FAQ – 金銭トラブル

貸した当時は相手を信頼していた、借用証を書くよう頼めば相手の気分を害するので言えなかったなど、友人や知人同士のお金のやり取りの場合、借用証などを交わさないことも多いと思います。

しかし、借用証は、あくまでも、お金の貸し借りがあったことを証明するための書面で、これがなくても、実際に貸し借りがあり、そのことを何らかの方法で証明できれば、返還を求めることができます。

証拠となりうるものとしては、借用証代わりの紙片、第三者の証言、メールのやり取り、もし分割払いの約束でお金を貸していて、その一部が銀行口座に振り込まれているとすれば、その入金記録などが挙げられます。
また、返済を催促する際のやり取りを録音しておくのも、一つの方法でしょう。
要するに、裁判などで正式に請求した場合、相手が「金なんか借りていない」と言ってきても反論できるような資料が必要ですし、且つ、その程度の資料さえあれば、借用証のような正式な書面がなくても、裁判上返還を請求できるのです。

 

弁護士に委任すると……

「お金を貸したが、借用証はとっていない」という場合でも、まずは高木光春法律事務所までご相談ください。
相手方に債務を承認させるなど、金銭貸借の事実は事後的に証拠化することも可能です。事案に合った適切な解決方法をご提案いたします。

内容証明郵便とは、郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう特殊な郵便方法です。
内容証明郵便により通知を受けた相手は、後日、「そんな通知は受けていない」ととぼけることはできなくなりますので、通知したこと自体を証拠として残しておきたい場合に利用されます。

内容証明郵便は、請求の証拠化のみを目的とする場合を除き、あくまでも早期かつ任意の支払による解決を目指した、私的交渉の呼びかけに過ぎません。支払いを拒絶されるか、若しくは内容証明郵便を無視された場合は、民事訴訟や民事調停の申立て等を検討することになります。

なお、相手方が故意に内容証明郵便の受け取りを拒否することもあります。弁護士はこのような事態に備えて内容証明郵便を送付するのと同時に同じ内容の文書を普通郵便で送付することもあります。

 

弁護士に委任すると……

内容証明郵便による請求をお引き受けすることも可能です。その場合、内容証明郵便の作成費用のみを申し受けます。
また、その後、回収業務自体をお引き受けする場合は、通常の着手金額から、内容証明郵便の作成費用を差し引いた額にて受任いたしますので、内容証明郵便による督促をご検討の際は、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。

少額訴訟の意味

民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて、原則として1回の審理で紛争解決を図る手続です。訴える裁判所は簡易裁判所です。
裁判は通常、訴えを起こしてから判決まで何度も期日を重ねるため、解決までに多くの時間と費用と労力がかかります。そのため、訴額が小さい場合、訴訟追行のためのコストの方がかえって高くついてしまいます。
そのような事案でも、裁判所による権利救済が得られるよう用意されたのが、この少額訴訟という制度です。

 

少額訴訟の進め方

即時解決を目指すため、証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べることができるものに限られます。

法廷では、基本的には、裁判官と共に丸いテーブル(ラウンドテーブル)に着席する形式で、審理が進められます。

被告は、少額訴訟においては反訴(被告が原告に対して、同じ裁判手続きの中で逆の請求をすること)ができません。

訴訟の途中で、話し合いにより解決すること(和解)もできます。

判決は、和解的内容のものも可能です。すなわち、原告の言い分が認められる場合でも、分割払い、支払猶予、遅延損害金免除の判決がなされることがあります。

判決や和解調書に基づき、強制執行を申し立てることも可能です。

少額訴訟における判決に対しては控訴が認められていませんが、異議申立てが可能です。異議申立てがなされた場合、通常の訴訟手続きで審理されます。

 

どのような事案が少額訴訟に適するか?

少額訴訟は、請求内容が単純で、証拠関係が明白である場合には、使い勝手のよい制度といえます。訴えられた側の事情なども汲み取り、支払猶予、分割払いなど、現実的な方法で事案を解決することができます。

これに対して、相手方との間で事実認識が相当程度食い違っており、請求原因を強く争うことが容易に予想できる場合などは、少額訴訟での解決は一般的には不適切といえます。
なお、被告側は、少額訴訟を提起された場合でも、通常訴訟に移行させる旨の申述をして普通の裁判に持ち込むことができます。

 

弁護士に委任すると……

高木光春法律事務所では、少額訴訟についてのご相談、ご依頼もお受けしております。請求額が少額のご依頼になるかと思いますが、なるべく負担の少ない形でのサポートをご提案いたします。

