FAQ

よくある質問

  • 法律事務所で弁護士に相談する問題なのかわからないのですが…

    全く気になさる必要はありません。まずはお気軽にご相談下さい。
    一体何が問題か分からないという場合でも、適切なアドバイスをさせて頂きます。

  • 親族の問題で、自分の問題ではありませんが相談しても良いですか?

    全く構いません。ただし、相談を充実させるため、何か参考になる資料等をお持ちください。
    また、事件を受任するに当たっては、ご親族本人の方に一緒に来ていただく必要があります。

  • 電話やメールで法律相談することはできますか?

    電話やメールでの法律相談はお受けできません。
    必ず当法律事務所まで来ていただいて相談に応じさせていただいております。

  • 平日が仕事で忙しいので、休日や夜間に法律相談できますか?

    法律相談の時間は、原則として平日の午前9時から午後5時までですが、お客さまの都合によっては、休日や夜間の法律相談も対応させていただいています。

  • 費用が高額でないか心配です。また分割で払う事は可能ですか?

    費用については、事前に丁寧に説明いたしますのでご安心ください。
    お客さまの経済状態によっては分割支払いも対応させていただいています。

  • 相談内容が外部に漏れることはありませんか?

    お客さまからの相談内容については厳格に管理し、お客さまのご承諾がない限り、外部に漏らすことは一切ありませんのでご安心ください。

  • 初回の相談時には何を用意して行けば良いでしょうか?

    相談を充実させるため、参考になる資料等(例えば借金に関するご相談であればどこにいくら借りているかが分かる資料や不動産に関するご相談であれば登記簿謄本等の資料)をご持参ください。

  • 裁判までにはしたくないのですが、相談に乗ってもらえますか?

    もちろん大丈夫です。弁護士に相談したからといって裁判を起こさなければならないというわけではありません。
    弁護士に相談することで、もつれた糸が解けるように、物事が整理され、ご相談だけで解決することもあります。
    まずはお気軽にご相談ください。

交通事故

  • 交通事故を起こしてしまった方へ

    交通事故を起こした場合、加害者側の方は、「行政上の責任」「民事上の責任」「刑事上の責任」という3種類の責任を負います。
    これらは別個独立の責任であり、それぞれ同時並行で手続きが進行します。

    行政上の責任

    行政上の責任とは、道路交通法に基づいて行われる行政処分のことをいいます。具体的には、免許の停止・取消、反則金の支払いなどが含まれます。反則金は刑事上の処分ではなく、行政上の処分ですので、刑罰ではありません(罰金とは異なります)。そのため、反則金を支払うことになっても前科がつくわけではありません。

    民事上の責任

    交通事故によって、他人に損害を生じさせた場合、損損害について賠償する必要があります。損害は、人身損害(人損:財産的損害と精神的損害)と物的損害(物損:積極損害と消極損害)に分けられます。

    刑事上の責任

    交通事故によって、人を死傷させてしまった場合、刑法や道路交通法に基づいて刑罰が科されることになります。具体的には、以下のように法律で定められています。

    刑法第211条2項(自動車運転過失致死傷罪)

    自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

    刑法第208条の2(危険運転致死傷罪)

    第1項
    アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
    第2項
    人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、交通事故の加害者側の立場になってしまった方のサポートも行っています。ご本人あるいはご家族が交通事故を起こしてしまってお困りの方は、まずは高木光春法律事務にご連絡ください。

  • 事故発生から解決までどのような順序で進むのでしょうか?

    先日、交通事故に遭いました。今は、通院しながら治療を続けています。これから、解決までにどのような流れをたどりますか。

    交通事故の被害に遭われた場合、まずは治療に専念されることが第一です。
    交通事故で負った傷害が完治するか、または現状以上の回復・改善が見込まれない場合(症状固定)は、加害者が加入する保険会社から示談が提示されることになります。
    もし、その金額に納得できない場合は、調停か裁判により争うことになります。

    解決までの流れとは?

    交通事故故の発生から事件が解決するまでは、概ね以下のような流れになります。

    事故発生
    治療(入院・通院)
    症状固定(症状の安定)
    後遺障害の認定
    示談交渉
    ADR・調停・裁判
    解決

    高木光春法律事務所のサービス

    交通事故事件を解決する際には、様々な悩みを持たれる方が多いのが実情です。保険会社の対応が不満だったり、賠償額や後遺障害の認定に納得ができないケースなど、お悩みの範囲は多岐にわたります。高木光春法律事務所では、交通事故でお悩みの方のお話を詳しく伺い、個々の問題点を一つづつ解決するようサポートしています。交通事故のことでお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 症状固定とは

    「症状固定」とはなんですか。「症状固定に至った。」と言われたら、これからどうしたらいいのでしょうか。

    交通事故でケガなどを負い、治療して回復し完治するのが最善ですが、残念ながらこれ以上治療を続けても痛みがそれほど変わらないなど、さしたる効果が得られなくなる場合があります。このような状態を「症状固定」といいます。症状固定に至る前は、治療費や休業損害、入通院慰謝料などが請求できますが、症状固定に至ると、この段階より後に発生する治療費は請求できなくなります。もし症状固定の段階で障害が残った場合には、後遺障害に対する賠償の問題として、逸失利益や、後遺障害慰謝料の請求が問題になります。
    実務上、保険会社から治療費の打ち切りを告げられる場合もありますが、治療費の打ち切りが症状固定とイコールの関係になるわけではありません。症状固定は医師が行うもので、被害者の問診なども踏まえたうえで決定されます。治療費の打ち切りは保険会社の主張にすぎないので、これに従う必要はありません。

    交通事故で後遺症が残った場合、どのような賠償の請求ができますか?

    症状固定後に交通事故の症状が残った場合、このような障害について後遺障害の等級認定を受け、賠償金を求めていくことになります。
    後遺障害に関する賠償金は、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3つがあります。
    「後遺症慰謝料」とは、後遺症をもたらす傷害を受けたという精神的肉体的苦痛に対する賠償のことです。
    大きく分けて、積極損害、消極損害、後遺症慰謝料の3種類です。

    積極損害

    積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。

    消極損害

    消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。後遺障害事故の場合、症状固定前は休業損害、症状固定後は後遺症逸失利益(後遺症によって事故以前のように働くことができなくなったことによる収入減少)にあたります。
    後遺症逸失利益の算定には、「労働能力喪失」「ライプニッツ係数」という概念が問題になります。後遺症逸失利益の算定方法は以下のようになります。

    【後遺障害逸失利益】

    =【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数】

    なお、症状固定時に18歳未満の未就労者の場合は以下のようになります。

    【後遺障害逸失利益】

    =【基礎収入】×【労働能力喪失率】×【67歳までのライプニッツ係数-18歳に達するまでのライプニッツ係数】

    後遺症慰謝料

    目安は、次の表のとおりです。
    (財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額選定表基準(いわゆる「赤い本」)

    第1級 2800万円
    第2級 2370万円
    第3級 1990万円
    第4級 1670万円
    第5級 1400万円
    第6級 1180万円
    第7級 1000万円
    第8級 830万円
    第9級 690万円
    第10級 550万円
    第11級 420万円
    第12級 290万円
    第13級 180万円
    第14級 110万円

    交通事故に遭った本人に重度の後遺障害が残った場合には、近親者にも別途慰謝料請求権が認められる場合があります。また、自賠責14級に至らない後遺障害があった場合でも、それに応じた後遺障害慰謝料が認められるケースもあります。

    高木光春法律事務所のサービス

    交通事故における賠償額の算定は、被害の状況や年齢、就業状況によっても異なり、被害者側本人で把握するのは非常に難しいのが現状です。分からないままにしておくと、受け取れるべき保証を受け取ることができない等の不利益を被る恐れもあります。高木光春法律事務所では、依頼者の方の事案に応じて適正な賠償額を算出し、被害者の代理人として交渉や、法的手続きを行います。

  • 交通事故に遭いケガをした場合(後遺症のない場合)の損害賠償の内容は

    先日交通事故に遭いました。後遺症は残りませんでしたが、会社を休まざるをえなかったり、事故の恐怖心が消えません。加害者側にどのような請求ができますか。

    交通事故でけがを負うなどした場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。

    積極損害

    積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、家屋・自動車等改造費、装具費、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。

    消極損害

    消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。傷害事故の場合、休業損害がこれにあたります。

    慰謝料

    慰謝料とは、生命、身体や財産権等の権利を侵害された場合に、被害者が被った精神的苦痛に対する賠償のことを言います。交通事故の場合、死亡や傷害等、人について生じた損害(「人損」)についてのみ慰謝料請求が認められるのが原則です。慰謝料の額は、入院や通院期間を基礎として算出されます。

    高木光春法律事務所のサービス

    賠償額については、実務上一定の基準が設けられていますが、算定には法的知識や煩雑な作業を伴うため、ご自身で賠償額を算定するのは困難です。高木光春法律事務所では、依頼者の個別の事案に対応した賠償額を算定し、加害者や保険会社との今後の交渉や、法的手続きを万全の態勢でサポート・代行します。

  • 死亡事故の場合、どのような損害賠償の請求ができますか?

    先日、家族が交通事故に遭って亡くなりました。どのような損害賠償が請求できるか教えてください。

    死亡事故の場合、積極損害、消極損害、精神的苦痛に対する損害賠償請求(慰謝料請求)を行います。

    積極損害

    積極損害とは、交通事故に遭ったために被害者が支出を余儀なくされた費用のことをいいます。具体的には、治療費、付添看護費、通院付添費、通院交通費・宿泊費、葬儀費用、弁護士費用、損害賠償請求関係費などが挙げられます。

    消極損害

    消極損害とは、交通事故に遭わなければ、被害者が得られたであろう利益を失ったことによる損害のことをいいます。死亡事故の場合、死亡逸失利益(被害者が将来にわたって得られるはずであった利益を失ったことによる損害)がこれにあたります。死亡逸失利益の算定方法は以下のようになります。

    【死亡逸失利益】

    =【基礎収入額】×【1-生活費控除率】×【中間利息控除係数】

    中間利息控除係数とは、交通事故の損害賠償では、当事者の紛争はできるだけ早く解決するのが望ましいこと、被害についてできるだけ早く損害を回復すべきであること、被害者側に加害者の支払能力の変化による不利益を負わせるべきでないことから、将来にわたって得られるはずだった利益を一時金として支給するための概念です。現在の実務ではライプニッツ方式を採るのが主流となっており、就労可能年数に対応するライプニッツ係数を求めた上、これを生活費控除後の収入額に乗じる方法で行います。ライプニッツ係数を求めるのに必要となる被害者の就労可能年数は、遅延損害金が発生する事故時をもって起算点とするのが実務の運用なので、事故時の年齢を67歳から差し引いて就労可能年数を求めます。
    なお、事故時に満18歳未満の未就労者の場合、逸失利益の算定方法は以下のようになります。

    【逸失利益】

    =【学歴計の男女別あるいは全労働者平均賃金】×【1-生活費控除率】×【67歳までのライプニッツ係数-18歳までのライプニッツ係数)

    但し、逸失利益からは、存命ならば本来支出するはずだった費用の支出を免れることになるため、適正な損害額を算出する目的で、生活費に相当する割合が「生活費控除」として控除されます。実務上は、生活費控除は以下のような基準で算出されます。

    一家の支柱
    (被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者)
    被扶養者1人の場合 40%
    被扶養者2人以上の場合 30%
    女性(主婦・独身・幼児を含む) 30%
    男性(独身・幼児を含む) 50%

    死亡慰謝料

    死亡慰謝料とは交通事故の被害者が死亡した場合に、死亡させられたことに対する慰謝料のことをいいます。被害者の方の遺族にも独自の慰謝料請求権が認められます。

    死亡慰謝料についても、後遺症慰謝料の場合と同様に、自賠責保険・任意保険・裁判所ごとに支払基準が設定されています。具体的には以下のように紹介されています。
    (財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部編集・発行損害賠償額算定基準:いわゆる「赤い本」)

    一家の支柱
    (被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者)
    2800万円
    母親、配偶者 2400万円
    その他 2000万円~2200万円

    (財団法人日弁連交通事故相談センター専門委員会交通事故損害額算定基準:いわゆる「青本」)

    一家の支柱の場合
    (被害者が属する家庭の生計を維持すべき収入の大部分を得ている者で、その者が欠けることで当該家庭の生活が著しく困難になる者)
    2700万円~3100万円
    一家の支柱に準ずる場合 2400万円~2700万円
    その他の場合 2000万円~2400万円

    実際は、上記のような数値を目安に、裁判所が個々の事情を総合的に考慮して判断します。具体的には、飲酒運転やひき逃げ等、事故態様や事故後の行動が悪質な場合などには、基準額を上回る慰謝料が認定されることもあります。

    高木光春法律事務所のサービス

    死亡事故の場合、賠償額の算定は種々の手続きが必要になることから、ただでも辛い状況にある遺族の方が自ら行うのは困難です。高木光春法律事務所では、依頼者の具体的な事情やケースに応じて適正な賠償額を算出し、被害者遺族の代理人として加害者ないしその保険会社との交渉や、法的手続きにあたります。まずは高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 被害者本人でなくても加害者に損害賠償を請求できる場合があるか?

    先日、娘が交通事故に遭い、顔面に重度の傷害を負いました。娘だけでなく、親である私も非常に大きなショックを受けています。被害者本人だけでなくとも加害者側に慰謝料を請求できる場合はありますか。

    交通事故で被害者が死亡した場合や、被害者が重度の傷害を負ったことにより死亡した場合と同じ位の精神的苦痛を被った場合には、被害者本人だけでなく、その親族にも固有の慰謝料請求権が認められることがあります。

    被害者死亡の場合の遺族の損害賠償請求が認められる場合とは?

    交通事故で被害者が亡くなった場合、被害者を相続した親族が、加害者に対する損害賠償請求権を相続により取得します。それとは別に、その親族本人も固有の慰謝料請求権を取得することができます。
    民法711条では、「他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない」と定められていますが、最高裁判所は、傷害を負った者の母が、被害者が生命を害された場合にも比肩すべき精神上の苦痛を受けたときは、民法709条と710条に基づいて、親族の固有の権利として慰謝料を請求しうると判示しています。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、交通事故に遭われた方の親族の方からのご相談もお受けしております。交通事故の問題でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 物損事故に遭った。どのような損害が請求できますか?

    先日、交通事故に遭い車を壊されました。加害者側の保険会社に連絡し、修理費用を請求したところ、修理費が車両時価より高いため車両時価相当額しか払えないと言われ、定時された時価も実際より低額で納得いきません。どうしたらいいですか。

    交通事故で車を壊された場合、被害者は原則として修理費相当額を損害として請求することができます。但し、修理費全額が必ず損害として認められるわけではなく、修理が必要でまた修理費が相当と認められる場合に限られます。
    物理的全損(車が修理不可能な程度に損壊した場合)、経済的全損(修理費が交通事故直前の車の時価(+買替諸費用)以上にかかる場合)、車体の本質的構造部分が客観的に重大な損傷を受けて買替ることが社会通念上相当と認められる場合には、買替差額費相当額を損害として請求することになります。

    従って、修理費が車両時価より高い「経済的全損」にあたる場合には、修理費全額を請求することはできません。但し、車両の時価の増額請求や交渉ができるほか、車を買い替える際に必要な費用についても上乗せして請求できる場合があります。

    経済的全損とはどういう意味でしょうか?

    交通事故で言う「全損」には、修理が不可能な状態である「物理的全損」と、修理費が車の買い換え費用を上回る「経済的全損」があります。経済的全損と判断されると、交通事故の過失がない場合でも修理費全額を賠償してもらうことはできません。
    車両の時価は、最高裁判所の判例で、同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を、中古車市場において取得するに要する価格をもって決するものとされています。中古車市場での取得価格の算定には、相手方保険会社は「オートガイド自動車価格月報(通称:レッドブック)」や「中古車価格ガイドブック(通称:イエローブック)」に基づいて主張してくるケースが多いようです。しかし、「レッドブック」記載の価格は、一般的に中古車市場で購入できる金額よりも低額である場合が多いと言われています。裁判上の損害額は、あくまで中古車市場で調達するのに必要な価格(再調達価格)なので、実際の時価がレッドブックより高額であることを示す資料を揃えて主張することで、相手方保険会社と適正な中古車取得価格について交渉することが可能です。

    物損事故の損害賠償の内容とは?

    物損事故で損害賠償の内容を確定させるには、被害に遭った車と同等の車両を中古車市場で調達する場合の価格になるかを調べることが必要です。同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等に加え、色や装飾等も影響しうるので、できるだけ同じ条件のものを選ぶようにしましょう。
    また、被害に遭った車を中古車市場で調達する場合にかかる諸費用も損害に含まれます。具体的には、登録手数料、車庫証明手数料、納車手数料、廃車手数料、自動車取得税、新しく取得する車両本体価格に対する消費税相当額、事故車両の自動車重量税の未経過分などが含まれることになります。
    以上のような費用を換算し、裁判上認められうる損害額と、相手方保険会社による提示額との差、更に裁判になった場合に要する費用や労力も加えて勘案して、相手方保険会社の提示する示談に応じるかどうかを決めることをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、交通事故の物損事故に関してもご相談をお受けしております。相手方保険会社との交渉や、裁判上請求等、幅広いサポートや代行を行っています。物損事故でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 事故の加害者以外にも損害賠償を請求できる場合がありますか?

    先日、交通事故に遭いました。加害者側はタクシーの運転手でした。この場合、加害者本人にしか損害賠償を請求できないのでしょうか。

    交通事故の加害者以外にも、損害賠償を請求できる場合があります。具体的には、車の所有者、労務中の事故の場合の加害者の勤務先社長や雇用主、相手方が未成年である場合の加害者の両親、加害者以外にも交通事故の原因となる行為をした人、道路の管理に問題があった場合の国や地方公共団体等運転手の使用者や運行供用者などです。

    使用者責任というのはどういうものか?

    「使用者責任」とは、事業のために他人を使用する者が、事業を行う際に被用者が損害を第三者に与えた場合に、使用者が負う責任のことをいいます。民法715条1項本文では、「ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。具体的には、従業員が会社の仕事で自動車運転をしている際、事故により他人に損害を与えた場合、会社は、その従業員と連帯して、その損害について賠償する責任を負うことになります。なお、典型例としては、業務時間中に社用で運転がされていた場合がありますが、判断が難しい場合もありますので、弁護士にお尋ねください。

    運行供用者責任というのはどういうものか?

    運行供用者とは、加害者側の自動車について運行を支配し、運行利益を得ている者のことをいうと考えられています。つまり、加害自動車の運行をコントロールできる立場にあり、その自動車を運行させることによって利益を得ている人のことを意味します。自動車損害賠償保障法3条本文では、「自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。」と定められています。
    これにより、自動車の運行供用者は、①自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、②被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと、③自動車の構造上の欠陥又は機能の障害がなかったこと、の3点を立証しない限り、損害賠償責任を負います。

    交通事故に限らず、一般的に損害賠償を請求する場合には、被害者側が加害者に過失があったことなどを立証しなければなりませんが、実際には過失を争うのは容易ではありません。そこで、運行供用者責任の場合には、被害者側で加害者に過失があったことを立証する必要がないものとされています。

    高木光春法律事務所のサービス

    交通事故の直接的な加害者である運転手に資力がなく、損害賠償請求が実質上できない場合は少なくありません。このような場合に、責任追及の幅を広げることで、被害回復を図ることができる場合があります。交通事故の補償問題等でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 交通事故による損害賠償請求はいつまでできますか?

    数年前に交通事故に遭いました。相手方の保険会社が提示した賠償額に納得できず、そのままにしていました。損害賠償は、いつまで請求できますか。

    交通事故で損害を被った場合、「不法行為に基づく損害賠償請求権」を行使することになります、この請求権は、損害つまり事故によって被った損害及び加害者つまり事故の相手方を知った時から3年で消滅時効にかかるので注意が必要です。
    また、自賠責保険に関する被害者請求権については、以下のように消滅時効にかかります。

    平成22年3月31日以前に発生した交通事故

    • 死亡による損害:事故日から2年
    • 傷害による損害:事故日から2年
    • 後遺障害による損害:症状固定日から2年

    平成22年4月1日以降に発生した交通事故

    • 死亡による損害:事故日から3年
    • 傷害による損害:事故日から3年
    • 後遺障害による損害:症状固定日から3年

    消滅時効とはどういうもので、いつ時効が完成しますか?

    交通事故の損害賠償について、相手方保険会社の提案する条件に納得できない、後遺症の認定等級に納得できないなどの理由から、示談を先延ばしにする事案があります。しかし、示談交渉が中断して3年以上が経過すると、請求権が時効にかかり、請求できなくなる恐れがあります。
    この点、法律では、「損害及び加害者を知った時から3年」と規定されていますが、ひき逃げなどで犯人が特定できないなど特殊な事例でない限り、事故から3年と考えておく方がよいでしょう。
    なお、後遺障害については、後遺障害の症状が固定してから消滅時効が進行します。

    被害者請求権はいつ時効にかかるか?

    交通事故の被害者が、加害者に賠償金を請求しても、加害者に財産がなければ実際には被害者は賠償金を受け取れない恐れがあります。法律では、被害者を保護する目的で、自動車を運転する人に対して自賠責保険に加入することを強制しています。自賠責保険に加入しないまま自動車を運転すると行政罰と刑事罰の対象になります。
    被害者は、加害者の加入している自賠責保険会社に対し、直接、損害賠償額を請求することができます。この権利についても、基本的に事故発生日から3年(平成22年3月31日以前の事故については2年)で時効にかかりますので、注意が必要です。
    なお、自賠責保険は、賠償金の上限額が定められていること、対象は人身損害に限られ、加害者が他人に与えた損害に限られること、被害者に過失があっても減額されないこと(被害者に重大な過失があった場合を除く)、示談代行サービスは行われないといった特徴があります。

    高木光春法律事務所のサービス

    交通事故の発生から長期間経過した場合、確実な交渉、手続きを行うことが重要です。高木光春法律事務所では、消滅時効が迫っている事件は、最優先で取り組み依頼者の利益に資するように万全の態勢でサポートします。損害賠償請求でお困りの際は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 過失割合とか過失相殺というのはどういう意味ですか?

    先日、交通事故に遭いました。過失相殺とはどういうことですか。

    過失相殺とは、交通事故の発生に関して被害者側にも責任が認められる場合に、その責任(過失)の割合に応じて損害賠償額が減額されることをいいます。
    過失割合については、裁判所、弁護士、保険会社のいずれも「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社)に従って決められています。具体的には、あり得る交通事故の類型として挙げられた273件の類型(同書4版、類型内容は変更されます)のうち、事故がどの類型に近いかを調べ、該当する事故類型に応じて定められた過失割合の基準を用いることになります。

    賠償額の調整とは?

    交通事故により損害が生じても、被害者側にも過失があるという場合、いわゆる過失相殺によって賠償額が減額されることになります。

    過失相殺って?

    過失相殺とは、当事者の公平の見地から、被害者に事故の発生や損害拡大に落ち度がある場合に、損害賠償額を減額する制度のことをいいます。民法722条2項は、「被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。」と規定しています。
    過失相殺をする際は、それぞれの損害の費目を合計して損害額の合計を算出し、損害額の合計から過失相殺して、最終的な賠償額を算出するのが一般的です。
    過失相殺をする際の過失割合については、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(判例タイムズ社)に定められた詳細な運用基準に基づいて算定されますが、事故がどの類型の事故に該当し、どのように修正がされるのかの判断には、専門知識が不可欠です。保険会社から提示された過失割合に納得できない場合は、弁護士に相談されることをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、交通事故の過失割合のお悩みに対応しています。依頼者の個別の事情に応じて、適正な過失割合を検証しサポートします。保険会社から提示された過失割合に納得がいかないなど、過失相殺でお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 損益相殺の意味を知りたい

    先日、交通事故に遭いました。損益相殺とはなんですか。

    損益相殺とは、交通事故によって損害を受けた被害者が、損害を受けたのと同じ事故によって利益を受けた場合に、その利益の額を損害額から控除することをいいます。これは損害の公平な分担という不法行為の理念に基づいて一定の場合に認められています。
    損益相殺として控除できるのは、利益と損害が「同一の原因」によって発生し、利益と損害との間に「同質性」がある場合とされています。具体的には、以下の表のような事例が挙げられます。

    損益相殺で減額されるものの例
    死亡後の生活費相当額
    死亡逸失利益を算定する際に、被害者が生きていれば支出していた生活費の支出を免れたという消極的利益が控除されます。
    受領済みの自賠責損害賠償額、政府補償事業による填補金
    各種社会保険給付金
    給付の確定した労災保険法、健康保険法、国民健康保険法等は、損害賠償金から控除されます。
    所得補償保険契約に基づいて支払われた保険金
    所得補償保険に加入している人が第三者の過失により障害を受けて就業不能になったため、所得補償契約に基づく保険金を受け取った場合には、保険金相当額を休業損害の賠償額から控除されるとされています。
    損益相殺で減額されないものの例
    加害者の支払った香典や見舞金
    社会儀礼上関係者の被害感情を軽減するためのものなので、社会通念上の金額の範囲内であれば、一般的に損害額から控除されません。
    生命保険契約に基づく生命保険金
    生命保険金は、払込をした保険料の対価たる性質を有するものなので控除されません。
    税金
    税法では、交通事故による損害賠償金の受領は非課税所得とされていますが、判例では損害賠償額から租税相当額を控除しないとされています。
    労災保険上の特別支給金など
    特別支給金等は労働者福祉事業の一環として行われる等として、一般的には支給金額を損害額から控除されません。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、損益相殺に関して専門家のアドバイスが欲しい、どのように考慮したらいいか分からないなどのご相談をお受けしています。損益相殺に関し、お悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 弁護士を依頼するのはその費用は自己負担しなければなりませんか?

    先日、交通事故に遭いました。相手方の保険会社が提示してきた賠償額に不満があります。しかし、弁護士を依頼すると弁護士費用が心配です。どうしたらいいですか。

    保険会社が提示した示談案に納得ができない等のケースは少なくありません。まずは、ご自身が加入されている保険に弁護士費用特約がついているかご確認ください。
    弁護士特約が利用できれば、ご自身で弁護士費用を負担することなく弁護士を依頼し、賠償額の増額などの交渉にあたることができます。

    弁護士費用特約の意味とは?

