保釈はいつからできますか

保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、勾留中の被告人を現実的な拘束状態から解放する制度のことです。つまり、保釈金を払えば、勾留されることなく一般的な生活を送ることが出来ます。しかし、もちろんの事ではありますが公判への出頭はしなければなりません。もし、正当な理由なく出頭しない場合にはこの保釈保証金の一部又は全部が没取されることとなります。保釈は以下のケースで請求されます。

  • 被告人・弁護人等の請求による場合(請求保釈)
  • 職権で行う場合(職権保釈)
  • 保釈の請求があったときに必ずこれを許さなければならない場合(必要的保釈又は権利保釈)
  • 裁判所の裁量で保釈を許す場合(裁量保釈)
  • 拘禁が不当に長くなったため保釈を許さなければならない場合(義務的保釈)

保釈請求が請求権者(基本的には被告人本人、その弁護人、その法定代理人(親権者)、保佐人、配偶者、直系の親族(両親、子供)もしくは兄弟姉妹)によって行われると次に裁判官面接が行われます。ここで重要になる話し合いは公判で争う意思があるのかと保釈保証金の額です。まず、検察官の提出する証拠書類に同意せず、公判にて争う意思がある被告に対しては保釈決定の許可はおりないと考えていいでしょう。ここをクリアした上で、この裁判官面接にて保釈保証金の額の決定が行われます。保釈保証金には正当な理由なく出頭しない際に一部又は全部が没取されるという心理的威嚇の効果を期待している側面があるため、被告にとって経済的負担として相当な額が決められます。もちろん資産を多く持っている人間には、ニュースやドラマでよく見るような億単位の保釈保証金が設定されますが、通常は、150万円~500万円で落ち着くことが多いようです。その後、検察官からの意見が裁判所に出されます。これは大きく分けて3つの意見が裁判所に提出されます。その3つとは、「保釈を認めます」「保釈を認めません」「裁判所の判断にお任せします」の3つになります。「保釈を認めます」という意見は実務上出ることが非常に少ないようです。なので「裁判所の判断にお任せします」という意見が出れば高確率で保釈が認められると考えていいでしょう。これらを全てクリアするとようやく保釈決定の許可が出ます。しかし、決定後すぐに勾留から解き放たれるわけではなく、保釈は保釈保証金の納付後に執行されます。(刑事訴訟法第94条第1項)保釈保証金の納付に関しては、基本保釈請求した者が払うのが原則ですが、裁判所が認めれば保釈請求者以外の者が納付することも可能です。また、納付するのは純粋な現金だけでなく有価証券又は保証書で保証金の代わりにすることも出来ます。保証書とは保証金の納付に代えて、被告人以外の者が差し出す書面のことで、内容には保証金額及びいつでもその保証金を納める旨が記載されています。保釈保証金は何事もなければ、全額返金されますが、没収された部分については返ってきません。

保釈には、色々な条件が付けられることもあります。代表的なものは、住居の制限です。簡単に言えば、住む場所を限定させられるということになります。他には、被害者に近寄らないなどの条件が付されるときもあります。
保釈中に被告人が正当な理由なく不出頭したり、逃亡、罪証隠滅等の事由が生じたときには保釈は取り消されます。保釈を取り消された場合、被告は速やかに収監されることになります。


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