離婚というと「慰謝料」がつきもの、と思っている人は多いようですが、慰謝料はそのようなケースの離婚でも請求できるものではありません。
離婚の慰謝料は、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する「損害賠償金」のことをいいます。つまり、相手の暴力や不貞といった不法行為によって結婚生活が破綻し、離婚せざる得なくなった場合、それによる精神的苦痛に対して相手が請求できます。
例えば離婚の理由が「性格が合わない」とか責任がどちらにあるともいえないといった場合には、慰謝料は請求できません。
慰謝料の金額や支払い方法に決まりはありません。金額は精神的苦痛の度合いや相手の資産、収入などに応じて、夫婦で話し合って決めます。離婚後にも請求できますが、慰謝料には時効があり、請求できるのは離婚成立後3年以内です。
慰謝料の金額に基準や目安はないので、離婚の原因や相手から受けた精神的苦痛はなど下記の要素を考慮して決定します。
- 相手の違法行為の内容と責任度合い
- 相手の違法行為で受けた精神的苦痛の程度
- 婚姻期間
- 子どもの有無
- 当事者の年齢
- 当事者の社会的な地位や経済状況(収入・資産)
協議離婚では相手への請求額は自由に決められますが、高額な慰謝料を請求しても相手にそれだけの経済力がなければ支払ってもらえません。どのくらいの額が妥当なのか、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
離婚調停では調停委員のアドバイスのもとに双方の合意で金額などを決めます。協議や調停によって離婚の話し合いがつかず裁判に進んだ場合は、裁判官の判断によって金額が決定されます。その場合はケースバイケースですが、一般的には、100万円~300万円が多いようです。
離婚の約90%を占める協議離婚については慰謝料がどれくらい支払われているかデータはありません。