    交通事故に遭った場合、被害者側であるご自身に全く過失がない場合(赤信号で停車中に後ろから追突された等)には、任意保険に加入していたとしても。被害者側の保険会社は交渉の代行ができません。その場合、ご自身で加害者側の保険会社と示談交渉を行うことになりますが、相手方の保険会社は示談交渉のプロなので、ご自身の主張を通すことは困難な場合が少なくありません。
    しかし、任意保険に「弁護士費用特約」がついていると、通常の場合は1事故につき300万円まで弁護士費用が補償されるので、多くの場合に、自己負担なく弁護士を依頼し、交渉にあたってもらうことが可能です。
    また、弁護士費用特約を利用する際の弁護士は、ご自身で選ぶことが可能です。さらに、同居の親族が加入している保険でも補償される場合があります。
    交通事故に遭ったが過失がなく、保険会社に示談交渉を頼めない場合には、保険会社に問い合わせるなどして十分にご確認されるとよいでしょう。

    自賠責保険でいう被害者請求とはどういうことですか?

    被害者請求とは、交通事故の被害者は、加害者が加入する保険会社に対して、保険金額の限度で損害賠償額の支払を求めることができる制度のことをいいます。

    交通事故に遭った場合、加害者(被保険者)が損害賠償の支払いに応じてくれるに越したことはありませんが、相手方が支払いをしない場合や示談が成立しないなど、被害者がいつまでも損害賠償金を受け取れない場合もあります。
    自賠責保険では、加入者に損害賠償責任が発生した場合、被害者が直接保険会社に対して、損害賠償額の支払を請求することができます。被害者請求権の時効は以下のようになっています。

    平成22年3月31日以前に発生した交通事故

    • 死亡による損害:事故日から2年
    • 傷害による損害:事故日から2年
    • 後遺障害による損害:症状固定日から2年

    平成22年4月1日以降に発生した交通事故

    • 死亡による損害:事故日から3年
    • 傷害による損害:事故日から3年
    • 後遺障害による損害:症状固定日から3年

    加害者との示談がなかなか成立しないときは、被害者はとりあえず保険会社に対して請求するか、時効中断の申請をして、保険会社の承認を得るなどして、時効が完成しないよう注意する必要があります。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、弁護士特約を利用した弁護のご依頼にも積極的に対応しています。自賠責保険の請求などでお困りの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 賠償金の「支払基準」はどのようになっていますか?

    先日、交通事故に遭いました。ケガを負ったので、加害者が加入する保険会社から賠償額の提示を受けましたが、金額にまったく納得できません。増額を求めても、不満があるなら裁判をするよう言われ、困っています。賠償額の算定基準とはどのようになっているのですか。

    交通事故の賠償額は、交通事故の態様によって概ね類型化されています。但し、金額の基準が複数あり、①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準の順で高くなるのが一般的です。保険会社が提示してきた賠償額に納得できない場合、裁判をすることで賠償額が増額されることがありますが、裁判に要する労力や費用と勘案して検討することが必要です。

    賠償額算定の「支払基準」とは?

    今日の自動車社会においては、毎日多数の交通事故が発生しています。そのため、過去の分を含めると膨大な数の事例が集積され、こうした事例をもとに、事案ごとに当事者に不公平な結果が生じないように、損害賠償の基準が明確に確立されています。但し、この「基準」には複数あり、①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準の順で高くなります。

    ①自賠責保険による基準

    自賠責保険は、交通事故被害者の救済を第一の目的とした保険をいい、自動車や原動機付自転車の所有者と運転者の加入が義務付けられています(強制保険とも呼ばれます)。自賠責保険は、被害者への補償が最低限保証するものなので、補償される金額も最低限に留まります。また、保険の範囲は対人賠償に限られ、死傷した相手側の運転者とその同乗者や、歩行者などのケガや死亡に対してのみ賠償金が支払われることになります。

    ②任意保険による基準

    任意保険は、自動車の保有者や運転者が、任意に加入する保険のことをいい、自賠責保険の場合と比べて、物損事故を含めた幅広い自動車事故に対応することができます。加入者が補償の基準を選べるので、支払上限額は加害者の契約した内容によって異なります。任意保険には、対人賠償、対物賠償、搭乗者傷害補償、車両補償などがあり、保険金の支払い基準は各保険会社が独自に定めています。
    交通事故の被害に遭われた方が相手方保険会社と交渉をすると、相手方保険会社は、この任意保険基準で示談金額を提示します。

    ③裁判基準

    裁判所においても、交通事故の事案における賠償額の基準が存在しています。赤い本と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部)、市販されている資料(通称青本と呼ばれる「交通事故損害額算定基準」(日弁連交通事故相談センター)から、その「基準」がわかるようになっています。

    保険会社の賠償提示額は、納得のいくものでしょうか?

    怪我の苦痛、治療のストレス、職場からの離脱、家族への負担…。交通事故は、人の生活を一変させます。
    怪我が完治するか、症状固定となり、治療が終了すれば、相手方保険会社との間で、示談に向けた交渉を行うことになります。しかし、あなたとは利害が対立する相手ですから、常に誠実な対応をしてくれるとは限りませんし、保険会社が提示する賠償額は、いわゆる裁判基準よりも低い水準に抑えられています。
    「保険会社の提示に納得ができない」、「これ以上のストレスを抱え込みたくない」という方は、是非、高木光春法律事務所にご相談ください。
    あなたの最大利益の実現に向けて、強力にサポートします。

    保険会社の提示額が妥当かどうかわからない場合は?

    保険会社の提示額が妥当かどうかを見極める一つの方法として、相手方保険会社が提示してきた示談金額と、裁判基準による賠償額を比較してみるとよいでしょう。この時、単に金額の大小をくらべるだけでなく、裁判になった場合に要する時間や労力、諸費用の負担を含めて考慮し、相手方保険会社の提示する示談に応じるかどうかを検討することが大切です。不安な場合は、専門家である弁護士に相談してみることをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、ご提示いただいた資料に基づき、依頼者の個別の事案に応じて、裁判で損害賠償を請求した場合に認められうる請求額等を算定し、対応についてアドバイスすることができます。交通事故に際して、保険会社の提示した金額に納得がいかない等でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 法律相談の流れ

    まずはご予約

    お電話又は相談フォームで法律相談のご予約をお入れ下さい。

    法律相談

    弁護士が直接お話を伺い、お客様に最善の解決策をご提案します。法律相談でお悩みが解決した場合は、受任は不要です。

    弁護を依頼したい

    弁護士が行う業務の内容、費用を十分納得していただいた上で、委任契約をします。家族や友人とご相談の上、後日のご依頼も承っています。

    弁護活動・解決

    高木光春法律事務所では、お客様との緊密な連絡をモットーにしています。詳細に進捗状況を報告し、お客様のご意見やご要望に沿って対応します。

    交通事故で相談する時、事前に準備することは?

    交通事故に関する法律相談で重要なことは、事故態様、治療の状況(症状固定しているか否か)、相手方保険会社との交渉状況、弁護士費用特約の有無等です。
    それに関連する資料、たとえば、診断書や交通事故証明書などをお持ちいただければ、よりスムーズな相談が可能です。

    交通事故の法律相談では何が聞かれるか?

    交通事故の事案では、過去の裁判例の集積等により、過失割合や、慰謝料額の基準などが類型化されています。
    そのため、相談時にお伺いする内容もある程度決まっています。具体的には事故態様、治療の状況(症状固定しているか否か)、相手方保険会社との交渉状況、自分の加入している保険に弁護士費用特約がついているかどうかなどです。

    交通事故相談では何が重要か?

    事故直後から適正な頻度で病院に通っているか。

    通院期間は、慰謝料の算定において重要な意味をもちます。しかし、事故から日数が経ってから突然病院に通いだしたり、日数が経つにつれ通院頻度が高くなったりすると、賠償額を上げるための行動との疑いをもたれることもあります。
    仕事の関係でなかなか病院に行けなかったり、無理をして病院に行かない方もおられるかもしれませんが、適正な賠償額を獲得するためには、交通事故の解決にとっては定期的な(且つ適正な)通院が不可欠です。

    十分な治療を受け終わっているか?

    最終的な示談は症状固定後しかできませんので、症状固定の有無は重要です。ただし、症状固定前でも、保険会社への対応等に関してご相談をお受けすることはもちろん可能です。

    過失割合の対立はないか?

    過失割合については一定の基準が存在しますが、事故の事実認識の違いのほか、事実認識に違いがなくとも、基準自体に修正要素があるため、相手方保険会社が提示してくる過失割合が適正であるとは限りません。
    過失割合に対立がある場合などは、ご相談ください。

    弁護士費用特約の有無を確認しよう!

    ご自身や同居のご家族が加入されている保険に、弁護士費用特約がある場合、交渉・裁判を弁護士に依頼するための費用を保険でまかなうことができるため、それだけ解決に向けた選択肢の幅が拡がります。 弁護士費用特約の有無を、よくご確認ください。

  • 交通事故の弁護士費用

    法律相談料(消費税別)

    30分ごとに 5000円

    弁護士費用特約を利用しない場合(消費税別)

    着手金 報酬金
    保険会社からの提示がない場合 0円 獲得額の10.5%+20万円
    保険会社からの提示がある場合 0円 増額分の21%+20万円
    但し増額分を上限とする。

    弁護士費用特約を利用する場合(消費税別)

    経済的利益の額 着手金 報酬金
    300万円以下 8% 16%
    300万円を超え、3000万円以下 5% +9万円 10% +18万円
    3000万円を超え、3億円以下 3% +69万円 6% +138万円
    3億円を超える 2% +369万円 4% +738万円

企業法務

  • 契約書は作った方が良いですか?

    お互いの会社同士の関係がうまくいっているときや、社長同士の個人的つながりがある場合、口約束だったり、ごくごく簡単な取り決めのみだけを記載している書面で取引をしている例が見られます。
    また、契約書のチェックを怠ったために、相手方の会社の有利な契約を結ばされている例も見受けられます。
    取引をしていれば、トラブルに巻き込まれることは多々あります。そのときに、解決の糸口となるのがまずは契約書です。契約書に記載がある事項については、契約内容が公序良俗に反しない限り、その契約に従った処理がなされます。裁判になった場合でも、契約書に記載がある事項についてはお互いが合意した内容として重視されるのが通常です。
    契約書は、企業を守る重要な盾と言っても過言ではありません。
    当事務所では、取引基本契約、個々の取引契約、秘密保持契約等様々な契約書のチェックを日常的に行っております。契約書の重要なポイントは次の3点です。

    • 将来のトラブルを予測して、回避するための契約内容にする。
    • できるだけ自分の会社に有利な内容の契約書を作る。
    • 自分の会社に不利な内容の契約書を作らせない

    顧問契約を結んでいただいている企業の皆さまの依頼内容として一番多いのは契約書のチェックです。
    当事務所では顧問契約の有無にかかわらず、企業の皆さまからの契約書のチェックは随時受け付けております。

  • こんな問題、相談して良いのかと不安に思うのですが?

    企業の皆さまの法律相談を受けているときに、もっと早く相談されていれば良かったのにと残念に思うことがあります。あと数カ月早く相談されていればもっと打つ手があったのに、損害も最小限で食い止められたのに、逆にもっと多くの利益や債権の回収ができたのにと思うことがあります。
    そんなときに経営者の方からは、こんな問題相談してよいかどうか分からなかった、こんな小さな問題で弁護士に相談するのは恥ずかしかったという声を聞きます。
    しかし、経営者の方が小さいと思う問題、相談して恥ずかしいと思うくらい些細なことと思われている問題の中に、実は大きな危険が潜んでいる場合もあります。
    小さな問題でも大きな問題に発展する可能性があるならば早めに手を打つ必要があります。あるいは、小さな問題と考えていたものが実は法律的には大きな問題であったいうこともあります。
    こんな問題、相談してよいのかと思ったときが相談のタイミングです。
    当事務所では、経営者の皆さまが相談しやすい環境作りを重視しています。少しでも不安が生じたときは、ぜひご相談ください。

  • 未払の売掛金は、どのように回収したらいいですか?

    企業の皆さまからの相談で多いのが、未払の債権の回収の相談です。
    何度催促してももう少し待ってくれと言って支払わない、当初の約束に反し低額な分割払いを求めてくる、連絡が取れなくなった。
    このような状態は、相手方で約束を軽視しているか、相手方の会社の経営状態が悪化していることが多く、スピーディーな債権回収が必須です。額が大きい場合には、自分の会社の存続にも関わってしまいます。
    債権回収の方法には、大きく訴訟前の回収と訴訟による回収の方法があります。相手方の態度や、相手方の資力、相手方に対する債権の有無等に応じて、依頼される企業の皆さまに最適な債権の回収方法を提案させていただき、速やかに実施いたします。
    弁護士に債権回収を依頼するメリットは、大きく3つあります。
    1つめは、法的手段(訴訟)というプレッシャーを与えることができるという点です。弁護士が委任を受け、内容証明郵便を送っただけで相手方が支払うケースもあります。
    2つめは、上で述べたように、相手方の対応に応じて、適切な法的手段を選択、実施できるので、債権回収の可能性が高まります。一方、訴訟で判決を取り強制執行しても不可能そうな場合はその旨の判断をお伝えすることにより、債権回収できないことにより生ずる影響についていち早く対応できます。
    3つめは、強制執行を見据えた計画的な回収を考えられる点です。判決で勝訴しても、支払ってくる会社ばかりではありません。判決がでたにもかかわらず支払わない場合、強制執行という手続きで強制的に回収する必要があります。強制執行を見据えて、相手方の財産を予め差し押さえたり(仮差し押さえ)、財産の移転を禁じたり(仮処分)、強制執行を見据えて計画的に回収を図ることができます。
    債権回収も、当事務所が得意とする分野です。まずは、早めに当事務所にご相談ください。

  • 債権回収の裁判で勝訴しても相手が支払わない場合、どうしたらいいですか?

    訴訟で判決が出たり、和解に至ったり、民事調停がまとまった場合でも、相手方が支払いに応じてくれるかは分かりません。相手方が当初から支払う意思が全く無かった場合などは、強制執行で回収を図る可能性が高いと言えます。
    相手方が支払わない場合には、強制執行手続を行います。強制執行には、大きく分けて、不動産執行、動産執行、債権執行の3種類があります。
    不動産執行は、債務者の不動産の差し押さえをし、不動産が売却された価格から一定のルールに従い配当を受けることにより債権の回収を図るものです。動産執行は、同じく債務者の動産を差し押さえ、動産が売却された価格から一定のルールに従い配当を受けることにより債権の回収を図るものです。債権執行は、債務者が第三者(第三債務者)に対して有する債権を差し押さえ、第三債務者から支払いを受けることにより債権回収を図るものです。債権執行の中心は銀行預金の差押えが中心となります。銀行預金を差押えれば、回収すべき金額の範囲内である限り、差押時の預金残高をそのまま回収することができます。
    これらの手続きは、方法の選択、タイミング等、専門的な判断を必要としますし、時間との勝負であるので、いち早く弁護士に依頼して手続きを取ることをおすすめします。
    なお、不動産や動産が、手続き中に売却されてしまったり、預金が引き出されてしまうこともあります。そのような場合に備えて、訴訟の前に財産の保全処分(財産を仮に差し押さえたり、財産の処分を禁止する)を取っておく必要があります。

  • コンプライアンス経営はなぜ必要なのですか?

    コンプライアンス経営は、日本語に訳すと遵法経営ですが、法令を遵守する以外にも、社会良識、社会ルール、社内規則、企業倫理などさまざまなルールを遵守して経営するということを意味します。
    最近では、レストランの食材の産地偽装、反社会的勢力との接触、偽装請負、企業による脱税・申告漏れ・所得隠し、顧客の個人情報やプライバシーの流失等が、コンプライアンス違反として大きく取り上げられています。
    コンプライアンス経営は、法令等にしたがって経営をするという当たり前のことですが、利益を追求するあまり、個々の社員の判断でコンプライアンス違反が行われてしまったり、コンプライアンス経営の意識の低さから重大な影響を及ぼすとの認識の無いまま、大丈夫だろうと言うことで違反の経営をしているケースもあります。
    コンプライアンスを無視した利益追求は、短期的には企業の業績に繋がるかもしれませんが、長期的には企業によい影響を与えません。何より今プライアンス違反の経営が明るみに出ると、企業の社会的評価は回復しがたいほど低下し、企業の存続が危ぶまれる事態に陥りかねません。また、監督官庁等による法的な制裁が生じるおそれもあります。
    コンプライアンス経営は、企業の永続的な発展を図る上で必要と言えます。まずは、経営者がコンプライアンス経営の意識を持ち、全従業員に認識を共通させていく必要があります。
    企業の営業・販売の面、金融・財務の面から法的問題がありそうなのか、どこを改善していけば良いのかは、弁護士にチェックを依頼することをおすすめします。
    当事務所でも、営業・販売の面、金融・財務の面から法的問題のチェック、改善点のご提案、コンプライアンスプログラムや、行動指針、コンプライアンス規定の作成等を行う事も可能です。

  • もめそうな株主総会を控えています。どうしたらいいですか?

    株主総会では、どんな点でもめそうなのか、まずは原因を把握した上で、綿密に準備していくことが重要です。
    第1に、問題点の把握です。もめそうということは、会社にもめそうな原因があるということです。抽象的にもめそうだと考えるのではなくて、会社の経営についてどんな点が具体的にどのように問題にされるのか問題点を具体的に把握することが必要です。
    第2に、株主総会では、様々な質問がなされることもあります。株主からの質問に対して、当日にスムーズにかつ的確な回答を行うためには、想定問答集の作成が極めて有効です。
    第1で述べた様に、問題点を具体的に把握すれば、それに対して回答を準備でき、また対応を提案でき、回答者が冷静に回答することが可能です。もっとも、このようなことを実施するには、早期から作成に取りかかり、問題点の把握を前提に、幅広くかつ具体的に想定質問を作成しそれに対する回答例を準備する必要があります。
    第3に、当日までにリハーサルをすることが有効です。いくら想定問答と回答を準備しても実際の現場できちんと対応できなければ何もなりません。また、当日は予想外・想定外の質問や、運営に際してのトラブルが生じることも予想されます。
    総会当日に、予期しない出来事に対応するには、できる限り当日に近い状態で予期しない質問やトラブルを予測し、できる限り対処できるような状況を作っておく必要があります。また、リハーサルをすることで、資料の確認等の手順も頭に入ります。
    当事務所では、株主総会の準備に対しても適切に対応できますので、ぜひご相談ください。

  • 民事再生と会社更生、破産の違いは何ですか?

    まず、3つの制度は裁判所を通した法的な手段であることで共通します。
    この点で、任意に再建を図るリスケや中小企業再生支援機構による再生等、任意に会社を清算する廃業とは一線を画します。
    そして、民事再生と会社更生は、法的に企業の再建を図る手法という点で共通し、法的に企業を清算するという破産と異なります。
    まず、民事再生、会社更生の違いです。
    民事再生は、すべての個人と法人を対象とします。現経営陣は、そのまま引き続いて会社を運営していくことは可能ですが、裁判所により監督委員が選任されることが多く、重要事項については監督委員の同意が必要となります。また、経営陣が経営を継続することが不適当な事情がある場合には、経営権が管財人に引き継がれる場合もあります。原則として抵当権などの担保権の行使を禁止することはできません(これに対する一定の防止手段はあります)。債権の調査手続等を経た後、原則として債務者が再生計画案を裁判所に提出します。この再生計画案が債権者集会などで可決され、裁判所がこれを認可すればその再生計画が確定し、再生計画案に沿って再生していくことになります。
    これに対して、会社更生は、対象が株式会社に限定されていて、比較的大規模で債権者数も多い場合の再建が想定されています。民事再生と異なり、会社の経営権は管財人に引き継がれ、旧経営陣は会社の経営から離脱します。抵当権などの担保権は全て手続内に取り込まれ、手続外で行使することはできません。事業を継続しながら管財人の下で更生計画が作成され、計画に従って更生していくことになります。
    次に、破産ですが、会社が債務超過に陥り、総債権者に対して債務を一般的・継続的に弁済することができない状態になった場合に、裁判所が選任する破産管財人によって債務者の財産を包括的に管理・換価して、総債権者に公平に配分することを目的として行われる法的な会社の清算手続といえます。
    いずれも、経営状態が悪化している場合にとられる手段ですが、会社の規模、債務の多寡、債権者の数、スポンサーの有無、債権者の意向によって執りうる手段を検討していくことになります。また、法的な再建によらず、金融機関等の債権者との調整で再建を図る方法もありますので、まずは、弁護士に相談し、その会社に適切な手段を選択することが重要です。
    当事務所でも、会社の個別的な状態を踏まえ検討の上適切な手段をスピーディーに取ることができます。

  • 息子への事業承継を考えているのですが、注意点はありますか?

    中小企業、特に親族もしくは極近い人間関係で経営をしているような閉鎖会社にとって、事業承継は一つの大きな課題です。跡継ぎがいない場合にどうするのかという問題も生じます。
    何も対策しないままに、先代の社長が亡くなり相続人が多数存在するというような場合には経営基盤が不安定になりかねません。また、業績の良い企業であれば株式時価が高額になっており、相続人である次期社長は多額の相続税に悩まされることになりかねません。更に跡継ぎがいないまま、先代が亡くなれば、会社の存続は困難となります。
    これらのことが原因で、会社の継続が困難になり、ひいては雇用の喪失、地域経済の悪化につながりかねません。
    そこで事業承継をスムーズに進めるために、法律は大きく3つの制度のを整備しています。
    第1に、事業承継の際の相続税・贈与税の納税猶予制度というものがあります。相続税の納税猶予制度とは、現経営者の相続または遺贈により親族である後継者が取得した自社株式の80%部分の相続税の納税が猶予されるという制度です。一方、贈与税の納税猶予制とは、現経営者からの贈与により、親族である後継者が取得した自社株式に対応する贈与税の納税が猶予されるという制度です。
    中小企業者であること等の会社の主な要件、会社の代表者であったこと等の現経営者の主な要件、現経営者の親族であること等の後継者の主な要件を満たした上で、納税猶予を続けるための主な要件を満たした場合には、納税が猶予されます。手続きとしては、経済産業大臣の認定、税務署への納税申告が必要で、期限等の定めもあるので、要件を満たすかどうか検討した上で計画的に申請する必要があります。
    第2に、事業承継を円滑に行うための遺留分に関する民法の特例の制度があります。現経営者(被相続人)の方が無くなったときに備え、後継者の親族(相続人)に自社株式を集中して遺言等で承継させようとしても、他の相続人には遺留分という制度があります。この遺留分を侵害された相続人が遺留分に相当する株式などの譲渡を要求してきたような場合には自社株式が分散し、会社の経営基盤を揺るがすおそれがあります。経営承継円滑化法はこのような場合に備え、民法の特例を設けています。この特例により、現経営者(被相続人)の推定相続人全員の合意の上で現経営者から贈与等された自社株式について①遺留分算定基礎財産から除外(除外合意)、または②遺留分算定基礎財産に算入する価額を合意時の時価に固定(固定合意)することができます。具体的効果としては、①は除外合意によって後継者が贈与等によって取得した自社株式については、他の相続人は遺留分の主張ができなくなるので相続に伴う自社株式の分散を防止することができます。②は固定合意により、自社株式の価額が上昇しても遺留分の額に影響しないことから、後継者は相続時に想定外の遺留分の主張を受けるということを防止できます。要件としては、適用会社要件、適用経営者要件、適用後継者要件を満たした上で、①推定相続人全員の合意、経済産業大臣の確認、③家庭裁判所の許可が必要です。この制度についても、様々な要件、手続きの時間的制約もありますので、法律の専門家である弁護士に相談するのが良いと思います。
    第3に、円滑な事業承継のために、低利融資制度と信用保証制度があります。まず低利融資制度は①会社または個人事業主が後継者不在などにより事業継続が困難となっている会社から、事業や株式の譲渡などにより事業を承継する場合、②会社が株主から自社株式や事業用資産を買い取る場合、③後継者である個人事業主が、事業用資産を買い取る場合、④経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社の代表者個人が、自社株式や事業用資産の買い取りや、相続税や贈与税などの納税などを行う場合に低利融資が受けられる場合があります。次に、経営承継円滑化法に基づく認定を受けた会社及び個人事業主が、事業承継に関する資金を金融機関から借り入れる場合には信用保証協会の通常保証枠とは別枠が用意されています。
    以上のように、法は様々な事業承継の制度を用意しています。当事務所では、個々の事務所の事情に応じ最適な事業承継の方法を提案し、計画的に事業承継を進めて行くことができます。

  • 資金繰りに困ったときは、どうしたらいいですか?

    会社が資金繰りに行き詰まった場合には、まずは会社の現在の財務状況を正確に把握することが必要です。資金繰りに行き詰まった原因、短期、長期での今後の資金繰りの見通し、
    その上で、再建できそうである場合には再建型の手段、破産がやむを得ない場合には清算型の手段を選択していくことになります。
    再建型での方向性には、裁判所を通さない手法としては、金融機関との間でのリスケ、事業再生ADRの活用、中小企業再生支援協議会への持ち込み、経営革新等認定支援機関による支援等があります。裁判所を通しての手法としては、比較的小中規模の再建を想定した民事再生、大規模な株式会社の再建を想定した会社更生の制度があります。
    資金繰りに困ったときは、早期に弁護士に相談し場合によっては顧問の税理士も同席の上で、会社を今後どうしていくのか具体的には再建が可能なのか、破産なのかを見極めていく必要があります。そして、再建が可能であると判断される場合には、その会社の実情に応じた最も適切な手段を取る必要があります。

  • 破産すると、会社、代表者はどうなるのですか?

