弁護士ブログ/ー老いと法律ー その2 現実を直視する

我が国では、65歳以上の高齢者が2020年(令和2年)に28%を超え,2050年には32%,つまり国民の3人に1人が高齢者になると言われています。

そして,人間老いを迎えれば手足その他身体のどこかが不自由になるか,認知症等により判断能力が衰えたりなくなったりすることは避けられない事態です。

身体や判断能力に問題がない今だからこそ,将来を考え,しっかりした準備をする必要があります。

人は,生活のためあるいは信念に基づいて働く訳ですが,ある時を境に自分の力だけでは働くことや生活することができなくなることが大半です。誰の世話にもならずに一生を全うできる幸運な人はほんのひと握りに過ぎないのです。

老いが避けられない以上,老いて人の世話にならなければならなくなった時どう過ごしたいか,自分が亡くなった以降自分の財産はどのように処分したいか,できれば自分の意思で決めたいものです。

この世に生を受け,親に育ててもらい、やがて結婚し子どもができ巣立ち,自分が老いを迎え自分用が足りなくなった時どう生きていくかは,判断能力があり身体が健康なうちに決定すべきです。①判断能力が落ちてきて金銭や預貯金等の管理が難しくなっても安心して財産管理を任せられる第三者を健康なうちに選定する②身体が不自由になったり判断能力が乏しくなった際,自宅で介護サービスを受けるのか,施設に入るとして有料老人ホームに入るのか,特別養護老人ホームに入るのかを適切に助言・指導してくれる人を探すといったことです。金銭等管理能力の衰えが若干であれば,地域福祉権利擁護事業による生活支援員等の協力で対応することが可能です。しかし,財産管理能力の衰えが著しい場合には成年後見制度を用いることになります。

老人福祉施設の選択に関しても,自分が自分らしく人生を全うするにはどんな施設が相応しいか自分で決めたいものです。子どもの今後を考えてできるだけ費用のかからない施設を選ぶなどというのは愚の骨頂です。子供のためにできるだけ財産を遺すなどという昭和の古い考えは捨ててください。子どもは一人前に育てればそれ以上親の責任はありません(もっとも生来知的障害などを抱えた子は別ですが)。親が死ねば親の遺産が転がり込んでくるなどという甘い考えは徹底的に排除しましょう。相続の権利は親の面倒を見た者の勲章です。しかしながら、親の世話など全くしなかった相続人が大手を振って遺産をむしりにかかるのが現実です。これをさせないためには,きちんと遺言書を作っておかなければいけません。

自分の老後は自分の意思でコントロールする,子どもをはじめとする相続人にはできるだけ財産を残さず自分の代で使ってゆく,それが相続を争族にしないための礼儀です。

我が国が真の「成熟した」高齢化社会になるには,高齢者の自己決定権が尊重され,人間としての尊厳が保たれる社会である必要があると思います。子をはじめとする親族とは愛情で結ばれていればいいのであって,家を守るといった観念が殊更重視され,親が子の犠牲になるといった事態は避けなければなりません(たとえば、二世帯住宅を建てたが子から追い出され親がアパート暮らしを余儀なくされるといった)。

 


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