そろえて裁判所に送付することが求められます。このような準備を40日に満たない期間で行わなければならいのですから,会社側の負担は非常に大きいといえます。上で述べたように,会社側に立証責任があることが多く書面も提出する証拠も膨大になります。労働審判を申し立てられた場合,一刻も早く,労働審判手続に精通した弁護士に相談することが大切です。

②柔軟な解決が可能であること

裁判での判決は請求が認められないか,請求が認められるかの判断しかありません。たとえば,解雇無効を訴訟で訴えた場合,裁判所は解雇が無効か有効かの判断をします。

労働審判においては,手続きの中で話し合いによる解決の見込がある場合にはこれを試み,その解決に至らない場合には,労働審判を行うものとされています。つまり,紛争の実情に即して,話し合いによる柔軟な解決が期待できます。

③手続きが強制されること

都道府県労働委員会が扱うあっせん制度は,行政サービスのため出頭義務はありません。そのため相手方が出頭しないと何も進まないという問題がありました。労働審判では,労働審判官からの呼び出しに対して正当な理由なく出頭しなかった関係人は5万円以下の科料に科せられます。

④非公開であること

手続は柔軟な解決を目指しているので非公開で行われます。非公開とすることで,双方当事者の率直な意見の表明,意見交換,交渉,議論をうながして,当事者の互譲につなげていくというねらいがあります。

高木光春法律事務所事務所では,労働審判事件についても迅速に対応できます。労働者から申し立てがあった時には,準備の期間をできるだけ確保するためにも,まずは高木光春法律事務所事務所までご相談下さい。

  労働組合から団体交渉を申し込まれた場合,労働者との間で賃金等の労働条件の問題や解雇の問題等ですでに問題が顕在化しているものと思われます。

  団体交渉を求められた場合,使用者には団体交渉について合意達成の可能性をさぐって誠実に交渉しなければならない義務(誠実交渉義務)が課せられています。その趣旨は憲法上の権利である労働者の団体交渉権を実質的に保障するものです。ただし,使用者は団体交渉に応じる義務はありますが組合の要求に応じる義務はありません。もっとも,ここでの対応を間違えると,問題が長期化,拡大化しますので慎重かつ迅速に対応する必要があります。

団体交渉に際しての一般的な注意点は,以下のとおりです。

(1) 労働組合についての情報を収集する。

団体交渉申入れをしてきた労働組合が,会社内の労働組合であれば,組織の内容についてある程度把握することはできます。しかし,たとえば合同労働組合のような社外で組織された労働組合の場合には,組織の実態もわからないことも多いと思います。こうした場合には,ホームページ等で当該組合の組織内容,活動の方針や状況等について確認することが,団体交渉の下準備として重要です。

(2) 交渉のスケジュールを確認する。

労働組合から交渉の申し入れをされた場合,同時に団体交渉の日時の指定がされることが多々あります。しかし,使用者側としては,準備不足のまま団体交渉に臨むことは避けなければなりません。まずは時間猶予の申入れを行い,事前準備として事実調査や弁護士に依頼するなどを行う必要があります。もっとも,単なる引き延ばしにすぎない時間猶予の申入れは合理的な理由のないものとして不当労働行為と評価されてしまうこともありますので注意が必要です。

(3) 出席者について

労働組合側で誰が出席するのかをあらかじめ確認するとよいでしょう。

一方,労働組合側では,社長に強く出席を求めることがよくあります。しかし,使用者側としては交渉権限がある担当者を出席させれば,誠実交渉義務を十分に果たしているといえます。

会社代表者が出席する場合には,労働組合側から厳しい追及を受け,その場での回答を求められたりすることもしばしばあります。そのような場合には,即座に回答せずに持ち帰って検討するなど場の雰囲気に流されてしまわず冷静に対応することが必要です。

(4) 交渉の場所と時間に注意する

交渉の場所については,交渉がエンドレスになってしまう危険があるので会社内はできる限り避けた方がよいでしょう。公共の会議室等を指定するのが望ましい対応です。労働組合の事務所も交渉がエンドレスになってしまいがちなのは社内で行う場合と同様ですが,加えて相手方のホームグラウンドであるので,労働組合側のペースに飲み込まれてしまいやすいという点,どうしても労働組合の事務所で交渉を行わなければならないような場合には,弁護士を同行させるなどの事前の対策が必要となります。

交渉の時間についても,交渉がエンドレスになる恐れがあるので何時から何時までと適切な交渉時間を設定することが大切です。また,できる限り労働時間内は避けた方がよいでしょう。

(5) 議題について確定する

労働組合側からの団体交渉申入書に書かれている議題が,広範にわたっている場合には適宜修正を加えて議題を絞り,議論が波及・紛糾しないよう事前に調整する必要があります。

労働組合との団体交渉についても高木光春法理事務所が扱っております。

  何度も遅刻や無断欠勤を繰り返したり,仕事上何度もミスを繰り返し会社の損害を与え,改善がまったく認められず,客観的に見ても職務遂行能力に欠ける場合には,勤怠不良や能力不足による解雇が認められる余地があります。

ただし,解雇が争われる場合には,会社の方でその合理性と社会的な相当性を証明していく必要があります。合理性と社会的相当性が認められるためには,

注意や指導や,処分(徐々に強いものに)にもかかわらず,改善がなされなかったことを会社の側で証明する必要があります。そこで,注意の原因となる事実,注意・指導・教育の内容,次回注意されたときには,今後改善されない場合には相応の処分を加えることを示唆する文言等を必ず書面で従業員に渡すことが重要です。

一度の問題行動を理由として解雇したのではなく,何度も注意を行うなどして解雇以外の解決方法を最大限模索したということが証明できれば,解雇が妥当なものであると判断される一材料となります。

また,注意の書面は,本人に渡すだけでなく,会社にも写しをとっておかなければ証拠としての意味がありませんので注意して下さい。

なお,注意を受けた者が自らの行動・自らの非を認めている場合に,その内容を記載した覚書を作成しておくことも,後日紛争に発展した場合に会社に有利に働きます。

まとめると,従業員の注意は必ず書面で行うことが重要です。

問題のある従業員がいてお困りの場合は一度高木光春法律事務所にご相談下さい。

  解雇事由は,就業規則において定められているのが一般的です。もっとも,解雇事由を網羅的に就業規則に規定することは現実的ではありません。また,いかに労働者が信義を欠く行動をしたり,職務遂行能力がなかったり,会社に損害を与えた場合にも就業規則の解雇事由に当たらない限り解雇できないとすることは不当な結果になりかねません。

そこで一般的には,就業規則の解雇事由は解雇事由を限定した趣旨であることが明らかでない限り例示にすぎないとされ,就業規則に定めのない解雇も有効となる場合があります。この場合,無制限に解雇ができるということではなくて,解雇が客観的に合理的と認められ,社会通念上相当であると認められる場合でなければ解雇権を濫用したものとして無効とされます。

なお,就業規則に定めのない解雇事由の解雇は,無用の議論を生じるおそれがありますので,「前各号に準ずる重大な事由」等の包括条項を設けている会社がほとんどであると思われます。

従業員の解雇をお考えの場合は、一度高木光春法律事務所にご相談下さい。

 使用者は,セクハラの申告に対しては,誠実に対応する義務があり,被害者が意に反して退職することのないように職場の環境を整える義務があります。

まずは,会社としては十分な調査が必要です。被害者の申告のみをうのみにして,加害者である社員に懲戒処分等をなした場合に,後にその事実を争われ,事実関係が覆った場合には会社は損害賠償責任を負う場合があります。一方で,被害者からのセクハラの申告に対して,会社が何の対応もとらず被害者が就業困難になり退職に追い込まれてしまった場合や,セクハラを原因とする単なる個人的な対立関係とみて被害者に退職を求めたり,解雇するようなことがあると会社は責任を問われるおそれがあります。

事実関係の詳細な調査は必要ですが,調査の仕方によっては被害者の苦痛を深めますので調査は慎重に行う必要があります。専門の相談窓口を設け,専門の委員会等が調査を行うことが求められます。

調査の結果,セクハラがあったことが明らかになった場合,職場環境を守るため,適切に処理することが必要です。加害者に対しては配転命令や,懲戒処分が考えられますが,慎重に行う必要があります。

なお,男女雇用機会均等法第11条では,職場においてセクハラ行為を防止するため,雇用管理上必要な配慮をすることが義務づけられています。会社において,上記のように相談窓口を設けるほか,どのような行為がセクハラになるのか社内での明確化と周知,セクハラ防止のための教育,就業規則等での定め,起きた場合の適正かつ迅速な処理,再発防止のための措置等が求められます。

社内でのセクハラが適正に処理できず,公になった場合には会社の社会的評価は低下します。

社内でセクハラの相談などがあった場合には,迅速に対応する必要があります。まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

退職金制度を定めるかどうかは,会社が自由に定めることができます。

労働基準法は第89条において退職手当の定めをする場合には,適用される労働者の範囲,退職手当の決定,計算及び支払いの方法,支払いの時期に関する事項について就業規則に定めなければならないことになっています。

したがって,会社に退職金に関する就業規則や退職金規程がない場合には退職金という問題は原則として起きません。

もっとも,就業規則や退職金規程の定めがない場合において,一定の期間の勤続者に対して,ほぼ退職金が支給され,その額も一定の基準によって支給され,そのような取扱が少なくとも数年以上にわたって続いているような場合には,そのような内規がある場合,または内規のような文書がなくても,労使間には黙示に慣行に従った退職金の支払に関する合意があったと認められる場合には退職金の支払が裁判上認められる可能性があります。

このように,就業規則に定めがない場合にも,例外的に退職金を支払わなければならないことがあります。

会社としては,退職金制度を整備するか,制度化しないかを明確にし,従業員に周知する必要があるといえます。また,制度化しない場合には労使慣行が定着化しないよう,曖昧な取り扱いについて見直す必要があります。

高木光春法律事務所は退職金制度の整備の問題も扱っておりますので、是非高木光春法律事務所にご相談下さい。

  過去の残業代の請求については在職中よりも,退職した従業員からの請求が多いと思います。

この場合,従業員は労働基準監督署などや弁護士に相談に行っていることが多いといえます。従業員の要求を無視すると,労働基準監督署からの出頭要求や立ち入り調査などで,全従業員について未払いの残業代の支払を命じられるおそれもあります。また労働審判の申し立てや訴訟を起こされ,会社が大きなダメージを受けることもあります。悪質と判断された場合には付加金を支払わなければならなくなるケースも生じます。

大切なことは,従業員の請求を無視しないということです。その上で,従業員の請求が妥当なものかどうかをきちんと判断する必要があります。従業員の請求には,不必要な時間外労働も多く,残業代の計算を正確に行っていない場合も多くあります。

会社としては,従業員の勤務実態を調査し,主張している労働時間に間違いがないか確認することが重要です。

早めに弁護士に相談に行き,適切かつ妥当な計算を行ってもらい,問題が大きくならないうちに問題を解決する必要があります。

高木光春法律事務所では残業代の問題も扱っておりますので、不安な場合は、是非高木光春法律事務所にご相談下さい。

  まず,従業員が会社の業務中に会社の車で交通事故を起こした場合には,会社は使用者責任や運行供用者責任と言われる責任を負い,運転者とともに損害賠償責任を免れることはできないでしょう。会社は使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき,又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは責任を免れますが,きわめて限られた場面といえます。

