1 本年3月25日の話になるが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対し、東京地方裁判所は解散命令を下した。
過去に宗教団体に対し解散命令が出たのは、オウム真理教事件と明覚寺事件の2件だ。この2件と本件が異なるのは、前2者は刑事事件を引き起こしているのに、本件は民事事件を起こしているのみである。本件では、民事事件を起こしているに過ぎないのに、「法令に違反し、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」{宗教団体の目的を著しく逸脱した行為}(宗教法人法)に当たるとしたわけである。前2者では命令を不服として高裁、最高裁まで争われており、本件についても確定までに1年前後かかることが予想されている。
2 オウム真理教事件では、サリン量産という殺人予備行為、明覚寺事件では霊視商法という詐欺行為が認定されたのに対し、本件では犯罪行為は認定されていない。犯罪行為をしていない宗教団体に対し、解散命令を下すのは、憲法の定めた信教の自由に反するのではないかという点が大きな問題である。
3 カトリック信者をまとめる日本カトリック司法協議会、創価学会、幸福の科学のような大規模な宗教団体は、布教活動の中で被勧誘者等との間で紛争が起きた場合、前記宗教法人法の適用により解散命令を受ける不安感を拭えないと言える。
4 宗教行為であるから人権侵害行為をしても許されるということはあり得ない。しかし、何が違法か、どこまでが許されるかは微妙な問題であり、不法な宗教活動と信教の自由を調和させるためには、どのような活動をすれば法に触れ、どの程度であれば合法なのか、いわゆる透明性の確保が必要である。
また、解散命令が確定した場合、清算人の調査権限を強化するなどして被害の回復に迅速に対応する法整備が急務である。