会社を経営していますが財産分与は半分ですか

例えば、個人事業主のような会社の場合、従業員が社長とパートのみという会社が多く、家族で経営し会社名義で自動車や備品を買ったりしているところも多々あります。そういった場合、裁判所の見解では「法人はあくまでも個人とは法的に別個の存在」であり、財産分与とはあくまでも夫婦個人の財産を分けるものであるから、原則として法人の財産は財産分与の対象にはならないとしています。
しかし言い切ってしまうと、そのような会社の場合、何でも法人名義で買っておけば離婚しても分けることなく所持できるという不平等が生じてしまいます。そこでこのような不平等が起こらないように、裁判所は妻と夫だけのような会社であるような場合はその法人の財産も財産分与の対象として夫婦で平等に分けるという考え方になっています。

[東京地方裁判所平成13年(タ)第304号、平成13年(タ)第668号離婚請求事件、離婚請求等反訴事件平成15年9月26日(抜粋)]
(2)そこで、問題は、被告が上記共有財産の形成や上記特有財産の維持に寄与したか、寄与したとして、その程度が問題となる。
ア 前記認定のとおり、被告は、A1社、I1社を初めとする多くの会社の代表者であって、社団法人、財団法人等の多くの理事等を占める、成功した経営者、財界人である原告の、公私に渡る交際を昭和58年頃から平成9年頃までの約15年に亘り妻として支え、また、精神的に原告を支えたことからすると、間接的には、共有財産の形成や特有財産の維持に寄与したことは否定できない。
なお、この点に関し、原告は、被告が原告の交際を助けた点については、直接利益に繋がるものではなく、経営者、財界人としての社会的責務を果たしたボランティア的なものに過ぎず、原告の財産形成に対しての寄与はまったくなく、むしろ経済的には損失である旨主張する。
しかし、その社会的責務は、成功者である経営者、財界人としての原告の地位に当然伴うものであること、それを果たさないことは、成功者である経営者、財界人としての原告の地位を脆弱とする危険性も否定できないこと、原告が、被告が社会的責務を果たすことを要請し、具体的な指示もしていることからすると、その社会的責務を共に果たした被告は、間接的には、原告の財産維持、形成に寄与していると解される。
イ しかし、他方、前記認定のとおり共有財産の原資はほとんどが原告の特有財産であったこと、その運用、管理に携わったのも原告であること、被告が、具体的に、共有財産の取得に寄与したり、A1社の経営に直接的、具体的に寄与し、特有財産の維持に協力した場面を認めるに足りる証拠はないことからすると、被告が原告の共有財産の形成や特有財産の維持に寄与した割合は必ずしも高いと言い難い。
ウ そうすると、原被告の婚姻が破綻したのは、主として原告の責任によるものであること、被告の経歴からして、職業に携わることは期待できず、今後の扶養的な要素も加味すべきことを考慮にいれると、財産分与額は、共有物財産の価格合計約220億円の5%である10億円を相当と認める。