請求金額が60万円以下の場合は、簡易裁判所に対し、少額訴訟を提起することができます。通常の裁判とは異なり、1回で結審するため、非常に迅速な紛争解決が期待できます。ただし、判決に対して異議が申し立てられると通常の手続により審理、裁判されることになるので、主張の対立の激しい事件の場合は適切ではありません。

支払督促の手続はどのようなものか

支払督促とは、金銭、有価証券、その他の代替物の給付に係る請求について、債権者の申立てにより、その主張から請求に理由があると認められる場合に、裁判所書記官が、支払督促を発する手続です。
債務者が督促状を受け取った後、債務者が2週間以内に異議の申立てをしなければ、裁判所は、債権者の申立てにより、支払督促に仮執行宣言を付します。債権者は、これに基づいて、強制執行の申立てをすることができます。

通常、債務者が任意に支払いをしない場合、債権者は裁判を起こし、判決を得た後でなければ強制執行ができませんが、それには多くの負担がかかります。そこで、債務の内容自体に争いがないような事案において、簡易・迅速な手続きで強制執行ができるようにしたのが、この支払督促という制度です。

 

支払督促の効力

裁判所から発せられるという点で、債権者が直接行う督促とは根本的に異なります。
また、債権者からの督促であれば、無視しても、無視したこと自体によって不利益な扱いを受けることはありませんが、この支払督促の場合は、債務者からの異議がなければ裁判をせずに強制執行が可能になるという効力があります。
債務者から異議が申し立てられた場合は、債権者の請求についてその価額に従い、簡易裁判所(140万円以下の場合)ないし地方裁判所(140万円超の場合)に訴え提起されたものとみなされ、訴訟手続きに移行することになります。

 

どのような事案が支払督促に適するか?

例えば、友人にお金を貸していて、借用証もちゃんとあり、友人も借金の存在自体は認めているが、さまざまな理由をつけては返してくれない、居直られているなど、債務の存在自体には争いのないケースでは、有効な手段となり得ます。
しかし、異議が出された場合、直ちに訴えを提起した場合と比較して、「支払督促申立てから異議申立てまでの時間」が無駄になり、かえって余計な時間をかけてしまうことになります。
債務の存在自体に争いがあり、債務者側が異議を申し立ててくることが容易に想像できるケースではもちろん、債務の存在自体に争いのないケースでも、単なる時間稼ぎのため債務者が異議を出すこともあるので、そのような場合にも直接訴えを提起した方がかえって効率的といえます。
支払督促を利用すべきかどうかは、相手方の性質や債権の内容などを十分に考えながら、慎重に判断する必要があります。

 

弁護士に委任すると……

債権回収にあたり、支払督促が有効と判断される場合は、ご相談のうえ、ご依頼をお受けいたします。
また、支払督促を受けている方からも、異議申立て、その後の訴訟対応について、ご相談、ご依頼をお受けいたします。

相手方の性質上、内容証明郵便を無視することが予想される場合で、且つ、債務の存在を争ってこないとみられる場合は、簡易裁判所を通じた支払督促を申し立てることが有効な場合があります。
支払督促の申立てに対し、相手方が14日以内に異議を述べず、且つ、その後の仮執行宣言の申立てに対し、相手方が14日以内に異議を述べない場合は、裁判手続きを経ずに、強制執行が可能になります。
ただし、相手が異議の述べた場合は訴訟手続きに移行しますので、もし異議を述べることが予想できる場合は、最初から訴訟を起こす方が適切といえます。

簡易裁判所にて、話し合いにより解決する方法です。

民事調停とはどのようなものですか?

民事調停とは、どのようなものでしょう。

民事調停とは、裁判官と調停委員2名が構成する「調停委員会」が、両当事者の言い分を聞き、利害を調整、双方を説得するなどして歩み寄りを促し、当事者間の合意により紛争を解決する制度です。

 

民事調停とは

民事調停は、あくまでも当事者同士が話し合い、お互いが譲り合って紛争を解決することを目的としています。
調停の中では、実情に合った円満な解決を目指して話し合いが行われます。

協議は通常、双方当事者が対席して意見をぶつけ合うのではなく、申立人と相手方とが交互に調停室に入室して、調停委員に事実認識や意見を伝える方法で行います。第三者が間に入ることにより、感情的になることなく、また、相手に遠慮をすることなく意思を伝えることができます。

 

民事調停の進め方

申立て手数料は、訴え提起手数料の半額です。
民事調停は、民事訴訟とは異なり、非公開で行われます。
また、調停が成立すると、調停調書が作成されますが、その合意には、確定判決と同一の効力が認められます。つまり、相手がもし、合意に基づいた履行をしなかった場合、民事訴訟(裁判)をすることなく強制執行が可能です。
調停はあくまでも話し合いであるため、双方が納得して初めて調停成立となります。どちらかが合意に応じなかったり、そもそも調停期日に出頭しなかった場合は、調停不成立となります。その場合は、申立人は別途、訴訟を提起することができます。

 

どのような事案が民事調停に適するか?