また,たとえ会社の車でなくとも業務中にマイカーを使用して事故を起こした場合にも,会社は使用者責任及び運行供用者を負うことは免れないでしょう。マイカーを社用で使用していることを会社が認めていた場合は,その自動車を利用して会社の業務を行っていたといえ,会社の自動車を使用していたのと同じだからです。また,積極的に認めていた場合だけでなく,自家用車利用を知っていながら,注意することもなく放っておいたといった場合も含まれるでしょう。

では,従業員が通勤・退勤途中に事故を起こした場合はどうでしょうか。通勤は,会社が指揮関係を有し運行を支配しているわけではありませんので,マイカー通退勤中に事故が起きた場合でも,会社がマイカーを業務のために利用しているということにはならないため,原則としては会社に使用者責任や運行供用者責任は認められていないようです。もっとも労災保険では,通勤災害について,業務災害ではないものの,保険給付の対象としています。通退勤は労務の提供に必然的に伴うものですから,業務と密接な関連をもっているといえます。マイカーが日常的に会社の通退勤等に利用されていて,会社がマイカー通勤について通勤手当を支給したり,駐車場を提供したりするなど,会社がマイカー利用を積極的に認めているような場合に,会社がマイカーを業務のために利用していると評価して,使用者責任や運行供用者責任を認めた裁判例もあります。多くの会社では,マイカー規定を設け,マイカーの通勤を許可制にし,任意保険の加入をマイカー通勤の条件としています。規定には,事故が起きた場合,一切会社は責任を負わず事故で処理する旨の条項及びその旨の誓約書を出させることが一般的です。

上記のように,会社が責任を負うとする裁判例もありますが,従業員個人が任意保険に加入している場合には会社が実際に金銭を支払う事態はほぼ想定できません。重要なのは,会社のマイカー通勤に際し十分な額の任意保険の加入のチェックとその指導にあるといえます。

不安のある場合には、一度高木光春法律事務所にご相談下さい。

配転,出向は,従業員やその家族に大きな影響を与えます。高齢化社会での親の介護,子の学校の問題などを理由として,従業員が配転や出向を拒否するという事例もふえてきています。配転や出向等を従業員に命じる際には,どのような条件が必要でしょうか。

(1)配転命令

配転とは,従業員の同一企業内での異動のことで,職務内容または勤務地が相当期間変わるものをいいます。このうち,同一の勤務地(事業所内)での職種内容が変わるものを「配置転換」,勤務地が変わるものを「転勤」と呼んでいます。かつては,使用者に人事権があるので自由に配転命令をなし得るとの考えがありましたが,現在では人事権も無制約でなく,使用者と労働者との合意によって決まるものと考えられています。配転が認められる条件は以下のとおりです。

①個々の労働契約・就業規則等に配転命令の根拠があること

勤務地が限定される労働契約が結ばれている場合は,その限定された勤務地内での配転命令しかできません。限定された場所以外に配転するには労働者の同意が必要です。また,採用時に労働者が行う業務が限定されているとみるべき場合にも,一方的な配転命令はできず,労働者の同意が必要となります。

②当該配転命令が法令等に反しないこと

配転命令が実質的に組合活動を妨害する目的でなされる場合や,当該従業員の思想や政治的な考え方を理由とするものは,法令違反となり,配転命令は無効となります。

③配転命令が権利濫用にあたらないこと

配転命令が配転命令権と一見みえるものであっても,権利濫用にあたる場合は,無効になります。判例(東亜ペイント事件・最判昭61.7.14労判477-6)によれば,権利濫用か否かについては,次のⅰ~ⅴまでの要素を総合的に勘案して判断すべきこととされています。

ⅰ 当該人員配置の変更を行う業務上の必要性の有無

ⅱ 人員選択の合理性

ⅲ 配転命令が不当な動機・目的(嫌がらせによる退職強要など)でなされているか否か

ⅳ 当該配転が労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものか否か

ⅴ その他上記に準じる特段の事情の有無(配転をめぐる経緯,配転の手続など)

(2)出向(在籍出向)

出向には,労働者の雇用先の企業(出向元)に在籍のまま,他の企業の事業所(出向先)で働く「在籍出向」と雇用先の企業から他の企業へ籍を移して働く「転籍」があります。ここでは,まず,在籍出向の認められる条件を述べます。

出向も,上の配転命令で述べた①~③と基本的には同様の規制を受けます。ただし,出向に特有の事情に注意する必要があります。出向は配転と違って,就労先が出向元から出向先に変わります。これは,法的には,出向元企業が,出向先企業に対し,労働者に対する「労務給付請求権」(働くことを求める権利)」を譲ることを意味します。労働者への影響が大きいこともあって,労務給付請求権など使用者の権利を第三者に譲る場合は,労働者の承諾(同意)が必要であるとされています。この同意は,個別的な同意だけでなく,包括的な同意でもよいとする裁判例も多くなってきています。ただし,包括的同意については,最高裁判所は,就業規則と労働協約に出向命令権を根拠づける規定があり,出向労働者の利益に配慮した出向規程(出向期間や出向中の地位,出向先での労働条件に関し,出向者の利益に配慮したルール)が設けられている事案で,企業は従業員の個別的同意なしに出向を命じることができると判断しています(最二小判平成15.4.18 新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件 労判847号14頁)。包括的同意といっても,出向者の利益に配慮したルールも定められている場合であるということに注意が必要です。

次に,出向命令権の行使が権利濫用で無効になるのはどういう場合かについては,労働契約法に規定があります。同法14条は,「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において,当該出向の命令が,その必要性,対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして,その権利を濫用したものと認められる場合には,当該命令は,無効とする」と定めています。権利濫用か否かを判断する要素としては,配転の場合と類似性があります。

なお,出向期間中の労働関係については,基本的な労働契約関係は出向元にあると解されます。法的には,出向に伴い,出向元と出向する従業員の労働契約上の権利義務の一部が,出向先企業に移ることになります。労働契約上の権利義務のどの部分が移るのかは,出向元と出向先の合意で決められることになります。一般に,労働時間に関する諸規定は,就労を命じる権限を持つ出向先に適用されると思われます,これに対して賃金に関する諸規定は,出向者への賃金の支払いに責任を持っている企業が出向元・出向先のいずれであるかを出向協定等に基づき判断したうえで,支払義務がある側に適用されることになるでしょう。

(3)転籍命令

転籍とは,従来の雇用先との労働契約を終了させ,新たに他企業との間に労働契約を締結して,他企業の業務に従事することになります。

よって,転籍は出向と異なって,労働者の個別的・具体的な同意が必要であることにほぼ争いはありません。

配転,出向について不安のある場合には,高木光春法律事務所に一度ご相談下さい。

  従業員をやめさせる、つまり解雇は,たとえ会社の側に正当な解雇の理由があったとしても,従業員がその解雇事由の事実がないといって争ったり,事実自体は認めても解雇の不当性を主張して紛争に発展した場合,会社は紛争に巻き込まれて解決に時間と多大な労力を費やさなければならないことになることもあります。

そこで,まずは会社としては話合いにより,従業員に自主的に退職させることが重要となります。従業員が納得して退職する場合には必ず,退職届けを提出してもらうようにして下さい。もっとも,従業員がまったく納得していないのに執拗に退職を促した場合には,後に争われ違法と評価される場合もありますので慎重におこなう必要があります。

解雇事由が認められるにもかかわらず任意退職しようとしない場合は,解雇することもやむをえないといえます。しかし,解雇は客観的に合理的理由があり,社会的に相当と認められる場合でなければ,解雇権の濫用として無効になるおそれがあります。そこで,解雇をしようとする場合にはまず,その社員が解雇が不当だと争ってきた場合に解雇事由の客観性・合理性を主張できるように,十分な証拠を残しておく必要があります(「問題のある従業員に注意をする場合の留意点は?」参照)。

解雇には大きく,普通解雇,懲戒解雇,整理解雇があります。それぞれに要件が異なりますので,会社が考えている解雇がどれに当たるのかを判断する必要があります(「普通解雇と懲戒解雇はどう違うのですか?」及び「整理解雇をするときの注意点は?」の項を参照)。

なお,解雇が法律上禁止されている場合も多くあります(たとえば,産前産後の休業期間中及びその後30日間(労基法第19条),公益通報を理由とすること(公益通報者保護法第3条)等)。解雇が法律上禁止されていないことは解雇を検討する上での大前提となりますので注意して下さい。

不安がある場合には一度高木光春法律事務所にご相談下さい。

  整理解雇とは,会社の経営上の理由(企業経営の合理化,整備等)により人員削減が必要な場合に行われる解雇のことです。

この解雇では,裁判法理上一般に次の4要件を満たすことが必要と考えられています。

①人員整理を行う業務上の必要性があるか(人員削減の必要性)

②解雇を回避するために具体的な措置を講ずる努力が十分になされたか

(解雇回避努力義務)

③解雇の基準及びその適用(被解雇者の選定)に合理性があるか(被解雇者選定の合理性)

④人員整理の必要性と内容について労働者に対し誠実に説明を行い,かつ十分に協議して納得を得るよう努力を尽くしたか(解雇手続の妥当性)

 

ただし最近の判例では,整理解雇をする場合,必ずしも整理解雇の4要件全てを満たさなくとも整理解雇が有効と判断するものもあります。つまり,解雇権が濫用的に行使されたかどうかの判断に際しての考慮要素の例示にすぎないとし,4要件を考慮要素として,個別具体的な事情を総合考慮して判断する裁判例が登場しています。

とはいえ,上記の4類型は考慮要素として重要なことには変わりはないと考えられますので,整理解雇を考える場合には,それが後に解雇権の濫用として無効とならないために,弁護士に相談の上,整理解雇を進めてゆくことが重要です。 

整理解雇をお考えの経営者の方は一度高木光春法律事務所にご相談下さい。

・従業員の求人募集をするには,原則として年齢制限はできません。

ただし,これは企業の努力義務を定めたものですので,例外的に相当な理由があれば,特定の年齢層の者だけを求人募集をすることができます(雇用対策法)。

・募集・採用については,「事業主は,労働者の募集及び採用について,女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない」としています。指針で,①対象から男女のいずれかを除いたり,②条件を男女で異なるものとすること,③能力や適正を判断するための試験のやり方を男女で変えたり,④男女のいずれかを優先的に採用したり,⑤求人説明等について対象を男女どちらかに限ったり,時期を男女で変えたりすることが禁止されています(男女雇用機会均等法)。

・求職者に誤解を与えるような虚偽の求人広告を出すと処罰されます(6ヶ月以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑,職業安定法)。

たとえば,営業職募集にあたり高額な歩合給を提示したり,親会社の名前や信用を使った求人募集などはひかえましょう。

・面接を行なったり,履歴書などを出させる場合は,必要な範囲で求職者の個人情報を収集・保管・使用しなければなりません。

・労働条件は労働契約の内容になるものですので,労働基準法では次に挙げる労働条件の明示が義務づけられています。

(絶対的に明示しなければならない事項)

① 労働契約の期間

② 就業の場所,従事すべき業務

③ 始業及び終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,休憩時間・休日・休暇,労働者を2組以上にわけて交替に就業させる場合における就業時転換に関する事項

④賃金(退職金,賞与等を除く)の決定・計算・支払いの方法,賃金の締切・支払の時期,昇給に関する事項

⑤退職に関する事項

(その事項に関する事項を定めた場合には明示しなければならない事項)

① 退職手当の定めをする場合は,労働者の範囲,退職手当の決定・計算・支払いの方法及び支払の時期に関する事項

② 臨時の賃金等及び最低賃金額の定めをする場合は,これらに関する事項

③ 労働者に食事,作業用品その他の負担をさせる定めをする場合は,これに関する事項

④ 安全及び衛生に関する定めをする場合は,これに関する事項

⑤ 職業訓練に関する定めをする場合は,これに関する事項

⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合は,これに関する事項

⑦ 表彰及び制裁の定めをする場合は,種類及び程度に関する事項

⑧ 休職に関する事項

(書面の交付により明示しなければならない事項)

