資金繰りに困ったときは,どうしたらいいですか?

会社が資金繰りにいきづまった場合には,まずは会社の現在の財務状況を正確に把握することが必要です。資金繰りにいきづまった原因,短期,長期での今後の資金繰りの見通しを立てる必要があります。

その上で,再建できそうである場合には再建型の手段,再建の見通しが立たない場合には破産などの清算型の手段を選択していくことになります。

再建型での方向性には,裁判所を通さない手法としては,金融機関との間でのリスケ,事業再生ADRの活用,中小企業再生支援協議会への持ち込み,経営革新等認定支援機関による支援等があります。裁判所を通しての手法としては,比較的中小規模の再建を想定した民事再生,大規模な株式会社の再建を想定した会社更生の制度があります。

資金繰りに困ったときは,早めに弁護士に相談し場合によっては顧問の税理士も同席の上で,会社を今後どうしていくのか具体的には再建が可能なのか,破産なのかを見極めていく必要があります。そして,再建が可能であると判断される場合には,その会社の実情に応じた最も適切な手段を取る必要があります。

高木光春法律事務所は、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づき、経営革新等支援業務を行う者に認定されております(いわゆる認定事業者)ので是非ご相談下さい。

息子への事業承継を考えているのですが,どのような点に注意すればよいですか?

 中小企業,特に親族もしくは極近い人間関係で経営をしているような会社にとって,事業承継は一つの大きな課題です。跡継ぎがいない場合にどうするのかという問題も生じます。

何もしないままに,先代の社長が亡くなり相続人が多数いるというような場合には経営基盤が不安定になりかねません。また,業績の良い企業であれば株式時価が高くなっており,相続人である次期社長は多額の相続税に悩まされることになりかねません。さらに跡継ぎがいないまま,先代が亡くなれば,会社を続けることはむずかしくなります。

これらのことが原因で,会社を続けることがむずかしくなり,ひいては雇用の喪失,地域経済の悪化につながりかねません。

そこで事業承継をスムーズに進めるために,法律は大きく3つの制度のを整備しています。

第1に,事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度というものがあります。相続税の納税猶予制度とは,現経営者の相続または遺贈により親族である後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税の納税が猶予されるという制度です。一方,贈与税の納税猶予制とは,現経営者からの贈与により,親族である後継者が取得した自社株式に対応する贈与税の納税が猶予されるという制度です。

手続きとしては,経済産業大臣の認定,税務署への納税申告が必要で,期限等の定めもあるので,要件を満たすかどうか検討したうえで計画的に申請する必要があります。

第2に,事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例の制度があります。現経営者(被相続人)の方が亡くなったときに備え,後継者の親族(相続人)に自社株式を集中して遺言等で承継させようとしても,他の相続人には遺留分という権利があります。この遺留分を侵害された相続人が遺留分に相当する株式などの譲渡を要求してきたような場合には自社株式が分散し,会社の経営基盤を揺るがすおそれがあります。経営承継円滑化法はこのような場合に備え,民法の特例を設けています。この特例により,現経営者(被相続人)の推定相続人全員の合意の上で現経営者から贈与等された自社株式について①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意),または②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)することができます。その結果,①除外合意によって後継者が贈与等によって取得した自社株式については,他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので相続に伴う自社株式の分散を防止することができます。②固定合意により,自社株式の価額が上昇しても遺留分の額に影響しないことから,後継者は相続時に想定外の遺留分の主張を受けるということを防止できます。そして、適用会社要件,適用経営者要件,適用後継者要件という3つの要件を満たした上で,a推定相続人全員の合意,経済産業大臣の確認,b家庭裁判所の許可が必要です。この制度についても,様々な要件,手続きの時間的制約もありますので,法律の専門家である弁護士に相談するのが良いと思います。

第3に,円滑な事業承継のために,低利融資制度と信用保証制度があります。まず低利融資制度は①会社または個人事業主が後継者不在などにより事業継続が困難となっている会社から,事業や株式の譲渡などにより事業を承継する場合,②会社が株主から自社株式や事業用資産を買い取る場合,③後継者である個人事業主が,事業用資産を買い取る場合,④経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社の代表者個人が,自社株式や事業用資産の買い取りや,相続税や贈与税などの納税などを行う場合に低利融資が受けられる場合があります。次に,経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社及び個人事業主が,事業承継に関する資金を金融機関から借り入れる場合には信用保証協会の通常保証枠とは別枠が用意されています。

以上のように,法は様々な事業承継の制度を用意しています。高木光春法律事務所は,個々の事務所の事情に応じ最適な事業承継の方法を提案し,計画的に事業承継を進めて行くことができます。

高木光春法律事務所は、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律に基づき、経営革新等支援業務を行う者に認定されております(いわゆる認定事業者)のでぜひご相談下さい。

民事再生と会社更生,破産の違いは何ですか?