早期解決に対して双方に利益がある場合(請求額が少額であまりコストをかけたくない場合)、債務の内容自体には争いがないが、支払条件等について話し合いが必要な場合などでは有効な手段となり得ます。
これに対して、事実認識や法的見解に大きな隔たりがある場合は調停を起こしてもまとまらないことが多く、結局は最初から訴訟を起こしていた方が効率的だった、というケースもあります。
民事調停を利用するか否かは、相手の性格や債権の内容から、紛争解決の手段として有効に機能しうるか否かを慎重に検討して決める必要があります。

 

弁護士に委任すると……

債権回収の手段選択にあたっては、証拠関係、相手方の性格・利害・支払能力、請求額の多寡等の事情を総合的に判断して慎重に決する必要があります。高木光春法律事務所では、これらの要素はもちろん、弁護士費用の負担も考慮に入れて、最良の方法をご提案させていただいておりますので、お気軽にご相談ください。

高木光春法律事務所では、債権回収にあたって民事調停の申立てが有効と判断される場合に、ご相談のうえ、ご依頼をお受けしております。
また、民事調停を起こされている方からご相談をお受けした際は、今後予想される展開(調停不成立となった場合、申立人が訴訟を起こしてくる否か等)などを踏まえて、対応を助言させて頂くとともに、事案によっては民事調停事件のご依頼をお受けし、代理人として出頭いたします。

改正法(以下では、「新法」と言います)では消滅時効の制度が大きく変わったと聞きましたが、どのように変わったのでしょう。

1 一般の債権
消滅時効期間は、原則として主観的起算点(債権者が権利を行使することを知った時から5年または客観的起算点(権利を行使することができるとき)から10年のいずれか早い方とされました。

また、民法改正を受けて商事消滅時効期間を原則5年(旧商法522条)とする規定)が廃止されました。

さらに、旧法下の短期消滅時効が廃止されました。

その他、地代などの定期金債権については、各債権を行使することができることを知った時から10年間行使しないときまたは各債権を行使することができるときから20年間行使しないときには消滅時効が完成するとされています。

2 不法行為債権
被害者またはその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年または不法行為の時から20年の経過により消滅時効が完成します。

3 身体・生命の侵害による損害賠償請求権
生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、大きく契約責任に基づく請求と、不法行為に基づく請求とに分けられます。

例えば、雇用主が労働者は安全配慮義務に反して労働者に傷害を負わせた場合には、労働者は雇用主に対し、労働契約上の安全配慮義務に違反したことを理由に損害賠償請求を行うことができます。この例では、傷害を負った労働者は、契約責任とともに不法行為責任を主張して損害賠償請求を行うことができます。

生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効期間については、新法では不法行為契約責任についても契約不法行為責任についても、主観的起算点から5年間、客観的起算点から20年簡に統一されました。

4 時効障害事由
(1) 更新と完成猶予
時効の更新とは、更新があった時点から、新たに時効が進行を始めるという制度です。

時効の完成猶予とは、ある事由が生じた場合に、その事由が終了するまで時効が完成しないという制度です。

例えば、裁判上の請求の場合、取下等がなされた場合、6か月間の猶予がなされ、権利が確定したときはそのときから新たに時効が進行を開始します。

(2)合意による時効完成猶予

債権者債務者間で、権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、1年間時効の完成が猶予されます(再度の合意があれば最長5年間猶予されます)。

5 経過措置

(1)債権が生じた時期が令和2年4月1日以後であれば新法が、それ以前であれば旧法が適用されます。

なお、令和2年4月1日以後に債権が生じた場合であってもその原因である法律行為が令和2年3月31日以前にされたときは旧法

(2)不法行為

不法行為債権における20年の期間については、この期間が施行日以前に経過していた場合には旧法が適用され、経過していない場合は新法が適用

6 賃金請求権

残業代を含む賃料請求権は、2年から3年に延長

保証人の責任

1 個人根保証契約における極度額の定め

(1)個人根保証契約は、主債務に含まれる債務の種類を問わず、書面または電磁的記録で極度額を定めなければその効力を生じない(改正前は貸金等根保証契約のみ極度額の定めが義務付けられていました)。

