知的財産権の諸問題

知的財産権は、「人の精神的活動の結果を内容とする財産権」であり、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などがあります。
「どこまで模倣が許されるのか」がここでの中心的な問題です。
また、培った「ノウハウ」をどのように守るかも重要です。

第1 著作権

  1. 相談者は、栃木県内の有名な陶芸家である。ある日、知人から相談者の作品がヤフーオークションに出品されていると知らされた。
    写真を見ると、30年くらい前の相談者の作品が5分の1程度の安値で売られていた。
  2. こんな安値で売られると、相談者の作品全体の信用が落ちてしまう。この写真の画像を消し、オークションをやめさせる手立てはないか。なお、相談者の作品を出展者の作品と偽って出品している形跡はない。

確かに当初作品の著作権は相談者にあったが、その作品が販売された時点で著作権は消尽する(著作権法26条2項)。贋作なら格別、著作権を主張してオークションの画像の抹消を請求することはできない。

 

第2 商標法違反を指摘された場合の対処法

有名ブランドの靴を販売する会社から相談者の経営する靴会社に対し、靴のデザインが類似しているから、販売を中止し、これまでの売り上げ分を賠償せよという警告書が届いた。
どう対応すればよいか。

類似かどうかの判断基準は、①外観②称呼(読み方)③観念(意味合い)である。これを検討し、類似である可能性が高い場合にはブランド会社に誠意を持った対応をするのが望ましい。また、商標法違反にとどまらず不正競争防止法違反の主張がなされることがあるので専門家に相談して対応するのが賢明。

 

第3 秘密保持契約の締結

相談者は、ある自動車メーカーの下請けとして自動車部品を作っている。この部品はかなりの高度の技術に基づき作っているので製造方法を他社に教えたくない。
今般、元請会社から製造委託契約書が送られてきた。内容を見ると、相談者の部品を用いて製造した二次部品の特許権が当然に元請に帰属することや相談者の部品製造の設計図書を当然元請が取得し得るといった取り決めが書かれている。
相談者としては、何としても自社のノウハウを守りたい。秘密を流失させないためにどうしたらよいか。

元請が下請の技術を盗み取ろうとする働きかけはしばしば見られる。この場合、力関係で一方的に元請に有利な契約書が作られてしまうことがある。相談者としては、下請法や民法、商法に詳しい弁護士に相談して不公平な契約をしないよう心がけるとよい。

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