弁護士ブログ/「事務」というものについて

皆さんは、「事務」という言葉を聞いてどう思うだろうか。統計によれば、事務職は日本の労働人口の実に2割を越え、全業種のトップということだ。

しかし、事務から連想するイメージは、「事務処理に追われた」「事務的な態度」「事務的な電話」とすこぶるよくない。「事務処理能力がある」というのも、心からの誉め言葉ではなく、能力が高いというよりも、小手先の要領の良さを指すことが多いようだ。

事務を悪者にすることに慣れている我々は、国や企業から現金を受け取るときに、なんやかやと書類を書かされる。「なぜ、こんな事務作業をやらされるのか」とイライラし、怒り、絶望する。

このように、我々は事務を嫌い、疎んじ、ときに恨んだりする反面、事務の魅力に取り憑かれ、「事務愛」のようなものがあるようだ。まさに、事務は、ambivalentな性格を持っている。

フランス革命の際、ギロチンに掛けるために作られた訴追状を事務職員が捨ててしまったために数百人の命が救われたという逸話がある。強い権力も、事務の前に平伏すこともあるのだ。

事務は、ときに「どうでもいい」と思われがちだが、事務処理の持つ必要性、機能そして底力のあることも否定できない。

 

こんな出だしで始まる「事務に踊る人々」(阿部公彦著)は、私の思いを言い当てる名著である。

 

 


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