(2)極度額の定め方

保証契約締結の時点で、確定的な金額を書面または電磁的記録で定めないと無効

2 公正証書作成義務

(1)公証人が保証人になろうとする者の保証意思を事前に確認することとし、手続を経ていない保証債務を無効としました。

(2)事業のための借金の保証人となろうとする者は、保証契約締結の日前1か月以内に公証役場で公証人に口授することで、保証意思宣明公正証書を作成する必要があります。

(3)もっとも、主債務者が法人で保証人が理事、取締役これらに準ずる者である場合、主債務者が個人で保証人が共同経営者、事業に参画している配偶者については、公証人による保証意思の確認は不要

3 個人保証人に対する情報提供義務

(1)主債務者は事業のために負担する債務について、個人に対して保証を委託する場合に①主債務者の財産および収支の状況②主債務以外の債務の有無・額・履行状況③他の担保の有無・内容等の状況などの情報を保証人に提供しなければなりません。

(2)主債務者から委託を受けて保証人になった者から請求があった場合に、債権者は遅滞なく①主債務の元本、利息、違約金の額②これらの不履行の有無といった情報を提供することが義務づけられました。

保証と連帯保証とはどのように違うのか?

一言で保証といっても、保証には単なる「保証」と「連帯保証」とがあり、その取扱いは法律上区別されています。
単なる保証の場合、まず本人に催告をするよう請求することができ(催告の抗弁権)、また、本人に弁済する資力があり且つ執行が容易であることを証明すれば、本人の財産から執行するよう求めることができます(検索の抗弁権)。
さらに、保証人が複数人いる場合、例えば120万円の借金を3人の保証人で担保する場合、原則として、それぞれの保証人は、40万円(120万円÷3人)の範囲で責任を負えばよいことになっています(分別の利益)。
一般的に、保証というと、このようなイメージが強いと思います。

これに対し、「連帯保証」では、債権者側の利益がより強く保護されています。
つまり、上記の催告・検索の抗弁権がなく、連帯保証人は、債務者本人に資力があっても、債権者から請求があれば代わりに弁済しなければなりません。
また、連帯保証人には、上記の分別の利益がなく、上記の例でいえば、3人の連帯保証人全員が120万円全額の範囲について責任を負うことになります。債権者からすると、債務者本人と、連帯保証人3人の合計4人のうち、もっとも回収しやすい者から支払を求めることができることになります。

世上、保証を求める際は、「連帯保証」とすることが多く、不動産の賃貸借契約書や、金銭消費貸借契約書では、不動文字で「連帯保証」の文言が記載されていることがほとんどです。

「連帯保証」をする場合にはそれ相当の覚悟をもってすることが求められます。

金銭を返してもらえない場合、どのように回収すればよいか?

弁護士は金銭トラブルの依頼を受けた場合、どのような方法でお金を回収するのですか。

金銭の回収方法には複数の手段と手順があります。依頼者からの事情聴取と、資料の検討を十分に行い、より適切な方法を選択して回収に当たります。

 

どのような方法で金銭の返還を求めるか?

返還を求めても返してもらえない場合、最終的には法的手段に訴えざるを得ないでしょう。しかし、その方法には、一般的な民事裁判だけではなく、相手の性質や状況に応じて複数の手段があります。

他人に金を貸したが借用証はありません。返してもらえませんか?

2年前、友人に懇願されて、300万円を貸しました。しかし、返してもらえず困っています。友達だからと思い信用して借用証も取っていません。もう返してもらうことはできないのでしょうか。

借用証はあくまでも「証拠」であり、そのほかのものでお金の貸し借りが証明できれば、返還請求ができます。請求方法も複数ありますので、まずは弁護士に相談されることをお勧めします。

まず、請求したこと自体を証拠として残すという意味があります。
債権の消滅時効完成前であれば、支払を「催告」することにより、6か月間、時効完成の猶予を受けられますが、後日、「催告など受けていない。」と主張されないよう、内容証明郵便を用いることにより、催告を証拠化しておくことが賢明です。
また、返済期限の定めのない貸金の場合、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う(遅延損害金の法定利率は年3%、但し、3年の変動制)とされていますので、その点でも、請求自体を証拠化しておくことに意味があります。

さらに、これは法律上ではなく、事実上の効果ですが、支払い要求の強固な意思を相手に示すということに、大きな意味があります。
本来支払うべきお金を支払わない者の中には、「返す金はあるが、黙っていれば泣き寝入りするだろうから放っておく」という者も相当数います。そのような場合、弁護士名入りの内容証明郵便を送付することにより、相手が裁判に発展することへの危機感を覚え、早期かつ任意に支払いをするという事例も多くあります。

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