    会社の経営が悪化し、再建が困難であると判断した場合には、破産を考える必要があります。会社が金融機関から借入をしている場合、多くの場合は代表者も連帯保証人になっています。そこで、会社が破産する場合には多くの場合で代表者も大きな債務を負っているので破産を考える必要があります。
    破産が裁判所に申し立てられ、債務超過にあると認められて破産手続き開始決定がなされると、裁判所から破産管財人が選任されます。破産は管財人が会社及び代表者の財産を包括的に管理・換価して、総債権者に公平に配分することを目的とした手続きです。会社の財産は原則として全て換価の対象となり、回収した金銭は破産財団を構成し、一定のルールに従って債権者に配分され、手続きが終了します。代表者の場合も、原則として代表者の有する財産は換価され、回収した金銭は破産財団を構成し、一定のルールに従って債権者に配分され、手続きが終了します。

会社顧問

  • 顧問契約について、説明してほしいのですが…

    顧問契約とは、債権回収(売掛金回収)、労務問題、内部統制、契約書の作成やチェック、取締役会議や株主総会の運営、新株発行、クレーマー処理等、企業活動の中でも、法務面を継続的にサポートし、その対価として月々の顧問料をお支払い頂く契約のことをいいます。

    顧問契約の説明を聞きたいというご連絡をいただきましたら、予約を取らせていただき、直接、事務所にて弁護士から、説明させていただきます。この場合の説明については、法律相談ではございませんので、費用はかかりません。

  • 顧問弁護士がほしいが、顧問料はどの位?

    法人の方の顧問料は月額3万円から、個人事業者の方の顧問料は月額1万円からです(いずれも消費税別)。
    ご依頼の方の会社の規模や相談の頻度等によって料金を設定させていただいています。

    顧問弁護士を検討中の方、顧問料について詳しくお知りになりたい方は、お問い合わせください。

  • 顧問契約のメリットは何ですか?

    当事務所では、顧問先様を対象に下記のサービスを行っておりますので、ご案内申し上げます。ご不明な点は、当事務所にお尋ねください。

    売掛金請求(簡易事件)

    請求金額に争いがない事案で、「内容証明郵便の作成・発送と数回程度の簡易な交渉、簡易な合意書作成」を受任内容とするものの弁護士報酬。

    請求額 着手金 報酬金
    300万円未満 なし 回収額の10% +消費税
    300万円以上3,000万円未満 請求額の1%+消費税 回収額の6%+120,000円
    3,000万円以上 請求額の1%+消費税 回収額の4%+720,000円+消費税

    社内研修会への講師派遣

    所要時間90分まで、講師料33,000円(税込)と交通費等実費で実施いたします。

    • テーマ例
    1. 不当要求対策・悪質クレーム対策について
    2. 企業不祥事の基礎知識
    3. 労務管理について(パワハラ、合同労組対応、労働時間管理等)
    4. その他

    従業員の皆様への無料法律相談サービス

    顧問先様からご紹介いただいた従業員の方の法律相談については、当面、無料で対応させていただいております。
    (2回目以降のご相談については相談料が発生する場合があり、内容によってはお受けできない場合もございます。)

  • 契約期間はどうなりますか?

    原則1年間です。原則として自動更新させていただきますが、諸般の事情あるいはお申出により顧問料の見直しも検討いたします。

    顧問料

    月額11,000円(税込)から。相談件数等により協議のうえ決定させていただきます。

借地・借家トラブル

  • 賃貸借契約書には何を記載すべきか?

    今度、不動産を借りる予定があります。契約書には何を書いたらいいですか。

    土地の賃貸借契約

    ①建物の所有を目的とするものかどうか ②建物の種類は住宅か店舗か ③期限(最低30年) ④借地権の譲渡と転貸 ⑤地代・敷金・権利金 ⑥地代の支払い方法 は最低限決めておきましょう。

    ①建物所有の目的について

    一般に、鉄筋コンクリート造など堅固な構造の方が老朽化しにくいので、賃貸人がいざ土地を利用する目的が生じた場合に利用が妨げられる場合があります。これは、賃借人の建物所有の目的にも関わりますので、どのような建物を許容するのかを検討しておく必要があります。

    ②建物の種類について

    閑静な住宅街に所有する土地を他人に貸した場合、にぎやかな店舗などを建設されては困る場合も想定されます。土地の用途については、当事者間で決めることができますので、使用目的を限定したい場合は、「居住用建物に限る」等の制限をあらかじめ定めておく必要があります。

    ③期限について

    建物所有目的の土地賃貸借契約、建物賃貸借契約では、期間が満了しても、賃借人が望めば、契約は更新されます。借地借家法の改正により、定期借地権及び定期借家権の制度ができたので、更新をしない契約をすることができます。この場合は、契約書は公正証書など書面にする必要があります(借地借家法22条、38条1項)。

    ④借地権の譲渡と転貸

    建物所有目的の借地権は、財産的価値があり、他に譲渡できます。しかし、借地権譲渡には地主の承諾あるいは裁判所の許可が必要です。予め契約の際に明示しておくと、無用のトラブルを防ぐことができるでしょう。

    ⑤地代・敷金・権利金

    賃料額については、特に明確に規定しましょう。契約更新時、更新料の支払いを求めたい場合は、その点を契約書上で明らかにしておく必要があります。更新料については法律に規定がなく、契約条項にない限りは請求が認められません。

    建物の賃貸借契約

    ①期限(1年以上―定期借家権を除く) ②用途の制限 ③譲渡転貸の禁止 ④家賃、敷金などは最低限決めておきましょう。賃貸人の権利を強化するために造作買取請求権の排除や、契約解除時の明渡遅延相当損害金額を、賃料相当額の2倍にする等の事項を盛り込む場合もあります。
    造作とは、建物に取り付けられたもので、建物をより使いやすくするものを指します。具体的には、ガラス戸、雨戸、ふすまや障子、畳、電気・ガス・水道の設備などが含まれます。借主が、貸主の同意を得て設置した造作や、貸主から買い取った造作は、借主が賃料を支払わない等の契約不履行によらずに契約が終了した場合は、借主は貸主に対して造作の買取請求をすることが可能です。
    この場合の買取価格は、問題となる造作の客観的な時価です。しかし、具体的な価額は明らかではないことから、後の紛争を防ぐために、貸主側はあらかじめ特約で買取請求権を排除しておくことができます。

    借主の賃料不払いなどで建物賃貸借契約を解除した場合には、契約解除以後の明渡遅延相当損害金の額を、賃料相当額の2倍にする等の特約を盛り込んでおくことで、借主の居座りを防いで、早期の建物明渡を実現させることができます。但し、あまりにも高額の明渡遅延相当損害金を設定すると、契約条項自体が無効と判断される場合もあるので注意しましょう(2倍程度ならば有効と判断されます)。

    せっかく契約条項を定めても無効とされる場合があるか?

    契約条項を定めても、借地借家法等の強行法規に反する規定、借地人に一方的に不利な規定は、無効とされる場合があります。
    具体的には、「賃料の支払いを1回でも遅滞したら契約解除できる」、「契約解除後は、賃貸人が建物内の物を排除して明渡を強行でき、後日、明け渡し費用を請求できる」等の規定や、法外な更新料を定める規定等は、無効とされます。
    貸主側の便宜を図るために、貸主に対して合理的な理由のない負担を課す条項は、後々紛争の元になりかねません。契約条項について不安がある場合は、事前に弁護士など専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、不動産賃貸借契約の書式の確認や、契約条項のアドバイスなどを、依頼者の事情に応じてご提供できます。土地・建物の賃貸借契約についてお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 借家人が契約内容と違う目的で建物を使っているが…

    私はマンションオーナーです。マンションの一室を借りている借家人が、旅行会社の事務所として部屋を使用しています。建物賃貸借契約を解除することはできますか。

    借主(賃借人)は賃貸借契約で定められた用法にしたがって建物を使用収益すべき義務があります (民法616条、同法594条1項)。そこで、賃借人に用法違反があり、それによって賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊されていると認められる場合は、賃貸借契約を解除することができます。
    信頼関係が破壊されているかどうかの判断は、会社や事務所としての使用形態、顧客など来訪者の有無や程度等、ケースバイケースで個別の具体的な事情も考慮して判断されることになります。

    契約解除は簡単にはできない。

    売買契約など、一般的な契約においては、契約違反があれば「契約不履行」として契約を解除することができます。しかし、賃貸借契約を解除する場合は、「契約不履行」に加え、「契約不履行により賃貸人・賃借人間の信頼関係が破壊された」という事情が必要です。
    賃貸借契約は、長期にわたる関係を前提とした信頼関係を基礎とする契約であること、解除された際の賃借人側の不利益が非常に大きいこと、と言った事情から、貸主の解除権が制限されているのです。

    用法違反をしている賃借人はどのような場合に追い出せるか?

    主(賃借人)は賃貸借契約で定められた用法にしたがって建物を使用収益すべき義務があります。賃借人が、用法に従って使用する義務に違反した場合には、以下のような効果が生じるとされています。

    • 賃貸人は、賃借人に用法違反行為を停止することを求めることができる
    • 用法違反により、賃貸人が損害を被った場合には損害賠償を請求できる
    • 用法違反を理由として、賃貸借契約を解除できる

    但し、最後の点については、軽微な用法違反に止まる場合には認められず、用法違反が信頼関係の破壊に至る場合に解除を認めると考えられています。具体的には、アパートの部屋で楽器の使用を禁止していた場合でも、1度や2度、演奏したというだけでは通常、有効に契約を解除することはできません。賃貸人が何度も注意し、隣近所に多大な迷惑が掛かっているにもかかわらず賃借人が応じないような倍位には、解除も認めると考えられます。

    他には、契約段階で認めていなかった風俗営業等を行った場合や、住宅用として賃下にもかかわらず店舗や事務所として使用した場合にも用法違反にあたり、契約を解除することができます。ただし、この場合に信頼関係の破壊に至っているかの判断は、使用形態や来訪者の有無や程度等の具体的な事情を考慮して、実質的に賃貸人に悪影響を及ぼさない場合には、信頼関係破壊が認められないとして、解除が認められない場合もあります。過去、裁判例では以下のようなケース信頼関係を破壊したものとして認められています。

    • アパートでしばしば徹夜麻雀を行い、騒音のために他の居住者の睡眠を妨げた事例(東京北簡判昭43.8.26判時538号72頁)
    • 賃貸店舗の営業態様を純喫茶から風俗喫茶に変更した事例(東京高判昭59.3.7判時1115号97頁)
    • 使用目的を飲食店として賃貸した店舗で、金融業を営んだ事例(名古屋地判昭59.9.26判タ540号234頁)
    • 2階建て住宅の一部分を賃借した賃借人が8匹ないし10匹の猫を飼育した事例(東京地判昭62.3.2判時1262号117頁)
    • 賃貸家屋が暴力団事務所として使用された事例(宇都宮地判昭62.11.27判時1272号116頁)

    賃料不払いの借主を追い出したい場合は?

    賃料不払いの賃借人に対しては、弁護士名での請求書を、内容証明郵便で送付することが有効です。その後の交渉を弁護士に委任することも可能です。
    詳しくは、「家賃滞納の回収方法」「家賃滞納者の立ち退かせ方」をご覧ください。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、賃借人の用法義務違反の程度だけでなく、性格や言い分等、依頼者のケースに応じて、最善の策をご提案することができます。賃借人のよう法違反等でお困りの際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 家賃滞納の回収方法

    私はマンションオーナーです。今、アパートの一室を中年の夫婦に貸していますが、既に半年分も不払いの状態となっています。立退きを求めることはできるでしょうか。

    賃貸人は、賃料を支払わない賃借人に対して、「未払い賃料の請求」、「賃料不払いによる契約解除と立ち退き請求(明渡請求)」という方法で対応することができます。賃貸借契約の場合、解約条項があっても、一度の不払いにより契約解除することはほぼ不可能です。しかし、支払いを督促したにも関わらず、概ね賃料の未払いが3か月程度続いた場合は、信頼関係が破壊されたと考えられるので、有効に契約を解除することができます。

    家賃滞納者の立ち退かせ方とは?

    建物賃貸借契約は、毎月の賃料を支払ってもらう代わりに、建物を使用させることを内容とする契約です。したがって、賃料の支払いがない以上、貸主側としては契約を解除して建物の明渡しを請求することができます。
    もっとも、明渡しによる借主側のダメージは大きいので、1か月程度の滞納でいきなり出て行ってもらうことは多くの場合不可能です。賃料を支払わない賃借人に出て行ってもらうためには、まずは未払い賃料を請求し、それでも滞納が3か月以上続くような場合に立ち退きを請求することになります。

    ①内容証明郵便を送付し、賃料の支払いを求める

    内容証明郵便とは、郵便として差し出した文書の内容を日本郵便株式会社から証明してもらう郵便方法です。内容証明郵便とは、いつ、どのような文書を、誰から誰宛に送ったかを証明できるので、請求に関する後々のトラブルを回避することができます。
    一般的には、配達証明付内容証明郵便で、「本書面到達後、○日以内に滞納賃料○○円を支払って下さい。支払いがない場合は、上記催告期間の経過をもって、本契約を当然に解除します。」と通知します。不動産の賃貸借契約のように、継続的な法律関係が続くことを前提とする契約関係の場合、契約を解除するには、軽微な契約違反があるというだけでは足りず、貸主と借主という当事者間の信頼関係が破壊されたと判断されるような事情が必要とされています(信頼関係破壊の法理)。
    そこで、家賃の滞納を理由として契約を解除する場合には、少なくとも3ヶ月以上の賃料の滞納が必要であり、その支払いを催告したのに全く支払われない等の、賃借人と賃貸人の信頼関係が破壊されているといえる事情が必要です。

    ②賃貸借契約を解除する

    内容証明郵便で督促したにもかかわらず支払いがない場合に、賃貸借契約を解除し、明渡請求をすることが可能になります。
    但し、場合によっては、一定期間内に未払い賃料を払えという催告する手続きをしなくとも、直ちに契約を解除することができる特約(無催告解除特約)が認められる場合があります。この無催告解除特約がある場合、契約の解除通知が借主に到達すると、賃貸借契約が終了することになります。
    裁判例では、無催告解除特約は当然に有効とされるわけではなく、「催告をしなくてもあながち不合理とは認められないような事情が存する場合」にのみ有効とされています。具体的には、1~2ヶ月の滞納を頻繁に繰り返すなど、賃貸人側から解除を前提としたような警告が発せられている場合に、無催告解除が認められると考えられます。

    ③建物明け渡しを請求する

    契約を解除して、賃貸借契約が終了した以上、不動産を明け渡すよう請求することが可能です。しかし、借主が素直に応じるとは限りませんし、行方不明の場合もあります。そこで、建物明渡しを求めるとともに未払賃料を支払うよう求める訴訟を提起し、建物の明渡しと未払賃料を支払えとの判決を取得することになります。あお、未払い賃料の支払や明渡条件を巡って話し合いを持つため、民事調停を申し立てる方法もあります。
    但し、実際に明渡しを求める訴訟を提起し、建物の明渡しと未払賃料の支払いを命じる判決が下されたとしても、それだけでは明渡しを強制できません。実際に明け渡しを実行するには、強制執行手続を取らなければいけません。
    強制執行の申立てには、判決が賃借人に送達されたことを証明する送達証明書と執行文を得て、建物明渡執行の申立と動産執行の申立を行います。

    仮処分の有効性

    明渡訴訟の提起にあたっては、将来の強制執行妨害を防止するため、保全措置を取っておく必要があります。具体的には、賃借人が1年以上賃料を滞納し、無事明渡しを命ずる勝訴判決を得ても、その判決に基づいて強制執行ができるのは、裁判の相手方(被告)になった賃借人に対してだけです。悪質な賃借人の場合、訴訟継続中に秘密裏に建物を第三者に転貸することにより、強制執行を免れる場合もあります。この場合、賃貸人は改めて第三者に対して明渡訴訟を提起しなければならず、二重の負担を強いられてしまいます。
    このような事態を防ぐためには、占有移転禁止の仮処分を申し立てることにより、明渡請求の相手方を賃借人に固定することが有効です。

    このように、仮処分命令は賃借人が貸主に無断で第三者に占有を移転することを防止するという事柄の性質上、原則として、賃借人からの弁明を聴かずに出されます。
    その代わりに、賃貸人は、法務局に一定程度の保証金を預けなければなりません。この保証金は、貸主が明渡訴訟に敗訴し、賃借人が仮処分により損害を被った場合の担保として要求されるもので、問題がなければ後日返還されます。保証金の具体的な金額は、個々の事情によって異なりますが、概ね賃料の1~3か月程度です。

    未払い賃料の回収

    未払い賃料の回収には、明け渡しと同時に「動産執行の申立」を行います。これにより、賃貸物件内の家財道具等を競売によって処分でき、売却代金から未払賃料を回収することが可能になります。具体的には、動産を債権者が一定期間保管し、執行官が動産類を売却して費用等を差し引いた金額を供託した後に、賃貸人は未払家賃を支払えとの判決に基づき、供託金に強制執行をして未払家賃を回収することができます。

    高木光春法律事務所のサービス

    未払い賃料の回収と明け渡し請求は、賃借人の性格や未払いの状況に応じて十分考慮する必要があります。また、仮処分は、訴訟とは別個の手続となるため、賃貸人個人ですべてを行うには相当の労力を要します。高木光春法律事務所では、供託金、弁護士費用等、依頼人の負担を考慮の上、最善の策をご提案します。まずはご相談ください。

  • 正当事由と立退き料

    所有している住宅を人に貸しています。近々、遠方に住んでいた息子夫婦が戻ってくることになったので、できれば賃貸借契約を終了させて、息子夫婦に住まわせたいと考えています。できますか。

    住宅などの賃貸借契約は、ある程度長期間にわたり継続するものであることから、賃借人の生活を保護する必要性が高いとして、契約の解除や更新の拒絶にあたっては特別な取り扱いが定められています。
    賃貸借契約を終了させるには、その旨を賃借人と合意するか、契約更新を拒絶する必要があります。建物の賃貸借の場合、更新を拒絶し、契約を終了させるためには、契約期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に契約を更新しない旨の通知をし、更に更新を拒絶する正当な事由が必要となります。いずれかでも欠ける場合には契約は自動的に更新されます。

    更新を拒絶する場合のやり方とは?

    住まいは生活の拠点であり、移転するには多額のコストがかかるため、法律は賃借人を厚く保護しています。賃貸借契約の期間が満了しても、契約は自動的に更新されてしまいます。これを法定更新と言います。
    賃貸人は、賃借人に出て行ってもらうためには、まず契約期間満了の1年前から6か月前までの間に更新拒絶の意思表示をする必要があり、且つ、「正当事由」が備わっていなければ、更新拒絶の効力が生じません。

    「正当事由」はどんな場合に認められますか?

    正当事由が認められる場合は事情によって異なりますが、賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情や建物の賃貸借に関する従前の経過など、賃借人と賃貸人の建物に対する必要性を比べて、より必要性が高い方を優先させるというものと考えられます。具体的には次のようなものです。一般的に、賃貸人がその建物を必要とする相当な理由がある場合であっても、それだけで正当事由が認められるケースは少なく、多くの場合、正当事由を補完する立退き料の支払い等金銭の給付が求められます。

    • 賃貸人が建物を必要とする事情(賃貸人の資力等)
    • 賃借人が建物を必要とする事情(賃借人の資力等)
    • 賃貸借に関する事前の経緯(賃貸借に至った経緯、権利金、更新料等の支払いの有無・金額、滞納家賃の有無など)
    • 建物の利用状況(代替性の有無等)
    • 建物の現況(建物の老朽化の程度など)
    • 賃貸人による財産上の給付の申し出(立退料の提供)

    正当事由の判断は個別のケースの具体的な事情によって変わるため、過去の事例と同じ状況でも、認められないケースもあります。ご不明な場合は、専門家である弁護士等にご相談ください。

    立退き料とはどういうものか?

    立退き料は、明渡の正当事由を補強する事情として機能しています。そのため、正当事由の内容により金額の大小が左右されます。
    正当事由がある場合に限り、更新拒絶や解約申入れができるとされていますが、実際には「正当事由」だけでこれらが認められることは少なく、賃借人に対する金銭的給付(立退き料)がなされて初めて、更新拒絶等が認められるのが通常です。

    立退き料の相場とは?

    前述のように、立退き料の額は、個別のケースの事情によって定められるので、明確な相場や基準が存在するわけではありません。
    具体的には、立ち退いた後の転居先確保の容易さ等も考慮されるため、店舗用の建物の場合、住居用の建物に比して今後の売上げへの影響等、賃借人が受ける影響が大きいため、立退き料の額も大きくなるのが通常です。また、建物が著しく老朽化していた場合などは、立退き料は安くなるのが一般的です。
    個別の事例における適正な立退き料の額については、過去の事例を参考とすることができます。また、提示金額等によっては、その交渉方法にも工夫が必要となります。立退き料のことでお悩みであれば、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 家賃が安すぎるので高くしたい

    所有している住宅を他人に貸しています。昔からの付き合いということもあり賃料を据え置いてきたため、周りの家賃相場より随分安い賃料になっています。税金の支払いも厳しいので、値上げしたいと思っています。賃料を値上げできますか

    周囲の環境開発や、経済状況に伴う時価の上昇等で、周りの家賃相場よりも家賃が安くなった場合や固定資産税の負担が増えた場合などには、賃貸人は借家人に対して値上げ請求をすることができます。但し、賃貸人は少しでも高い家賃を望みますし、賃借人は少しでも安い家賃を望むので、利害関係が対立する立場にあることから、できるだけトラブルを回避するように値上げ交渉をすることがポイントです。

    家賃を値上げするにはどうしたらいいですか?

    原則として、賃貸借契約期間内の家賃は一定です。
    契約書に「契約期間内の値上げは無い」という条項がなければ、期間内でも値上げ請求をすることはできますが、普通は契約更新時に請求することになります。
    借家人が値上げに応じないが、どうしても家賃を上げたい場合には、簡易裁判所に家賃の値上げを求める調停を起こします。但し、民事調停法24条の2の調停前置主義により、いきなり裁判にすることはできません。
    値上げが認められる条件としては、

    • 土地建物に課せられる税金(固定資産税、都市計画税など)の負担が増えたとき
    • 周辺の家賃相場と比べ、家賃が低い場合
    • 土地建物の価格が高騰したとき
    • 契約書に「家賃の値上げをしない」という特約がないとき

    です。
    調停の際には、上記の条件を調停委員や裁判所が総合的に判断します。

  • 家賃が高すぎるので低くしてほしい

    現在、一軒家を借りています。しかし、家賃が周辺の同等の条件の物件と比較して、かなり高いのです。できれば家賃を減額してほしいと思っています。どうやって交渉したらいいでしょうか。

    実際に家賃減額が認められるかは、現在の家賃が適正な価格と考えられる賃料と比べて「不相当に高額であるか」が最も重要になります。そこで、まず、近隣の同程度の条件の賃料と比較して、家賃が高額であることが分かる資料を集めます。
    実際の交渉方法としては、まずは当事者の間で任意に話し合いを行い、それでもまとまらない場合は、民事調停を申し立てるとよいでしょう。

    賃料の減額はどんな時に認められますか?

    借地借家法では、賃貸人と賃借人との間で家賃減額の合意ができなくても、家賃の減額ができることが定められています。 そのためには、

    • 建物の借賃が、「土地・建物に対する公租公課(固定資産税・都市計画税等の税金)の増減、」「土地建物の価格低下等の経済事情の変動」「近隣の同程度の条件の建物の賃料」などの要因から総合的に判断して、不相当に高額になったこと
    • 前回の家賃改定から相当の期間が経過していること

    が必要とされています。この条件を満たすならば、契約の条件に関わらず、当事者は将来に向かって建物の借賃の増減を請求することができるとされています。つまり、賃借人からも賃料の減額を請求することができます。

    減額交渉、請求の仕方

    家賃の減額を交渉するには、賃貸人または不動産管理会社宛に、賃料を減額してほしい旨の要望を伝えます。
    家賃減額交渉は、賃貸人にとっては家賃収入の減少をもたらすものなので、経済的なメリットはありません。しかし、賃貸借契約は継続的な性質を有するので、適正な賃料額にすることで、賃借人にとってはより長期間入居することが可能となり、賃貸人にとっては安定した賃料収入が得られるという、双方の利益になることを丁寧に説明し、相手との信頼関係を害さないことが重要です。
    当事者間の話し合いがまとまらない場合は、民事調停を申し立てて、賃料の改定を求めることができます。

    高木光春法律事務所のサービス

    賃料を減額したくても、きちんとした証拠を示さずに気分だけで減額請求をしたのでは、減額請求に要する労力や費用かさみ、仮に減額できても返って不利益になる恐れもあります。高木光春法律事務所では、ビルのワンフロアの賃貸借契約の減額請求から、個人の住居の減額請求まで幅広く対応しています。依頼者の状況や希望に応じて、最善の利益をもたらすようにサポートいたします。賃料減額交渉でお悩みの方は、まず高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 家賃増額を求められたが…

    アパートを借りて住んでいます。先日、アパートの大家さんがやってきて一方的に家賃の増額を提示し、値上げした家賃でなければ受け取らないとまで言われました。突然のことで困っています。どうしたらいいですか。

    賃貸人から提案された家賃の増額に納得できないからといって放置しておくのは得策ではありません。賃借人は相当と考える賃料を供託することで、賃料不払い(債務不履行)の責任を逃れることができます。
    なお、賃貸人から賃料増額請求がなされ、裁判上これが確定した際は、増額請求の時点からの差額を支払う必要があります。

    家賃増額にどのように対処するか?

    賃貸人から提案された家賃の増額に納得できないからといって、家賃を支払わないで放置しておくと、賃料不払い(債務不履行)を理由に賃貸借契約を解除されるおそれがあります。家賃の受け取りを拒絶されたからといって、支払わないでいることは禁物です。
    この場合、賃借人としては、従前の家賃(相当と考える家賃)を法務局に供託することで、家賃を支払ったと同じ効果を得ることができます。但し、供託には、賃貸人が家賃の受領を拒絶したことが要件となるので、受領拒絶の事実を明確にしておく必要があります。

    供託はどのようすればいいか?

