弁護士ブログ/建築請負について

施主Aは、令和2年5月1 日、工事請負業者Bとの間でA宅の新築工事の請負契約を結んだ。請負工事代金は2500万円で、6月1日着工で12月6日完成予定であった。

Aから次のような相談を受けた。民法の請負に関する規定は、大幅に改正され、令和2年4月1 日から改正法が施行されているので、以下、改正法(新法)に従って説明する。

 

1.Bが職人の手配ができず工期が遅れ年を越してしまいこのままではいつ工事が終わるかわからないため、Aは本件工事請負契約を解除して、別の業者を頼んで残りの仕事を頼み工事を終わらせたいと思っている。

本問では、工事遅延の責任がBにあるが、そうであってもBは、Aが受けた利益の割合に応じて割合的報酬を請求できる(新法634条)。逆に、Aは、民間連合約款の適用がある場合には、請負代金額に対し年10%の割合による遅延損害金の請求ができる。さらに、Aは解除した以降は残代金の支払義務を負わないし、別の施工業者に依頼したことによってかさんだ工事代金を損害賠償として請求できる可能性が高い。ただし、Aは、原則として、解除しても既施工部分の現状回復請求はできない。

 

2.Bは工期までに建物を完成させてAに引き渡したが、Aは床鳴りがするとしてBにその補修を請求したい。

令和2年4月から施行された新法では、売買契約において目的物の修補等による追完請求の規定が新設されて(新法559条)、これが請負契約にも準用されるので、修補請求は可能である。

AがBに修補の請求をしても、Bがこれに応じない場合には、代金の減額請求も可能である(新法563条、559条)。代金減額請求は、Bの帰責事由の有無にかかわらず認められる。Bに帰責事由がある場合には、さらに損害賠償請求できる可能性がある。

 

3.建物完成引渡後、建物の地盤が弱く、このままでは、建物が傾いて居住に影響が出ることが判明した。Aとしてはどうしたらいいか。

瑕疵によって契約をした目的を達成することができないときは、無催告で解除できる。瑕疵の程度が軽微でないときは、履行の追完の催告を経て解除ができ、瑕疵の程度が軽微なときは、無催告解除も催告解除もできず、修補請求や損害賠償請求のみができる。

 

4. AがBに対し瑕疵担保責任を追及する場合、引渡し又は仕事終了のときからいつまで請求できるか。

従前は、引渡し又は仕事終了の時から1年以内に請求しなければならなかった。

この点、改正法では、目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを知ったときから1 年以内に通知すればよいことになった(新法637条1 項)。請負人が、引渡し又は仕事終了の時に、目的物の種類又は品質に関して契約の内容に適合しないことを知り又は重大な過失により知らなかったときは、この期間制限は適用されない(新法637条2項)。

これと別に、引渡し又は仕事終了のときから10年、または権利の行使が可能であることを知ってから5年の経過により、請負人の担保責任は時効消滅する(新法166条1項)。ただし、この期間制限は契約によって短縮することができ、前記民間連合約款では、契約不適合責任は引渡しの日から2年間に限定している。

ただし、住宅の品質確保の促進等に関する法律(「品確保法」)は、住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任について、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものの瑕疵については、引渡しから10年又は瑕疵を知ったときから5年の消滅時効にかかるまで行使でき、この規定に反する特約で注文者に不利なものは無効としている。


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