弁護士ブログ/ー性風俗と持続化給付金ー

6月30日、東京地裁で、国が持続化給付金、家賃支援給付金を性風俗業者に支払わないのは合理的理由があり、憲法に違反しないという判決があった。

ここに言う性風俗業者とは、ソープランド、ファッションヘルス、個室ビデオ店、ストリップ劇場、ラブホテル、モーテル、アダルトショップ、デリヘル、テレクラなど性風俗特殊営業を営む業者のことである。

私事になるが、コロナ禍で偶々、ラブホテルを経営する会社の仮代表を務める機会があり、持続化給付金がなぜ支給されないのか疑問に思っていたこともあり、若干の私見を述べる。

判決は、風営法が性風俗業について、許可制を採る飲食店やパチンコ店と異なり届け出制を採っている理由は、「大多数の国民が共有する性的道義観念(性行為や性交類似行為は極めて親密かつ特殊な関係性の中において非公然と行われるべきである)に反し、国が許可するという形で公的に認知するのは相当ではない」という考えに基づく区別で、「合理的な理由がある」というのである。

要するに、いかがわしい仕事をしている業者は国は許可しない、届出せよということだ。その上で、コロナ給付金は「限られた財源の国庫からの支出で、性風俗業の事業継続を下支えすることは相当でない」と判断し、他の公的支援との整合性や納税者である国民の理解を得られるかなども考慮し、性風俗業の除外は「国の裁量の範囲を超えない」と言う。

しかし、考えて欲しい。ラブホテルの経営者、従業員は利用者の利用料(宿泊代、休憩代)で利益を得、生計を立てているのである。一般のホテルや旅館と何ら実態は変わらない。今般のコロナ禍の影響も大きく、支援の必要性は高いのではないか。

ラブホやモーテル、レンタルルームも性風俗業であるとの一点で、持続化給付金、家賃支援給付金を支払わないのはどうも腑に落ちない。「専ら異性を同伴する客」(風営法)に利用させることがそんなにいかがわしいこととは思えない。国民から非難される職業ではない。判決のいう性的道義観念にも反しないのではないか。性を売り物にする「フーゾク」とは一線を画すべきではないか。

もっとも、この判決はデリヘル業者が訴えたケースであり、めくじらを立てるほどではないが・・・。

 


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