① 労働契約の期間

② 就業の場所,従事すべき業務

③ 始業及び終業の時刻,所定労働時間を超える労働の有無,休憩時間・休日・休暇,労働者を2組以上の分けて交替に就業させる場合における就業時転換に関する事項

④ 賃金(退職金,賞与等を除く)の決定・計算・支払いの方法,賃金の締切・支払の時期に関する事項

⑤ 退職に関する事項

上記規定によって明示された労働条件が事実と違う場合には,労働者は,労働契約を解除することができます。この場合,就業のために住居を変更した労働者が,契約解除の日から14日以内に帰郷する場合には,使用者は,必要な旅費を負担しなければなりません。

  普通解雇と懲戒解雇は,使用者が一方的に雇用契約を打ち切る意思表示である点では同じです。しかし,懲戒解雇は会社の秩序を乱したことを理由に行う解雇である点で,会社から命じられた仕事をしないことを理由として行う普通解雇とは異なります。懲戒解雇には,懲戒という側面と解雇という側面があります。

普通解雇,懲戒解雇ともいずれも,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当と認められる場合でなければ,解雇権の濫用として無効となることは同じです。

しかし,懲戒解雇は,普通解雇と違って,就業規則や退職金規程等において退職金や解雇予告手当を支払わない旨規定していたり,再就職等に際し大きな不利益を与えることになるため,下記のようにより厳しい条件をクリアしなければなりません。

1 就業規則上の懲戒解雇事由に該当すること

普通解雇の場合には,就業規則の事由に当たらない解雇も一定の要件があればなしうると考えられています(「就業規則に記載されていない理由で従業員を解雇できますか?」の項を参照)。これに対して,懲戒解雇の場合は,就業規則の懲戒解雇事由に当たらないと懲戒解雇することはできない(限定列挙)とされています。それは,懲戒解雇が,懲戒処分のうち,企業から放り出すという重い処分として行われるものであるため,解雇事由はあらかじめ就業規則に明らかにしておく必要があるためです。

2 従業員の行為と懲戒解雇することとのバランスがとれていること(相当性)

従業員の非違行為の程度やその他の事情に照らして,懲戒解雇という重い処分を行うことが本当に必要なのか,妥当な処分なのかが判断のポイントとなります。

3 適正手続の保障が要求されること

使用者が従業員を懲戒処分するにあたり,罪刑法定主義という刑事法の刑罰を科す場合に準じた手続きが必要となります。

罪刑法定主義(就業規則上懲戒解雇事由が定められ,これに該当する具体的な事実が必要であること)

不遡及の原則(後から定めた就業規則の懲戒事由によって処分できないこと)

一事不再理の原則(過去にすでに処分を受けている行為について重ねて処分できないこと)

適正手続の原則(本人に弁明の機会を与えること)

会社としては,以上をふまえて,懲戒解雇あるいは普通解雇が妥当かどうか検討する必要があります。

では,懲戒解雇,普通解雇のいずれにも当たると考えられる場合,懲戒解雇を行うのと普通解雇を行うのとでは,どういった違いがあるのでしょうか。

①解雇予告手当の支払の有無

労働基準法では,解雇する場合の手続として,30日前の予告または平均賃金30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要とされています。普通解雇の場合には,解雇予告手当の支払が必要となります。

これに対して,従業員に即時解雇されても仕方がない著しい非違行為があれば,所轄労働基準監督署であらかじめ「解雇予告除外認定」を受けて解雇予告や解雇予告手当を支払うことなしに即時解雇することができます。懲戒解雇の事由にあたる場合には,解雇予告除外認定を受けられる場合が多いといえますが,注意しなければならないのは,懲戒解雇=解雇予告手当を支払わないでよいということではないということです。

②雇用保険の給付制限の有無

雇用保険の失業等給付のうち基本手当(いわゆる失業保険)を受けようとすると,普通解雇の場合には,一般に給付制限を受けることはありません。しかし,当該社員の責に帰すべき重大な理由があって解雇または懲戒解雇された場合(重責解雇の場合)には,自己都合退職した場合と同様に給付制限を受けることとなります。つまり,待期期間経過後最長3ヶ月経過しないと失業等給付は支給されないことになります。

このように,普通解雇と懲戒解雇では,要件,効果に大きな違いがあります。

解雇をお考えの経営者の方は,是非高木光春法律事務所にご相談下さい。

   最近,職場内でいじめやパワハラを受けて退職した従業員から,会社が訴えられるというケースも増えてきています。

従前は個人間の問題として取り扱われてきましたが,現在では以下に述べるように労務管理としての問題としてとらえていく必要があります。

厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が,平成24年3月に発表した提言では「職場のパワーハラスメント」は,「同じ職場で働く者に対して,職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に,業務の適正な範囲を超えて,精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」となっています。ポイントは次の点にあります。

1 .職場内の優位性

上司から部下に対しての行為だけでなく,先輩・後輩間や同僚間,さらには部下から上司に対して行われるなどの様々な職務上の地位や人間関係の優位性を背景に行われるケースが含まれます。

2 業務の適正な範囲

個人の受け止め方によって不満に感じる指示や注意・指導があっても「業務の適正な範囲」内であればパワーハラスメントに該当はしません。

典型的な,パワーハラスメントとしては,次の6つが挙げられます。

(1)暴行・傷害

(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言

(3)隔離・仲間外し・無視

(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制,仕事の妨害

(5)業務上の合理性なく,能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと

(6)私的なことに過度に立ち入ること

職場のパワーハラスメントを放置すれば,被害従業員の心の健康を害するだけでなく,職場の雰囲気・生産性が悪化し,退職等によって人材が流出してしまうといった問題が生じます。

さらに加害従業員のみならず,会社も使用者として「不法行為責任(使用者責任)」や「職場環境配慮義務違反」などの法的責任を問われ金銭的負担が発生したり,会社のイメージが低下したりと,会社へも大きな悪影響を及ぼすことも考えられます

まずは,パワーハラスメントの問題は,労務管理の問題であるという会社内での認識が必要です。そして,セクハラの問題と同じように,慎重かつ適切な処理が要求されます。対応を誤ると,問題が大きくなり会社のイメージの低下に結びついてしまいます。

ではパワーハラスメントの問題について,会社はどのように対応すべきでしょうか。

予防としては,経営者が,パワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示すとともに,就業規則に関係規定を設ける,労使協定を締結するなど一定のルールを設けることが必要です。また,予防・解決についての方針やガイドラインを作成するとともに,従業員アンケートを実施するなどしてパワハラやいじめの実態を把握することも有効です。また,どのような行為がパワハラになるのかを従業員に教育し,研修等を実施して周知する必要もあります。

起きてしまったパワハラやいじめの問題については,解決のための相談窓口をあらかじめ設けるとともに,職場の対応責任者をきめ,早期に事実の確認・調査を行う。場合によっては,弁護士等の外部専門家と連携し適切な対処法を検討する,

加害者の適切な配置転換や処分を行う,行為者に対し再発防止のための研修を行うなどの対応が必要です。

上で述べたように,対応を誤りますと,訴訟になり会社のイメージが低下しますので,パワハラの問題が生じたときは早期に弁護士に相談することが肝心です。

高木光春法律事務所はパワハラの問題も扱っておりますので、不安な場合は是非高木光春法律事務所にご相談下さい。

   被解雇者が解雇無効を主張してきた場合,まずはどのような理由で解雇無効を主張しているのか確かめることが重要です。

解雇理由に争いがあるのか,解雇の手続を問題としているのか,また,従業員がどのようなことを主張しているのかによって,会社側がとるべき方法も変わってくるものです。

そこでまずは,どのような理由で解雇無効を主張しているのか明らかにすることを求める書面を従業員、つまり被解雇者に送るとよいでしょう。これに対する被解雇者の反応によって,解雇無効の主張が単なる言いがかり的なものなのかを判断することもできます。

被解雇者の主張がはっきりしたら,弁護士に事情を説明しその後の対応を相談しましょう。

そのまま放置してしまうと,解雇無効の訴えを起こされるおそれもあります。また,不誠実な対応をした場合,そのような対応にもとづく慰謝料まで請求されるおそれもあります。

迅速かつ適切に行動することが何より重要です。

高木光春法律事務所では,解雇無効の問題も得意分野としておりますので安心してご相談下さい。

 

相続に関する紛争

民法では、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、…慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する」とされており、遺産分割の対象とはなりません。祭祀財産の性質上、遺産分割によって複数の人に分け与えることは好ましくないからです。

これにより、祭祀財産については相続とは別個の基準で承継されます。

なお、遺体や遺骨についても、相続財産として遺産分割の対象とはならず、その所有権は祖先の祭祀を主宰すべき者に帰属すると考えられています。

祭祀財産の承継者は、①第一順位が「被相続人が指定した者」、②第二順位が「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者と定められた者」、③慣習が明らかでないときは、第三順位として、「家庭裁判所の審判又は調停により定められた者」とされています。

遺言で祭祀の主宰者を指定するときは、例えば、「第○条祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男○○○○を指定する。」といった形で記載します。

遺言がない場合は、親族での従前の扱いなどを考慮しながら、話し合いで祭祀の主宰者を決め、もし話し合いが調わない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることになるでしょう。

 

弁護士に委任すると……

祭祀財産の取扱いはもちろん、遺産分割全体についても、ご相談・ご依頼をお受けしております。適正な遺産分割を迅速に実現するには、法律専門家の助言が有効ですので、お困りの際は高木光春法律事務所にご相談ください。

代襲相続が生じるのは次のケースです。

  • 本来の相続人が、被相続人の死亡以前に死亡していた場合
  • 本来の相続人に、相続欠格事由が生じた場合(被相続人の死亡の前後を問わない)
  • 本来の相続人が廃除された場合(被相続人の死亡の前後を問わない)

本来の相続人が、相続を放棄した場合は、代襲相続は発生しません。

 

弁護士に委任すると……

代襲相続は、相続人の範囲・順位に関するルールの一つです。
一部の相続人を除外して遺産分割協議を行っていた場合、たとえ協議が調っても無効となってしまいます。そのため、協議を始める前から、誰が相続人になるのかについて、十分に確認しておく必要があります。
もっとも、相続人の範囲・順位については、代襲相続の発生の仕方など、やや分かりづらい部分もあり、その範囲を確定するにあたっては、弁護士による調査・助言が有効です。
高木光春法律事務所では、相続人の範囲・順位に関するご相談もお受けしております。

代襲相続とは、被相続人が亡くなる以前に、相続人となるべき子・兄弟姉妹が死亡し、又は廃除され、あるいは相続欠格事由があるために相続権を失った場合に、その者の直系卑属(兄弟姉妹の場合はその子に限る)が、その者に代わってその者のa受けるはずであった相続分を相続することをいいます。
つまり、A(被相続人)→B(子)→C(孫)→D(ひ孫)といる場合に、Aが亡くなった時点でBが既に他界していたり、廃除や相続欠格事由で相続権を失ったりした場合は、CがAを相続できます。また、BとCが死亡していた場合等は、DがAを相続できます。

一方、被相続人が無くなった後に、相続人であった者が亡くなった場合には、新たに相続が発生したものと考えて、代襲相続にはならないので注意する必要があります。

例えば、上の例でAが亡くなった後でBが亡くなった場合は、孫であるCだけではなく、Bの配偶者もBの相続を通じてAの相続分を引き継ぐことになります。

法律上、相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除き(例えば扶養請求権など。)、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされており、債務も例外ではありません。したがって、借金や保証債務も相続されます。

