弁護士ブログ/高木光春

皆様 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 

めでたさも 中位なり おらが春

 

言わずもがな 小林一茶の新春の句です

 

コロナの先行きはまだまだ不透明 3年前までの新年を迎えたワクワク感はどこに行ってしまったのでしょう?めでたさは、中位もいってないかもしれません。とにかく、明日を信じて頑張りましょう。それでは、今回の話に入ります。

 

特別寄与料の話

〈事例〉私の夫の父Aが、令和3年12月8日に他界しました。Aには、長男のBと私の夫である二男のCがおり、相続人はB、Cの二人です。Aの遺産は5000万円ほどあり、遺言書はなかったのですが、生前Cに対して一定の特別受益があったことから、B、C間ではB=3000万円、C=2000万円で分配することになりました。

しかし、私は3年位前からほとんど寝たきりのAの世話をしてきました。ほぼ毎日朝早くからA宅に出向き、夕方まで炊事、洗濯、掃除をしてきました。そのために、Aは家政婦などを雇わずに過ごすことができました。私は、今回の相続に当たり、遺産の一部を取得することはできないのでしょうか。

〈解答〉2019年(令和元年)7月1 日以降の相続については、特別寄与料の適用が認められます。従って、あなたにも、特別寄与料が認められる可能性があります。要件としては、①無償で被相続人の療養看護等に努めてきたこと②被相続人の親族であること③被相続人の財産の維持、増加等に貢献したこと④特別の寄与、つまり親族としての扶助義務を超えた貢献をしたことです。あなたは親族としての義務の範囲を超えて無償で療養している訳ですし、家政婦代等も免れているわけですから、一定の特別寄与料を取得できる可能性があります。

では、どのくらいの金額を請求できるかですが、文献などを参考にしますと、1 日の家政婦代、これを8000円くらいとすると、親族としての減額分を考慮してその0.5、その3年分とすると、計算上は

8000円×0.5×365日×3年=438万円

となります(但し、これはあくまで目安ですから、協議で増減可能です)。

法定相続分を基準にすると、B、Cそれぞれから219万円ずつ支払いを受けることになりますが、あくまでB、Cの同意が必要です。もし、争いが生じれば家庭裁判所に協議に代わる処分を請求できます。

なお、この請求は、相続の開始を知った時から6か月あるいは相続開始の時から1年しか請求できませんので、注意してください(民法1050条)。

 

 


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