少年事件について

処分にはどのような種類がありますか

少年事件における審判決定には以下のようなものがあります。

不処分

犯罪を行ったとするに、充分な証拠がない場合や審判・調査においてり少年に再非行のおそれがないと認められた場合、少年を処分しないこととすること。

保護観察

矯正施設に収容することなく、社会内で適当な指導者の補導援護と指導監督の下に、自発的な改善更正、社会復帰を促進するソーシャル・ケースワークの性質をもった措置のこと。保護観察は、主として地域社会の篤志家から選ばれた保護司によって行われていますが、専門職員による保護観察と民間篤志家による保護観察の長短が近年取り立たされています。

少年院送致

再犯する可能性や一般社会での更正が難しい場合に少年院に収容する措置のこと。少年の年齢・非行深度・心身の状況により、初等少年院・中等少年院・特別少年院・医療少年院の4箇所に振り分けられます。

検察官送致

検察官から送致された少年を裁判所が調査・審判した結果刑事処分相当とする場合に事件を検察官に送致すること。逆送とも呼ばれることがある。平成12年の少年法の改正により16歳未満の少年も対象となり、犯行時16歳以上で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪については、原則として検察官送致が義務付けられています。

また、審判不開始・不処分の際行われる訓戒・環境調整などの事実上の保護的措置も行われており、これらの措置を正規の保護処分に取り入れ、保護処分の多元化を図るのが相当であるという提案も出ています。

付添人って弁護人とは違うのですか

付添人とは、家庭裁判所送致後に家庭裁判所とは独立した立場で、少年のパートナーとして、少年及び保護者に法的その他支援を行います。少年は、保護者の意思に反しても独立して付添人を選任することができ、付添人は弁護士であることを必要としませんが、弁護士以外の者が付添人になる場合には、家庭裁判所の許可が必要になります。
付添人の権限や役割については、以下のようなものがあります。

少年との面会

通常、施設に収容され身体を拘束された少年への面会は必ず職員が立ち会いますが、付添人は少年と立会いなし・制限時間なしで面会をすることが可能になっています。

記録の閲覧・謄写

少年本人や保護者には、被害者その他関係者のプライバシー保護の観点上、家庭裁判所の許可がない限り法律記録や社会記録を閲覧する権利はありません。特に社会記録は、原則として少年本人や保護者の閲覧が許可されることはありません。しかし、弁護士である付添人にはこれらを閲覧する権限があり、家庭裁判所の許可があれば謄写もできます。

不必要な身体拘束からの解放

付添人は、少年を少年鑑別所に収容して心身鑑別をする必要がない場合や、身体の拘束が少年に著しい不利益を与える場合には、必要な資料を揃え、具体的事情を指摘して、家庭裁判所に観護措置決定しないように求めたり、観護措置の取り消しを求めたりすることができます。

被害者対応・環境調整

付添人は、少年の更生や健全な成長発達のために、親子関係の調整や学校・職場等少年を取り巻く環境の調整や被害者に対する謝罪や示談交渉を行うことができます。

処分に関する意見、証拠の収集・提出

付添人は、少年の最善の利益を考え、少年の処分に対し、意見を述べ、証拠を提出することができます。証人尋問その他の証拠調べを申し出ることもできます。

審判への出席

付添人は審判に出席することができ、審判の場でも、少年が十分に自己の弁解や気持ちを話すことができるよう支援することができます。審判中に裁判長に告げて少年に発問することや、裁判長の許可を得て意見を述べることもできます。

適正手続の保障

少年事件の手続は、基本的に刑事罰を与えることではなく、社会復帰や更正を目的としています。よって、非行事実の認定や処遇選択等あらゆる場面において公正な手続が保障されていなければなりません。精神的知識的に未熟な少年の代わりに適正な手続のチェックをすることは付添人の重要な役割であるといえます。

少年の手続への参加のサポート

少年は精神的にまだ未熟な部分があり、言い分や気持ちを的確に表現できなかったり、嫌疑の内容を十分に把握していないことがあります。そのままでは、自分の審判に主体的に参加することができず、自らの問題点も理解できません。その為、付添人は、少年の最善の利益を図る為に、少年に寄り添って少年が審判対象となっている非行事実の内容・行われている手続・自分の問題点等を理解できるように支援し、少年が主体的に手続に参加できる手助けをしなければなりません。