借金などの金銭を支払わなければならない債務については、遺産分割とは無関係に、法定相続分にしたがって請求されてしまうので、注意が必要です。

たとえばローン付の家について、家を引き継いだ人だけが支払を続けたい場合、債権者である銀行などと交渉して遺産分割協議書とは別途に銀行との間の合意書を作る必要があります。

 

弁護士に委任すると……

上述のように、遺産分割の対象となるのはプラスの財産のみですが、実際上は債務の内容などもにらみながら分割協議にあたるのが一般的です。

適正な遺産分割を迅速に実現するには、法律専門家の助言が有効ですので、お困りの際は高木光春法律事務所までご相談ください。

 高齢のAさんが、自宅土地建物及び賃貸アパートを自身の判断能力の低下等に備えて、子Bさんに信託財産として管理させるスキームが、家族信託の典型例です。  高齢者Aさんが委託者兼受益者に、子Bさんが受託者になり、自宅土地建物、賃貸アパートを信託財産とする。  成年後見制度では本人の判断能力の低下が要件となりますが、信託では判断能力のあるうちに委託者として信託の設定ができます。成年後見人による財産管理は、財産を維持する方向で保守的に行われますので、賃貸アパートの建替えや自宅の大規模なリフォームなどは困難ですが、信託では権限を与えておけば、受託者の判断と責任でこれが可能です。また、成年後見では、後見人の選任は家庭裁判所の判断に委ねられますが、信託では委託者の判断で受託者を選任できます。  このように、信託には成年後見制度にはないメリットがありますので、相続問題等で紛争の発生が予想される場合でなければ、十分に利用価値があります。

相続人の範囲や遺産内容がはっきりしない場合や、分割方法や具体的な相続分について相続人間の意見が折り合わず雲行きが怪しくなっている場合などは、当事者間で話し合いをするよりも、弁護士を立てて法律上の基準を明確にしながら遺産分割をした方がよいでしょう。

 

何のために弁護士に依頼するのか

遺産分割は、相続人・相続財産の調査から、分割方法の協議、遺産分割協議書の作成までの過程を経て実現されます。

分割方法等を巡って意見が食い違えば、互いの言い分が法的に正しいかを検証する必要も生じますし、もし相手が不合理な言い分に固執するようであれば、調停を起こして家庭裁判所の助けを求めることになります。

このように、相続人間互いに利害が対立する中で、疑心暗鬼にとらわれ、それまで円満だったはずの親族関係が徐々に険悪になっていくこともよくあります。

弁護士が遺産分割の依頼を受ければ、後日、蒸し返しが生じないように、相続人、相続財産、被相続人の負債状況を余すところなく調べますし、相手の言い分の不当性、法的不備などを指摘することが可能です。

また、遺産分割協議が長引けば、それだけ親族関係の不和が生じがちになりますが、法律の専門家である弁護士が入ることにより、より迅速に事案を処理することが可能です。

 

弁護士に委任すると……

分割方法などの具体的なご希望はもちろん、相手との関係にも配慮した交渉を行います。

「弁護士を立てる=闘争」ではありません。遺産分割でお悩みの際は、ぜひ高木光春法律事務所にご相談ください。

相続とは死亡した人(被相続人)が生前持っていた一切の財産や債務が死亡と同時に生存者(相続人)に引き継がれる制度です。

相続欠格、廃除とはいずれも、本来であれば相続人になれた者が、一定の事情により相続できなくなる場合に関する規定です。相続欠格事由は法定されています。これに対して廃除は、家庭裁判所の調停、審判によって相続権が剥奪されます。

相続欠格とは、相続に関して不正な利益を得ようとして、不正な行為をしたり、又は不正な行為をしようとした者から相続人資格を剥奪する制度です。
どのような場合に相続欠格が生じるのか(相続欠格事由)は、法律によって定められており、具体的には次のとおりです。

  • 故意に被相続人又は先順位若しくは同順位の相続人を死亡させたり、又は死亡させようとして、刑に処せられた場合
  • 被相続人が殺害されたことを知っていながら、告訴・告発をしなかった場合
  • 詐欺・強迫によって、被相続人の相続に関する遺言の作成・撤回・取消・変更を妨げた場合
  • 詐欺・強迫によって、被相続人人に相続に関する遺言をさせ、またはその撤回・取消・変更をさせた場合
  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した場合

 

相続人の廃除の意味

相続人の廃除とは、被相続人からみて、相続させたくないと考えるような非行があり、且つ被相続人がその者に相続させることを欲しない場合に、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所が審判又は調停によって、相続権を剥奪する制度です。
遺産の分け方などについては、もともと遺言で指定することができますが、子、配偶者、直系尊属には遺留分(最低限の取り分)があり、単に他の者に遺贈しただけでは、遺留分侵害額の請求が可能になってしまいます。
そこで、遺留分も含めて相続権を剥奪するのが、廃除という制度です。したがって、廃除の対象となるのは、遺留分を有する子(及びその代襲者)、配偶者、直系尊属に限られ、被相続人の兄弟姉妹は含まれません。

しかしながら、単なる感情的な確執だけでは、廃除は認められません。審判になった場合、法律上の廃除原因(虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)があるかの判断は、被相続人の感情・意思に左右されることなく、客観的になされます。
実務上は、父母に対する暴行・浪費癖・遊興・財産の無断売却といったもののうち複数の行為をしている場合に、「著しい非行」を認める例が多いといえます。

 

廃除の手続の仕方

被相続人となる方が存命の場合は、その方から家庭裁判所に対し、廃除の調停か審判を申し立てます。また、遺言で廃除の意思表示を行うこともできます。いったん廃除が認められた後でも、被相続人となる方は、家庭裁判所に対し廃除の取消を求めることができますし、遺言でその意思表示を行うこともできます。
被相続人の方が亡くなった後、遺言に廃除の意思表示があることが発見された際は、遺言執行者が遅滞なく家庭裁判所に廃除の請求をすることになります。

 

弁護士に委任すると……

一部の相続人を除外して遺産分割協議を行っていた場合、たとえ協議が調っても無効となってしまいます。そのため、協議を始める前から、誰が相続人になるのかについて、十分に確認しておく必要があります。
もっとも、相続人の範囲・順位や相続欠格事由については、分かりづらい部分もあり、相続人の範囲を確定するにあたっては、弁護士による調査・助言が有効です。
高木光春法律事務所では、相続人の範囲・順位に関するご相談もお受けしております。

先日、父が亡くなり、遺品を整理するとともに、遺産分割協議に向けて父の財産の洗い出しをしているところです。遺産分割の対象となるのは、どのようなものでしょうか。

 

法律上、相続人は、被相続人の一身に専属する権利を除き、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされています。

遺産分割としてよく問題となるのは、不動産(土地、建物)や預貯金です。

しかし、実は、預貯金(金銭債権)は、相続開始と同時に当然分割により分割は終了していると考えられており、相続人全員の合意がないと遺産分割の対象とはなりません。そのため、遺産分割調停で合意ができず、審判に委ねることとなった場合に、相続人の一部が預貯金の遺産性に異議を唱えると、預貯金は審判の対象とされないこととなります。

このように、遺産分割の対象となるか否か問題となる財産や、あるいは、対象とはならないが、遺産分割の対象に含めてよいか問題となる財産のほか、そもそも遺産であるかどうかが問題となる財産など、細かく見ていくと、どの財産が遺産分割の対象となるかの判断は、一筋縄ではいかないことが分かります。

具体的にみていくと、次のようなものがあります。

 

生命保険金

生命保険金は、被保険者の死亡後に、受取人が固有の権利として保険金請求権を取得するものであり、被保険者以外を受取人に指定した場合,遺産ではありません。したがって、原則として遺産分割の対象とはなりません。

ただし、保険金額が著しく多い場合、例外的に遺産として扱われる場合があります。

 

死亡退職金

死亡退職金は、賃金の後払いとしての性格と、遺族の生活保障としての性格があり、前者に着目すると遺産性を認める方向に、後者に着目すると遺産性を認めない方向に傾くことになります。

遺産性の有無は一律に決せられるものではなく、支給基準、受給権者の範囲・順位などの規定内容により遺産性を検討するものとされています。

 

代償財産

① 代償財産

代償財産とは、遺産の処分によって得られた別の財産のことをいいます。遺産である不動産を売却した場合の売却金が代償財産にあたります。

遺産分割前でも、相続人全員の同意がある場合には、共有状態の遺産に含まれる個々の物や権利を処分することができます。

その場合に、代償財産が相続の対象になるかという問題が生じます。すなわち、代償財産が相続財産に含まれるとすれば、遺産分割を経るまでは相続人が代償財産を取得できないことになるからです。

② 最高裁昭和54年2月22日判決

相続人全員の同意によって売却された土地代金について、

売却した土地は、遺産分割の対象たる相続財産から逸出するとともに、その売却代金は、これを一括して共同相続人の一人に保管させて遺産分割の対象に含めると合意するなどの特別な事情のない限り、相続財産には加えられず、共同相続人が各持分に応じて個々にこれを分割取得すべきものである、 と判示しています。

すなわち、代償財産は、特別に遺産分割の対象とする合意がある場合を除いて相続財産に含まれないこととなります。

各相続人は、遺産分割前であっても、自己の相続分に応じた代償財産の取得や引渡しを請求できることとなります。

 

弁護士に委任すると……

遺産分割にあたっては、相続財産の範囲を確定する必要がありますが、遺産性の判断に困ることは少なくありません。

後日、トラブルが生じないよう円満且つ迅速に遺産分割をまとめるには、法律専門家のアドバイスが有効です。お困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

金融機関に対する調査の仕方

被相続人の方と日頃行き来がなかった方はもちろん、行き来があったとしても、どの口座にどのくらいお金が入っているか分からないというケースは少なくありません。

通帳や金融機関からの郵便物が手元にあればよいのですが、紛失している可能性もありますし、あるいは、被相続人の自宅に敵対している相続人が住んでいて、調査ができないという場合もあるでしょう。

そのような場合は、地道に金融機関を回り、確認していくしかありません。

銀行、信用金庫等の各金融機関に赴き、ご自身が相続人にあたること、及び被相続人が死亡したことが分かる資料(戸籍謄本、除籍謄本、身分証明書等)を持参すれば、被相続人名義の口座の有無、残高を知ることができます。具体的な必要書類は、事前に電話で問い合わせをしておくのがよいしょう。

金融機関の各店舗はオンラインでつながっていますので、出向いた支店に口座をもっていなくても、別の支店に存在していれば、それを知ることができます。

ご自宅の近隣にある金融機関のほか、事業を行っている場合であれば、その取引銀行に個人名義の口座をもっていなかったか、調べるべきでしょう。

 

不動産に対する調査の仕方

被相続人の自宅はもちろん、その他に不動産を持っていなかったかを調べる必要があります。固定資産税の納付書等の資料が参考となるでしょう。土地が何筆かに分かれている場合であっても、役場で名寄帳を取り寄せることにより、被相続人名義の土地を把握することができます。

 

債務の調査の仕方

財産がいくらあっても、債務がそれを超過していたら意味がありません。財産より負債の方が多い場合は、相続放棄を検討する必要があります。また、仮に債務超過でない場合でも、遺産分割にあたっては、債務の負担を考慮する必要があります。

そのため、財産の調査と合わせて、負債の内容も調べなければなりません。

被相続人の自宅に資料があればよいのですが、ない場合は、信用情報機関から、情報を取り寄せるという方法もあります。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、被相続人の財産や負債状況の調査についてもご依頼をお受けしております。

