法律コラム/質に入れるとは 担保権について(1)

「質に入れる」「親兄弟でも保証人にはなるな」など、担保に関する言い回しはいろいろあります。身近なものですが、体系立てて把握している方はあまりいないのではないでしょうか。

これからしばらく私のブログで、担保権についてお話をしたいと思います。

1 担保とは

そもそも担保とは何でしょうか。

例えば、あなたが誰か知り合いに50万円を貸したとします。しっかりと借用書を作り、念のため実印を押してもらって印鑑証明も受け取りました。お金の受け渡しは銀行送金で行い、送金記録も残っています。

ここまですれば、50万円は帰ってくるでしょうか。実はそう容易ではありません。

知人からまとまった金額の借金をする場合、既に消費者金融などから目一杯借り入れてしまっていることは珍しくありません。そうすると、判決を取ってなにか財産を差し押さえようとしても、めぼしい財産が何もなく、空振りに終わってしまうことがあります。

また、さらに財産状況が悪化すれば、破産してしまうかもしれません。裁判所によって免責が認められてしまい、それ以上取り立てを行うことはできなくなることもあります。

お金を貸した証拠をしっかりと残し、裁判で勝訴しても、相手の状況によってはかならずしも貸したお金が帰ってくるわけではないのです。

担保とは、このような場合に備えて、金銭の支払いを確保する手段ということができます。

 

2 人的担保と物的担保

法制度上の担保は、大きく分けて物に対する担保である物的担保と、人に対する担保である人的担保に分けることができます。物的担保を、物に対する権利という点に着目して「担保物権」という呼び方をすることもあります。

担保物権にはいろいろと種類がありますが、典型的には特定の物、たとえば土地や自動車など、価値のあるものに担保を設定し、そこから優先的に支払いを得ることになります。つまり、他に財産がなかったとしても、他に何人の債権者がいても、担保を設定した物を売った代金は自分だけが受けとることができるようになるわけです。特定の物にしか担保の効果が及ばない代わりに、担保が設定された物についてはとても強い権利が認められています。一方で、担保が設定されたものが壊れたり、値崩れを起こしてしまえば、十分な支払いをえることはできません。

一方、人的担保は、だれか債務者以外の人が、債務者に代わってお金を払う約束を言います。いわゆる「保証人」です。保証人に財産がある限り請求できるので、対象となる財産の範囲は広いですが、他の債権者とは対等の立場で、優先権はありません。一方で、お金に困っている本人ではなく、別の人の財産を対象としますから、経済的に余裕がある人を保証人にすれば、お金が帰ってくる見込みは高くなります。特に、主たる債権者が財産や収入に乏しい若年者である場合は、家族に保証人になってもらう需要は高いものと言えます。

 

3 担保にはいろいろと種類がありますが、まず、物的担保、特に民法に記載がある典型担保物権について紹介したいと思います。ぜひ次回もご覧ください。

 


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