交通事故を起こした場合、加害者は、行政上、刑事上、民事上の、3種の責任を負うことになります。これらは別個独立の責任であり、それぞれ同時並行で手続きが進行します。
行政上の責任
交通事故における行政上の責任とは、道路交通法に基づいて行われる行政処分のことで、反則金の支払い、免許の停止・取消などがあります。なお、反則金は「罰金」とは異なり、刑事上の処分ではなく、行政上の処分ですので、刑罰ではありません。そのため、反則金を科せられても前科はつきません。
民事責任
交通事故を起こした場合、それによって他人に生じさせた損害について賠償しなければなりません。
損害には、人身損害(人損)と物的損害(物損)があります。
さらに、人損は、財産的損害と精神的損害に分けられ、財産的損害は積極損害と消極損害に分けられます。
民事上の責任については、別に詳細に解説いたします。
刑事責任
交通事故によって人を死傷させてしまった場合、刑事特別法や道路交通法に基づいて加害者に刑罰が科されます。
交通事故に関しては、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に、次のような条項があります。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。