    供託は、家賃の支払う場所を管轄する法務局で行います。法務局に備えてある供託書に、借主(供託者)と家主(被供託者)の住所・氏名、供託金額、借家の所在地、供託する家賃が何月分であるか、供託の事由などの事項を記載します。また、供託書のほかに、法人で不動産を借りている場合は資格証明書、代理人が申請する場合は委任状など、必要書類の提出が必要です。そのうえで、従前の家賃(相当と考える賃料)を供託します。なお、供託は解決するまで供託します。

    供託すると、法務局から賃貸人に供託通知書が郵送されるので、賃貸人は家賃が供託されたことがわかります。供託を行うと、賃料を直接賃貸人に支払った場合と同様の効果が生じ、債務不履行の問題は生じません。
    賃貸人は、賃料を供託された場合に、「新賃料の一部として受け取る」という形で、還付請求することができます。その後の裁判で賃料の増額が認められた場合は、賃借人は供託した金額の不足分に年1割の金利を支払うことになります

    高木光春法律事務所のサービス

    供託は、個人で法務局に出向いて手続きをすることも可能です。しかし、供託事由の説明や、供託金額の妥当性などの判断には、専門家のアドバイスが役に立つことも少なくありません。また、当事者間で話しあいがまとまらなかった場合に備えて民事調停や裁判に備えておく必要性もあります。高木光春法律事務所では、依頼者の個別の事情に応じて、供託やその後の調停・裁判まで、幅広いサポートを行っています。賃料増額でお困りの際は、高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 賃借建物の修繕は誰がやるか?

    一軒家を借りました。ところが、元からついていたドアが壊れていて鍵を書けることができません。防犯上、すぐに修繕したいのですが、このような場合、誰が修繕するのですか。

    建物など不動産の賃貸人には、賃借人が問題なくその不動産を使用するために必要な修理をする義務があると、民法で定められています。そこで、一軒家を借りたけれどドアが壊れて鍵がかけられない等の場合においては、原則として、賃貸人が修繕することになります。賃貸人が修繕をしない場合は、賃借人自身がこれを行い、要した費用を「必要費」ないし「有益費」として請求することも可能です。

    賃貸人の修繕義務の内容

    不動産の貸主には、借主が支障なく部屋を使用するために必要な修理をする義務があります。この点、民法では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています(606条1項)。
    具体的な修繕のケースとしては、天井から雨漏りがする、ドアに鍵がかからない、給湯器が壊れるなど電気・ガス・水道の設備が使えない等の場合がありあます。
    このような場合、原則として、賃借人は賃貸人に修理を請求できますが、賃貸人が応じてくれない場合には、賃借人自らが修理をして、その費用を家主に請求することも可能です。
    借りている物件を、使用に適した状態に維持・保存するための費用を「必要費」といいますが、賃貸人はこの必要費をすぐに賃借人に返さなければならないと民法で定められています。なお、借主が支払った費用を家賃から差し引くといった対応をとることも可能です。

    但し、全てのケースで修繕をしなければならないわけではありません。破損・故障等により、賃貸借契約の利用ができなかったり、著しく支障が生じる場合にのみ、修繕義務が生じるとされています。従って、水道のパッキングのすべりや障子の張り替えなどの修繕は借家人の側に修繕義務があるとされています。また、賃借人自身が損壊した場合は、賃貸人は修繕する義務はないといえるでしょう。

    修繕義務を借家人に負わせる特約の効力

    賃貸借契約の中に、「修理費用は借主の負担とする。」という特約が定められている場合には、このような特約も原則として有効とされています。このような場合には、賃借人が修繕費用を負担しなければなりません。
    但し、この特約は、通常予想される修繕だけに留まると考えられます。具体的には、地震や水害等で建物を修繕する必要が生じたときは、賃貸人が修繕すべきと考えられています。家賃は通常の金額、またはそれより高額に設定しているのに、大規模な修繕費用を賃借人の負担とする特約が付されている場合等は、そのような契約自体が無効とされる可能性があります。

    高木光春法律事務所のサービス

    賃貸借不動産の修繕が必要な場合は、ケースによって様々です。賃料や具体的な修繕箇所・状況等に応じて、検討する必要があります。高木光春法律事務所では、依頼者の個別の事情に応じて、賃貸借契約のトラブルに幅広く対応しています。賃借不動産の修繕など、不動産トラブルでお困りの際は、高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 借地権の売買

    土地を借りて、その上に住居を構えて住んでいます。この建物をほかの人に譲って、引っ越しをしたいと考えています。自由に譲ることはできますか。

    借地上の建物を他人に譲る場合、建物と土地の使用権(借地権)を切り離して譲渡することはできません。そのため、地主に無断で土地の利用者を変更することには問題があります。法律上、無断で賃借権を譲渡したり土地を転貸したりすると、地主である賃貸人は契約を解除できると定められています。

    借地権は自由に売却することができるか?

    借地人は、賃貸人の承諾を得なければ、借地権を売却したり、賃貸物を転貸することはできないと民法で規定されています。これに違反すると、賃貸人に賃貸借契約を解除される恐れがあります。
    これは、借地関係は非常に長期にわたることが通常なので、当事者間の信頼関係が非常に重要な要素になるからです。賃貸人側から見ると、信用できると思って貸した相手が、いつの間にか見ず知らずの資力のなさそうな人物に賃借権を譲られると、借地料の回収等に困る事態に陥る危険もあります。

    賃貸人が承諾しないと借地権は譲渡できないのか?

    賃貸借契約の際に、自由に賃借権を譲渡できる旨を定めていた場合は、承諾は必要ありません。その場合は、一般的に、契約時に多額の「権利金」が授受されることが多いようです。
    また、建物を売却する等、借地権を譲渡したいのに、賃貸人に拒否された場合、借地人の変更が賃貸人の不利にならないのであれば、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求めることで、借地権の譲渡をすることが可能です(「借地非訟手続」と言います)。なお、「借地非訟手続」を利用できるのは、「借地」の場合のみであり、「借家」の場合は利用できません。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、借地権を巡るトラブルについて、賃借人の方の代理人として交渉を行ったり、借地非訟手続の申し立てをするなど、借地権譲渡の目的を達成するために幅広いサポートをご提供しています。借地権のことでお悩みの際は、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 借地上の建物の建替え・増改築

    土地を借りて住居を構え、長年生活してきました。しかし、建物が随分古くなったので、建て替えか、増改築を検討しています。どのような手続きが必要ですか。

    自分の建物を建て替えるのは自由なのが原則ですが、地主との契約内容に抵触する場合は一定の制限を受けます。通常、借地契約の場合、契約上、建替え・増改築には賃貸人の承諾を要するということが、契約内容に記されています。その場合、賃貸人の承諾を得るため、交渉を行う必要があります。

    地主の承諾は必要か?

    借地契約には、「賃借人は、賃貸人の承諾なしに増改築をしてはならない」という条項が定められているのが一般的です。なぜなら、賃貸人側から見ると、賃借人が自由に建替えや増改築を行うと、それだけ賃貸人自身による土地利用が妨げられ、借地権を強固なものとしてしまうからです。
    とはいえ、建物は老朽化するものですし、年月の経過により家族構成の変化などから、建物の間取りや仕様を変更しなければならない場合もあり得ます。にもかかわらず、一切、借地上の建物だからと言って、建替えや増改築ができないとすると、賃借人側は大きな不利益を被ることになります。
    そこで、賃借人側と賃借人側のバランスを図るために、賃借人側が承諾料の支払いを提示し、賃貸人との間で合意のうえで、建替えや増改築を行うのが通常です。

    地主の承諾が得られない場合の対処方法

    賃借人が建替えや増改築をしたいのに、賃貸人が拒否する場合、裁判所に、「地主の承諾に代わる許可」を求める、「借地非訟手続」という制度を利用することができます。借地非訟手続の申立ては、増改築を始める前に、増改築の種類や規模、新しい増改築の構造、使用の目的、借地権の対象土地、現存する建物などを添付して行います。
    申立がなされると、裁判所は、種々の事情を考慮して、申立が相当と認めるときは、「地主の承諾に代わる許可」を賃借人に与えます。
    但し、その際は、承諾料に代わるものとして、賃貸人に対する一定額の金銭の支払いが命じられるのが通常です。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、借地上の建物の増改築でお困りの方のために、賃借人の方の代理人として交渉を行ったり、借地非訟手続の申し立てを行うなど、依頼者の最善になるようなサポートを行っています。借地の賃貸人との交渉が難航している場合などは、ぜひ一度、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 名義書換料(承諾料)について聞きたい

    土地を借りて家を構えていますが、ずいぶん老朽化してきたので、更地にして新たな家を建て、借地権付きでほかの人に売却することにしました。地主に相談したところ、「名義書換料」と引き換えに建替えと借地権譲渡を承諾するといわれました。名義書換料とはなんですか。名義書換料を払わなければ絶対に増改築はできないのでしょうか。また、名義書換料の相場はどのくらいですか。

    通常、借地契約では、借地権の譲渡や建物の新築・増改築をする際には、地主である賃貸人の承諾が必要とされています。名義書換料とは、その承諾の代価として支払うものをいい、一般的な慣習といえます。
    なお、賃貸人が承諾しない場合、裁判所に対し、「承諾に代わる許可」を求めることができます。

    なぜ名義書換料の授受がなされるのか?

    法律上、賃貸借契約においては、無断で賃借権の譲渡や転貸は禁止され、別途契約で、無断で建物の増改築をすることは禁止されているのが一般的です。これは、賃貸借契約は通常長期にわたることが想定されているため、賃貸人側から見ると、建物の増改築により契約終了が遅くなり、自身で土地を活用できなくなることを意味するからです。また、信頼関係を有しない第三者に借地権が譲渡されたり、増改築がなされたりすると、借地管理に支障を来す恐れも否定できません。
    但し、賃貸人側にとっては、増改築や賃借権譲渡がなされても、それに見合うメリットがあれば、借地権の譲渡等を認めても問題ありません。名義書換料は、このような借地権の性質から交付されるものと言えます。

    名義書換料の相場とは?

    名義書換料の「相場」は、地域や諸般の事情によって変わりますが、概ね以下のように言われています。最終的には、当事者間の話し合いによって決められます。

    種類 内容 相場
    賃貸借譲渡、
    転貸承諾料
    賃借人が、賃借人としての地位(賃借権)を第三者に譲渡したり、自分は賃借人の地位に留まったまま第三者に転貸する際に授受されるもの。 借地権価格の10%程度。
    借地権割合は、路線価図に記載がある。
    建替え、
    増改築承諾料
    借地上の建物の建替え・増改築時に授受されるもの。 更地価格の3%程度。具体的な料率は、従前の建物と新建物との間に、規模、用途、構造、床面積等につき変更があるか、増改築の場合はその規模等に応じて、決められる。
    借地権の
    条件変更承諾料
    例えば木造建物(非堅固建物)から鉄筋コンクリートの建物(堅固建物)に変更する場合など、借地条件を変更する場合に授受されるもの。 更地価格の10%程度。

    賃貸人が借地権の売買を承諾してくれない場合の対処方法

    借地県の譲渡等を賃貸人が承諾してくれない場合は、賃借人は、裁判所に対し、「代諾許可」(借地権設定者の承諾に代わる許可)を求めることができます。裁判所は、賃借人からの申立てを受け、賃貸人と賃借人の双方から事情をきき、賃借人の申立が相当と認めるときは、借地権譲渡等の許可を与えます。
    このとき、裁判所は、賃貸人側にも配慮し、承諾料に相当する金銭の支払いと引き換えに、賃借権譲渡や建替え・増改築等を許可します。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、借地権の譲渡等でお困りの方のために、賃借人の代理人として交渉を行ったり、借地非訟手続を申し立てて借地権譲渡をはじめ、依頼者の事情や要望に応じて最善の利益に資するようなサポートを行っています。借地権を巡って賃貸人との交渉が難航している場合などは、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 更新料の支払義務はあるのか?

    30年の借地契約期間が満了しました。地主から借地契約を更新するなら、更新料を払えと言われています。地代もきちんと払っているのに、更新料も支払わなければいけませんか。

    更新料とは、借地期間が満了したときに、その契約の更新に際して、借地人から地主に支払われる一時金のことをいいます。
    更新料の法律上の支払義務はありません。借地契約で、更新料についての定めがなければ、地主から請求されても支払う必要はありません。更新料が、相当といえる金額であれば、更新料の支払いに応じて、合意による更新契約を締結するのが一般的ですが、更新料が不当に高額な場合は交渉の余地があるでしょう。

    更新料はどういう性質のものか?

    更新料の性質については、一般的には、不足賃料の一括前払いや、更新拒絶しないことについての対価などと言われます。
    慣習として地主が更新料を請求することも少なくありませんが、借地契約の期間が満了しても、建物が存続している限り、地主に正当な事由がなければ借地契約は同一条件で法定更新されるので、更新料を支払わなければ借地契約が更新されずに終了するということはありません。
    判例では、地主の請求があれば当然に更新料支払義務が生ずる慣習法は存在しない、と判断されていますし(最判昭和51.10.1)、借地契約の内容に更新料の支払いが含まれている場合でも、その金額が法外なものであれば無効となることもあります。
    したがって、更新料支払の合意がないときは、地主から請求されても借地人に更新料支払の義務が生じるわけではありません。但し、更新料支払の合意をしたときは、その金額が法外なものでない限り、支払合意は有効と考えられています。

    なお、更新料の金額・相場は、借地契約で、具体的な金額や算定方法が決まっていれば、それに従います。ただし、賃借人に一方的に不利な内容であれば、無効となる可能性があります。「当事者双方の協議に基づき金額を決める」等の約定がある場合は、協議により決定しますが、更地価格の3~5%が一般的です。

    地主から更新料を請求された場合の対処方法

    地主である賃貸人から一方的に更新料の支払いを求められても、支払う必要はありません。まずは、借地権の契約に、更新料に関する特約があるかを確認することが第一です。仮に特約がなくとも、支払を一切拒絶することが常に適切とはいえません。賃貸人との関係は長期にわたり続くので、賃貸人との協議の中で、円満な更新のために合意を図ることも重要です。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、更新料に関するトラブルについても対応しています。更新料に関するトラブルは、賃貸人と賃借人の関係を悪化させがちです。当事者だけの話し合いによらず、間に弁護士が入ることでスムーズに合意に至ることが期待できます。更新料を巡るトラブルでお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 借地契約終了時の建物買取請求権

    借地上に家を構え、生活してきましたが、この度借地契約が満了することになりました。家族も増えたので、これを機会に借地契約を終了させたいと思っています。家はまだ十分使えるので、地主さんに買い取ってもらうことはできるでしょうか。

    建物買取請求とは、借地契約が借地人による契約不履行以外の理由で終了した場合に、賃借人が賃貸人に対し建物を買い取ってもらうことをいいます。
    造作買取請求とは、賃貸借契約の期間中に、賃借人が建物等の賃借物に取り付けたもの(造作)を、賃貸人に買い取ってもらうことをいいます。

    借地契約が終了した場合、賃借人は借地を現状に戻して返還しなければならないのが原則です。しかし、この原則に基づいて土地上の建物を取り壊して返還しなければならないとすると、契約終了と同時にまだ使える建物を取り壊さなければならず、賃借人にとっても社会経済的にも大きな損失となります。他方で、賃貸人が、建物を無料で利用できるとすると、賃貸人に合理的な理由のない利益を受けさせることになります。
    そこで、借地借家法では、借地契約に基づいて建物が建築された場合で、借地契約が更新されず終了する場合に、賃借人からの請求により、建物を時価で地主に買い取らせて建物を存続させることで、利益のバランスを図ろうとしています。
    建物買取請求権は、特約により排除することができない、賃借人の利益を守るための強力な権利といえます。
    なお、具体的には、賃借人が建物買取請求権を行使した時点で、賃貸人との間で建物の売買契約が成立することになります。

    建物買取請求権における「時価」とは?

    建物買取請求権における「時価」とは、建物が現存するままの状態における価格のことをいいます。建物を取り壊した場合の動産としての価格ではありません。また、敷地の借地権の価格は加算すべきではないが、この建物の存在する場所的環境は参酌すべきとされています(最高裁昭和35年12月20日判決)。

    借家人の造作買取請求権とは何ですか?

    造作とは、借家人が建物に取り付けたもので、建物をより使いやすくするものをいいます。具体的には、畳、ガラス戸、雨戸、ふすま、障子、電気・ガス・水道の設備、飾戸棚などがあります。エアコンなど取り外しができるものは含まれません。
    賃貸人の同意を得て取り付けた造作の場合は、賃借人の契約不履行以外の理由で契約が終了した後、賃借人は賃貸人に対して買取を請求することができます。買取価格は、その造作の客観的な時価ということになります。
    但し、造作買取請求権は特約により排除することができます。賃借人側の立場にある方は、契約書を最初によく確認しておくことをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、建物買取請求・造作買取請求更新料に関するトラブルについても対応しています。これらの買取り請求は、当初の契約と併せて、適正な時価を算定して請求する必要があります。建物・造作買取請求でお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 敷金・礼金・保証金とは

    マンションを借りることになったのですが、礼金と敷金がかかります。そもそも、礼金や敷金とはなんですか。

    敷金とは

    敷金とは、賃料の支払いが滞った場合や、借りた家を返すときに修繕費用が必要になる場合に備えて、貸主に預けるお金のことをいいます。
    賃貸借契約が終了し、家などを貸主に返したときに余ったお金があれば、貸主から借主に返してもらうことになります。家を明け渡す際に敷金で支払うことが必要となる修繕費用の範囲については、賃貸借契約書ではっきりさせておくことが必要です。
    実務上は、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関して生じるトラブルを防ぎ、紛争を解決するために、国土交通省が策定・公表した原状回復に関するガイドラインを尊重して、原状回復義務の範囲が判断されます。

    礼金とはなんですか?

    礼金とは、家を貸してもらうお礼として、賃借人から賃貸人に支払うお金のことをいいます。お礼のお金ですから、礼金は、返ってくることが予定されていません。戦後の住宅不足の際、立場の弱い賃借人が家を貸してもらうお礼として賃貸人に支払った金銭の名残ですが、住宅過剰の今日では、礼金0円を謳う賃貸建物も多くなっています。礼金の相場は、建物の性質等によりますが、概ね賃料1、2か月分と考えておくとよいでしょう。

    保証金とはなんですか?

    保証金とは、「建設協力金」などと称して授受されることもあり、敷金と礼金を兼ねたお金ということができます。賃貸借契約期間中に、賃料の不払い、賃借物の損壊など、賃借人に債務不履行があった場合に備えて賃貸人に預けるお金として、敷金と同様の機能を果たしますが、同時にお礼金としての側面も持ちます。したがって、契約終了時に礼金部分は返ってきませんが、敷金部分は家を明け渡した際に残額があれば戻ってことがあります。
    保証金については、償却の定めがあったり、返還時期について特別の定めを置く場合があります。

    保証金が使われる場合とは?

    近年、事業用の建物を中心に、敷金ではなく、保証金として一定の金銭を賃貸人に預けるケースが増加しています。
    保証金は、「建設協力金」などと称して授受されることがありますが、「建設協力金」とは、地主がビルを建設する際に、その建設資金の一部をテナントから借りて建設資金に充てる際の金銭のことをいいます。そのため、建設協力金としての保証金は、担保というよりは借入金に近い性質を有していますが、金利の定めなく授受されることも多く、賃貸人側から見ると有利に利用することができます。
    また、このような性質の保証金の返済期限は、敷金のような「明渡時」ではなく、「10年」等と期限を定め、支払方法も長期の分割払いとするケースが少なくありません。

    保証金の場合、敷金との最大の違いは、賃貸人が変わった場合です。敷金の場合は、賃貸人が変わっても、賃借人は明渡後、新賃貸人に対して敷金の返還を求めることができます。他方、建設協力金としての保証金の場合は、実質的には貸金なので、賃貸人が変わった場合でも、旧賃貸人に対して返還を求めなければなりません。
    このように、敷金と保証金には、機能や性質に大きな相違点があります。

    保証金の「償却」とは?

    保証金の場合、契約更新時や契約終了時に、何割かを「償却する」と定められることがあります。ここで言う「償却」とは「将来的に返さなくてもよい」という意味です。よほど賃借人に不利な条件でなければ、このような特約も有効なものとして取り扱われます。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、敷金・礼金・保証金に関するトラブルについても対応しています。これらの制度は、賃貸借契約の目的(住居用かビルなどの業務用か)や、地域的な慣習によっても異なる場合があります。不動産賃貸借に関して、敷金・礼金・保証金などのトラブルでお困りの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 敷金を返してもらいたい

    アパートの一室を借りていましたが、このたび退去することになりました。しかし、大家さんが、原状回復に費用がかかるなどといって敷金を返してくれません。敷金を返してもらうにはどうしたらいいですか。

    敷金とは、賃貸借契約で、賃借人が家賃を滞納したり、故意や過失で損害が生じたときに備えて、賃貸人が預かるお金のことを言います。このような性質から、原則として、家賃の不払いや損害等の債務がなければ、退居の際に全額が返還されます。
    明け渡しの際に大家(賃貸人)が敷金を返してくれない場合は、まず、賃貸人から、敷金から控除したとする原状回復費用の明細を取り寄せましょう。そして、それらの費目が、敷金から控除できるものかを国土交通省のガイドラインから確認し、その上で文書等により敷金の返還を請求することになります。

    敷金から差し引かれる補修費用等にはどのようなものがあるか?

    敷金は、賃料の不払いや、明け渡し時に修繕費用が必要になる場合に備えて、貸主に預けるお金で、保証金の一種です。建物明渡時に残額があれば返還されます。
    このように、敷金は「賃借人の債務不履行を担保するもの」なので、通常の使用方法による汚れや軽微な破損(自然損耗等)については、月々支払っている賃料により賄われていると考えられるので、賃借人が別途負担する必要はありません。
    但し、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関してトラブルが生じるケースは非常に多いのが実情です。そのため、実務では、国土交通省が原状回復に関するガイドラインを策定、公表しています。
    このガイドラインには法的拘束力がありませんが、裁判所も基本的にはこのガイドラインを尊重しながら原状回復義務の範囲を定め判断しています。
    具体的には、壁紙の張り替え費用などは賃借人が負担する必要はありません。

    敷金を返還してもらうための方法

    ガイドラインに基づいて、返還を強く求めても埒が明かない場合は、まず内容証明郵便により返還を求めるのが一般的です。以下に、敷金返還請求する場合のひな型を参考にあげておきます。

    敷金返還請求書の文例

    敷金返還請求書

    私は、平成〇〇年〇月〇日に下記物件について貴殿との間で賃貸借契約書を締結しました。この契約は、平成○○年○月○日限りで終了し、同建物の明け渡しも既に完了しました。ついては、本契約に基づき、貴殿に預けている敷金の○〇円を本状到着後○日以内に返還してください。
    ( 私名義〇〇銀行〇〇支店普通口座× × × × × × へ、振り込んでください。)_
    「原状回復をめぐるガイドライン」では、家賃滞納や故意・過失による汚損・毀損を除いて敷金は返還することになっています。
    なお、同日までに振り込みがない場合は、法的手続きを考えます。

    物件の表示
    ○ ○ 市○ ○ 町○ 丁目○ 番○ ○ 号
    ○ ○ ○ マンション○ ○ ○ 号室
    平成〇〇年〇〇月〇〇日
    通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号
    氏名○ ○ ○ ○ 印
    披通知人 〇〇市〇〇町〇丁目○ 番○ ○ 号
    ○ ○ ○ ○ 殿

    この請求書は、本人名義の文書でも構いませんが、弁護士名で送付した方が、後日の裁判沙汰を警戒して、相手方が任意に支払う可能性が高まります。請求書を送付してもなお返還に応じない場合は、費用や心理的負担を勘案して、少額訴訟か、民事調停の申立てを検討するとよいでしょう。

    高木光春法律事務所のサービス

    賃貸人側が敷金の返還請求に応じないケースや、必要以上に敷金から支払がされるケースは残念ながら少なくありません。このような場合には、弁護士が代理人として間にはいることで、賃貸人側が裁判沙汰に発展することを恐れて支払いに応じる場合もあります。弁護士費用や時間的労力など、依頼者の事情やご要望に応じた最善の解決方法をご提案いたしますので、お悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 建物を退去するときの原状回復の義務

    マンションを借りていましたが、先日、賃貸借契約が終了しました。賃貸人から原状回復を求められており、天井や壁紙の張り替えも求められていて、やらない場合は、賃貸人が自分でやって敷金から差し引くといわれています。原状回復はどの程度する必要があるのですか。

    賃貸借契約は、一定の対価で一定期間目的物を貸与する契約なので、賃借人は、借りたマンションなどの目的物を保管する義務とともに、契約終了時に借りた時と同じ使用収益状態で返還する義務があります。
    但し、原状回復とは、借りた当時の状態まで戻すことまでは含まれず、通常のしように伴う汚損や損耗等は、賃借人が回復する必要はありません。

    原状回復の内容とは?