 まず,3つの制度は裁判所を通した法的な手段であることで共通します。

この点で,裁判外で再建を図るリスケや中小企業再生支援機構による再生や,裁判外で会社を清算する任意整理とは違います。

そして,民事再生と会社更生は,法的に企業の再建(建て直し)を図る目的で行うもので,企業を清算する(終わらせる)目的で行う破産と違います。

まず,民事再生,会社更生の違いです。

民事再生は,すべての個人と法人を対象とします。現経営陣は,そのまま引き続いて会社を運営していくこともできますが,裁判所により監督委員が選任されることが多く,重要事項については監督委員の同意が必要となります。また,経営陣が経営を続けることが不適当な事情がある場合には,経営権が管財人に引き継がれる場合もあります。原則として抵当権などの担保権の行使を禁止することはできません。債権の調査手続等を経た後,原則として債務者が再生計画案を裁判所に提出します。この再生計画案が債権者集会などで認められ,裁判所がこれを認可すればその再生計画が確定し,再生計画案に沿って再生していくことになります。

これに対して,会社更生は,対象が株式会社に限定されていて,比較的大規模で債権者数も多い場合の再建が想定されています。民事再生と異なり,会社の経営権は管財人に引き継がれ,旧経営陣は会社の経営から離脱します。抵当権などの担保権は全て手続内に取り込まれ,手続外で行使することはできません。事業を継続しながら管財人のもとで更生計画が作成され,計画に従って更生していくことになります。

次に,破産ですが,会社が債務超過に陥り,債務を弁済することができない状態になった場合に,裁判所が選任する破産管財人によって債務者の財産を包括的に管理・換価して,総債権者に公平に分けることを目的として行われる会社の清算手続です。

3つの制度はいずれも,経営状態が悪化している場合にとられる手段ですが,会社の規模,債務の多寡,債権者の数,スポンサーの有無,債権者の意向などによってとりうる手段を検討していくことになります。また,法的な再建によらず,金融機関等の債権者との調整で再建を図る方法もありますので,まずは,弁護士に相談し,その会社に適切な手段を選択することが重要です。

高木光春法律事務所では,会社の個別的な状態を踏まえ検討の上適切な手段をスピーディーに取ることができます。

もめそうな株主総会を控えています。どうしたらいいですか?

 株主総会では,どんな点でもめそうなのか,まずは原因をつかんだ上で,綿密に準備していくことが重要です。

第1に,問題点の把握です。もめそうということは,会社に何らかの原因があるということです。この場合,会社の経営についてどんな点が問題になるのかを具体的につかむことが必要です。

第2に,株主総会では,様々な質問がなされることもあります。株主からの質問に対して,当日にスムーズにかつ的確な回答を行うためには,想定問答集の作成がきわめて有効です。

第1で述べたように,問題点を具体的につかめば,それに対して回答を準備でき,また対応を提案でき,回答者が冷静に回答することが可能です。もっとも,このようなことを実施するには,早期から想定問題集の作成に取りかかり,問題点をつかんだうえで,幅広くかつ具体的に想定質問を作成しそれに対する回答例を準備する必要があります。

第3に,当日までにリハーサルをすることが有効です。いくら想定問答と回答を準備しても実際の現場できちんと対応できなければなんにもなりません。また,当日は予想外・想定外の質問や,運営に際してのトラブルが生じることもあります。

総会当日に,予期しない事態に対応するには,リハーサルなどを行うことが有効です。

コンプライアンス経営はなぜ必要なのですか?

 コンプライアンス経営,日本語に訳すと遵法経営ですが,法令を遵守する以外にも,社会良識,社会ルール,社内規則,企業倫理などさまざまなルールを守って経営するということを意味します。

最近では,レストランの食材の産地偽装,反社会的勢力との接触,偽装請負,企業による脱税・申告漏れ・所得隠し,顧客の個人情報やプライバシーの流失等が,コンプライアンス違反として大きく取り上げられています。

コンプライアンス経営は,法令等にしたがって経営をするという当たり前のことですが,利益を追求するあまり,個々の社員の判断でコンプライアンス違反が行われてしまったり,意識の低さから重大なことにはならないだろうという甘い考えから,大丈夫だろうということで違反の経営をしているケースもあります。

コンプライアンスを無視した利益追求は,短期的には企業の業績に繋がるかもしれませんが,長期的には企業によい影響を与えません。何より今プライアンス違反の経営が明るみに出ると,企業の社会的評価は致命的に低下し,企業の存続が危ぶまれる事態に陥りかねません。また,監督官庁等による法的な制裁がなされるおそれもあります。

コンプライアンス経営は,企業の永続的な発展を図る上で不可欠と言えます。まずは,経営者がコンプライアンス経営の意識を持ち,全従業員に徹底させていく必要があります。

企業の営業・販売の面,金融・財務の面から法的問題がありそうなのか,どこを改善していけばいいのかは,弁護士にチェックを依頼することをおすすめします。

高木光春法律事務所では,営業・販売の面,金融・財務の面から法的問題のチェック,改善点のご提案,コンプライアンスプログラムや,行動指針,コンプライアンス規定の作成等を行います。

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