少年鑑別所はどんなところですか

少年鑑別所とは、少年審判を受ける必要上家庭裁判所から観護措置として送致された少年の身柄を収容するとともに、家庭裁判所の行う少年に対する調査・審判並びに保護処分及び懲役又は禁錮の言い渡しを受けた16歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学・心理学・教育学・社会学その他専門的知識に基づき、少年の資質の鑑別を行う施設のことです。
噛み砕いて言ってしまえば、少年の人格やこの子にはこういうことが向いているといったことを精神科医や心理学者が様々な手法を用いて調べていく場所になります。もちろん身柄を拘束されていることは留置所・拘置所・刑務所等と何も変わりませんが、面会ができないわけでもありませんし手紙のやり取りだってすることができます。少年鑑別所は単なる拘禁施設としての役割でなく、資質鑑別を通じて、少年の科学的処遇の実現の為に重要な役割を果たしていると言ってよいでしょう。なお、この少年鑑別所は平成26年12月現在全国に52庁設置されています。

家裁送致って何ですか

成年が犯した事件であっても、少年事件であっても警察による逮捕から検察による勾留に至るまでの流れはさほど変わりません。(検察官による観護措置請求が行われる場合はこの限りではありません。観護措置に関しては後述します。)しかしその後、少年事件に関しては家裁送致という手続が取られます。これは、捜査書類と少年の身柄を家庭裁判所に預けるものです。(在宅事件の場合は、捜査書類のみが送られることになります。)家裁送致を受けた場合は、24時間以内に家庭裁判所の裁判官が面談を行い、引き続き調査をする必要があると判断すれば、少年の身柄を保全する為に少年鑑別所に収容する観護措置という手続が行われます。次に、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。調査官は法律のスペシャリストというよりは社会学・心理学等のスペシャリストであり、少年の生活環境や交友関係、家庭内での内情等を調べ裁判官に報告します。

子どもが逮捕されました!これからどうなりますか

子どもが逮捕された際の事件処理は基本的には、勾留中は成人の被疑者と同様の捜査が行われますが、その後は家庭裁判所に送致され、調査を経て、少年審判を受けることになります。少年審判では、非行事実の有無やその内容、要保護性の程度により、不処分・保護観察・少年院送致等の保護処分もしくは検察官送致の決定処分が下されることになります。

少年審判の対象となる少年の分類

犯罪少年

14歳以上20歳未満で刑罰法令に抵触する行為をした少年

触法少年

14歳未満で刑罰法令に抵触する行為をした少年

ぐ犯少年

特定の事由があり、さらにその性格または環境に照らし、将来刑罰法規に触れる行為をするおそれがある少年。特定の事由とは以下のようなものを指します。

  • 保護者の正当な監護に服しない
  • 正当な理由がなく家庭に寄り付かない
  • 犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りしている
  • 自己又は他人の特性を害する行為をする性癖がある

それぞれで、事件処理の体系が異なる場面があります。こちらについては後述します。

逮捕から捜査に至るまで

犯罪少年の場合、逮捕・勾留の手続や期間については、成人と同様に刑事訴訟法及び刑事訴訟規則が適用されます。よって刑事訴訟法第203条及び205条により、警察は逮捕した被疑者を逮捕から48時間以内に検察官に送致しなければならず、その後24時間以内に勾留の裁判を受けて勾留されない限り釈放しなければなりません。勾留が決定されれば、延長請求された場合最大20日間身体拘束されます。
触法少年の場合は刑法第41条により刑事責任能力がないため、逮捕・勾留はできません。しかし一時保護されることがあります。警察は事件を調査した上で、児童相談所に通告ないし送致をします。児童相談所所長は、通告ないし送致を受けた少年について児童福祉法上の措置を行うか家庭裁判所に送致します。12歳以上の少年の場合には審判の結果、少年院に送致されることもあります。
ぐ犯少年も、まだ罪を犯すに至っていないので、逮捕・勾留はできません。

家庭裁判所への送致

司法警察員は、少年の被疑事件について捜査をした結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑あるものと思われるときは家庭裁判所に送致しなければなりません。また検察官は、少年の被疑事件について捜査をした結果、犯罪の嫌疑ありと判断した際に家庭裁判所に送致をしなければなりません。このように、捜査機関が捜査を行った上で犯罪を行った事実の疑いがある場合は、少年事件の場合全てが家庭裁判所へ送致されることになります。これを全件送致主義と呼びます。
送致の方法は、逮捕・勾留されている場合は通常、捜査記録と共に身柄つきで家庭裁判所に送致されます。逮捕・勾留がされずに在宅で捜査が行われた場合には、書類送致の方法で家庭裁判所へ送致がなされます。捜査をした少年事件について、その事件が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機・少年の性格・行状・家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められて、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件については簡易送致がなされることがあります。