    実務では、賃借人が負う原状回復義務の範囲に関して生じるトラブルが多いことから、国土交通省が策定した原状回復に関するガイドラインを尊重して原状回復義務の範囲が定められています。このガイドラインによると、賃借人が負担しなければならない原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物の価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」とされています。
    つまり、通常の使用に伴う汚損や自然損耗等の修繕は、賃借人の原状回復義務には含まれません。具体的には、賃貸人から、天井や壁紙の張り替え、畳の表替え、床の張り替え等を求められても、基本的には賃借人はこれに応じる必要はありません。
    但し、賃借人側の故意や過失による汚損や、通常の使用とはいえない用法による汚損は、原則としてその修繕費用を敷金から控除できるとされています。敷金が、このような理由で修繕に充てられた場合は、敷金の返還は請求できません。

    敷金から原状回復費用を差し引かれてしまったときの対処方法

    敷金から原状回復費用を控除された場合は、その費用が賃借人の原状回復義務の範囲に含まれるか否かを確認することが大切です。
    もし、義務に含まれないものなのに、敷金から控除していた場合は、文書により返還を請求します。これに応じない場合は、民事調停や少額訴訟等の申立てを検討します。返還請求額が少額で、労力や費用をかけたくない場合もあると思いますが、賃貸人も同様なので、スムーズに返還を受けられる場合もあります。

    高木光春法律事務所のサービス

    賃貸人の中には、原状回復に要する費用は敷金からすべて充当し、尚且つ『不足分を賃借人に請求できると考えている人も少なくありません。そのため、賃借人が正当に権利を行使して敷金の返還を請求するのは難しい場合もあるでしょう。そのような場合に専門家である弁護士が間に入ることで、円滑な解決を目指すことができます。依頼者の事情やご要望に応じた最善の解決方法をご提案いたしますので、原状回復や敷金の返還でお悩みの際は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 借地・借家に関する紛争の弁護士費用

    法律相談料

    初回30分 無料
    以降30分ごとに 5,000円+税

    書面作成料

    1通 30,000円~50,000円+税

    内容証明や、訴状、答弁書などの書面作成のご依頼をお受けした場合の弁護士費用です。
    法律相談の結果、書面作成のご依頼をお受けする場合、法律相談料は別途いただきません。
    書面作成の後、事件のご依頼をお受けした場合(例:答弁書の作成のみを依頼したが、その後、代理業務を依頼することになった場合等)、受任事件の着手金は、書面作成料を差し引いた額とさせていただきます。

    借地借家紛争の依頼

    明渡請求事件(消費税別)

    着手金 報酬金
    交渉、調停 200,000円~ 200,000円~
    裁判 300,000円~ 協議による

    明渡を求める場合(貸主側)も、求められている場合(借主側)も、上記の表によります。
    事案の難易、予想される事務量・解決までにかかる時間等を考慮し、適正妥当な範囲の費用をご提案いたします。
    交渉・調停に引き続き、裁判を受任する場合、別途着手金をいただくのではなく、差額分(100,000円+税~)を追加でお支払いいただく形になります。ご依頼の範囲(交渉、調停、裁判)や、報酬金の発生条件については、契約時に十分な協議を行い、明示いたします。

    金銭請求に関する依頼(消費税別)

    経済的利益の額 着手金 報酬金
    300万円以下 8% 16%
    300万円を超え、3000万円以下 5% +9万円 10% +18万円
    3000万円を超え、3億円以下 3% +69万円 6% +138万円
    3億円を超える 2% +369万円 4% +738万円

    承諾料、更新料についての依頼(消費税別)

    着手金 報酬金
    交渉、調停 200,000円~ 原則として、次のとおりとし、事案に応じて協議により調整。
    経済的利益の額
    300万円以下          16%
    300万円を超え3000万円以下   10% +18万円
    3000万円を超え3億円以下    6% +138万円
    3億円を超える。         4% +738万円
    裁判 300,000円~

    承諾料、更新料の支払を求める場合(貸主側)も、求められている場合(借主側)も、上記の表によります。
    着手金については、事案の難易、予想される事務量・解決までにかかる時間等を考慮し、適正妥当な範囲の費用をご提案いたします。
    交渉・調停に引き続き、裁判を受任する場合、別途着手金をいただくのではなく、差額分(100,000円+税~)を追加でお支払いいただく形になります。ご依頼の範囲(交渉、調停、裁判)や、報酬金の発生条件については、契約時に十分な協議を行い、明示いたします。
    「経済的利益」とは、貸主側の場合、現に支払いを受けた金額、借主側の場合、弁護士の代理交渉により減額できたと考えられる金額をいいます。

借金問題過払い金

借金についてのお悩み

  • 借金の返済が大変になってきたら

    借金が多額になってしまったり、多重債務になってしまった場合は、返済が困難な状態になります。そのような場合は、債務整理のプロである弁護士や司法書士に一度相談すると良いでしょう。
    債務整理イコール自己破産と捉えていて、世間体などを理由に債務整理を踏み出せないという人もいますが、問題を早めに弁護士や司法書士に相談することで自己破産以外の方法で債務整理ができる可能性があります。債務整理には、自己破産のほかに過払い金返還請求・任意整理・個人民事再生などがあります。

    特定調停

    裁判所に申し立てをして、調停により借金の返済方法や金額を決め直す方法で、弁護士や司法書士に依頼せずに自分で債務整理を行うときに利用します。

    任意整理

    裁判所を利用せず、貸金業者と直に交渉し、借金の減額や支払い条件の見直しをすることで、借金の返済を少し楽にする方法です。

    個人民事再生

    住宅ローン以外の債務を最高で10分の1まで減額することができ、その減額された借金を3年以内に返済することで残りは免除されるという制度です。

    自己破産

    裁判所が借金の返済が困難で支払い能力がないと認めた場合、全ての借金を免除してもらうことができる方法です。

  • 債務の整理は誰に頼めば良いですか

    債務整理を行える人間は基本的には3人だけになります。それは、弁護士・司法書士・自分のいずれかになります。まずは他人に依頼する場合を見てみましょう。

    弁護士

    弁護士は、示談や訴訟のプロです。ありとあらゆる交渉問題について幅広い知識を有すると共に、広い業務範囲をカバーしております。(無論、人によって強い分野・弱い分野は存在します。)よって、司法書士法が改正されるまでは、債務整理は弁護士の生業の業務でした。

    司法書士

    平成15年4月1日より施行された改正司法書士法の第3条により追加された司法書士の定義は「所定の研修を受け法務大臣の認定を得た上で簡易裁判所における民事訴訟・和解・支払督促等の手続につき依頼者を代理することなどを業とする者」と定められております。この所定の研修を受け法務大臣の認可を受けた司法書士を認定司法書士と呼びます。この簡易裁判所訴訟代理権の付与により、司法書士は訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件につき代理権を有します。つまり、債権者との訴訟価額が140万を超えない場合は、司法書士にも債務整理に関する代行業務を行えます。

    弁護士と司法書士における債務整理の相違点は、140万円以上の過払い金があったかどうかが一番問題となるところです。簡易裁判所における訴訟額の限界は140万円です。つまり、認定司法書士では140万円を超えると訴訟手続ができなくなります。140万円を超えた場合は地方裁判所に訴えなければなりません。そうなると代理権を有しているのは、弁護士のみとなります。しかも日弁連法的サービス対策本部によれば、140万円以下か否かは債権者ごとに判断するのではなく,すべての債権者の総債権額で判断されるとされています。(日司連は1業者あたりの請求額が140万円以内としていますが、判例によれば日弁連の主張する説が有力です。)もちろん、請求額が140万円を超えるかなんて、債務者にはすぐにわかりません。よって相談するのであればまずは、弁護士に相談するのが適当でしょう。140万円を超えてくれば、地方裁判所の管轄となり貸金業者もいやでも弁護士に依頼を求めなければなりません。しかし、裁判は金も時間もかかるから起こしたくないと思うのが普通です。貸金業者も簡易裁判所での裁判はいくらでも行くが、地方裁判所になったら弱気になる業者も少なくありません。弁護士は仮に一人の債務者の請求金額が140万円に満たない場合でも、他の債務者と団体で訴訟したり、自らの弁護士費用を請求金額に乗せて140万円を超えるようにして示談を促すテクニックを使うことができます。
    また、自己破産や民事再生は地方裁判所に申立てを行うことになります。もしこの業務を司法書士に依頼した場合、司法書士には地方裁判所にたつ権利はありませんので、書類作成の代行のみとなり申立ては自分自身で行うことになります。弁護士はこれらの手続にも代理人として出廷することが可能です。また、これらの手続には審尋と呼ばれる裁判官との口頭面談がある場合があります。この審尋が行われると債務者本人では答えられない質問が出てくる場合があります。やはりこの場面を見ても、弁護士に依頼をするのがベターといえるでしょう。
    もちろん、司法書士における債務整理にメリットがないわけではありません。少額の訴訟であれば、弁護士よりも司法書士に依頼するほうが平均的に見れば費用を抑えられるケースが多いようです。

    次に弁護士や司法書士に依頼せずに自ら債務整理を行う特定調停という手続があります。これは裁判所が選ぶ調停委員が債務者と債権者の言い分を聞きながら、話し合いで解決を目指す制度です。裁判所を使った任意整理の手法とも呼べるでしょう。この手続のメリットは、第一に貸金業者からの取立てが止まること、第二に利息制限法における引直し計算をすることができるため債務額が減額できることになります。この制度は平成12年2月17日より施行されている特定調停法により発足し、返済困難に陥っている多重債務者にとっては、それまでの民事調停よりも調停制度が格段に利用しやすくなっている為、現在では多重債務者の調停の大半は、特定調停で行われています。(2011年における特定調停の申立件数は、11,351件)

  • どんな弁護士を選べば良いですか

    実際に債務整理をしたいと思っても、どの弁護士に頼めばいいかわからないという人がほとんどかと思います。ここでは、私の思う弁護士の選び方の基準について触れさせていただきます。
    まず、弁護士には強い分野と弱い分野というのが少なからず存在します。弁護士は幅広い業務範囲を有しているのでこれは当然なことです。例えば、この弁護士は医療訴訟に強いとか刑事事件には弱いとかいうものがあります。では、債務整理に関して強い弁護士を選べばいいのかと思われるかもしれませんが、弁護士にとって債務整理は日常茶飯事で舞い込む案件です。人によって大なり小なり取扱案件数に違いはあるかもしれませんが、債務整理ができないなんて弁護士はほぼいないと思って頂いて構いません。強いて言うならば、大手金融業者との訴訟に関わるような大型の案件を取り扱ったことある事務所がベターであると言えます。
    次に、有名事務所のほうがいいのかという問題です。最近ですと債務整理に関して日本でも有数の某大手事務所が流しているCMを目にされる方も多いかと思います。もちろん大手事務所には多くの人材が揃っていますし、それだけ取扱の案件数が多くなるので実績もあります。しかしながら、大手の事務所はそれだけの案件をいっぺんに処理していかなければならず、手続としてはその人その人に合った解決策を探していくというよりは、その人の案件を自事務所の手続ラインに乗っけて処理をしていくような場合もあります。なのでぞんざいに扱われたと思われてしまう方も少なからずいるかもしれません。また、広告費にお金をかけている関係上、依頼費用も他事務所と比べて少々割高になる可能性があります。小さい事務所は小回りがききますし、大きい事務所はブランド力と実績を持っています。この辺は、一般企業ともさして変わりはないと思います。
    以上が弁護士選びの基準や大小による違いですが、次に実際に依頼をする上で必ず確認できなければならないものを挙げます。
    まず、料金体系が明確であることです。債務整理を行う人がその手続にいくらかかるかわからない事務所に依頼をしたいと思うはずありません。債務整理に関しては、明確な料金体系以外に成功報酬として案件を請け負う場合もありますので、そのあたりも意識して事務所を選んでください。
    次に、相談後の連絡が迅速であることです。整理手続なんて早く終わるにこしたことはないわけですから相談を行った後に連絡をなかなかよこさないような事務所は依頼を取りやめするのが賢明かと思います。
    債務整理の相談に関しては初回無料を謳っている事務所が多くあるので、色々な事務所を見るのもひとつの手かと思います。

  • 借金の取り立てが辛いのですが

    借金の問題で相談が多いのが、やはり消費者金融業者からの取り立てで精神的に追い詰められている問題です。消費者金融業者からの取り立ては少なからず正常な判断能力を奪ってしまうケースが多いです。しかし、消費者金融業者からの取り立ては確実に止めることができます。

    貸金業法21条1項9号は「債務者等が、貸付けの契約に基づく債権に係る債務処理を弁護士若しくは弁護士法人若しくは司法書士若しくは司法書士法人に委託し、又はその処理のため必要な裁判所における民事事件に関する手続きをとり、弁護士等又は裁判所から書面によりその旨の通知があった場合において、正当な理由がないのに、債務者に対し、電話をかけ、電報を送達し、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は訪問する方法により、当該債務を弁済することを要求し、これに対し債務者等から直接要求しないよう求められたにもかかわらず、更にこれらの方法で当該債務を弁済することを要求すること。」を禁止しています。

    このため、多重債務者が弁護士や司法書士に債務整理を依頼し、弁護士や簡易裁判所の訴訟代理権を有する司法書士が介入通知を出すと、消費者金融業者の債務者に対する直接の取立てが止まります。また、債務者自身が、調停・個人再生手続・自己破産などの手続きをとった場合も消費者金融業者からの取立ては止まります。消費者金融業者の取立てが止まれば、多重債務者はもう借金返済の為に新たな借金をする必要がなくなります。

    執拗に暴力的・脅迫的な取立てを繰り返す消費者金融業者に対しては、裁判所に対し暴力的・脅迫的取立ての禁止を求める仮処分の申請ができます。また、暴力的・脅迫的な取立てを行う消費者金融業者に対しては、裁判所に慰謝料の支払いを求める訴訟を提起することができますし、貸金業法違反や暴行罪、脅迫罪などで刑事告訴することもできます。さらに暴力的・脅迫的な取立てを行う消費者金融業者に対しては、貸金業の業務停止や登録取消を求める行政処分の申し立てができます。

  • 相談からご依頼までの流れ

    債務整理はもちろんですが、案件によって処理方法が異なります。よってお客様と綿密に打ち合わせをすることで、その方々に最も適した債務整理の方法を探していくのが重要となってきます。信頼のおける相談から依頼までの手続をご説明いたします。

    ① 相談の予約

    まずは電話にて相談のご予約をお取りください。その際に、現在の債務状況(債権者数や債務総額等)を教えていただければ、今後の手続がスムーズに進んでまいります。持参していただくものについては、電話口で都度説明させていただきます。

    ② 事務所でのご相談

    事務所に御来所頂いた上で、弁護士と面談を行わせていただきます。せっかくご訪問いただいているので、わからないことは何でも仰って頂ければ、法律のプロとして迅速かつ丁寧な対応を心がけてご回答させていただきます。

    ③ 手続きを依頼

    相談を行わせていただいた上で、お客様が依頼しようとご決断してくだされば、依頼のほうを引き受けさせていただきます。お客様に依頼内容や解決見込みなどが明確にわかるように債務整理費用の見積り・お支払い方法・契約書等を明確にしてわかりやすい対応をさせていただきます。
    もちろん相談したら依頼するのは強制ではございません。債務整理に関しては初回無料相談を行っている事務所が多数存在するので、色々な事務所で相談を行って自分に合った弁護士事務所を探していただくことも当然可能です。

    ④ 貸金業者への連絡

    各債権者に,弁護士が業務を受任した旨を,文書にて通知します。(受任通知と呼ばれる文書です。)
    この受任通知を貸金業者に送付した時点で、取立てが一旦ストップされます。
    その後、債権者にお客様の債務取引内容がわかる取引履歴の記載された書類を請求します。

    ⑤ 利息制限法による再計算

    各債権者から取り寄せた取引履歴をもとに、利息制限法に基づいた再計算を行います。これを行うことでお客様の債務の総額を確定させます。この計算は、各債権者からの取引履歴が取り寄せられてから始められるものになりますので、計算確定までの期間にはお客様によってバラつきがあります。

    ⑥ 方針の打ち合わせ

    再計算の額を踏まえたうえで、弁護士から手続に関するご提案をさせて頂きます。手続には任意整理・個人再生・自己破産があり、お客様に最も適した方針をご提案させていただき、最終的な方針決定をさせて頂きます。

  • 解決のための色々な方法

    債務整理をするときには下記の4つの方法があります。

    任意整理

    裁判所などの公的機関を利用しないで、私的に直接消費者金融業者と和解交渉をして債務整理をすることをいいます。この任意整理をという方法を使えば裁判所を使用せずに債務の整理が可能になります。
    自ら債権者と交渉するのは非常に難しいため、普通は、弁護士や司法書士に手続きを依頼して、利息の再計算や支払方法変更の交渉をしてもらいます。利息の再計算をすることにより借金残額の減少が見込まれます。

    個人再生手続

    住宅ローン以外の債務を最高で10分の1まで減額することができ、その減額された借金を3年以内に返済することで残りは免除されるという制度です。個人再生という手続きを利用すれば、自宅を残して債務を整理することが可能になります。
    申立手続が困難たため、弁護士や司法書士に依頼する場合が多い方法です。この方法を利用するためには、住宅ローンを除いた借金が5千万円以下で、将来的に一定の収入が見込める等の要件があります。

    特定調停

    裁判所に申し立てをして、調停により借金の返済方法や金額を決め直す方法で、弁護士や司法書士に依頼せずに自分で債務整理を行うときに利用します。
    債権者との交渉は調停委員がするので、法律の知識がない人でも可能な方法です。利息の再計算をすることにより借金残額の減少が見込まれ、費用が安く済みます。

    自己破産

    裁判所が主催して債務者の財産を債権者全員に公平に分配し、債権者の公平な満足を確保すると同時に、破産した債務者の債務を整理し、債務者に生活の立て直しと再出発のチャンスを与える制度です。この破産のうち、債務者からの申し立てる破産のことを自己破産といいます。
    土地や家などの資産がある場合、お金に換えて債権者に返すことになります。借金の原因がギャンブルなどの場合など裁判所が認定しない場合は、借金の免除をしてもらえないこともあります。

  • 裁判所を使わなくても債務の整理はできますか

    任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用しないで、私的に直接消費者金融業者と和解交渉をして債務整理をすることをいいます。この任意整理をという方法を使えば裁判所を使用せずに債務の整理が可能になります。

    弁護士や簡易裁判所の訴訟代理権を有する司法書士が債務者からの債務整理の相談を受けた場合、債務額がそれほど多額でなければ、任意整理で債務整理をするのが一般的です。

    弁護士や司法書士が任意整理を行う場合は下記のような順序で行うのが一般的です。

    • 債権者に対する介入通知
    • 債務調査
    • 債務確定
    • 弁済案の作成・送付
    • 債権者との交渉
    • 債権者の同意
    • 弁済の開始

    任意整理では、消費者金融業者に取引経過を調査して、利息制限法に基づいて残債務額を計算した上で、債務者の収入の範囲内で一括弁済又は分割弁済の交渉を行います。

  • 自宅を残して債務を整理することはできますか

    個人再生とは、住宅ローン以外の債務を最高で10分の1まで減額することができ、その減額された借金を3年以内に返済することで残りは免除されるという制度です。個人再生という手続きを利用すれば、自宅を残して債務を整理することが可能になります。

    個人再生手続は、債務額が5000万円以下の個人で、将来において一定の収入を得る見込みのある個人が利用できます。この手続きでは、申し立てた本人が破産者になるわけではありませんので、自己破産のような資格制限もありませんし、住宅ローン特別条項を利用すれば住宅を手放さなくても済みます。

    個人再生手続には、債権者の消極的同意を必要とする「小規模個人再生手続」と、債権者の同意を必要としない「給与所得者等再生手続」の2つがあります。

    小規模個人再生手続

    個人債務者のうち、将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがあり、かつ再生債権の総額が3000万円を超えないものは、申し立てることができます。

    給与所得者等再生手続

    小規模個人再生の申し立てが可能な債務者のうち、定期収入を得る見込みがある、かつその変動幅が小さいと見込まれるものは、申し立てることができます。

  • 特定調停とは何ですか

    特定調停とは、裁判所に申し立てをして、調停により借金の返済方法や金額を決め直す方法で、弁護士や司法書士に依頼せずに自分で債務整理を行うときに利用します。調停では、裁判所が選ぶ調停委員が債務者と債権者の言い分を聞きながら、話し合いを進めていきます。

    この制度のメリットは、第一に消費者金融業者からの取立てが止まることで、第二に利息制限法による引き直し計算することができるため債務額を減額することです。

    2000年2月17日より施行されている特定調停法は、返済困難に陥っている多重債務者にとっては、それまでの民事調停法よりも調停制度が利用しやすくなっており、現在では多重債務者の調停の大半は、特定調停で行われています。

  • 自己破産とは何ですか

    破産制度とは、簡単に言えば、裁判所が主催して債務者の財産を債権者全員に公平に分配し、債権者の公平な満足を確保すると同時に、破産した債務者の債務を整理し、債務者に生活の立て直しと再出発のチャンスを与える制度です。また、破産申し立ては、債権者からも債務者からも申し立てることができますが、債務者自らが申し立てる破産のことは、「自己破産」と呼ばれています。したがって、自己破産の中には会社の自己破産もあれば、個人の自己破産もあります。

    自己破産の申し立てをするには破産原因がなくてはなりません。個人債務者の破産原因とは「支払い不能の状態」にあるということです。したがって自己破産の申し立てをした債務者が「支払い不能の状態である」と裁判所が認定したときに破産手続開始の決定がなされます。

    支払い不能の状態

    債権者を満足させるべき財産がないことに加えて、信用及び労力ないし技能によっても金銭を調達することができないことをいいます。また、支払いができない状態が継続的であることも要件です。一時的に手元にお金がないなどは支払い不能とはいえません。

  • ヤミ金からお金を借りてしまったのですが

    ヤミ金融とは、無登録で営業する金融業者、または貸金業登録の有無にかかわらず、出資法の金利規制に違反して、超高利子で貸し付けを行う金融業者のことをいいます。ヤミ金融は、出資法が規制する29.2%を超える利率による利息の契約や支払い要求をしてきます。これらは犯罪に当たりますので、ヤミ金融から借りたお金は返す必要がありません。

    借りた分は返済しなくてはならないと思われるかも知れませんが、民法第708条は、不法の原因で給付を行った者は給付した物の返還請求ができないとするとして、不法原因給付については返還義務がないと定めています。したがってヤミ金融の貸し付けは、上記の貸金業法違反、又は出資法に違反し、不法原因給付に当たり、返済をしなくても良いのです。

    しかし自らヤミ金融に借りたお金は返済する必要がないと言っても納得はしてもらえません。その結果、また脅迫や暴力により付き合いを続けていくことになるかもしれませんので、弁護士に委任してヤミ金融へ連絡をしてもらうのがいいでしょう。弁護士がヤミ金融に連絡をとれば、だいたいの業者は諦めて、本人や職場への連絡は控えることが多いです。

借金問題

  • どのくらいの期間で解決しますか

    以下、あくまでも目安として、ご理解ください (最近は、長期化する傾向にあります)。
    まず、調査に1~2ヶ月かかります。債権者にクレジット会社がある場合は、対応が遅いため、3ヶ月程かかることもあります。
    調査が終了してからは、

    1. 過払い金回収について、交渉解決の場合は、結論が出るまでに1ヶ月、回収はその3~6ヶ月後です(相手方の財務状態が悪いと、回収までに長期間を要します。そういった場合、裁判した方が早いこともあります)。 裁判の場合は、結論が出るまでに半年程度、回収はその数ヶ月後です。 過払い金回収は、刻々と難航化してきており、回収までの期間も、遅延しつつあるのが現状です。
    2. 債務整理の場合、取引履歴の開示を受け、引き直し計算をした後、結論が出るまでに1~2ヶ月です。
    3. 個人再生・破産は、申立に1~3ヶ月、手続が終わるのはその5~6ヶ月後です。
      申立には、必要書類を整えるなど依頼者の方の協力が必要ですので、なかなか協力していただけない場合には、長期化する傾向にあります。
  • 職場や家族に知られてしまいますか

    一般的には、職場や家族に知られずに債務整理をすることは可能です。弁護士には、相談者や依頼者の秘密を守る守秘義務があります。また、報告なども家族に知られないように対策をとっているので、誰にも知られることもなく手続きを進めることができます。

    しかし、自己破産や個人再生手続などの裁判所を利用する方法では、勤務先から支給予定の退職金の証明を取らなければならない場合もありますし、自己破産の決定や再生開始の決定などは官報に氏名・住所が記載されるので、誰かが見てしまう場合があるかもしれません。また、家族の誰かが保証人になっている場合もその方に請求がいくことがあります。

  • クレジットカードが作れなくなりますか

    債務整理の中でも自己破産した場合、法律では規定されていませんが、銀行やサラ金から借金をしたり、クレジットカードの発行を受けることが、5~7年間は困難になります。これは、破産手続が開始されたことが、銀行系・クレジット系・サラ金系の各個人信用情報機関に事故情報として登録されるからです。この点においては、自己破産をしなくても、弁済できなくなれば、事故情報として登録されます。

    債務整理の中でも任意整理をした場合は、整理の対象外の会社であれば情報は伝わりませんし、信用情報機関の記録も5~7年程度で削除されるので、記録削除の後であれば他社での審査は通ることも多いようです。

    したがって、債務整理でも自己破産した場合は、その後クレジットカードの審査に通るのはかなり困難になりますが、任意整理をした場合は、それぞれのクレジットカード会社の対応も異なり、その基準は明確ではないので、審査が通る可能性はあります。

  • ローンを組めなくなりますか

    ローンの審査では、返済力があるかの調査をします。審査基準には、年収とその返済負担率、勤続年数、雇用形態、年齢、健康状態、担保評価額などがあります。ローンの申し込みがあると、その業者はまず信用情報機関というところにデータの照会をします。これには、過去の返済履歴や借り入れ履歴が掲載されています。これらの履歴や収入の状況などを考慮して審査をします。このときに照会した情報に、事故情報などがあると新規のローンは利用できなくなります。事故情報の登録があるというのは、一般的にいわれているブラックリストに載っているということになります。

    したがって、上記で述べたように債務整理の記録が残っている場合は、審査に通ることは困難になります。信用情報機関は複数あり、それぞれに情報を保持する期間が定められています。一般的には、自己破産や再生手続などの情報の場合は、7~10年間は情報が記載されています。

    しかし実際には、ローンが医者によっては、自己破産や再生手続などの情報があった場合でも、ローンの審査に通ることもあります。ただし以前に債務整理をした会社の場合は、困難なことが多いです。

    債務整理を理由に一度住宅ローンの審査に落ちてしまった場合でも、債務整理の情報が記録から消えたタイミングで再度審査を申請すれば、ローンを組める可能性があります。

  • 自己破産すると戸籍に載りますか

    破産手続開始の決定を受けても戸籍や住民票に記載されることはありません。ですから、家族の結婚や就職に支障があるのではないかという心配は無用です。破産者になると、本籍地の市町村役場の「破産者名簿」に掲載されることはありますが、通常の場合は掲載される前に免責許可決定となるため、結局掲載されずに終わることが一般的です。また、この名簿は官報と違って非公開の扱いとなっているため、第三者が勝手に閲覧できるものではありません。尚、破産者が免責事項決定を受けて確定すると、この破産者名簿からも抹消されます。そのため、第三者が戸籍や住民票を入手し、過去の自己破産歴を確認することはできません。

