弁護士ブログ/―逆走事故の恐怖-

本年4月26日深夜、東北自動車道上り車線で逆走車を契機とする重大な死傷事故が発生した。

この、黒磯板室インターチェンジは、私のよく利用するICである。

報道によれば、加害者は下り車線からいったん料金所を出て間もなくまた料金所に入り、那須方面ではなく東京方面に進行し、突き当りの信号機の設置されたY字路を右折せずに左折したために結果として逆走する形になって本件事故に至ったということである。つまり、上り車線に右側から進入し、那須方面に向かう形になり、東京方面に向かう車両と正面衝突に至ってしまったのである。

黒磯板室ICの料金所を入ると、左側が下り線、つまり那須・福島方面、右側が上り線、つまり東京方面と二方向に分かれる。ここで、那須・福島方面を目指している車が間違って左ではなく右の進路に入ってしまうと実は後戻りできないのである。Uターンしようにもスペースがなくこれができないのである。この不可逆性は、思い込みを助長する。

実は、那須方面から来てこのICで下りようとする側道は、東京方面に向かおうとする側道と前記Y字路で交差している。

となると、料金所から右の進路に入り、夜間のため左側進入禁止標識を見落としてしまい、前方が青信号であれば、左折できると軽信し、躊躇なく逆走車線(?)へと入ってしまうケースも十分想定できるのである。

報道によると、本件加害者は、東京方面から下り車線を来て、下りるICが一つ手前であったことに気づき、もう一つ先のICに進もうとしてUターンして再び料金所に進入した可能性が高い。そこで、左の那須方面に進むべきところを何らかの理由で右の東京方面に進んでしまい、信号で左に曲がれば下り車線に入れると思い込んだのではないか。

ここからは、私論だが、上り車線の出口と進入路は平面で交差すべきではなく、立体構造にして、間違っても逆走車線に進入することが絶対にないようにすべきではないか。高速での逆走は死に直結するのだから。

マスコミでは、本件事故の教訓として「認知でない人でも逆走しないように気を付けましょう」的な論調が多いが、争点がぼやけている。道路の構造によって少なくとも過失の逆走は防止できるはずである。

事故後、このICで東京方面に向かおうとした際、新しく設置された左進入禁止の大看板がむなしく見えた。


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