廃除が認められるのはどういう場合か?
単なる主観的、感情的な確執だけでは、廃除は認められません。審判になった場合、法律上の廃除原因(虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)があるかの判断は、被相続人の主観的な感情・意思に左右されることなく、客観的になされます。
実務上は、父母に対する暴行・浪費癖・遊興・財産の無断売却といったもののうち複数の行為をしている場合に、「著しい非行」を認める例が多いといえます。
単なる主観的、感情的な確執だけでは、廃除は認められません。審判になった場合、法律上の廃除原因(虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)があるかの判断は、被相続人の主観的な感情・意思に左右されることなく、客観的になされます。
実務上は、父母に対する暴行・浪費癖・遊興・財産の無断売却といったもののうち複数の行為をしている場合に、「著しい非行」を認める例が多いといえます。
相続人の廃除の手続きが考えられます。
相続人の廃除とは、被相続人からみて、相続させたくないと考えるような非行があり、且つ被相続人がその者に相続させることを欲しない場合に、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所が審判又は調停によって、相続権を剥奪する制度です。
遺産の分け方などについては、もともと遺言で指定することができますが、子、配偶者、直系尊属には遺留分(最低限の取り分)があり、単に他の者に遺贈しただけでは、遺留分減殺請求が可能になってしまいます。
そこで、遺留分も含めて相続権を剥奪するのが、廃除という制度です。したがって、廃除の対象となるのは、遺留分を有する子(及びその代襲者)、配偶者、直系尊属に限られ、被相続人の兄弟姉妹は含まれません。
公正証書遺言とは、2人以上の証人の立ち合いを得て、遺言者が公証人に遺言の趣旨を口授し、公証人がこれを筆記して遺言者及び証人に読み聞かせ、または、閲覧させて、遺言者及び証人が筆記の正確なことを承認した後、各自がこれに署名捺印し、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名捺印する方式をとる遺言をいいます。
要するに、公証人が、遺言者の考えを文章にまとめて作成する遺言です。
原案は、遺言をされる方が考えますから、実際には公証人役場に遺言を持ち寄り、公証人の名前で作成してもらう、というイメージです。
この方法による場合、公証人への手数料がかかる、証人2名の立ち会いが必要、などのデメリットがありますが、保管が確実で、破棄・隠匿・改ざんができない、方式の不備で無効になってしまうおそれがないという、自筆証書遺言には得がたいメリットがありますのでおすすめです。
公正証書遺言の場合には、万が一、被相続人が保管していたものがなくなってもその原本は公証役場に保管されていますから、被相続人の死亡後、謄本の交付を求めることができますので安心です。自筆証書遺言を法務局に保管する場合と同様、検認手続は必要ありません。
弁護士に委任すると……
相続人・相続財産の内容について調査した後、遺言者のご意向に沿って、遺言書の原案を作成いたします。なお、このとき、相続税の支払いや遺留分減殺請求などで、財産をもらう人(受遺者)が困ることのないよう、将来生じ得る問題についてご説明し、よりよい遺言についてご提案を差し上げます。
後日、お客さまには公証人役場に出向いていただくことになりますが、確実に1回で済むよう、弁護士が公証人との間で折衝を重ね、下準備を整えます。
公正証書遺言であっても、弁護士がお手伝いすることによって、自筆証書遺言とそれほど変わらない負担感で遺言の作成が可能になります。
自筆証書遺言の場合、封を切る前に、家庭裁判所に対して検認の申立てを行う必要がありますので、まずは、紛失しないように厳重に保管してください。
なお、検認の申立てをする前に開封してしまった場合でも遺言の効力には影響はありませんが、5万円の過料に処せられる可能性があります。
遺言が存在する場合、原則として遺言のとおり遺産を分配することになりますから、相続人やその他の利害関係人にとっては非常に重要な書類です。遺言を見つけた際は、無用なトラブルを避けるためにも検認申立てをする前に、その存在を他の相続人等に知らせた方がよいでしょう。
検認の申立てをすると、1、2か月後に、検認期日が指定されます。
期日では、相続人、受遺者や、その代理人の立ち合いのもと、遺言書が開封され、被相続人の筆跡で間違いがないか、などが裁判所の手で確認されます。
自筆証書遺言は、兼任によってはじめて有効になります。
なお、法務局に保管された自筆証書遺言については、検認の手続きは省略されます。
弁護士に委任すると……
検認の手続は形式的なものですので、弁護士の助力がなくとも申立て等はできます。
もっとも、申立書の作成や添付書類の収集など多少の事務作業がありますし、一般の方にはあまりなじみのない裁判所での手続きですから、ご不安があれば当事務所にご相談ください。
遺言書を作成した後は、どこに保管するかが重要な問題となります。
発見されやすい場所に保管したり、保管場所を推定相続人等に伝えておくと、偽造されたり破棄されるおそれもあります。他方で、誰にも発見されなかったら遺言書を遺す意味もなくなってしまいます。
一つの方法としては、遺言書の存在と保管場所を、遺言の内容に利害関係を持たない、且つ信頼のおける第三者に伝えておき、ご自身の亡き後、相続人や受遺者に伝えるよう、依頼しておくことが考えられます。
また、料金はかかりますが、法務局に保管してもらうこともできます。改ざんなどを確実に防ぐことができ、被相続人の死後の手続きも一部省略することができるため、有効な手段であると言えます。