家庭裁判所送致後の手続

観護措置

警察官及び検察官は、事件を家庭裁判所に送致する際に、少年鑑別所における心身鑑別を要するかどうかの意見を付します。家庭裁判所は身柄付で少年が送致された場合に、その日のうちに観護措置審問を行い、観護措置に付すかどうかを決定します。在宅のまま家庭裁判所に送致された場合であっても、家庭裁判所が必要と認めたときは、観護措置決定を行い、少年鑑別所に送致することもあります。観護措置とは、家庭裁判所に送致された少年の身体を保全することで、審判までの間に、少年の逃亡による調査・審判が出来なくなることの防止の為の制度です。観護措置の要件として、少年法では「審判を行う必要があるとき」としか定めておりません。(少年法第17条第1項)しかし解釈上は、非行事実の存在を疑うに相当な理由がある場合や身体を保全する必要性などが要件として挙げられます。観護措置の決定は家庭裁判所への送致後、24時間以内になされなければなりません。

少年鑑別所

少年鑑別所とは、観護措置がとられた少年を収容し、行動観察や資質鑑別を行う国の施設です。法務省の矯正局が管轄しています。少年鑑別所の職員は、少年院と同じ法務教官です。少年鑑別所では、収容中の行動観察や身体測定・知能テスト・心理テスト等様々な手法を用いて少年の特性に合わせた方法で鑑別を行います。少年鑑別所は、行動観察や資質鑑別の結果をまとめ、保護処分やその後の処遇に関する意見を記載した鑑別結果通知書を審判前に家庭裁判所に提出します。

審判不開始決定

実際には少ないケースですが、調査の結果、審判を開始する必要がない場合には、審判開始決定を取り消して、審判不開始の決定をすることが出来ます。

家庭裁判所の調査官による調査

家庭裁判所の調査官は、裁判官の調査命令を受けて、少年の用保護性を判断する為の社会調査を行います。具体的には、保護者・学校・児童相談所・保護観察所等関係機関に照会を行ったり、少年本人やその保護者と面談するなどの方法で調査を行います。家庭裁判所調査官は、裁判官のような法曹ではなく心理学や社会学・教育学に精通した人が多いです。家庭裁判所調査官は、社会調査の結果を調査票にまとめて、裁判官に提出し報告します。調査票には、調査官本人の処遇に関する意見も付されています。調査票完成前にも調査官は口頭で適宜裁判官に報告をし、処遇に関する意見を述べなければなりません。

少年審判の方法及び終局決定

少年審判は、懇切として和やかに、少年に自己の非行について内省を促すよう、非公開で行われます。(少年法第22条)非公開ということで一般の公判と違い、傍聴はできません。これは少年の矯正や社会復帰の為にプライバシー保護の観点から行われています。審判の流れは、通常以下のようになります。

  • 少年・保護者の人定質問
  • 黙秘権の告知
  • 非行事実の告知
  • 非行事実に対する少年の陳述
  • 非行事実に対する付添人の陳述
  • 非行事実の審理
  • 要保護性に関する審理
  • 調査官・付添人の処遇意見の陳述
  • 少年の意見陳述
  • 決定の告知

終局決定については以下のものがあげられます。

審判不開始決定

前述した、調査の結果、審判を開始する必要がない場合には、審判開始決定を取り消して、審判不開始の決定をすること。

不処分決定

処分をしなくとも調査・審判等における様々な教育的働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められた場合に少年を処分しないことすること。

保護処分決定

非行少年に対して、刑罰を避けて非行深度に応じた健全育成のための処遇を施す決定。以下のようなものがある。

保護観察処分

少年が非行を起こした事実は認められるが、少年を矯正施設に収容せずに、社会内で、適当な指導者の補導援護と指導監督の下に自発的な改善更正・社会復帰を促進する措置。

少年院送致

再犯する可能性や一般社会での更正が難しい場合に少年院に収容する措置のこと。少年の年齢・非行深度・心身の状況により、初等少年院・中等少年院・特別少年院・医療少年院の4箇所に振り分けられます。

児童自立支援施設送致

不良行為をし又はおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由で生活指導を必要とする少年を入所・通所させて、その自立を支援することを目的とする措置。

児童養護施設送致

環境上養護を要する児童を入所させこれを養護することを目的とする処分。

検察官送致決定

子どもの年齢やその他事情によっては、少年審判において刑事処分相当と判断される場合があります。その場合になされるのが検察官送致です。これがなされると、起訴されて通常の刑事裁判の手続を受けることになります。検察官送致されるのは以下のケースです。

  • 禁錮以上の当たる罪の事件について、事案の内容や子どもの年齢その他の事情を考慮して、家庭裁判所の裁判官が、当該少年については保護処分ではなく刑事処分が相当とする場合。
  • 家庭裁判所送致後、少年審判までの間に、子どもが20歳の誕生日を迎えて成人してしまった場合

刑事処分相当の判断基準は、少年法第20条第1項によれば、「罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるとき」と記載されています。どのようなときに認められるのかは、判例によれば保護処分による矯正の見込みがない場合や保護処分による矯正の可能性があっても、事案の内容や事件が社会に与える影響を考慮した上で、保護処分に付するに相当でない場合としています。