本ページでご紹介した以外にも、財産の内容にしたがって調査方法がありますので、被相続人の財産の全容が分からずお困りの場合は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

まず、配偶者がいる場合は、その配偶者は常に相続人となります(相続欠格事由、廃除等がある場合は除く)。婚姻の届出をしておらず、内縁関係に留まる場合は、相続人となれないので注意が必要して下さい。

次に、被相続人に、子ども(子どもが亡くなっている場合は、その子ども〈代襲相続人〉)がいないかを確認します。
離婚した妻(先妻)との子どもや、被相続人が認知した子どもも、相続人に含まれます。そのため、親族関係が複雑な場合は、被相続人の戸籍謄本をよく確認し、先妻との間に子どもがいないか、あるいは認知した子どもがいないかを確かめる必要があります。
法定相続分は、被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者が2分の1、子どもらが2分の1となり、子どもが複数いる場合は、原則としてその2分の1を等分することとなります。

被相続人に子どもやその代襲相続人がいない場合は、被相続人に直系尊属(親、祖父母、曾祖父母等)がいないか確認します。
直系尊属の中では、親等の近い者が優先的に相続人になります。例えば、被相続人の父は存命で、母は既に他界しているが、母方の祖母は健在という場合は、被相続人の父のみが相続人になります。
法定相続分は、被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1となり、親等を同じくする直系尊属が複数いる場合は、その3分の1を等分することになります。

被相続人に子どもやその代襲相続人、及び直系尊属がいない場合は、被相続人に兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は、その子ども〈代襲相続人〉)がいないかを確認します。
法定相続分は、被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となり、兄弟姉妹が複数いる場合は、原則としてその4分の1を等分することとなります。

相続人は私たち2人の兄妹だけですが、それぞれの言い分が異なり、遺産分割協議がまとまりません。どうしたらよいでしょうか。

 

当事者だけでは感情的になってしまう場合、家庭裁判所での調停手続を積極的に活用しましょう。さらに、弁護士を代理人に立てた方が、よりスムーズに話し合いを進めることとができますし、後悔しない遺産分割が可能になります。

遺産はあるのですが、遺産分割がまとまらず、死後の整理ができません

1 預金が十分にある場合
相続人の預金額のうち、3分の1については、法定相続分に応じて払い出しを受けることができます。これを用いて入院費用等や相続税の支払いに充てることが考えられます。

ただし、上限額が各金融機関について150万円であること、あくまで自分の相続分の引き出しであり、使途や支払い記録の紛失によって、他の相続人に負担を求めることができなくなる場合があることに注意する必要があります。

2 預金の3分の1、あるいは150万円では不足する場合
たとえば、非常に高額の不動産や金融資産がある場合など、上記の方法でも相続税等の支払いに足りない場合、遺産分割の調停とあわせて仮分割を申し立てることで、引き出しが認められる場合があります。

あくまで仮の分割なので、緊急的に必要がある場合に限られ、遺産分割の結果によっては返金を求められることもあります。

 

遺産分割協議をするためにどのような準備をすればいいか?

遺言がない場合、相続財産は、相続人全員による協議で、遺産分けを行うことになります。

しかし、その前に行わなければならないのは、相続人調査と、相続財産の調査です。

例えば、亡くなった方が、以前に離婚をされていた場合、前妻との子どもも相続人になるため、その方も交えて協議を行う必要があります。誰が相続人になるかについては、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本を全て取り寄せ、調査する必要があります。

また、相続財産の内容に漏れがあると、再度、話し合いをもたなければならなくなりますので、確実に把握しておく必要があります。

 

協議の仕方

遺産分割協議をいつ行うか?

一般的には、四十九日法要などで集まった際や、その他、相続人が集まった際に、話し合いをすることになるのが通常です。

このとき、穏やかに話が進めばよいのですが、実際には、「自分は父親の事業に融資していたから、自分の取り分が多くて然るべきだ」とか、「お前は、家を建てるとき、父親にお金を出してもらったのだから、俺と取り分が同じなのは納得がいかない」などといった話になります(法律的にいえば、「寄与分」や、「特別受益」の主張です)。

また、そのような具体的な話がなくても、自身の住宅ローンや子どもの学費の負担、老後の不安などから、できるだけ多くの財産を自分のものにしたいと考え、いきおい紛争へと進展していくこともあります。

 

遺産分割調停とは何か?

話し合いが難航する場合は、当事者同士の話し合いにこだわったり、放置しておくのではなく、家庭裁判所での調停手続を活用することをおすすめします。

 

遺産分割審判とは何か?

調停が不成立になった場合は、自動的に「審判」という手続に移行し、家事審判官(裁判官)が法律と運用に基づいて判断を下します。

 

弁護士に委任すると……

相続人・相続財産、被相続人の負債状況などについて調査します。

遺産分割にあたっては、協議・調停・審判を通じて、全ての手続き・交渉を代理いたします。

なお、遺産分割においては、いたずらに対立関係をあおっても、当事者にとって利益になりません。相手方の利益を含めた大局的な見地で着地点を見極め、より適切な手段選択で協議を行い、早期解決を実現したいと考えています。

調停とは、一人の裁判官と民間から選任される二人以上の調停委員からなる調停委員会が、相続人や関係者の方々から言い分を聞き、事情を調べたうえで、話し合いにより適切な解決ができるように助言やあっせんを行うものです。

 

「調停」はどのように行われるのか?

相続人間で遺産分割協議がととのわない場合、まずは家庭裁判所に家事調停を申し立てることになります。(いきなり「審判」を申し立てることもありますが、大抵の場合は、まずは「調停」に付されます)

しかし、調停といっても、なかなかイメージのつかない方も多いでしょう。裁判との違いを聞かれることもよくあります。

調停は、裁判と全く別物で、一言でいえば、第三者(調停委員)を介した「話し合い」です。

双方が、それぞれ別々に調停室に入り、2名の調停委員(男女のペア)にそれぞれの言い分を伝えて調整してもらいます。相手と顔を合わせずに済みますので、冷静に話を進めることができます。

調停室は、比較的狭い部屋に、だいたい4~6名くらい座れるテーブルと椅子があり、殺風景にならないよう絵画などが飾られています。

一回に話を聞かれる時間はおおむね30分程度で、それを交互に繰り返します。そのため、相手が調停室に入っているときは、調停委員が呼びにくるまで待合室で待っていることになります。(30分で済めばよいのですが、長引くことも多く、ひどいときには1時間半以上待たされることもあります。)

なお、調停委員にお話しする際に、緊張してうまく話ができないという方も多くいらっしゃいますが、通常、調停委員は、親切、丁寧に話を聞いて下さいますし、社会人としてのマナーをもって臨むのであれば、自分の考えや気持ちを遠慮なく、率直にお話しいただいてもまったく問題ありません。

 

遺産分割調停はどのように進行してゆくのですか?

遺産分割調停は、概ね次のような流れで進んでいきます。

・相続人の確定

戸籍が事実と異なるなど相続人の範囲に問題がある場合には、人事訴訟等の手続きが必要です。また、相続人の中に認知症などで判断能力に問題がある方がいる場合には、成年後見等の手続きが必要です。

 

・遺産の範囲の確定

原則として、被相続人が亡くなった時点で所有していて、現在も存在するものが、遺産分割の対象となる遺産です。

遺言書や遺産分割協議書で分け方が決まっている財産は、遺産分割の対象にはなりません。誰かが遺産を隠したり、勝手につかってしまったという場合には、遺産分割以外の手続きが必要になります。

 

・遺産の評価

遺産分割の対象となる遺産のうち、不動産等については評価額を確認する必要があります。合意できない場合は鑑定を実施する必要があります。

 

・各相続人の取得分の確定

遺産の範囲・評価の確認を経て、法定相続分に基づいて、各相続人の取得額が決まります。ただし、特別受益や寄与分が認められる場合には、それらを考慮して各相続人の取得額を修正します。

 

・遺産の分割方法の確定

取得額に基づいて、分割方法を決めます。分割方法には、現物分割(その物を分けること)、代償分割(物を分けるが、差額を金銭で調整すること)、換価分割(売却して金銭を分配すること)などがあります。

 

・調停で話し合いがつかない場合どのようになるか?

遺産分割調停で話し合いがつかない場合は、「審判」という手続きに移行します。

審判とは、裁判所が当事者の方々から提出された資料や事実を調査した結果に基づいて、強制力を持った最終的な判断をする裁判手続きです。

 

弁護士に委任すると……

調停自体は、必ずしも弁護士が必要となる手続きではありませんが、遺産分割調停の場合、法律的な検討事項も多いため、ご本人だけでは負担が重い場合も少なくありません。また、調停申立書の作成、添付書類の収集、関連資料の提出など事務作業がやや煩雑といえます。

高木光春法律事務所では、事務作業や裁判所での手続だけではなく、依頼者の要望に沿った交渉を行い、最大利益の実現を目指します。

 

遺言に関する紛争

公正証書遺言とは、2人以上の証人の立ち合いを得て、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、または、閲覧させて、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自がこれに署名捺印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名捺印する方式をとる遺言をいいます。

要するに、公証人が、遺言者の考えを文章にまとめて作成する遺言です。
原案は、遺言をされる方が考えますから、実際には公証人役場に遺言を持ち寄り、公証人の名前で作成してもらう、というイメージです。
この方法による場合、公証人への手数料がかかる、証人2名の立ち会いが必要、などのデメリットがありますが、保管が確実で、破棄・隠匿・改ざんができない、方式の不備で無効になってしまうおそれがないという、自筆証書遺言には得がたいメリットがありますのでおすすめです。

公正証書遺言の場合には、万が一、被相続人が保管していたものがなくなってもその原本は公証役場に保管されていますから、被相続人の死亡後、謄本の交付を求めることができますので安心です。自筆証書遺言を法務局に保管する場合と同様、検認手続は必要ありません。

 

弁護士に委任すると……

相続人・相続財産の内容について調査した後、遺言者のご意向に沿って、遺言書の原案を作成いたします。なお、このとき、相続税の支払いや遺留分減殺請求などで、財産をもらう人(受遺者)が困ることのないよう、将来生じ得る問題についてご説明し、よりよい遺言についてご提案を差し上げます。
後日、お客さまには公証人役場に出向いていただくことになりますが、確実に1回で済むよう、弁護士が公証人との間で折衝を重ね、下準備を整えます。
公正証書遺言であっても、弁護士がお手伝いすることによって、自筆証書遺言とそれほど変わらない負担感で遺言の作成が可能になります。

相続に関しては、内縁関係に対して婚姻の規定が適用(準用)されず、夫婦同然の生活をしていたとしても相続権は認められません

相続人がまったく存在しない場合など、例外的に相続財産を引き継げることもありますが、確実性はありません。
そこで、内縁の妻に遺産を相続させるためには、遺言にする必要があります

ただし、遺留分を有する相続人(子又はその代襲者、配偶者、直系尊属)がいる場合は、後日、内縁の妻が相続人から、遺留分減殺請求を受けるおそれがあるため、注意が必要です。

弁護士に委任すると……

内縁配偶者と相続人とは利害が対立することが多く、相続のほか、被相続人名義の不動産の居住権などを巡って争いが生じることも間々あります。
現に争いが生じている場合はもちろん、ご自身の亡き後、無用なトラブルが生じることを避けたいとのご希望をお持ちの際は、高木光春法律事務所までご相談ください。