    破産者名簿

    破産者の本籍地にある市町村役場で破産の事実が記載されている名簿のことをいいます。自己破産をした人は「資格制限」を受け入れなければなりませんが、この破産者名簿は公的な身分証明や、資格・免許などを取得する際に申請者が破産者でないか、確認の資料として利用されます。

  • 過去に一度自己破産したことがあるのですが

    原則として一度自己破産をすると7年間は自己破産できません。
    ですが、前回の破産から7年以上経過後の再度の自己破産は事情によっては可能な場合もありますので、高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 弁護士に依頼すると費用が高そうなのですが

    弁護士に依頼する場合、決まった固定の報酬額の規定などはございません。弁護士それぞれが報酬基準を持っていて、その基準に当てはめた上で依頼費用の計算を行わせていただきます。端的に申し上げれば、高いところは高いし、安いところは安いとしか申し上げられません。大手事務所などは広告宣伝費に費用をかけている分、総じて依頼費用は高くつく傾向にあるようです。
    しかし、債務整理事件に関しては不当に高い報酬を要求する弁護士がいた背景などから、日弁連の提唱する「債務整理事件処理の規律を定める規程」により、弁護士の報酬上限を定めております。それを超える費用はかかりませんので御安心ください。
    また司法書士との依頼金の比較ですが、少額の債務整理であれば司法書士のほうが安く業務を請け負わせていただく傾向にあるようです。しかしながら、債務整理を行おうとした段階で債務者はどれだけ債務を軽減できるかもわかりませんし、高額になった場合では司法書士では業務を請け負えないケースも多々あります。まずは、弁護士事務所にて無料相談等を行い、全てにご納得していただいた上でお客様に最も適した事務所を見つけるのが適当かと考えます。

過払い金

  • お金が返ってくることがありますか

    利息制限法では、元本10万円未満の場合は年20%、元本10万円以上100万円未満の場合は年18%、元本100万円以上の場合は年15%をそれぞれ制限利息とし、これを超過する部分については、利息契約を無効と定めています。利息制限法の制限利息を超過する部分は、元本に充当され元本に充当した結果、元本が完済となった後の過払金は返還請求できるというのが最高裁判所の判例です。

    過払金

    消費者金融業者などに返しすぎたお金のことをいいます。例えば、サラ金などで上記の利息制限法を超えた金利で貸し付けている業者もあります。その場合には制限利息を超えた利息は本来払わなくてよかったお金であり返ってくる可能性があります。

  • 全額弁済していても返ってきますか

    完済した場合も、完済したときから10年以内であれば、貸金業者から過払金を取り戻すことができます。

    利息制限法1条は4、①元金が10万円未満の場合は年20%、②元金が10万円以上100万円未満の場合は年18%、③元金が100万円以上の場合は年15%を上限利率と定めて、これを超えた利息の支払いを無効と規定しています。約定の金利が利息制限法の上限利率を上回る場合、多く払い過ぎた利息分は、順次元本に充当するものとして計算されます。そして、計算上元本が完済になった場合、その後に支払われた分は、債務が存在しないのに支払われたことになるので、不当利得となりこの過払金を貸金業者から取り戻すことができます。

    過払金の返還請求権は、最後の取引から10年が過ぎると消滅時効が完成してしまいます。消滅時効が完成すると、貸金業者は時効消滅を主張して過払金を返さなくても良いことになります。したがって完済したときから10年以内であれば貸金業者に対して過払金を返すように請求できます。

    ただし貸金業者が任意に過払金を返還してくれることはまずないので、ぐずぐずしていると消滅時効が完成してしまう恐れがあります。その場合には、時効の完成を食い止めることが必要になります。完済後、すでに10年近いときは、時効完成前に貸金業者に内容証明郵便などで過払金の返還を催促し、その時点から6ヶ月以内に裁判を起こせば、時効の完成を食い止めることができます。

  • いつお金を借りたか忘れてしまったのですが

    債務を完済してしまっていたりすると、いつお金を借りたのかわからない又は借りた金額の総額もわからないなんてことはよくあることだと思います。そのような場合でも、お金を借りた債権者(金融機関)がわかれば、依頼主様の個人情報をもとに、債権者に取引履歴の請求を行えます。この取引履歴が開示されれば、依頼主様がいつお金を借りたのか又いくら借りたのかがわかります。これを元に弁護士は、再計算や時効の適用がないか等を調べ、依頼主様の案件においてお金が返ってくるのか、返ってくる場合はいくら返ってくるのかを計算させていただきます。

  • 借りた会社がなくなったと聞いたのですが

    借りた会社が何らかの事情により現在存在しなくとも、他の会社と吸収合併し、過払い金債務についても引き継いでいる場合があります。
    そのようなご心配がある場合には、まず一度ご相談ください。

  • 過払いになっているか調査だけしたいのですが

    過払い金が発生しているか調査するためには、まず顧客情報を特定した上で、各貸金業者に取引履歴の開示を求めます。取引履歴が開示されたら、今度は、利息制限法に基づく引き直し計算を行い、過払い金の発生の有無を調べることになります。
    なお、最近では、貸金業者自身が、取引時点の違法金利ではなく、利息制限法に則った引き直し計算をして取引履歴を出してくるケースも多いですが、その場合でも、過払い金に発生する「法定利息」(年5パーセント)を無視して計算していることがほとんどなので、いずれにしても独自の引き直し計算は必要になります。

    インターネット上では、弁護士や司法書士を使わず、ご自身で過払い金請求をする方法を紹介しているサイトもあると聞きますが、個人で請求をすると、取引履歴をなかなか出してくれなかったり、非常に厳しい和解条件を突き付けてくるようですので、かなりの時間や気力、労力を割かれることになります。弁護士に依頼をされた方が、結局はローコストで過払い金の回収が実現できるはずです。

    なお、現に消費者金融を利用中の場合で、引き直し計算を行った後も借金が残ってしまう場合は、弁護士を介した任意整理を行ったものとみなされ、いわゆるブラックリストに載ってしまいますので注意が必要です。
    ただ、引き直し計算をしないと、法律上は負担する必要のない借金や、その金利を払わなければならなくなるのですから、たとえブラックリストに載ることを考えても、引き直しを行う価値はあるといえます。
    これに対して、既に完済している方であれば、取引履歴の開示や過払い金請求を行った事実がブラックリストに載ることはありませんので、心配はいりません。

  • 過払い金請求の弁護士費用

    借金問題の解決方法としては、破産をせずに借金を計画的に返していく方法(任意整理)、自己破産、自宅を守りながら借金を整理する方法(個人再生)があり、それぞれの弁護士費用は次のとおりです。(消費税は別途申し受けます)

    任意整理 着手金 1社あたり:50,000円
    減額報酬 交渉の結果、減少した額の、10%
    自己破産
    (法人を除く)
    着手金 300,000円~500,000円
    報酬金 なし
    個人再生 着手金 300,000円
    報酬金 300,000円以下
    過払い金返還請求 着手金 1社あたり:50,000円
    報酬 回収金額の20%

刑事事件

保釈について

  • 保釈はいつからできますか

    保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、勾留中の被告人を現実的な拘束状態から解放する制度のことです。つまり、保釈金を払えば、勾留されることなく一般的な生活を送ることが出来ます。しかし、もちろんの事ではありますが公判への出頭はしなければなりません。もし、正当な理由なく出頭しない場合にはこの保釈保証金の一部又は全部が没取されることとなります。保釈は以下のケースで請求されます。

    • 被告人・弁護人等の請求による場合(請求保釈)
    • 職権で行う場合(職権保釈)
    • 保釈の請求があったときに必ずこれを許さなければならない場合(必要的保釈又は権利保釈)
    • 裁判所の裁量で保釈を許す場合(裁量保釈)
    • 拘禁が不当に長くなったため保釈を許さなければならない場合(義務的保釈)

    保釈請求が請求権者(基本的には被告人本人、その弁護人、その法定代理人(親権者)、保佐人、配偶者、直系の親族(両親、子供)もしくは兄弟姉妹)によって行われると次に裁判官面接が行われます。ここで重要になる話し合いは公判で争う意思があるのかと保釈保証金の額です。まず、検察官の提出する証拠書類に同意せず、公判にて争う意思がある被告に対しては保釈決定の許可はおりないと考えていいでしょう。ここをクリアした上で、この裁判官面接にて保釈保証金の額の決定が行われます。保釈保証金には正当な理由なく出頭しない際に一部又は全部が没取されるという心理的威嚇の効果を期待している側面があるため、被告にとって経済的負担として相当な額が決められます。もちろん資産を多く持っている人間には、ニュースやドラマでよく見るような億単位の保釈保証金が設定されますが、通常は、150万円~500万円で落ち着くことが多いようです。その後、検察官からの意見が裁判所に出されます。これは大きく分けて3つの意見が裁判所に提出されます。その3つとは、「保釈を認めます」「保釈を認めません」「裁判所の判断にお任せします」の3つになります。「保釈を認めます」という意見は実務上出ることが非常に少ないようです。なので「裁判所の判断にお任せします」という意見が出れば高確率で保釈が認められると考えていいでしょう。これらを全てクリアするとようやく保釈決定の許可が出ます。しかし、決定後すぐに勾留から解き放たれるわけではなく、保釈は保釈保証金の納付後に執行されます。(刑事訴訟法第94条第1項)保釈保証金の納付に関しては、基本保釈請求した者が払うのが原則ですが、裁判所が認めれば保釈請求者以外の者が納付することも可能です。また、納付するのは純粋な現金だけでなく有価証券又は保証書で保証金の代わりにすることも出来ます。保証書とは保証金の納付に代えて、被告人以外の者が差し出す書面のことで、内容には保証金額及びいつでもその保証金を納める旨が記載されています。保釈保証金は何事もなければ、全額返金されますが、没収された部分については返ってきません。

    保釈には、色々な条件が付けられることもあります。代表的なものは、住居の制限です。簡単に言えば、住む場所を限定させられるということになります。他には、被害者に近寄らないなどの条件が付されるときもあります。
    保釈中に被告人が正当な理由なく不出頭したり、逃亡、罪証隠滅等の事由が生じたときには保釈は取り消されます。保釈を取り消された場合、被告は速やかに収監されることになります。

  • 保釈金って何ですか

    保釈保証金とは、保釈の条件として納付を命じられる一定の金額になります。裁判所は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な保証金額を定めなければなりません。(刑事訴訟法第93条)
    保釈金は、正当な理由なく公判等に出頭しない場合に没取されるという心理的威嚇の効果を期待しています。よって、保釈金の額は被告人が没収されたら苦しいと思える程の額のものでなければなりません。
    ドラマやニュースで保釈金が億単位のものを見かける機会が皆様もあると思います。参考までに、現在日本において保釈金の最高金額は20億円になっています。無論、被告人になくなった場合の経済的苦痛を考慮して額は決められていますが、過去には最高で6億円の保釈金が没取された例があります。(被告は韓国へ逃亡しました。)
    前述したものは、資産家であったり経済事件という性質の下に決められているもので、保釈金の具体的金額は一般人であれば、相場は100万円~500万円程とされています。(もちろん、保有している資産の額によって変動します。)
    保釈保証金は、基本的には保釈請求者(基本的には被告人本人、その弁護人、その法定代理人(親権者)、保佐人、配偶者、直系の親族(両親、子供)もしくは兄弟姉妹)が納付しますが、裁判所が許可すれば保釈請求者以外の者が納付することができ、純粋な現金だけではなく有価証券又は保証書(保証金の納付に代えて、被告人以外の者が差し出す書面のことで、内容には保証金額及びいつでもその保証金を納める旨が記載されています)で保釈保証金に代えることも出来ます。
    保釈金の調達方法には大きくわけて3つの方法があります。

    • 被告人自身の預貯金で支払う
    • 被告人の家族・親戚・勤務先などに立て替えてもらう
    • 業者から借り入れる

    業者には、日本保釈支援協会という社団法人が存在しています。この社団法人が保釈保証金を立て替えてくれたり、保証書の発行をしてくれたりしますが、額に応じて手数料が取られます。保釈できるならそのぐらい安いと思われることもあるかもしれませんが、ご利用は慎重になってください。

刑事事件の手続き

  • 突然逮捕されました!いつまで拘束されますか

    逮捕されるとまず、警察の留置所又は拘置所に留置され、警察から取調べを受けることになります。逮捕手続によって警察が身体を拘束できる時間は48時間となっていますが、通常は、それまでに検察官の元へ事件を送られ、更に捜査を続ける必要がある場合、検察官は24時間以内に勾留を請求することになります。つまり、逮捕手続による身体的拘束は最大で72時間となります。

    検察により勾留が請求されると、今度は裁判官が勾留を認めるかどうかの判断をします。その判断基準は、犯罪を行ったと疑うに足りる相当な理由があるか、住居不定・証拠隠滅のおそれ又は逃亡のおそれがあるかどうかの2点を重視し決定されます。
    勾留が認められない場合は、晴れてここで釈放となりますが、勾留が認められた場合原則として、勾留請求の日から10日間身体を拘束されます。その間に捜査が終了しない時は、更に10日間を限度に延長されます。
    したがって、逮捕されると72時間+10日間+10日間で最大23日間、身体が拘束される可能性があります。
    よく、保釈という言葉を耳にする機会があるかと思いますが、保釈は起訴前には認められていません。

  • 面会ができないのですが

    留置所では、刑務所に比べて接見(面会)についての規制は緩やかですので、基本的には、肉親だけでなく友人知人や会社の同僚等とも面会することが可能です。しかしながら、逮捕から勾留手続に移る最大72時間の間は弁護人以外の人間と接見は禁じられています。よって最初に被疑者が面会することになるのは、警察を通じて呼んだ当番弁護士か、被疑者の知り合い又は知り合いが手配した弁護人となります。

    勾留が決まった後は、弁護人以外の人間と面会が可能です。ただし、接見できる時間帯は警察署によって若干の違いはありますが、基本的に午前9時から午後5時までとなっており、一日に一回までしか接見できません。制限時間は約15~20分で打ち切られ、会話の内容は全て記録されることになります。また、接見するかどうかの判断は被疑者にあり、仮に面会に行っても被疑者が接見したくないと言えば接見はできません。
    更に、事件の種類のよっては弁護人以外の人間とは一切接見できない(手紙等のやり取りもできない)接見禁止処分という措置が下される可能性があります。接見禁止処分とは、検察が裁判所に対して申請を行い決定されるものです。

  • 早く釈放して欲しい

    勾留された場合、釈放するための手続としては、次のものがあります。

    準抗告

    裁判官がした勾留状の発付について、弁護人が簡易裁判所の裁判官がした決定に対しては管轄地方裁判所に、その他の裁判官がした決定に対してはその裁判官所属の裁判所に、その決定の取消又は変更を請求し、職務執行から排除すること。

    勾留取消請求

    勾留を決定した時点では、裁判官の判断に問題はなかったが、その後勾留の必要がなくなったと思われる場合にされる請求です。具体的には、被害者と被疑者との間で示談が成立しているような場合になされます。

    勾留の執行停止

    裁判官が適当と認める場合に、期間を限って勾留の裁判の執行を停止すること。具体的には入院の必要がある、親族が死亡して葬儀に出る必要があるなどといったことが主な理由となります。保釈と異なり、保釈金を納める必要はありません。

    保釈

    保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、勾留中の被告人を現実の拘束状態から解放する制度です。正当な理由なく公判への出頭をしない場合や刑の執行の為の出頭を拒否した場合はこの保釈保証金は没収されます。
    保釈には、被告人・弁護人等の請求による場合と裁判所の適当と認める場合の職権によるものがあります。
    保釈が認める決定は、保証金を納付後に執行されますが以下のケースでは保釈が認められません。

    • 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    • 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
    • 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    • 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    • 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    • 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

    (刑事訴訟法第89条)

  • 逮捕されたら必ず裁判になりますか

    逮捕されると、必ずしも裁判になるわけではありません。
    検察官の判断によって起訴処分となった場合は裁判となるケースがありますが、検察官の事件処理で不起訴処分となった場合は裁判は行われません。不起訴処分は、被疑事実が犯罪とならない場合や証拠不十分又は証拠不存在の場合、刑の免除に値する理由がある場合、起訴猶予とすべき場合になされる決定です。また、判例では同一の犯罪について、被告人を二重に刑事手続に課すことを禁じていますが、一度不起訴になった事件について、後日起訴することはこの判例には違反しません。
    また、正式な公判を開かず書面審理だけで刑を言い渡す簡易な刑事裁判手続があります。これを略式手続といい、簡易裁判所が50万円以下の罰金又は科料を言い渡す場合かつ、被疑者が略式手続によることに異議がない場合に、起訴と同時に検察官の請求によって行われるものです。

  • 捜査にはどのような方法がありますか

    捜査には、強制捜査と任意捜査があります。

    強制捜査とは、逮捕・勾留・押収・捜索・検証等を対象となる者の意思に反して行うことの出来る処分です。強制捜査は、被疑者あるいはその他関係のある人々の権利を抑制するものとなるので、司法的抑制の対象となります。したがって、強制捜査は現行犯である場合以外は令状によるのを原則とし、その他特に刑事訴訟法に定めた場合以外は認められません。
    任意捜査とは、強制処分を用いない捜査一般のことを言い、聞き込み・尾行等があり、捜査の目的を達成する為に必要な限りで、広く許されている。

    また、捜査の流れは以下のとおりです。

    犯罪の発生

    110番通報や被害届の受理等で警察が事件の発生を知ると、捜査に着手することになります。

    捜査の開始

    警察は、被害者や事件関係者から事情聴取等をし、被害届・調書を作成し、証拠品の収集・提出、実況見分を行い、犯行の立証・犯人の特定に移ります。被疑者の権利を抑圧するような捜査の場合には、前述した強制捜査による手続を取り、証拠の確保・犯人の逮捕を行います。

    検察庁への送致

    警察は、捜査をして集まった資料を全て検察庁に提出します。
    検察庁は二次的捜査機関であり、検察官が送られてきた証拠を充分に検討し、被疑者や事件関係者から話を聞きます。
    検察官はこれら全てに鑑みて、最終的に起訴処分するか不起訴処分するかの判断を下し、捜査は一旦の終了を迎えます。

  • 取り調べはどのように進みますか

    普通の事件であれば警察による本格的な取調べは、被疑者が逮捕された翌日より始まります。(無論、事件の種類や被疑者自身が容疑内容を事前に認めているかいないか等で変わる場合もあります。) 取調べにおいて、最初に共通して必ず行われることは被疑者の権利の告知です。
    権利の告知には、以下のようなものがあります。

    黙秘権

    憲法第38条1項にて保障されている、自己に不利益な供述を強要されない権利。ここで言われる不利益とは、刑事責任を問われることや加重されるようなことをいい、民事上の責任に関わるものは含まれません。強要には、拷問のような直接的手段のみならず、過料や刑罰等による間接的手段も含まれます。
    黙秘権の効果として、供述しないということ自体から有罪その他不利益な心証をとることは禁止されています。

    署名押印拒否権

    刑事訴訟法第198条第4及び5項にて保障されている。供述調書作成の場面にて、警察は被疑者に対して供述調書に誤りがないかを確認させ、その上で署名に押印を求めますが、被疑者が内容を認めない場合、あるいは内容に一部違いがあるような場合は押印を拒否することが出来る権利。内容の訂正を求めることもできる。(増減変更申立権)

    権利告知の後に、本格的な取調べは始まります。日本の刑事事件において、被疑者の供述(自白)が最も有効な証拠となっていますので、捜査官も厳しく追及していきます。前述の黙秘権があるため、答えたくない質問にはもちろん答える必要はありませんが、捜査官も事件に関係のない雑談等から何とか会話をスタートさせ、そこから事件内容に切り込んでいこうとします。黙秘権を行使するのは意外と大変なようです。
    黙秘権を行使することなく、警察の捜査官の取調べを受けると、捜査官はメモ等を取りながら、被疑者に証拠を見せる等して事件内容を確認していきます。取調べが一区切りつくと捜査官は供述調書の作成に取り掛かります。作成された調書の内容に異存がなければ、全てのページに拇印を押し、最後のページに署名することになります。内容に不満がある場合は、捜査官に書き直しを要求することができます。よく、内容に少々不満があっても署名や拇印を押してしまいがちのようですが、取調べでの調書は自分の未来がかかったものとなりますので絶対に妥協してはいけません。

判決について

  • 「執行猶予」とは何ですか

    執行猶予とは、刑の言い渡しはするが、情状によって刑の執行を一定期間猶予し、猶予期間を無事経過したときは刑罰権を消滅させることとする制度のことです。
    これには、施設収容を避けて短期自由刑(刑期の極めて短い自由刑)に伴う弊害を防止し、猶予期間内に再犯すれば刑を執行するという威嚇の下に再犯を防止し、猶予期間を無事経過した際は刑の言い渡しの効果を消滅させて、前科に伴う不利益をなくし更正に役立てることを目的としています。
    執行猶予の要件は徐々に緩和されてきている傾向にあり、具体的には以下のような要件となっています。

    • 前に禁錮以上の刑に処されたことがないとき、処されていてもその執行終了後又は執行免除を受けた後5年経過しても、禁錮以上の刑に処されたことがない者が3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金に処されたとき
    • 前に禁錮以上の刑に処され、その執行猶予中の者(ただし保護観察中でない者)が1年以下の懲役又は禁錮の言い渡しを受け、情状が特に軽いとき

    以上の場合では1年以上5年以下の期間、執行を猶予できるものとされています。執行猶予付きの判決の場合,保護観察に付して,猶予の期間中,保護観察所の保護観察官や保護司の指導を受けるようにすることもあります。

  • どのくらいの刑になるか知りたい

    歴史的・世界的に刑罰は、剥奪の対象とされる犯罪者の法益の種類に応じて以下のようなものがあります。

    • 生命刑(人の生命を奪う刑罰)
    • 身体刑(人の身体を侵害する刑罰)
    • 自由刑(人の身体の自由を奪う刑罰)
    • 財産刑(人の財産を奪う刑罰)
    • 名誉刑(人の名誉を奪う刑罰)

    わが国の現行刑法では、生命刑としての死刑、自由刑としての懲役・禁錮・拘留、財産刑としての罰金・科料・没収のみ認められています。
    刑の具体的な執行内容は、刑法によって定められています。例えば、以下のように定められています。
    「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。」(刑法第199条)
    これはいわゆる殺人罪に関する条文規定となっています。しかし刑の範囲が一番重いもので死刑、一番軽いもので5年の懲役と振れ幅が非常に大きいものとなっています。よって実際に宣告される刑の内容は、裁判所の判断に委ねられることとなります。これを量刑判断といいます。
    現行刑法の全ての刑罰規定において、量刑判断の基準に関して明示したものはありません。前述した殺人罪においても、死刑になるか懲役刑になるかは先例の積み重ねによって、事実上の選択基準が形成されているに過ぎません。量刑の判断には、明示されたものがあるわけではなく犯行の情状などに鑑みて、処断刑の範囲内で宣告されるものとなっています。(まれに、処断刑の範囲を超えた判決が言い渡される場合もあります。)

  • 刑の種類を知りたい

    歴史的・世界的に刑罰は、剥奪の対象とされる犯罪者の法益の種類に応じて以下のようなものがあります。

    • 生命刑(人の生命を奪う刑罰)
    • 身体刑(人の身体を侵害する刑罰)
    • 自由刑(人の身体の自由を奪う刑罰)
    • 財産刑(人の財産を奪う刑罰)
    • 名誉刑(人の名誉を奪う刑罰)

    わが国の現行刑法では、生命刑としての死刑、自由刑としての懲役・禁錮・拘留、財産刑としての罰金・科料・没収のみ認められています。これらはさらに主刑と付加刑に区別され、主刑は重い順に死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料があり、付加刑は主刑の言い渡しがある場合に限り、主刑に付加して科しうる刑罰で、没収だけが認められています。
    死刑は文字通り、被告の生命をもって償うものであり日本では刑事施設内での絞首によるものとなります。
    懲役刑は、監獄に拘置して所定の作業(刑務作業)に服させる有期懲役と無期懲役があります。有期懲役は1月以上15年以下が基本ですが、加重するときは20年まで、減軽するときは1月未満にすることが出来ます。無期懲役は、終身の期間にわたる懲役刑で拘禁の期間を定めずに言い渡されるものです。ただし、10年経過後、「改悛の状」(①悔悟の情が認められ②更生意欲があり③再犯のおそれがなく④社会感情が仮釈放を是正しているがある状態のこと)があるときは、行政官庁の処分をもって仮出獄を許されることがあります。
    禁固刑とは、監獄に拘置されることと有期・無期(有期の場合の期間も同じ)があることは懲役刑と変わりませんが、懲役刑と異なり刑務作業に科されません。(受刑者が作業をしたいと言えば従事することは許されています。)
    罰金刑は、最低金額が1万円以上とされています。また減軽する場合には1万円以下に下げられる場合もあります。もし、受刑者が罰金を完納できない場合には、1日以上2年以下労役場に留置されることになります。
    拘留とは、1日以上30日未満の期間、拘留場(通常は警察留置所)に拘置する刑のことで刑務作業は科されません。
    科料とは、1000円以上1万円未満の支払いを命じられる刑のことで、これも完納できない場合は、1日以上30日以下の期間労役所に留置されます。

  • 判決に納得がいかないのですが

    裁判に対して不服・納得のいかない場合、不服申し立てつまり上訴が設けられています。
    第一審の裁判所が下した判決に対して,その裁判所のすぐ上の上級裁判所に不服を申し立てることを控訴と言います。また、控訴審で下された判決に対して不服がある場合にはさらに上告によって不服を申し立てることができます。
    第一審の裁判所が簡易裁判所であれば、地方裁判所に控訴し、高等裁判所に上告することとなります。地方裁判所であれば、高等裁判所に控訴し、最高裁判所に上告することとなります。

    控訴

    控訴権は原則として、第一審の判決により不利益を受けた当事者に生ずるものになります。この不利益というのは、第一審における申立ての全部又は一部が排斥された状態のことを指します。当事者でない場合の不利益に関しては、原則として控訴は棄却されるものとなります。
    更に、刑事訴訟法においては控訴の要件が更に限定的なものとなり、以下のものになります。

    • 1.法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
    • 2.法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
    • 3.審判の公開に関する規定に違反したこと。
    • 4.不法に管轄又は管轄違を認めたこと。
    • 5.不法に、公訴を受理し、又はこれを棄却したこと。
    • 6.審判の請求を受けた事件について判決をせず、又は審判の請求を受けない事件について判決をしたこと。
    • 7.判決に理由を附せず、又は理由にくいちがいがあること。
    • 8.刑事訴訟法377条、378条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があってその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであること。
    • 9.法令の適用に誤りがあってその誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかであること。
    • 10.刑の量刑が不当であること。
    • 11.事実の誤認があってその誤認が判決に影響を及ぼすことが明らかであること。
    • 12.再審の請求ができる場合に当たる事由があること。
    • 13.判決があった後に刑の廃止もしくは変更または大赦があったこと。

    (刑事訴訟法第377条~383条より)

    上告

    刑事訴訟法における、上告とは高等裁判所がした判決に対する上訴であり、ほとんどが控訴審判決に対する上訴となります。
    これは最高裁判所が管轄するものであり、憲法違反又は判例違反を理由とする場合にのみ、権利として申し立てることができます。(刑事訴訟法405条)
    ただし、上記の理由がない場合であっても最高裁判所の職権による原判決破棄の権限が認められていること(刑事訴訟法411条)から、実際に現場においては、この職権破棄を期待した上告申立てが多くなっています。
    また、上告棄却とは上告人が主張する上告理由がないとして、上告を排斥する裁判になります。その他上告棄却する場合は以下のケースです。

    • 1.原判決に上告人の主張する上告理由があっても、他の理由によって原判決が正当と認められる場合。
    • 2.刑事訴訟において、上告の申立てが法令上の方式に違反したとき、又は上告権消滅後にされたとき。
    • 3.上告の申立て理由が明らかに刑事訴訟法第405条の法定理由に該当しないとき。

    つまり、前述させて頂いた職権破棄を期待して上告することが多いということは、決定で上告が棄却される例が多いということに繋がります。

    控訴審の流れは?

