アフターコロナの法律事務所のあり方について

昨年末に中国武漢で始まったとされる新型コロナウィルスの流行は世界中を席巻し、ここ2か月ほどの間にわが国のあらゆる社会活動に大きな影響を及ぼし、様々な分野で活動の停滞や停止を余儀なくされています。社会生活を恐怖に陥れる今回のコロナ危機は、戦争や天災と並ぶ人類への脅威即ち「不条理」(カミユ「ペスト」より)であり、我々が生まれてから経験したことのない事態で、最も厄介な特徴は、人と人との接触を通して感染を広げるということです。
そこで、このコロナ問題が収束した後の当事務所のあり方について、QA の形式で若干の私見を述べたいと思います。

Q1 法律問題は、不要不急の問題ではありませんか?

A 否です。法律問題の予防、解決、紛争処理等を目的とする法律業務の担い手である弁護士は市民・国民が社会生活を円滑に営む上で必要不可欠なツールであり、社会生活上のインフラです。対応が遅れれば、人の一生を左右するような取り返しのつかない事態にもなりかねません。コロナに起因してあるいはコロナとは無関係の問題についてすぐに弁護士に相談する必要が出てくる場合があることは否定できません。

Q2 弁護士との相談の仕方や打合せの仕方について今までと違いはありますか。

A アフターコロナ(ニューノーマル)のフェーズでは、コロナ感染予防の観点から特に法律相談や打合せの際には、飛沫感染予防用の透明アクリルパネル(衝立)や透明カーテンを設置したり窓やドアの開閉をひんぱんに行い、消毒液を置くなど事務所として最低限の整えておく必要があると思います。ちなみに当事務所でも透明アクリルパネルを設置しています。
さらに、比較的簡単に済む相談や打合せについては、電話、メール、時にはスカイプなどを活用してできるだけ対面で会う機会を減らす工夫をする必要があるでしょう。
もっとも、電話はともかく、メールやスカイプは高齢者をはじめ一部の方には操作が困難ということもあるでしょうから、この場合には遠慮なく事務所にお出向きください。

Q3 弁護士と直接対面する機会が減ることで信頼関係の構築はできにくくなるのではありませんか?

A 確かに、これまではface to face 、つまり、面と向かって話して初めて相手の性格、人格がわかり、微妙なニュアンスも伝わるのだから、信頼関係を築くためには、対面の対話が有効・不可欠だという考え方が支配的だったように思います。しかし、今回のコロナ危機により、対面での会話の危険性は十分に認識された訳ですから、これに代わる意思疎通の仕方を工夫しなければなりません。微妙なニュアンスとか顔色とかよりも偏見を持たずに冷静に必要事項について確認できるという意味で、メールやスカイプは有益であり、何よりも場所的な隔たりを克服できる(50キロ離れているところとも交信ができる)というメリットがあります。電話は音声だけですが、メールを使うことによって正確に情報を伝え、さらにスカイプを使うことによって資料を示しつつ打合せができます。かく言う私も機器操作に疎いアナログ人間ですが、この機会にOA機器の有効活用に慣れたいと思っています。もちろん、必要な場合には事務所での対面の打合せ等を活用するつもりです。
以上のように、OA機器の活用によっても、信頼関係の構築は十分に可能と思います。

Q4 コロナ危機が終息すれば、何もOA 機器など用いずに今までどおり弁護士と対面で相談や打合せをすればいいのではありませんか?

A 今までどおりの運用は困難であり、OA 機器の活用ないしIT 化は世界的な流れであり、また、今後の感染症対策の意味でも積極的な活用が期待されるでしょう。裁判所も今回のコロナ騒動の前から弁護士が直接裁判所に出向くことなく事務所にいて裁判官と対話するWeb 会議を試行しており、このIT 化の流れはますます加速するものと思います。依頼者の皆様はもちろんのこと我々弁護士としても、時間・場所の壁を乗り越え、充実した相談や打合せができるのであれば、これに勝るものはありません。