特定の相続人に対して金銭的な援助をするために生前贈与する場合の留意点として、生前贈与が「特別受益」とされ、計算上、遺産に戻され、各相続人の具体的相続分が算定されるということがあります。
どのようなことかといいますと、例えば父親Xが3000万円を持っていて、推定相続人が子どもであるA、Bの2名だったとします。
そのうち、Aに対して500万円を贈与し、2500万円を残して死亡した場合、2500万円をA、Bの二人で1250万円ずつ分けるのではなく、計算上、生前贈与の500万円を遺産に持ち戻し、法定相続分に従って分割することになります。結果として、Aは相続時点では1000万円、Bは1500万円を取得することになります。
特別受益の持ち戻しを考慮せずに生前贈与を行うと、相続人間で思わぬトラブルが生じるおそれがあるため、注意が必要です。

また、不動産など高価なものを贈与する場合、相続税よりも贈与税の方が税率が高いことに留意すべきです。
逆に、生前贈与の目的が相続税対策にある場合、定期金の贈与として一括課税されないよう、年によって贈与額を変えたり、違う種類の財産(現金のほか、株式など)を贈与するといった工夫が必要です

弁護士に委任すると……

将来想定されるトラブルのほか、税金の問題も考慮し、よりよい生前贈与の方法を検討、ご提案いたします。

単なる主観的、感情的な確執だけでは、廃除は認められません。審判になった場合、法律上の廃除原因(虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)があるかの判断は、被相続人の主観的な感情・意思に左右されることなく、客観的になされます。
実務上は、父母に対する暴行・浪費癖・遊興・財産の無断売却といったもののうち複数の行為をしている場合に、「著しい非行」を認める例が多いといえます。

遺言書を作成した後は、どこに保管するかが重要な問題となります。
発見されやすい場所に保管したり、保管場所を推定相続人等に伝えておくと、偽造されたり破棄されるおそれもあります。他方で、誰にも発見されなかったら遺言書を遺す意味もなくなってしまいます。
一つの方法としては、遺言書の存在と保管場所を、遺言の内容に利害関係を持たない、且つ信頼のおける第三者に伝えておき、ご自身の亡き後、相続人や受遺者に伝えるよう、依頼しておくことが考えられます。
また、料金はかかりますが、法務局に保管してもらうこともできます。改ざんなどを確実に防ぐことができ、被相続人の死後の手続きも一部省略することができるため、有効な手段であると言えます。

遺言は必ず法律に定められた形式で作成しなければなりません。特に、自筆証書遺言では、作成方法の誤りに注意する必要があります。

 

自筆証書遺言は、原則として全文を自書する必要があります。また、遺言には日付、氏名を記載して押印する必要があり、一部でも欠けると遺言自体が無効になります。

自分が持っている財産を書き出し、それぞれ誰が相続するのかを書き、最後に署名捺印をします。書いたものは、封筒に入れて、同じ印鑑で封印をします。

自筆証書遺言には証人や立会人がいらず、また費用もかからないため、誰でもできる簡便な方法です。

ただし、次のような理由で無効になってしまう場合が散見されます。

  • 日付が特定されていない(令和○○年○月吉日など)
  • 本文がワープロ打ち(財産の一覧のみワープロ可)。
  • 印鑑が押していない。
  • 夫婦で一枚の遺言を書いている。など

 

また、不利な内容が書かれていた相続人が、遺言書を破棄・隠匿・改ざんしてしまうおそれがあります。

 

弁護士に委任すると……

自筆証書遺言を作成する場合であっても、遺言の有効性を巡るトラブルを回避するためには、弁護士によるアドバイスが極めて有効です。自筆証書遺言の作成をお考えの方は、ぜひ一度、高木光春法律事務所までご相談ください。

自筆証書遺言の場合、封を切る前に、家庭裁判所に対して検認の申立てを行う必要がありますので、まずは、紛失しないように厳重に保管してください。
なお、検認の申立てをする前に開封してしまった場合でも遺言の効力には影響はありませんが、5万円の過料に処せられる可能性があります。

遺言が存在する場合、原則として遺言のとおり遺産を分配することになりますから、相続人やその他の利害関係人にとっては非常に重要な書類です。遺言を見つけた際は、無用なトラブルを避けるためにも検認申立てをする前に、その存在を他の相続人等に知らせた方がよいでしょう。

検認の申立てをすると、1、2か月後に、検認期日が指定されます。
期日では、相続人、受遺者や、その代理人の立ち合いのもと、遺言書が開封され、被相続人の筆跡で間違いがないか、などが裁判所の手で確認されます。

自筆証書遺言は、兼任によってはじめて有効になります。

なお、法務局に保管された自筆証書遺言については、検認の手続きは省略されます。

 

弁護士に委任すると……

検認の手続は形式的なものですので、弁護士の助力がなくとも申立て等はできます。
もっとも、申立書の作成や添付書類の収集など多少の事務作業がありますし、一般の方にはあまりなじみのない裁判所での手続きですから、ご不安があれば当事務所にご相談ください。

 

法律的な手続きに関しては、相続放棄の期間(3か月)、相続税の納期限(10か月)等に注意して下さい。

 

法律上やるべき手続

被相続人の方がお亡くなりになった後、概ね次のような流れで手続等を進めます。

・死亡から7日以内に市区町村長に死亡届を提出。

・遺言の存在を確認。自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合、家庭裁判所に検認の申立て

・相続人、相続財産、被相続人の負債状況を調査。

・被相続人の財産・負債を調査した結果、負債が多い場合は、相続開始を知った時から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続きを行う

・被相続人に関する所得税の申告・納税を4か月以内に行う。

・遺産分割協議、協議が調わない場合、家庭裁判所に遺産分割の調停又は審判を申し立てる。

・遺産の分配、名義変更

・死亡から10か月以内に、相続税の申告・納税を行う。

実際には、相続放棄ができる期間である3か月以内に負債状況の調査ができなかったり、10か月以内に遺産分割協議がまとまらないケースも少なくありません。
その際は、相続の承認・放棄の期間伸長の申立てを行い、あるいは税理士とも協議して、手続きを進めていきます。

 

弁護士に委任すると……

多種多様の相続財産が存在する場合や、相続人間の言い分が大きく食い違う場合などは、スムーズに話が進まないケースも多くみられます。
当事務所では、相続発生から遺産の分配等に至るまでトータルでサポートいたしますので、相続、遺産分割等でお悩みの際は当事務所にご相談ください。

 

遺言には大まかに3つの効果があります。

  1. 紛争の防止
    被相続人自身が財産の分け方を決めることで、紛争の防止が期待できます。
    相続人同士が疎遠になっている場合は話し合いが難しいこともあります。また、被相続人自身が財産を一覧にしておくことで、財産隠しの疑いを避けることができるでしょう。
  2. 被相続人の意思の反映
    生前に助けてもらった相続人に多めに財産を分けたり、相続人でない方に財産を残したり、被相続人の意思を法律的に意味のあるものにするためには、遺言を作成する必要があります。
    ただし、後に述べる遺留分を侵害しないように気を付ける必要があります。
  3. 事業資産の保護
    農地や工場、あるいは一人会社など、被相続人が何らかの事業を行っている場合には、相続人間で遺産を分けてしまっては事業が続けられなくなってしまう危険があります。
    遺言や、場合によっては経営承継円滑化法の特例なども活用して、財産の分離を回避しましょう。

遺言執行者とは、遺言の内容を実現する人のことです。
遺言には、財産の処分や身分行為(認知、廃除など)に関するさまざまな事項が記載されていますが、実際に財産が相続人や受遺者(遺言により財産を譲り受ける人)にわたるまでには、引渡しや登記など、現実の行為が必要になります。預貯金の引き出しや、口座の解約も必要になってくるでしょう。
そのような手続きを行うのが、遺言執行者の役目です。

まず、法律上、未成年者と破産者は遺言執行者となることはできないとされています。
それ以外であれば、相続人のうちの誰かや、受遺者(遺言により財産を譲り受ける人)に指定することもできます。
しかし、遺言執行にあたっては、まず遅滞なく相続財産の目録を作成し、相続人に交付しなければならないとされているほか、登記や口座解約など事務作業も多く、負担は決して軽くありません。
また、相続人の一人を指定した場合、他の相続人から不満を持たれたり、そのため協力を得られなかったり、逆に適正・迅速に手続きを進めてくれなかったりと、後日トラブルが生じるおそれもあります。
そのようなトラブルを回避するには、弁護士を遺言執行者に指定するのが有効です。弁護士であれば日常業務の一環として、適正・迅速に手続きを進めることができますし、相続人間のトラブルを誘発することもありません。

遺言執行者を定めることは、遺言の有効要件ではありませんので、必ずしも遺言の中で定める必要はありません。その場合は、相続人が、上記の各種手続きを行うことになります。
もっとも、相続人が多くいる場合、相続人同士が離れて暮らしている場合、あるいは相続人間に感情のもつれがある場合などは、相互の連絡や、遺言内容実現のための手続きがスムーズに進まないことも多いでしょう。
遺言執行者が指定されている場合は、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為ができなくなり、遺言執行者が相続人全員の代理人として、一切の手続きを代表して行うことになります。そのため、スムーズに遺言内容の実現ができます。
そのようなことから、遺言を作成する際は、遺言執行者を指定しておくほうが、残された親族に対しては親切といえるでしょう。

 

金銭トラブル

貸した当時は相手を信頼していた、借用証を書くよう頼めば相手の気分を害するので言えなかったなど、友人や知人同士のお金のやり取りの場合、借用証などを交わさないことも多いと思います。

しかし、借用証は、あくまでも、お金の貸し借りがあったことを証明するための書面で、これがなくても、実際に貸し借りがあり、そのことを何らかの方法で証明できれば、返還を求めることができます。

証拠となりうるものとしては、借用証代わりの紙片、第三者の証言、メールのやり取り、もし分割払いの約束でお金を貸していて、その一部が銀行口座に振り込まれているとすれば、その入金記録などが挙げられます。
また、返済を催促する際のやり取りを録音しておくのも、一つの方法でしょう。
要するに、裁判などで正式に請求した場合、相手が「金なんか借りていない」と言ってきても反論できるような資料が必要ですし、且つ、その程度の資料さえあれば、借用証のような正式な書面がなくても、裁判上返還を請求できるのです。

 

弁護士に委任すると……

「お金を貸したが、借用証はとっていない」という場合でも、まずは高木光春法律事務所までご相談ください。
相手方に債務を承認させるなど、金銭貸借の事実は事後的に証拠化することも可能です。事案に合った適切な解決方法をご提案いたします。

内容証明郵便とは、郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう特殊な郵便方法です。
内容証明郵便により通知を受けた相手は、後日、「そんな通知は受けていない」ととぼけることはできなくなりますので、通知したこと自体を証拠として残しておきたい場合に利用されます。

内容証明郵便は、請求の証拠化のみを目的とする場合を除き、あくまでも早期かつ任意の支払による解決を目指した、私的交渉の呼びかけに過ぎません。支払いを拒絶されるか、若しくは内容証明郵便を無視された場合は、民事訴訟や民事調停の申立て等を検討することになります。

なお、相手方が故意に内容証明郵便の受け取りを拒否することもあります。弁護士はこのような事態に備えて内容証明郵便を送付するのと同時に同じ内容の文書を普通郵便で送付することもあります。

 

弁護士に委任すると……

内容証明郵便による請求をお引き受けすることも可能です。その場合、内容証明郵便の作成費用のみを申し受けます。
また、その後、回収業務自体をお引き受けする場合は、通常の着手金額から、内容証明郵便の作成費用を差し引いた額にて受任いたしますので、内容証明郵便による督促をご検討の際は、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。

少額訴訟の意味

民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。訴える裁判所は簡易裁判所です。
裁判は通常、訴えを起こしてから判決まで何度も期日を重ねるため、解決までに多くの時間と費用と労力がかかります。そのため、訴額が小さい場合、訴訟追行のためのコストの方がかえって高くついてしまいます。
そのような事案でも、裁判所による権利救済が得られるよう用意されたのが、この少額訴訟という制度です。

 

少額訴訟の進め方

即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。

法廷では、基本的には、裁判官と共に丸いテーブル(ラウンドテーブル)に着席する形式で、審理が進められます。

被告は、少額訴訟においては反訴(被告が原告に対して、同じ裁判手続きの中で逆の請求をすること)ができません。

訴訟の途中で、話し合いにより解決すること(和解)もできます。

判決は、和解的内容のものも可能です。すなわち、原告の言い分が認められる場合でも、分割払い、支払猶予、遅延損害金免除の判決がなされることがあります。

判決や和解調書に基づき、強制執行を申し立てることも可能です。

少額訴訟における判決に対しては控訴が認められていませんが、異議申立てが可能です。異議申立てがなされた場合、通常の訴訟手続きで審理されます。

 

どのような事案が少額訴訟に適するか?

