従業員を雇用する際の問題点は何ですか?

会社が従業員を採用し雇用するということは、民法第623条により契約であると明文規定されています。つまり、契約である以上様々な法規制に従わなければなりません。以下のような法律による規制に注意しましょう。

雇用対策法

国による雇用政策全般に関する基本方針を定めた法律です。社員を採用する際に重要となってくるのは、雇用対策法第7条の「募集採用時の年齢制限禁止の努力義務」になります。これは会社が求人を行う際に原則として年齢制限を設けてはいけない旨を規定しています。ただし、努力義務となっているので会社側に採用にあたって年齢制限を設けることに合理的な理由がある場合はこの限りではありません。

男女雇用機会均等法

雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について定めた法律です。男女における差別のない雇用機会及び待遇の確保を目的とすると共に、妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的としています。具体的に言えば、

  • 事業主(会社)の義務・募集・採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。
  • 配置・昇進・教育訓練・福利厚生・定年・解雇について、女性であることを理由に男性と差別的取り扱いをしてはならない。
  • 女性労働者の婚姻・妊娠・出産・労働基準法上の産前産後休業を理由とする解雇の禁止。

等が挙げられます。

職業安定法

各人にその能力に適した職業につく機会を与えることによって職業の安定を図ることを目的とする法律です。この法律は、労働者の募集・職業紹介・労働者供給の基本的な枠組みについて定めた法律ですので、よく問題になるのが求人広告の虚偽表示・あいまい表示になります。具体的な労働条件の明示については後述します。

個人情報保護法

国及び地方公共団体の個人情報取り扱いに関する責務や施策、個人情報取扱事業者の義務等について規定した法律です。今日、採用にあたって履歴書や職務経歴書といった個人情報がわかってしまう資料を面接などで提出させるケースは多いでしょう。この個人情報について、採用決定を行うかどうかの範囲内で事業主は収集・保管・使用をしなければなりません。採用の枠組みを超えた個人情報の使用は違反となるので注意しましょう。

労働条件の明示

労働基準法第15条により、事業主は労働条件を書面にて明示規定することが義務付けられています。明示事項は下記の通りです。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  3. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
  4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
  8. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  9. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  10. 安全及び衛生に関する事項
  11. 職業訓練に関する事項
  12. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  13. 表彰及び制裁に関する事項
  14. 休職に関する事項

(労働基準法施行規則第5条より)

以上が正社員・非正社員共に明示しなければならない事項となります。(パートタイマーについては⑩・⑪・⑭については努力義務となっています。) またパートタイマー等の短時間労働者に関しては更に以下の項目が必要となります。

  1. 昇給の有無
  2. 退職手当の有無
  3. 賞与の有無

最近では、能力主義的人事管理が強調されることが多くなっている為、目標管理制や年俸制を導入する企業も増えてきています。よって昇格・昇給だけではなく降等・降格に関しても明示するのが勧められています。