名義書換料(承諾料)について聞きたい

土地を借りて家を構えていますが、ずいぶん老朽化してきたので、更地にして新たな家を建て、借地権付きでほかの人に売却することにしました。地主に相談したところ、「名義書換料」と引き換えに建替えと借地権譲渡を承諾するといわれました。名義書換料とはなんですか。名義書換料を払わなければ絶対に増改築はできないのでしょうか。また、名義書換料の相場はどのくらいですか。

通常、借地契約では、借地権の譲渡や建物の新築・増改築をする際には、地主である賃貸人の承諾が必要とされています。名義書換料とは、その承諾の代価として支払うものをいい、一般的な慣習といえます。
なお、賃貸人が承諾しない場合、裁判所に対し、「承諾に代わる許可」を求めることができます。

なぜ名義書換料の授受がなされるのか?

法律上、賃貸借契約においては、無断で賃借権の譲渡や転貸は禁止され、別途契約で、無断で建物の増改築をすることは禁止されているのが一般的です。これは、賃貸借契約は通常長期にわたることが想定されているため、賃貸人側から見ると、建物の増改築により契約終了が遅くなり、自身で土地を活用できなくなることを意味するからです。また、信頼関係を有しない第三者に借地権が譲渡されたり、増改築がなされたりすると、借地管理に支障を来す恐れも否定できません。
但し、賃貸人側にとっては、増改築や賃借権譲渡がなされても、それに見合うメリットがあれば、借地権の譲渡等を認めても問題ありません。名義書換料は、このような借地権の性質から交付されるものと言えます。

名義書換料の相場とは?

名義書換料の「相場」は、地域や諸般の事情によって変わりますが、概ね以下のように言われています。最終的には、当事者間の話し合いによって決められます。

種類 内容 相場
賃貸借譲渡、
転貸承諾料
賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸する際に授受されるもの。 借地権価格の10%程度。
借地権割合は、路線価図に記載がある。
建替え、
増改築承諾料
借地上の建物の建替え・増改築時に授受されるもの。 更地価格の3%程度。具体的な料率は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、決められる。
借地権の
条件変更承諾料
例えば木造建物(非堅固建物)から鉄筋コンクリートの建物(堅固建物)に変更する場合など、借地条件を変更する場合に授受されるもの。 更地価格の10%程度。

賃貸人が借地権の売買を承諾してくれない場合の対処方法

借地県の譲渡等を賃貸人が承諾してくれない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「代諾許可」(借地権設定者の承諾に代わる許可)を求めることができます。裁判所は、賃借人からの申立てを受け、賃貸人と賃借人の双方から事情をきき、賃借人の申立が相当と認めるときは、借地権譲渡等の許可を与えます。
このとき、裁判所は、賃貸人側にも配慮し、承諾料に相当する金銭の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可します。

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