少額訴訟は、請求内容が単純で、証拠関係が明白である場合には、使い勝手のよい制度といえます。訴えられた側の事情なども汲み取り、支払猶予、分割払いなど、現実的な方法で事案を解決することができます。

これに対して、相手方との間で事実認識が相当程度食い違っており、請求原因を強く争うことが容易に予想できる場合などは、少額訴訟での解決は一般的には不適切といえます。
なお、被告側は、少額訴訟を提起された場合でも、通常訴訟に移行させる旨の申述をして普通の裁判に持ち込むことができます。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、少額訴訟についてのご相談、ご依頼もお受けしております。請求額が少額のご依頼になるかと思いますが、なるべく負担の少ない形でのサポートをご提案いたします。

請求金額が60万円以下の場合は、簡易裁判所に対し、少額訴訟を提起することができます。通常の裁判とは異なり、1回で結審するため、非常に迅速な紛争解決が期待できます。ただし、判決に対して異議が申し立てられると通常の手続により審理、裁判されることになるので、主張の対立の激しい事件の場合は適切ではありません。

支払督促の手続はどのようなものか

支払督促とは、金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、裁判所書記官が、支払督促を発する手続です。
債務者が督促状を受け取った後、債務者が2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付します。債権者は、これに基づいて、強制執行の申立てをすることができます。

通常、債務者が任意に支払いをしない場合、債権者は裁判を起こし、判決を得た後でなければ強制執行ができませんが、それには多くの負担がかかります。そこで、債務の内容自体に争いがないような事案において、簡易・迅速な手続きで強制執行ができるようにしたのが、この支払督促という制度です。

 

支払督促の効力

裁判所から発せられるという点で、債権者が直接行う督促とは根本的に異なります。
また、債権者からの督促であれば、無視しても、無視したこと自体によって不利益な扱いを受けることはありませんが、この支払督促の場合は、債務者からの異議がなければ裁判をせずに強制執行が可能になるという効力があります。
債務者から異議が申し立てられた場合は、債権者の請求についてその価額に従い、簡易裁判所(140万円以下の場合)ないし地方裁判所(140万円超の場合)に訴え提起されたものとみなされ、訴訟手続きに移行することになります。

 

どのような事案が支払督促に適するか?

例えば、友人にお金を貸していて、借用証もちゃんとあり、友人も借金の存在自体は認めているが、さまざまな理由をつけては返してくれない、居直られているなど、債務の存在自体には争いのないケースでは、有効な手段となり得ます。
しかし、異議が出された場合、直ちに訴えを提起した場合と比較して、「支払督促申立てから異議申立てまでの時間」が無駄になり、かえって余計な時間をかけてしまうことになります。
債務の存在自体に争いがあり、債務者側が異議を申し立ててくることが容易に想像できるケースではもちろん、債務の存在自体に争いのないケースでも、単なる時間稼ぎのため債務者が異議を出すこともあるので、そのような場合にも直接訴えを提起した方がかえって効率的といえます。
支払督促を利用すべきかどうかは、相手方の性質や債権の内容などを十分に考えながら、慎重に判断する必要があります。

 

弁護士に委任すると……

債権回収にあたり、支払督促が有効と判断される場合は、ご相談のうえ、ご依頼をお受けいたします。
また、支払督促を受けている方からも、異議申立て、その後の訴訟対応について、ご相談、ご依頼をお受けいたします。

相手方の性質上、内容証明郵便を無視することが予想される場合で、且つ、債務の存在を争ってこないとみられる場合は、簡易裁判所を通じた支払督促を申し立てることが有効な場合があります。
支払督促の申立てに対し、相手方が14日以内に異議を述べず、且つ、その後の仮執行宣言の申立てに対し、相手方が14日以内に異議を述べない場合は、裁判手続きを経ずに、強制執行が可能になります。
ただし、相手が異議の述べた場合は訴訟手続きに移行しますので、もし異議を述べることが予想できる場合は、最初から訴訟を起こす方が適切といえます。

簡易裁判所にて、話し合いにより解決する方法です。

民事調停とはどのようなものですか?

民事調停とは、どのようなものでしょう。

民事調停とは、裁判官と調停委員2名が構成する「調停委員会」が、両当事者の言い分を聞き、利害を調整、双方を説得するなどして歩み寄りを促し、当事者間の合意により紛争を解決する制度です。

 

民事調停とは

民事調停は、あくまでも当事者同士が話し合い、お互いが譲り合って紛争を解決することを目的としています。
調停の中では、実情に合った円満な解決を目指して話し合いが行われます。

協議は通常、双方当事者が対席して意見をぶつけ合うのではなく、申立人と相手方とが交互に調停室に入室して、調停委員に事実認識や意見を伝える方法で行います。第三者が間に入ることにより、感情的になることなく、また、相手に遠慮をすることなく意思を伝えることができます。

 

民事調停の進め方

申立て手数料は、訴え提起手数料の半額です。
民事調停は、民事訴訟とは異なり、非公開で行われます。
また、調停が成立すると、調停調書が作成されますが、その合意には、確定判決と同一の効力が認められます。つまり、相手がもし、合意に基づいた履行をしなかった場合、民事訴訟(裁判)をすることなく強制執行が可能です。
調停はあくまでも話し合いであるため、双方が納得して初めて調停成立となります。どちらかが合意に応じなかったり、そもそも調停期日に出頭しなかった場合は、調停不成立となります。その場合は、申立人は別途、訴訟を提起することができます。

 

どのような事案が民事調停に適するか?

早期解決に対して双方に利益がある場合(請求額が少額であまりコストをかけたくない場合)、債務の内容自体には争いがないが、支払条件等について話し合いが必要な場合などでは有効な手段となり得ます。
これに対して、事実認識や法的見解に大きな隔たりがある場合は調停を起こしてもまとまらないことが多く、結局は最初から訴訟を起こしていた方が効率的だった、というケースもあります。
民事調停を利用するか否かは、相手の性格や債権の内容から、紛争解決の手段として有効に機能しうるか否かを慎重に検討して決める必要があります。

 

弁護士に委任すると……

債権回収の手段選択にあたっては、証拠関係、相手方の性格・利害・支払能力、請求額の多寡等の事情を総合的に判断して慎重に決する必要があります。高木光春法律事務所では、これらの要素はもちろん、弁護士費用の負担も考慮に入れて、最良の方法をご提案させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

高木光春法律事務所では、債権回収にあたって民事調停の申立てが有効と判断される場合に、ご相談のうえ、ご依頼をお受けしております。
また、民事調停を起こされている方からご相談をお受けした際は、今後予想される展開(調停不成立となった場合、申立人が訴訟を起こしてくる否か等)などを踏まえて、対応を助言させて頂くとともに、事案によっては民事調停事件のご依頼をお受けし、代理人として出頭いたします。

改正法(以下では、「新法」と言います)では消滅時効の制度が大きく変わったと聞きましたが、どのように変わったのでしょう。

1 一般の債権
消滅時効期間は、原則として主観的起算点(債権者が権利を行使することを知った時から5年または客観的起算点(権利を行使することができるとき)から10年のいずれか早い方とされました。

また、民法改正を受けて商事消滅時効期間を原則5年(旧商法522条)とする規定)が廃止されました。

さらに、旧法下の短期消滅時効が廃止されました。

その他、地代などの定期金債権については、各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないときまたは各債権を行使することができるときから20年間行使しないときには消滅時効が完成するとされています。

2 不法行為債権
被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年または不法行為の時から20年の経過により消滅時効が完成します。

3 身体・生命の侵害による損害賠償請求権
生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、大きく契約責任に基づく請求と、不法行為に基づく請求とに分けられます。

例えば、雇用主が労働者は安全配慮義務に反して労働者に傷害を負わせた場合には、労働者は雇用主に対し、労働契約上の安全配慮義務に違反したことを理由に損害賠償請求を行うことができます。この例では、傷害を負った労働者は、契約責任とともに不法行為責任を主張して損害賠償請求を行うことができます。

生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間については、新法では不法行為契約責任についても契約不法行為責任についても、主観的起算点から5年間、客観的起算点から20年簡に統一されました。

4 時効障害事由
(1) 更新と完成猶予
時効の更新とは、更新があった時点から、新たに時効が進行を始めるという制度です。

時効の完成猶予とは、ある事由が生じた場合に、その事由が終了するまで時効が完成しないという制度です。

例えば、裁判上の請求の場合、取下等がなされた場合、6か月間の猶予がなされ、権利が確定したときはそのときから新たに時効が進行を開始します。

(2)合意による時効完成猶予

債権者債務者間で、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、1年間時効の完成が猶予されます(再度の合意があれば最長5年間猶予されます)。

5 経過措置

(1)債権が生じた時期が令和2年4月1日以後であれば新法が、それ以前であれば旧法が適用されます。

なお、令和2年4月1日以後に債権が生じた場合であってもその原因である法律行為が令和2年3月31日以前にされたときは旧法

(2)不法行為

不法行為債権における20年の期間については、この期間が施行日以前に経過していた場合には旧法が適用され、経過していない場合は新法が適用

6 賃金請求権

残業代を含む賃料請求権は、2年から3年に延長

保証人の責任

1 個人根保証契約における極度額の定め

(1)個人根保証契約は、主債務に含まれる債務の種類を問わず、書面または電磁的記録で極度額を定めなければその効力を生じない(改正前は貸金等根保証契約のみ極度額の定めが義務付けられていました)。

(2)極度額の定め方

保証契約締結の時点で、確定的な金額を書面または電磁的記録で定めないと無効

2 公正証書作成義務

(1)公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認することとし、手続を経ていない保証債務を無効としました。

(2)事業のための借金の保証人となろうとする者は、保証契約締結の日前1か月以内に公証役場で公証人に口授することで、保証意思宣明公正証書を作成する必要があります。

(3)もっとも、主債務者が法人で保証人が理事、取締役これらに準ずる者である場合、主債務者が個人で保証人が共同経営者、事業に参画している配偶者については、公証人による保証意思の確認は不要

3 個人保証人に対する情報提供義務

(1)主債務者は事業のために負担する債務について、個人に対して保証を委託する場合に①主債務者の財産および収支の状況②主債務以外の債務の有無・額・履行状況③他の担保の有無・内容等の状況などの情報を保証人に提供しなければなりません。

(2)主債務者から委託を受けて保証人になった者から請求があった場合に、債権者は遅滞なく①主債務の元本、利息、違約金の額②これらの不履行の有無といった情報を提供することが義務づけられました。

保証と連帯保証とはどのように違うのか?