    控訴が認められるためには、控訴審が紛争の内容について判断するために必要な要件(控訴の用件)を満たさなければなりません。この控訴の用件で重要なものは、控訴期間控訴の利益といえます。

    控訴期間

    控訴するか否かは、第一審の判決書の送達を受けてから14日間以内で判断しなければならない

    控訴の利益

    裁判で申し立てた(請求の趣旨)と第一審の判決の主文とを比較して、判決の主文が請求の趣旨に満たなければならない

    上記を踏まえたうえで控訴した場合

    民事訴訟の場合、控訴状提出から50日以内に控訴理由書を提出すべきことが定められています。控訴理由書を提出する他、控訴審で新たに証拠を提出することができます。これに対し被控訴人からは控訴答弁書等が提出され、控訴審で口頭弁論期日が開かれます。審理が終わると判決が言い渡されます。(和解協議が行われる場合もある)

    刑事訴訟においては控訴期間内に、控訴審を担当する裁判所宛の控訴申立書を第一審の裁判所に提出して控訴の提起をし、さらに控訴申立人は、提出期限までに控訴趣意書を提出しなければなりません。

    控訴するか否かの判断

    刑事事件において控訴するということは、決して自分に有利な判決を得られる可能性があるというメリットだけではありません。
    控訴をするということは、裁判を長引かせるということと同義です。その為、拘置所における勾留期間が長引く可能性が出てきます。そのため、更に拘置所に勾留されることになります。(未決拘留日数のうち,一部が刑に算入されますが、全ての日数にはなりません。)
    また、検察側が控訴することで第一審の判決を超える量刑が課されることはありません。これを不利益変更禁止と言います。

少年事件について

  • 子どもが逮捕されました!これからどうなりますか

    子どもが逮捕された際の事件処理は基本的には、勾留中は成人の被疑者と同様の捜査が行われますが、その後は家庭裁判所に送致され、調査を経て、少年審判を受けることになります。少年審判では、非行事実の有無やその内容、要保護性の程度により、不処分・保護観察・少年院送致等の保護処分もしくは検察官送致の決定処分が下されることになります。

    少年審判の対象となる少年の分類

    犯罪少年

    14歳以上20歳未満で刑罰法令に抵触する行為をした少年

    触法少年

    14歳未満で刑罰法令に抵触する行為をした少年

    ぐ犯少年

    特定の事由があり、さらにその性格または環境に照らし、将来刑罰法規に触れる行為をするおそれがある少年。特定の事由とは以下のようなものを指します。

    • 保護者の正当な監護に服しない
    • 正当な理由がなく家庭に寄り付かない
    • 犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りしている
    • 自己又は他人の特性を害する行為をする性癖がある

    それぞれで、事件処理の体系が異なる場面があります。こちらについては後述します。

    逮捕から捜査に至るまで

    犯罪少年の場合、逮捕・勾留の手続や期間については、成人と同様に刑事訴訟法及び刑事訴訟規則が適用されます。よって刑事訴訟法第203条及び205条により、警察は逮捕した被疑者を逮捕から48時間以内に検察官に送致しなければならず、その後24時間以内に勾留の裁判を受けて勾留されない限り釈放しなければなりません。勾留が決定されれば、延長請求された場合最大20日間身体拘束されます。
    触法少年の場合は刑法第41条により刑事責任能力がないため、逮捕・勾留はできません。しかし一時保護されることがあります。警察は事件を調査した上で、児童相談所に通告ないし送致をします。児童相談所所長は、通告ないし送致を受けた少年について児童福祉法上の措置を行うか家庭裁判所に送致します。12歳以上の少年の場合には審判の結果、少年院に送致されることもあります。
    ぐ犯少年も、まだ罪を犯すに至っていないので、逮捕・勾留はできません。

    家庭裁判所への送致

    司法警察員は、少年の被疑事件について捜査をした結果、罰金以下の刑に当たる犯罪の嫌疑あるものと思われるときは家庭裁判所に送致しなければなりません。また検察官は、少年の被疑事件について捜査をした結果、犯罪の嫌疑ありと判断した際に家庭裁判所に送致をしなければなりません。このように、捜査機関が捜査を行った上で犯罪を行った事実の疑いがある場合は、少年事件の場合全てが家庭裁判所へ送致されることになります。これを全件送致主義と呼びます。
    送致の方法は、逮捕・勾留されている場合は通常、捜査記録と共に身柄つきで家庭裁判所に送致されます。逮捕・勾留がされずに在宅で捜査が行われた場合には、書類送致の方法で家庭裁判所へ送致がなされます。捜査をした少年事件について、その事件が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機・少年の性格・行状・家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分や保護処分を必要としないと明らかに認められて、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件については簡易送致がなされることがあります。

    家庭裁判所送致後の手続

    観護措置

    警察官及び検察官は、事件を家庭裁判所に送致する際に、少年鑑別所における心身鑑別を要するかどうかの意見を付します。家庭裁判所は身柄付で少年が送致された場合に、その日のうちに観護措置審問を行い、観護措置に付すかどうかを決定します。在宅のまま家庭裁判所に送致された場合であっても、家庭裁判所が必要と認めたときは、観護措置決定を行い、少年鑑別所に送致することもあります。観護措置とは、家庭裁判所に送致された少年の身体を保全することで、審判までの間に、少年の逃亡による調査・審判が出来なくなることの防止の為の制度です。観護措置の要件として、少年法では「審判を行う必要があるとき」としか定めておりません。(少年法第17条第1項)しかし解釈上は、非行事実の存在を疑うに相当な理由がある場合や身体を保全する必要性などが要件として挙げられます。観護措置の決定は家庭裁判所への送致後、24時間以内になされなければなりません。

    少年鑑別所

    少年鑑別所とは、観護措置がとられた少年を収容し、行動観察や資質鑑別を行う国の施設です。法務省の矯正局が管轄しています。少年鑑別所の職員は、少年院と同じ法務教官です。少年鑑別所では、収容中の行動観察や身体測定・知能テスト・心理テスト等様々な手法を用いて少年の特性に合わせた方法で鑑別を行います。少年鑑別所は、行動観察や資質鑑別の結果をまとめ、保護処分やその後の処遇に関する意見を記載した鑑別結果通知書を審判前に家庭裁判所に提出します。

    審判不開始決定

    実際には少ないケースですが、調査の結果、審判を開始する必要がない場合には、審判開始決定を取り消して、審判不開始の決定をすることが出来ます。

    家庭裁判所の調査官による調査

    家庭裁判所の調査官は、裁判官の調査命令を受けて、少年の用保護性を判断する為の社会調査を行います。具体的には、保護者・学校・児童相談所・保護観察所等関係機関に照会を行ったり、少年本人やその保護者と面談するなどの方法で調査を行います。家庭裁判所調査官は、裁判官のような法曹ではなく心理学や社会学・教育学に精通した人が多いです。家庭裁判所調査官は、社会調査の結果を調査票にまとめて、裁判官に提出し報告します。調査票には、調査官本人の処遇に関する意見も付されています。調査票完成前にも調査官は口頭で適宜裁判官に報告をし、処遇に関する意見を述べなければなりません。

    少年審判の方法及び終局決定

    少年審判は、懇切として和やかに、少年に自己の非行について内省を促すよう、非公開で行われます。(少年法第22条)非公開ということで一般の公判と違い、傍聴はできません。これは少年の矯正や社会復帰の為にプライバシー保護の観点から行われています。審判の流れは、通常以下のようになります。

    • 少年・保護者の人定質問
    • 黙秘権の告知
    • 非行事実の告知
    • 非行事実に対する少年の陳述
    • 非行事実に対する付添人の陳述
    • 非行事実の審理
    • 要保護性に関する審理
    • 調査官・付添人の処遇意見の陳述
    • 少年の意見陳述
    • 決定の告知

    終局決定については以下のものがあげられます。

    審判不開始決定

    前述した、調査の結果、審判を開始する必要がない場合には、審判開始決定を取り消して、審判不開始の決定をすること。

    不処分決定

    処分をしなくとも調査・審判等における様々な教育的働きかけにより少年に再非行のおそれがないと認められた場合に少年を処分しないことすること。

    保護処分決定

    非行少年に対して、刑罰を避けて非行深度に応じた健全育成のための処遇を施す決定。以下のようなものがある。

    保護観察処分

    少年が非行を起こした事実は認められるが、少年を矯正施設に収容せずに、社会内で、適当な指導者の補導援護と指導監督の下に自発的な改善更正・社会復帰を促進する措置。

    少年院送致

    再犯する可能性や一般社会での更正が難しい場合に少年院に収容する措置のこと。少年の年齢・非行深度・心身の状況により、初等少年院・中等少年院・特別少年院・医療少年院の4箇所に振り分けられます。

    児童自立支援施設送致

    不良行為をし又はおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由で生活指導を必要とする少年を入所・通所させて、その自立を支援することを目的とする措置。

    児童養護施設送致

    環境上養護を要する児童を入所させこれを養護することを目的とする処分。

    検察官送致決定

    子どもの年齢やその他事情によっては、少年審判において刑事処分相当と判断される場合があります。その場合になされるのが検察官送致です。これがなされると、起訴されて通常の刑事裁判の手続を受けることになります。検察官送致されるのは以下のケースです。

    • 禁錮以上の当たる罪の事件について、事案の内容や子どもの年齢その他の事情を考慮して、家庭裁判所の裁判官が、当該少年については保護処分ではなく刑事処分が相当とする場合。
    • 家庭裁判所送致後、少年審判までの間に、子どもが20歳の誕生日を迎えて成人してしまった場合

    刑事処分相当の判断基準は、少年法第20条第1項によれば、「罪質及び情状に照らして刑事処分相当と認めるとき」と記載されています。どのようなときに認められるのかは、判例によれば保護処分による矯正の見込みがない場合や保護処分による矯正の可能性があっても、事案の内容や事件が社会に与える影響を考慮した上で、保護処分に付するに相当でない場合としています。

  • 家裁送致って何ですか

    成年が犯した事件であっても、少年事件であっても警察による逮捕から検察による勾留に至るまでの流れはさほど変わりません。(検察官による観護措置請求が行われる場合はこの限りではありません。観護措置に関しては後述します。)しかしその後、少年事件に関しては家裁送致という手続が取られます。これは、捜査書類と少年の身柄を家庭裁判所に預けるものです。(在宅事件の場合は、捜査書類のみが送られることになります。)家裁送致を受けた場合は、24時間以内に家庭裁判所の裁判官が面談を行い、引き続き調査をする必要があると判断すれば、少年の身柄を保全する為に少年鑑別所に収容する観護措置という手続が行われます。次に、家庭裁判所の調査官による調査が行われます。調査官は法律のスペシャリストというよりは社会学・心理学等のスペシャリストであり、少年の生活環境や交友関係、家庭内での内情等を調べ裁判官に報告します。

  • 少年鑑別所はどんなところですか

    少年鑑別所とは、少年審判を受ける必要上家庭裁判所から観護措置として送致された少年の身柄を収容するとともに、家庭裁判所の行う少年に対する調査・審判並びに保護処分及び懲役又は禁錮の言い渡しを受けた16歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学・心理学・教育学・社会学その他専門的知識に基づき、少年の資質の鑑別を行う施設のことです。
    噛み砕いて言ってしまえば、少年の人格やこの子にはこういうことが向いているといったことを精神科医や心理学者が様々な手法を用いて調べていく場所になります。もちろん身柄を拘束されていることは留置所・拘置所・刑務所等と何も変わりませんが、面会ができないわけでもありませんし手紙のやり取りだってすることができます。少年鑑別所は単なる拘禁施設としての役割でなく、資質鑑別を通じて、少年の科学的処遇の実現の為に重要な役割を果たしていると言ってよいでしょう。なお、この少年鑑別所は平成26年12月現在全国に52庁設置されています。

  • 付添人って弁護人とは違うのですか

    付添人とは、家庭裁判所送致後に家庭裁判所とは独立した立場で、少年のパートナーとして、少年及び保護者に法的その他支援を行います。少年は、保護者の意思に反しても独立して付添人を選任することができ、付添人は弁護士であることを必要としませんが、弁護士以外の者が付添人になる場合には、家庭裁判所の許可が必要になります。
    付添人の権限や役割については、以下のようなものがあります。

    少年との面会

    通常、施設に収容され身体を拘束された少年への面会は必ず職員が立ち会いますが、付添人は少年と立会いなし・制限時間なしで面会をすることが可能になっています。

    記録の閲覧・謄写

    少年本人や保護者には、被害者その他関係者のプライバシー保護の観点上、家庭裁判所の許可がない限り法律記録や社会記録を閲覧する権利はありません。特に社会記録は、原則として少年本人や保護者の閲覧が許可されることはありません。しかし、弁護士である付添人にはこれらを閲覧する権限があり、家庭裁判所の許可があれば謄写もできます。

    不必要な身体拘束からの解放

    付添人は、少年を少年鑑別所に収容して心身鑑別をする必要がない場合や、身体の拘束が少年に著しい不利益を与える場合には、必要な資料を揃え、具体的事情を指摘して、家庭裁判所に観護措置決定しないように求めたり、観護措置の取り消しを求めたりすることができます。

    被害者対応・環境調整

    付添人は、少年の更生や健全な成長発達のために、親子関係の調整や学校・職場等少年を取り巻く環境の調整や被害者に対する謝罪や示談交渉を行うことができます。

    処分に関する意見、証拠の収集・提出

    付添人は、少年の最善の利益を考え、少年の処分に対し、意見を述べ、証拠を提出することができます。証人尋問その他の証拠調べを申し出ることもできます。

    審判への出席

    付添人は審判に出席することができ、審判の場でも、少年が十分に自己の弁解や気持ちを話すことができるよう支援することができます。審判中に裁判長に告げて少年に発問することや、裁判長の許可を得て意見を述べることもできます。

    適正手続の保障

    少年事件の手続は、基本的に刑事罰を与えることではなく、社会復帰や更正を目的としています。よって、非行事実の認定や処遇選択等あらゆる場面において公正な手続が保障されていなければなりません。精神的知識的に未熟な少年の代わりに適正な手続のチェックをすることは付添人の重要な役割であるといえます。

    少年の手続への参加のサポート

    少年は精神的にまだ未熟な部分があり、言い分や気持ちを的確に表現できなかったり、嫌疑の内容を十分に把握していないことがあります。そのままでは、自分の審判に主体的に参加することができず、自らの問題点も理解できません。その為、付添人は、少年の最善の利益を図る為に、少年に寄り添って少年が審判対象となっている非行事実の内容・行われている手続・自分の問題点等を理解できるように支援し、少年が主体的に手続に参加できる手助けをしなければなりません。

  • 処分にはどのような種類がありますか

    少年事件における審判決定には以下のようなものがあります。

    不処分

    犯罪を行ったとするに、充分な証拠がない場合や審判・調査においてり少年に再非行のおそれがないと認められた場合、少年を処分しないこととすること。

    保護観察

    矯正施設に収容することなく、社会内で適当な指導者の補導援護と指導監督の下に、自発的な改善更正、社会復帰を促進するソーシャル・ケースワークの性質をもった措置のこと。保護観察は、主として地域社会の篤志家から選ばれた保護司によって行われていますが、専門職員による保護観察と民間篤志家による保護観察の長短が近年取り立たされています。

    少年院送致

    再犯する可能性や一般社会での更正が難しい場合に少年院に収容する措置のこと。少年の年齢・非行深度・心身の状況により、初等少年院・中等少年院・特別少年院・医療少年院の4箇所に振り分けられます。

    検察官送致

    検察官から送致された少年を裁判所が調査・審判した結果刑事処分相当とする場合に事件を検察官に送致すること。逆送とも呼ばれることがある。平成12年の少年法の改正により16歳未満の少年も対象となり、犯行時16歳以上で故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪については、原則として検察官送致が義務付けられています。

    また、審判不開始・不処分の際行われる訓戒・環境調整などの事実上の保護的措置も行われており、これらの措置を正規の保護処分に取り入れ、保護処分の多元化を図るのが相当であるという提案も出ています。

弁護士費用

  • 刑事事件の弁護士費用
    事件の内容 着手金 報酬金
    起訴前 30万円以上
    40万円以下
    ・不起訴、求略式命令
    30万円以上 40万円以下
    ・無罪
    50万円以上
    起訴後 30万円以上
    40万円以下
    ・刑の執行猶予、求刑された刑が減刑された場合、その他
    30万円以上

    (注)

    • 接見等で遠方に出張する場合、高木光春法律事務所の旅費・日当規定に基づき別途実費をいただきます。
    • 事案が複雑で労力を要する場合、ご相談により上記基準を超える金額を頂く場合もございます。

    少年事件

    事件の内容 着手金 報酬金
    家庭裁判所送致前および送致後 30万円以上
    40万円以下
    ・非行事実なしに基づく審判不開始
    40万円以上
    ・その他
    30万円以上

    (注)

    • 接見等で遠方に出張する場合、高木光春法律事務所の旅費・日当規定に基づき別途実費をいただきます。
    • 事案が複雑で労力を要する場合、ご相談により上記基準を超える金額を頂く場合もございます。

裁判について

  • 「起訴」とは何ですか

    起訴とは、刑事訴訟における公訴の提起のことです。検察官による捜査の結果、被疑者が間違いなく犯罪を起こしたと確信し、刑事処分が必要であると判断した場合、裁判所にて裁判を行う手続です。 日本では、公訴提起の権能を検察官だけに認めています。(起訴独占主義)これには、起訴・不起訴を公正かつ統一的に行うという利点がありますが、検察官の独善を招く危険もあるとされています。現行の刑事訴訟法は原則としてこの主義を採用していますが、準起訴手続や検察審査会制度を設けることで、その弊害の防止を図っています。

    準起訴手続

    公務員の職権濫用罪について検察官が、不起訴処分としたときに、公訴又は告発した者の請求により、裁判所が事件を審判に付するか否かを決定する手続。請求を受けた裁判所は審理を行い、事件を起訴すべきものと判断をするときは付審判の決定をする。

    検察審査会

    検察官の訴追権の運用に民意を反映させて、その適正化を図る為に作られた制度。衆議院議員の選挙権者から無作為に選定された11名の審査員が、検察官の不起訴処分の当否を審査する。不起訴不当・起訴相当の議決がなされると、検事正が事件の処理を再考する。起訴を強要しうるものではないが、訴追権運用の適正化に一定の影響を及ぼしているとされている。

    起訴には、以下の2種類のパターンがあります。

    「公判請求」

    裁判所での裁判を求める起訴の方法のこと。

    「略式請求」

    正式な公判を開かず書面審理だけで刑を言い渡す簡易な刑事裁判手続。簡易裁判所が50万円以下の罰金又は科料を言い渡す場合かつ、被疑者が略式手続によることに異議がない場合に、起訴と同時に検察官の請求によって行われるもの。

    起訴にあたり、検察官は起訴状を裁判所に提出します。起訴状には裁判所に対して、審判の対象を特定して提示し、被告人対して、攻撃の内容を告知して防御権の行使を全うさせてさせる機能を持ちます。 起訴状には、氏名その他被告人を特定するに足りる事項、公訴事実、罪名の記載が法律で義務付けられています。公訴事実は、訴因を明示して記載されます。訴因については、訴訟物の設定である為可能な限り罪となるべき事実を特定していなければならない。特定が不十分な場合には、検察官に釈明が求められ、それでも不十分な場合には、無効として公訴は、棄却されます。

  • 「不起訴」とは何ですか

    不起訴処分とは検察官の事件処理のうち、公訴を定義しない処分のことです。訴訟条件を欠く場合や被疑事実が犯罪とならない場合、証拠が不十分又は不存在の場合、刑の免除事由がある場合、及び起訴猶予とすべき場合になされます。
    起訴猶予とは、検察官の事件処理において、訴訟条件を満たし犯罪が立証できるにもかかわらず、訴追の必要がないとして不起訴にする処分です。犯人の性格・年齢・境遇・犯罪の軽重・情状・犯罪後の情況を総合考慮して決定されるものになります。日本では、明治時代からこの制度が実務慣行されていますが、近年ではこの裁量の幅を狭めるべきだという提案も多くなってきているようです。

  • 裁判の流れを知りたい

    刑事訴訟の第1回公判期日において、まず裁判官が検察官の起訴状朗読に先立ち、被告人に対して、人違いでないことを確かめるに足りる事項を問います。これを人定質問といい、通常は氏名・本籍地・住居・年齢・職業などを尋ねます。

    人定質問が終わると検察官の起訴状朗読が始まります。(起訴状に書かれている公訴事実を簡潔に説明し、その犯罪が何罪に当たるかを読み上げる行為。)

    次に、裁判官は取り調べでも行われた黙秘権の権利告知を行います。これは、取り調べにおける黙秘権の告知と変わらないもので、権利保護の為に必要な事項を告げていきます。この黙秘権を踏まえた上で、被告人及び弁護人に対し、被告事件について陳述する機会が与えられています。これを罪状認否といい、ここまでの手続を冒頭手続と呼びます。

    冒頭手続が終わると、証拠調べに入ります。証拠調べとは、裁判所が証拠方法を取り調べてその内容を把握し、心証を形成することです。その始まりとして、冒頭陳述というものが行われます。これは証拠調べの始まりとして、検察官により証拠によって証明する事実を明らかにすることです。冒頭陳述は、起訴状において訴因として示された事実について証拠との関連を明確にして検察官の主張を具体化させることを目的としていますが、犯罪事実の立証に必要な範囲内で犯行の動機や犯行に至る経緯、犯行後の状況等を述べることができます。冒頭陳述により、裁判所は、審理方法の樹立及び証拠の関連性などの判断材料を得ることが出来、被告人も防御の重点をどこに置くべきかを知ることが出来ます。その後、証拠調べの範囲・順序・方法の予定、証拠調べの請求と証拠決定、証拠の取調べ、証拠調べの終わった証拠の処置という順序で行われます。取調べの方式は、証拠の性質に応じて、尋問・朗読・展示等です。証拠調べには、当事者の活動が大きな要素を占め、職権証拠調べはむしろ補充的なものとされています。なお、証拠のうち、被告人の自白を記載した供述書・供述調書及び被告人の自白を内容とする第三者からの伝聞供述の証拠調べについては、他のすべての証拠についての証拠調べが終わった後に行うことが原則とされています。また、被告人が自分の意思で供述を行う場合には、被告人質問における被告人の供述も証拠となります。

    証拠調べが終わると、次に弁論手続に入ります。弁論手続とは当事者の意見陳述のことであり、具体的には検察官と被告人になります。ここで言われる意見とは、有罪・無罪の主張、犯罪の悪質性や被告人の更正可能性や情状に関わること、有罪だとすれば何罪に相当しどのくらいの求刑になるかという点になります。これが終わると、最後に被告人に自由に話させる機会を設けます。これを最終陳述といい、これが終わることで裁判は一度終了し、結審を待つこととなります。

  • 裁判員裁判って何ですか

    裁判員裁判とは、司法制度改革審議会が提言した、一般国民が刑事訴訟制度に参加する制度のことです。選挙人名簿から無作為に抽出された者から事件ごとに選出される裁判員が、職業裁判官とともに合議体を構成して刑事事件の審理を行うこととなります。裁判官と裁判員は基本的に対等な権限を持っており、共に評議することで、事件の有罪・無罪の決定及び刑の量定を行います。無論、裁判員は一般人であり有資格者と違い専門的知識は有しておりません。しかし、裁判員は自らの常識に照らし合わせて、有罪とすることに少しでも疑問があれば無罪、疑う余地がなければ有罪と判断することになります。いわゆる、疑わしきは罰せずという精神が根付いています。