一言で保証といっても、保証には単なる「保証」と「連帯保証」とがあり、その取扱いは法律上区別されています。
単なる保証の場合、まず本人に催告をするよう請求することができ(催告の抗弁権)、また、本人に弁済する資力があり且つ執行が容易であることを証明すれば、本人の財産から執行するよう求めることができます(検索の抗弁権)。
さらに、保証人が複数人いる場合、例えば120万円の借金を3人の保証人で担保する場合、原則として、それぞれの保証人は、40万円(120万円÷3人)の範囲で責任を負えばよいことになっています(分別の利益)。
一般的に、保証というと、このようなイメージが強いと思います。

これに対し、「連帯保証」では、債権者側の利益がより強く保護されています。
つまり、上記の催告・検索の抗弁権がなく、連帯保証人は、債務者本人に資力があっても、債権者から請求があれば代わりに弁済しなければなりません。
また、連帯保証人には、上記の分別の利益がなく、上記の例でいえば、3人の連帯保証人全員が120万円全額の範囲について責任を負うことになります。債権者からすると、債務者本人と、連帯保証人3人の合計4人のうち、もっとも回収しやすい者から支払を求めることができることになります。

世上、保証を求める際は、「連帯保証」とすることが多く、不動産の賃貸借契約書や、金銭消費貸借契約書では、不動文字で「連帯保証」の文言が記載されていることがほとんどです。

「連帯保証」をする場合にはそれ相当の覚悟をもってすることが求められます。

金銭を返してもらえない場合、どのように回収すればよいか?

弁護士は金銭トラブルの依頼を受けた場合、どのような方法でお金を回収するのですか。

金銭の回収方法には複数の手段と手順があります。依頼者からの事情聴取と、資料の検討を十分に行い、より適切な方法を選択して回収に当たります。

 

どのような方法で金銭の返還を求めるか?

返還を求めても返してもらえない場合、最終的には法的手段に訴えざるを得ないでしょう。しかし、その方法には、一般的な民事裁判だけではなく、相手の性質や状況に応じて複数の手段があります。

他人に金を貸したが借用証はありません。返してもらえませんか?

2年前、友人に懇願されて、300万円を貸しました。しかし、返してもらえず困っています。友達だからと思い信用して借用証も取っていません。もう返してもらうことはできないのでしょうか。

借用証はあくまでも「証拠」であり、そのほかのものでお金の貸し借りが証明できれば、返還請求ができます。請求方法も複数ありますので、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。

まず、請求したこと自体を証拠として残すという意味があります。
債権の消滅時効完成前であれば、支払を「催告」することにより、6か月間、時効完成の猶予を受けられますが、後日、「催告など受けていない。」と主張されないよう、内容証明郵便を用いることにより、催告を証拠化しておくことが賢明です。
また、返済期限の定めのない貸金の場合、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(遅延損害金の法定利率は年3%、但し、3年の変動制)とされていますので、その点でも、請求自体を証拠化しておくことに意味があります。

さらに、これは法律上ではなく、事実上の効果ですが、支払い要求の強固な意思を相手に示すということに、大きな意味があります。
本来支払うべきお金を支払わない者の中には、「返す金はあるが、黙っていれば泣き寝入りするだろうから放っておく」という者も相当数います。そのような場合、弁護士名入りの内容証明郵便を送付することにより、相手が裁判に発展することへの危機感を覚え、早期かつ任意に支払いをするという事例も多くあります。

 

高齢者支援

企業法務の事業承継の項参照。

 後見には,「任意後見」という制度と「法定後見」という制度があります。

いずれも認知症にかかってしまったなど、制度を利用する本人の判断能力がおとろえた場合に利用する制度という点は共通しますが,法定後見は,自分で後見人等を選ぶことがむずかしい場合に利用されるものであるのに対して,任意後見は,自分で後見人を選ぶことのできる人が利用する制度という点での違いがあります。

「法定後見」は,判断能力がおとろえた本人について,成年後見人,保佐人,補助人を選ぶ制度です。判断能力のおとろえの程度によって,後見,保佐,補助に分かれます(3つの制度の違いについては,「1 親族が認知症になってしまいました。どうしたらよいですか。」の章を参照)。

「任意後見」は,本人に判断能力がある段階で,将来の判断能力がおとろえる場合に備えて,信頼できる任意後見人の候補者との間で①委任する事項と②報酬額を決めて,公正証書により契約を結んでおき,判断能力が不十分になった段階で,裁判所に任意後見監督人の選任を申し立て,監督人の選任により任意後見契約ができあがる,という制度で,任意後見契約法に定めがあります。この制度ができたことにより,身寄りのない高齢者などが将来に備えることを可能にし,かつ,本人の判断能力がおとろえた後に,親族等による勝手な行動(本人の財産の費消など)を抑えて,監督することができるようになりました。

高木光春法律事務所では、「法定後見」の申し立てのみではなく、「任意後見」の制度にも対応が可能です。どちらの制度を使う場合にも、まずはメリット、デメリットを丁寧にご説明いたします。まずはご相談下さい。

後見申し立ては,家庭裁判所に申し立てなければなりません。後見申し立ては(保佐・補助申立も同じ),家庭裁判所に行くと,申立に必要な書類一式をもらうことができます。申し立ての方法について説明を受けることも可能です。弁護士に依頼しなくても,ご自分で申し立てることもできます。

ただ,後見の申し立てには,後見申し立ての事情説明書の作成,相続関係を明らかにするための戸籍の取得,財産目録の作成,収支状況報告書の作成など,書類の取得や書類の作成等面倒な作業もあります。

また,親族同士で争いのあるケースや,ご本人が虐待を受けているというようなケース,医師の診断書の取得が難しいケースもあります。また、弁護士に依頼すれば,書類の取得から作成,裁判所への申し立てまで行いますので,忙しくてなかなか時間がとれない場合や,難しいケースにも対応が可能です。後見を申し立てる事情があり、どうしていったら良いか不安という場合には、高木光春法律事務所にご相談下さい。

 まずは,親御さんとしては,自分が亡くなった後に子どもにきちんと生活のための財産が行くように遺言をしておいてあげることが最低限必要です。もっとも,子どもさんが障がいを持っているなど一人での生活が困難である場合には,信頼できる第三者や機関に子どもさんの面倒を見てもらうことを条件に,その第三者や機関に財産を遺贈する(負担付遺贈といいます)ことを考える必要があります。

次に,お子さんに契約をするだけの能力がある場合には,親御さんが亡くなったり,体力が衰えて介護ができなくなってきたような時期にそなえて,お子さん自らに信頼できる第三者等との間で委任契約及び任意後見契約をさせておくことが可能です。

お子さんの障害等が重く,自分で契約を結ぶことができない場合には,信頼できる第三者等を見つけて,その第三者との間で,子が20歳未満である場合には親御さんが親権にもとづいて子を代理して任意後見契約を結んでおくことができます。子が20歳以上の場合でも,親自ら後見人となる審判を受けた上で,同様に子を代理して任意後見契約をしておくことが考えられますが,これを否定する考えもあるようです。

信頼できる第三者や機関と親御さん自身との間で,親が死んだり体力が衰えたりした後の,その子の介護及び財産管理等について委任する契約をしておくことも一つの考えられる方法です。

お子さんの状態、親御さんの目的により、どのような手段が最適かは異なってきます。まずは高木光春法律事務所にご相談下さい。

 子ども等の親族と同居している場合や,将来面倒を見てくれる人がいる場合には,あらかじめその者と認知症になったときに備えて,親族に後見申立てをしてもらい後見人になってもらい,財産の管理と療養看護をお願いするということを話し合ったり,自分の希望を伝えておくことも有効です。また,任意後見の方法によって,あらかじめ希望を契約の形にすることもできます。

身寄りのない方の場合には,親族などの援助が見込めず将来への不安は大きいものがあります。そのような場合には,任意後見という制度があります。

任意後見の制度については,第2項の「後見には,どのような制度がありますか?」の章を参照してください。

親などの身内が認知症になってしまった場合,認知症になってしまった本人の療養看護と財産管理の問題が起きます。面倒をみているのがお子さんであれば,お子さんが親の財産を管理しながら,施設に入所させたり病院に入院させたり療養看護をすることになるでしょう。親族の仲が悪い場合などでは,親の財産を不当に使用しているなど,他の親族が文句を言ってきたりしてトラブルになることもあります。

この場合、親族や弁護士などの第三者が,裁判所の監督の下で本人の財産の適正な管理と療養看護を行う「後見」という制度がありますので,利用することをお勧めします。

認知症と言っても,程度に差がありますので,自分で判断できる能力がどれだけあるかによって法律は3つの援助制度を設けています。

①成年後見

「成年後見」は,判断能力を欠いていることが通常である状態である者について,広い代理権限と取消権を後見人に与える制度です。ただし,本人の自己決定権の尊重から日常生活に関する行為については後見人に取消権はありません。

②保佐

「保佐」は判断能力が著しく不十分な者について,一定の行為について,保佐人に同意権・取消権を与える制度です。その他,当事者が選択する特定の法律行為について,保佐人に代理権を与えることもあります。

③補助

   本人の判断能力が不十分な場合に,本人が選択する特定の法律行為について,代理権・同意権・取消権を補助人に与える制度です。

お医者さんとも相談し,本人に判断能力がどのくらい残っているのかを見てもらった上で,本人の判断能力に応じた申し立てを家庭裁判所にすることになります。

高木光春法律事務所では,ご相談をお受けし本人の判断能力に応じた適切な援助制度の申し立てを行います。放っておきますと、本人の財産が他の親族により持ちだされてしまうというようなこともありますので、できるだけ早期の相談をおすすめします。

電話での相談内容の聞き取りは正確性を欠きますし,私どもの事務所は依頼者様との信頼関係を大切にしておりますので,高木光春法律事務所では顔を合わせない電話での相談はお断りしております。

ただ,高齢やご病気で事務所までおいでいただけないこともあると思いますので,そういった場合には,出張可能な距離であれば出張相談も行いますので,まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

 高齢者を狙った詐欺被害,悪質商法についてはテレビ、新聞などでもご覧のとおり後を絶ちません。

まずは,こういった被害にあわないように,ご家族で,業者等からあらかじめ話を聞くときは必ずご家族同席で,親族と称する者から電話があったら一度電話を切って本人に確認するなど,一定のルールを決めておくことが大変有効です。

  不幸にも被害にあってしまったと気づいたときには,法的手続によってクーリングオフや,契約の無効・取消を主張できる場合もあります。また,損害が生じた場合に損害賠償の請求をできる場合もあります。

時間がたってしまうと、解決が困難になってしまうことも少なくありません。まずは,法律の専門家である弁護士に相談することが有効です。どんな詐欺か,契約はしたのか,どのような内容の契約なのかなど,お聞きした上でどのような法的手段が可能なのかを検討します。

不安のある場合は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

 施設の職員の方は,日常的に入所者の方と接していますので,入所者の方から法的な問題について相談されることも多いかと思います。

中には,法的に弁護士が関与せざるを得ないようなケースや,ご親族等との争いに巻き込まれ緊急性を要するケースもあると思います。

高木光春法律事務所では出張法律相談も可能です。施設に入所されている方が,法律相談を望んだ場合にはぜひ高木光春法律事務所にご相談ください。

 
 
 
交通事故に関する質問  企業法務に関する質問  企業顧問に関する質問  借地・借家トラブルに関する質問  労働問題に関する質問  相続に関する紛争に関する質問  遺言に関する紛争に関する質問  金銭トラブルに関する質問  高齢者支援に関する質問 

  お問い合わせ