    裁判員裁判の対象事件

    裁判員裁判は、全ての刑事事件が対象となるわけではなく、法定刑の重い重大犯罪が対象となります。代表的なものを挙げれば、殺人や強盗致死、傷害致死、危険運転致死、現住建造物等放火、身代金目的誘拐、保護責任者遺棄致死、覚せい剤取締法違反等が挙げられます。更に刑事裁判の控訴審・上告審や民事事件,少年審判等は裁判員裁判の対象にはなりません。また、公訴事実に対して被告人が認めていようが認めていなかろうが対象となります。被告側も、裁判員による裁判が行われるからといって裁判を辞退することは認められていません。

    裁判員裁判の特徴

    合議体の構成

    通常は、裁判官が3人又は1人で裁判手続を行い判決に至ります。しかし裁判員裁判では、選挙人名簿から無作為に抽出された者から事件ごとに選出される裁判員6名が審理に加わります。(例外として、裁判官1名・裁判員4名で構成される場合もあります。)

    事前準備を前提とした集中審理

    裁判員裁判では、冒頭手続から判決まで毎日公判が開かれることになります。これは、裁判員が職業裁判官と違い、普段は別に職を持っていたり生活に携わっていることから、負担を少しでも軽減しようと短期集中型の審理にする目的があります。大体3~14日程で判決に至るケースが多いようです。このような短期集中型の審理を可能にするためには、事前に弁護人・検察官・裁判所の三者間において争点の内容を明確にしておくことが重要となります。よって、裁判員裁判は公判前整理手続を行うことが義務付けられています。公判前整理手続で行われる内容には以下のようなものがあります。

    • 訴因、罰条を明確にさせるとともに、追加、撤回又は変更を許すこと。
    • 公判期日においてすることを予定している主張を明らかにさせて事件の争点を整理すること。
    • 証拠調べの請求をさせ、その立証趣旨、尋問事項等を明らかにするとともに、それに対する意見(刑事訴訟法第326条の同意の有無も含む)を確かめ、証拠調べをする決定または却下の決定をし、証拠調べをする決定をした証拠について証拠の取調べの順序及び方法を定め、証拠調べに関する異議の申立てに対する決定をすること。
    • 鑑定の実施手続きを行うこと。
    • 証拠開示に関する裁定を行うこと。
    • 被害者参加手続への参加決定またはこれを取り消す決定をすること。
    • 公判期日を定め、又は変更することその他公判手続の進行上必要な事項を定めること。

    公判前整理手続を義務化することで、審理スケジュールを明確にしスピーディな結審を迎えられるようにしています。

    弁護人による冒頭陳述

    通常の刑事裁判において、弁護人の冒頭陳述は任意のものとなっております。(検察官による冒頭陳述は義務付けられております。)しかし裁判員裁判においては、裁判員に対して事件の概要や弁護側の主張を明確にする為に弁護人にも冒頭陳述を行うことが義務付けられています。これは、裁判員が一般人であるということを考慮しているものであり、理解の手助けとして裁判員用のレジュメを配布したり、パワーポイントによる説明等を必要に応じて行うこともあります。

    わかりやすさを追求した裁判

    通常の刑事裁判では、証拠書面について法廷での朗読で事足りてしまい、裁判官が後ほどその証拠書面を精読して理解するという方式がとられることが多くなっています。(その為に、裁判が長引くケースもあります。)それに対して裁判員裁判では、証人の供述調書ではなく、直接証人を法廷に召喚し、話を聞くことで事実の判定に努めます。召喚できなかった証人に関する供述調書や、警察・検察による捜査報告書なども前述した短期集中型の審理であるという特性上、何度も読んだり熟読することは難しくなっていますので、そういった書面に関しては一回で理解が出来るようなわかりやすい書面が求められます。
    一般的な団体におけるプレゼンテーションを想像していただくとわかりやすいでしょう。裁判員裁判においては、視覚や聴覚に訴えて事件の審理を行うケースがほとんどとなっています。

    裁判員裁判の弁護に際して気を付けるべき点

    短期集中の裁判

    前述したとおり、裁判員裁判においては、限られた日数の中で一気に審理が行われるため、証拠書面を提出して裁判官に判断してもらうというこれまでの刑事裁判の手法はとれません。その為、証拠資料の朗読等では内容のわかりやすさはもちろんのこと、法律用語や概念をわかりやすい表現で伝えることが重要となります。また、原則として公判前整理手続にて提出した証拠以外の証拠を追加して審理に持ち込むことが禁じられている為、弁護側は今ある証拠の中で一貫した弁護をすることが求められます。

    法律用語の説明

    刑事裁判では、一般生活では聞きなれない法律用語がたびたび登場します。通常の刑事裁判であれば、審理を行うのは法律に精通した裁判官なので用語の説明はもちろん必要ありません。しかし裁判員裁判においては、一般人では理解できない法律用語や概念などを都度わかりやすい言葉に置き換えて説明をすることが求められます。例えば、法律用語に「善意」「悪意」という概念があります。これは一般生活における善意・悪意の概念とは大きく異なります。法律における善意とは端的に言えば「知らなかったこと」となり、悪意とは「知っていたこと」となります。こういった説明を裁判官はその都度挟みながら審理を行っていくことになります。

    公判前整理手続を使いこなす

    公判前整理手続において、まず、検察官より証明予定事実記載書面の提出と、これを証明するための証拠請求、証拠開示が行なわれます。その後弁護人は、検察官の手持ち証拠に対して類型証拠開示請求を行なうことになります。さらに、弁護人としては、予定主張の明示と検察官の手持ち証拠に対して主張関連証拠開示請求を行なうことになります。弁護人側にとっての公判前整理手続の最大の利点はこの証拠開示制度にあります。類型証拠開示請求においては、争点に関するものだけではなく検察官の請求証拠すべてにつき証明力を判断するために必要として、一定の類型に該当する検察官の手持ち証拠の開示を請求できます。そして、弁護人がどれだけ多くの証拠を開示させることができるかは、検察官の手持ち証拠としてどのような証拠があるのか、すなわち捜査機関がどのような捜査を行ない、どのような証拠を収集し、また証拠を作成していくのかについて、弁護人の知識・理解・推測力にかかるものといえます。
    (刑事訴訟法第316条参照)

    証人尋問における対応

    証人尋問では、犯罪事実を認めている場合であってもそうでない場合でも行われます。認めている場合であっても、抽象的な言葉で尋問を終わらせることはできません。今後、被告がどのように更正していくかを具体的かつ計画的に裁判員の方々に伝えることが必要になってきます。犯罪事実を認めない場合には、検察が用意している証人の証言の信憑性について議論する必要があります。

労働問題

  • 従業員を雇用する際の問題点は何ですか?

    会社が従業員を採用し雇用するということは、民法第623条により契約であると明文規定されています。つまり、契約である以上様々な法規制に従わなければなりません。以下のような法律による規制に注意しましょう。

    雇用対策法

    国による雇用政策全般に関する基本方針を定めた法律です。社員を採用する際に重要となってくるのは、雇用対策法第7条の「募集採用時の年齢制限禁止の努力義務」になります。これは会社が求人を行う際に原則として年齢制限を設けてはいけない旨を規定しています。ただし、努力義務となっているので会社側に採用にあたって年齢制限を設けることに合理的な理由がある場合はこの限りではありません。

    男女雇用機会均等法

    雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等について定めた法律です。男女における差別のない雇用機会及び待遇の確保を目的とすると共に、妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的としています。具体的に言えば、

    • 事業主(会社)の義務・募集・採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない。
    • 配置・昇進・教育訓練・福利厚生・定年・解雇について、女性であることを理由に男性と差別的取り扱いをしてはならない。
    • 女性労働者の婚姻・妊娠・出産・労働基準法上の産前産後休業を理由とする解雇の禁止。

    等が挙げられます。

    職業安定法

    各人にその能力に適した職業につく機会を与えることによって職業の安定を図ることを目的とする法律です。この法律は、労働者の募集・職業紹介・労働者供給の基本的な枠組みについて定めた法律ですので、よく問題になるのが求人広告の虚偽表示・あいまい表示になります。具体的な労働条件の明示については後述します。

    個人情報保護法

    国及び地方公共団体の個人情報取り扱いに関する責務や施策、個人情報取扱事業者の義務等について規定した法律です。今日、採用にあたって履歴書や職務経歴書といった個人情報がわかってしまう資料を面接などで提出させるケースは多いでしょう。この個人情報について、採用決定を行うかどうかの範囲内で事業主は収集・保管・使用をしなければなりません。採用の枠組みを超えた個人情報の使用は違反となるので注意しましょう。

    労働条件の明示

    労働基準法第15条により、事業主は労働条件を書面にて明示規定することが義務付けられています。明示事項は下記の通りです。

    1. 労働契約の期間に関する事項
    2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
    3. 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
    4. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
    5. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
    6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
    7. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
    8. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
    9. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
    10. 安全及び衛生に関する事項
    11. 職業訓練に関する事項
    12. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
    13. 表彰及び制裁に関する事項
    14. 休職に関する事項

    (労働基準法施行規則第5条より)

    以上が正社員・非正社員共に明示しなければならない事項となります。(パートタイマーについては⑩・⑪・⑭については努力義務となっています。) またパートタイマー等の短時間労働者に関しては更に以下の項目が必要となります。

    1. 昇給の有無
    2. 退職手当の有無
    3. 賞与の有無

    最近では、能力主義的人事管理が強調されることが多くなっている為、目標管理制や年俸制を導入する企業も増えてきています。よって昇格・昇給だけではなく降等・降格に関しても明示するのが勧められています。

  • 従業員に配転、出向を命じるときの注意点は何ですか?

    配転、出向は、従業員やその家族に大きな影響を与えます。高齢化社会での親の介護、子の学校の問題などを理由として、従業員が配転や出向を拒否するという事例も増えてきています。配転や出向等を従業員に命じる際には、どのような条件が必要でしょうか。

    配転命令

    配転とは、従業員の同一企業内での異動のことで、職務内容または勤務地が相当期間変更されるものをいいます。このうち、同一の勤務地(事業所内)での職種内容を変更するものを「配置転換」、勤務地の変更を伴うものを「転勤」と呼んでいます。かつては、使用者に人事権があるので自由に配転命令をなし得るとの考えがありましたが、現在では人事権も無制約でなく、使用者と労働者との合意によって認められるものと考えられています。配転が認められる条件はいかのとおりです。

    ① 個々の労働契約・就業規則等に配転命令の根拠があること

    勤務地が限定される労働契約が締結されている場合は、その限定された勤務地内での配転命令しか発令できません。限定された場所以外に配転するには労働者の同意が必要です。また、採用時に労働者の従事すべき業務が限定されていると見るべき場合にも、一方的な配転命令はできず、労働者の同意が必要となります。

    ② 当該配転命令が法令等の強行法規に反しないこと

    配転命令が実質的に組合活動を妨害する目的があり不当労働行為にあたるものや(労働組合法第7条)、当該従業員の思想・信条を理由とするもの(労働基準法第3条)は、法令違反となり、当該配転命令は無効となります。

    ③ 当該配転命令が権利濫用にあたらないこと

    配転命令が配転命令権の範囲内であっても、権利濫用に当たる場合は、無効になります。判例(東亜ペイント事件・最判昭61.7.14労判477-6)によれば、権利濫用か否かについては、次のⅰ~ⅴまでの要素を総合的に勘案して判断すべきこととされています。

    • ⅰ 当該人員配置の変更を行う業務上の必要性の有無
    • ⅱ 人員選択の合理性
    • ⅲ 配転命令が不当な動機・目的(嫌がらせによる退職強要など)でなされているか否か
    • ⅳ 当該配転が労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるものか否か
    • ⅴ その他上記に準じる特段の事情の有無(配転をめぐる経緯、配転の手続など)

    出向(在籍出向)

    出向とは、労働者の雇用先の企業(出向元)に在籍のまま、他の企業の事業所(出向先)で働く「在籍出向」と雇用先の企業から他の企業へ籍を移して働く「転籍」に分けられます。ここでは、まず、在籍出向の認められる条件について述べます。
    出向も、上の配転命令で述べた①~③と基本的には同様の規制を受けます。ただし、出向に特有の事情に注意する必要があります。出向は配転と異なり、就労先が出向元から出向先に変わります。これは、法的には、出向元企業が、出向先企業に対し、労働者に対する「労務給付請求権」(働くことを求める権利)」を譲渡することを意味します。労働者への影響が大きいこともあって、民法上、労務給付請求権など使用者の権利を第三者に譲渡する場合は、労働者の承諾(同意)が必要であるとされています(民法625条)。この同意は、個別的な同意だけでなく、包括的な同意でもよいとする裁判例もおおくなってきています。ただし、包括的同意については、最高裁判所は、就業規則と労働協約に出向命令権を根拠づける規定があり、出向労働者の利益に配慮した出向規程(出向期間や出向中の地位、出向先での労働条件に関し、出向者の利益に配慮したルール)が設けられている事案で、企業は従業員の個別的同意なしに出向を命じることができると判断しています(最二小判平成15.4.18 新日本製鐵(日鐵運輸第2)事件 労判847号14頁)。包括的同意といっても、出向者の利益に配慮したルールも定められている場合であるということに注意が必要です。
    次に、出向命令権の行使が権利濫用で無効になるのはいかなる場合かについては、労働契約法14条に規定があります。同法14条は、「使用者が労働者に出向を命ずることができる場合において、当該出向の命令が、その必要性、対象労働者の選定に係る事情その他の事情に照らして、その権利を濫用したものと認められる場合には、当該命令は、無効とする」と定めています。権利濫用か否かを判断する要素としては、配転の場合と類似性があります。
    なお、出向期間中の労働関係については、基本的な労働契約関係は出向元にあると解されます。法的には、出向に伴い、出向元と出向する従業員の労働契約上の権利義務の一部が、出向先企業に譲渡されることになります。労働契約上の権利義務のどの部分が譲渡されるのかは、出向元と出向先の合意で定められることになります。一般に、労働時間に関する諸規定は、就労を命じる権限を持つ出向先に適用されると思われます、これに対して賃金に関する諸規定は、出向者への賃金の支払いに責任を持っている企業が出向元・出向先のいずれであるかを出向協定等に基づき判断したうえで、支払義務を有する側に適用されることになるでしょう。

    転籍命令

    転籍とは、従来の雇用先との労働契約を終了させ、新たに他企業との間に労働契約を締結して、当該他企業の業務に従事することになります。
    よって、転籍は出向と異なって、労働者の個別的・具体的な同意が必要であることにほぼ異論はありません。

  • 従業員に注意をする場合のどのようにしたらいいですか?

    何度も遅刻や無断欠勤を繰り返したり、仕事上何度もミスを繰り返し会社の損害を与え、改善が全く認められず、客観的に見ても職務遂行能力に欠ける場合には、勤怠不良や能力不足による解雇が合理的かつ社会的相当であるとして認められる余地があります。
    ただし、解雇が争われる場合には、会社の方でその合理性と社会的な相当性を立証していく必要があります。合理性と社会的相当性が認められるためには、
    注意や指導や、処分(徐々に強いものに)ににもかかわらず、改善がなされなかったことを会社の側で証明する必要があります。そこで、注意の原因となる事実、注意・指導・教育の内容、次回注意されたときには、今後改善されない場合には相応の処分を加えることを示唆する文言等を必ず書面にて従業員に渡すことが重要です。
    一度の問題行動を理由として解雇したのではなく、何度も注意を行うなどして解雇以外の解決方法を最大限模索したということが証明できれば、解雇が妥当なものであると判断される一材料となります。
    また、注意の書面は、本人に渡すだけでなく、会社にも写しをとっておかなければ証拠としての意味がありませんので注意が必要です。
    なお、注意を受けた者が自らの行動・自らの非を認めている場合に、その内容を記載した覚書を作成しておくことも、後々紛争に発展した場合に会社に有利に働きます。
    まとめると、従業員の注意は必ず書面で行うことが重要です。

  • 従業員を解雇する際の注意点は何ですか?

    解雇は、例え会社の側に正当な解雇事由があったとしても、当該従業員がその解雇事由の事実の存否を争ったり、事実自体は認めても解雇の不当性を主張して紛争に発展した場合、会社は紛争に巻き込まれて解決に時間と多大な労力を費やさなければならなりません。
    そこで、まずは会社としては話合いにより、従業員に任意の退職を実現させることが重要となります。従業員が納得して退職する場合には必ず、退職届けを提出してもらうようにして下さい。もっとも、従業員が全く納得していないのに執拗に任意の退職を促した場合には、後に争われ違法と評価される場合もありますので慎重に行う必要がある点に通委が必要です。
    解雇事由が認められるにもかかわらず任意退職しようとしない場合は、解雇する判断もやむを得ないといえます。しかし、解雇には客観的に合理的理由があり、社会的に相当と認められる場合でなければ、解雇権の濫用として無効になる恐れがあります。そこで、解雇を考える場合にはまず、当該社員が解雇の不当性を争ってきた場合に解雇事由の客観性・合理性を主張できるように、十分な証拠を残しておく必要があります(従業員に注意をする場合のどのようにしたらいいですか?の項を参照)。
    解雇には大きく、普通解雇、懲戒解雇、整理解雇等があります。それぞれに要件が異なりますので、会社が考えている解雇の要件をきちんと充たす必要があります(普通解雇と懲戒解雇はどう違うのですか?及び整理解雇を考えているのですが、注意点はありますか?の項を参照)。
    なお、解雇が法律上禁止されている場合も多くあります(例えば、産前産後の休業期間中及びその後30日間(労基法第19条)、公益通報を理由とすること(公益通報者保護法第3条)等)。解雇が法律上禁止されていないことは解雇を検討する上での大前提となりますので注意が必要です。

  • 普通解雇と懲戒解雇はどう違うのですか?

    普通解雇と懲戒解雇は、使用者が一方的に雇用契約を解約する意思表示である点では共通します。しかし、懲戒解雇は企業秩序違反を理由に労働者を懲戒する目的でなす解雇である点で、債務不履行等を理由とする普通解雇とは異なります。懲戒解雇には、懲戒という側面と解雇という側面があります。
    普通解雇、懲戒解雇ともいずれも、客観的に合理的な理由があり客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合でなければ、解雇権の濫用として無効(労働契約法16条)となることは共通です。 しかし、懲戒解雇の場合は、普通解雇の場合と比べて、有効性の判断は、就業規則や退職金規程等において退職金を支払わない旨規定していることが多く、また再就職等に際し大きな不利益を負うことになるため、また後述のように解雇予告手当を支払わなくて良い場合もあるのでより厳しく判断されることになります。

    就業規則上の懲戒解雇事由に該当すること

    普通解雇の場合には、就業規則の事由に該当しない解雇も一定の要件の下になしうると考えられています(就業規則に記載されていない事由で従業員を解雇できますか?の項を参照)。これに対して、懲戒解雇の場合は、就業規則の懲戒解雇事由に当たらない事由によって懲戒解雇することはできない(限定列挙)とされています。それは、懲戒解雇が、懲戒処分のうち、企業の外に放逐するという最も重い処分として行われるものであるため、解雇事由はあらかじめ就業規則に明確に定めておく必要があるためです。

    従業員の行為と懲戒解雇処分することとのバランスがとれていること(相当性)

    従業員の非違行為の程度やその他の事情に照らして、懲戒解雇という重い処分を行うことが本当に必要なのか、妥当な処分なのかが判断のポイントとなります。

    適正手続の保障など罪刑法定主義に準じた措置の有無が要求されること

    使用者が従業員を懲戒処分するにあたり、罪刑法定主義という刑事法の刑罰を科す際に準じた手続きが必要となります。

    • 罪刑法定主義(就業規則上懲戒解雇事由が定められ、その事由に該当する具体的な事実が必要であること)
    • 不遡及の原則(後から定められた就業規則の懲戒事由によって処分できないこと)
    • 一事不再理の原則(過去にすでに処分を受けている行為について重ねて処分できないこと)
    • 適正手続の原則(本人に弁明の機会を与えること)

    会社としては、以上を踏まえて、懲戒解雇あるいは普通解雇が妥当かどうか検討する必要があります。
    では、懲戒解雇事由、普通解雇事由のいずれにも該当し得ると考えられる場合、懲戒解雇を行うのと普通解雇を行うのとでは、どのような効果の違いが生じるのでしょうか。

    解雇予告手当の支払の有無

    労働基準法では、解雇する場合の手続として、30日前の予告または平均賃金30日分以上の解雇予告手当の支払いが必要とされています(労働基準法20条)。普通解雇の場合には、解雇予告手当の支払が必要となります。 これに対して、従業員に即時解雇されても仕方がない著しい非違行為があれば、所轄労働基準監督署であらかじめ「解雇予告除外認定」を受けて解雇予告や解雇予告手当を支払うことなしに即時解雇することができます。懲戒解雇の事由にあたる場合には、解雇予告除外認定を受けられる場合が多いと言えますが、注意しなければならないのは、懲戒解雇=解雇予告手当を支払わないで良いということではないと言うことです。

    雇用保険の給付制限の有無

    雇用保険の失業等給付のうち基本手当(いわゆる失業保険)を受けようとすると、普通解雇の場合には、一般に給付制限を受けることはありません。しかし、当該社員の責に帰すべき重大な理由があって解雇または懲戒解雇された場合(重責解雇の場合)には、自己都合退職した場合と同様に給付制限を受けることとなります。つまり、待期期間経過後最長3ヶ月経過しないと失業等給付は支給されないことになります。
    このように、普通解雇と懲戒解雇では、要件、効果に大きな違いがあります。

  • 整理解雇を考えているのですが、注意点はありますか?

    整理解雇とは、会社の経営上の理由(企業経営の合理化、整備等)により人員削減が必要な場合に行われる解雇のことです。
    この解雇では、裁判法理上一般に次の4要件を満たすことが必要と考えられています。

    • 人員整理を行う業務上の必要性があるか(人員削減の必要性)
    • 解雇を回避するために具体的な措置を講ずる努力が十分になされたか(解雇回避努力義務)
    • 解雇の基準及びその適用(被解雇者の選定)に合理性があるか(被解雇者選定の合理性)
    • 人員整理の必要性と内容について労働者に対し誠実に説明を行い、かつ十分に協議して納得を得るよう努力を尽くしたか(解雇手続きの妥当性)

    ただし最近の判例では、整理解雇をする場合、必ずしも整理解雇の4要件全てを満たさなくとも整理解雇が有効と判断するものもあります。つまり、解雇権が濫用的に行使されたかどうかの判断に際しての考慮要素の類型化にすぎないとし、4要件を考慮要素として、個別具体的な事情を総合考慮して判断する裁判例が登場しています。
    とはいえ、上記の4類型は考慮要素として重要なことには変わりはないと考えられますので、整理解雇を考える場合には、それが後に解雇権の濫用として無効とならないために、弁護士に相談の上、整理解雇を進めて行くことが重要です。

  • 就業規則に記載されていない事由で従業員を解雇できますか?

    解雇事由は、就業規則において定められているのが一般的です。もっとも、解雇事由を網羅的に就業規則に規定することは現実的ではありません。また、いかに労働者が信義を欠く行動をしたり、職務遂行能力が無かったり、会社に損害を与えた場合にも就業規則の解雇事由に該当しない限り解雇できないとすることは不当な結果になりかねません。
    そこで一般的には、就業規則の解雇事由は解雇事由を限定した趣旨であることが明らかでない限り例示列挙事由と解され、就業規則に規定のない解雇事由による解雇も有効となる場合があります。この場合、無制限に解雇ができるということではなくて、解雇が客観的に合理的と認められ、社会通念上相当であると認められる場合でなければ解雇権を濫用したものとして無効とされます(労働基準法第18条2項参照)。
    なお、就業規則に規定のない解雇事由の解雇は、無用の議論を生じるおそれがありますので、「前各号に準ずる重大な事由」等の包括条項を設けている会社がほとんどであると思われます。

  • 解雇した従業員から解雇無効を主張されたのですがどうしたらいいですか?

    会社には、解雇権というものがあります。従来は、就業規則等で解雇事由が定められていなくても解雇は出来るとされていましたが、労働基準法の改正や労働契約法の施行により、合理的な事由がなければ、その解雇は無効とされる旨が記載されるようになりました。よって争点となるのはその解雇が合理的事由に基づいているのか否かということです。
    具体例を出すと、整理解雇いわゆるリストラが行われた場合を考えてみましょう。あなたは企業において人事権を握っている人間です。社員に「君はリストラだから明日から来なくていいよ」と通達したとします。通達された社員としては、生活もありますしこの通達は断固として受け入れられません。もちろんいきなり通告した場合は、解雇権の濫用にあたりその解雇の無効を主張できます。解雇手続には一定の要件があります。どうしようもない場合に解雇というものは成立すると考えてください。この場合ですと、①解雇をしなければ会社の存立が危ぶまれるくらい切迫した状況であるか。②新規の採用を抑制したり役員報酬のカット等、解雇を回避する努力をしたか。③誰を退職させるのかについて客観的・合理的な基準の下に人選がなされているか。④労働組合との協議や労働者に納得のいく説明がなされているかなどが挙げられます。
    会社としては、解雇事由をなるべく広い範囲の事例に対応できるようにすることが大切です。考えられる全ての事由について就業規則に列挙することがお勧めされます。(その就業規則自体が不当なものにならないように注意しながら作成することが重要です。)

  • 従業員から過去の残業代を支払って欲しいと言われているのですが?

    過去の残業代の請求については在職中よりも、退職した従業員からの請求が多いと思います。
    この場合、従業員は労働基準監督所などや弁護士に相談に行っているケースが多いです。従業員の要求を無視すると、労働基準監督署からの出頭要求や立ち入り調査などで、全従業員について未払いの残業代の支払を命じられる可能性もあります。また労働審判の申し立てや訴訟を提起され、会社が大きなダメージを受けることもあります。悪質と判断された場合には付加金を支払わなければならなくなるケースも生じます。
    大切なことは、従業員の請求を無視しないということです。その上で、従業員の請求が妥当なものかどうかをきちんと判断する必要があります。従業員の請求には、不必要な時間外労働も多く、残業代の計算を適切に行っていない場合も多くあります。
    会社としては、従業員の勤務実態を調査し、主張している労働時間に間違いがないか確認することが重要です。
    早めに弁護士に相談に行き、適切かつ妥当な計算を行ってもらい、問題が大きくならないうちに問題を解決する必要があります。

  • 従業員から会社内でセクハラにあったと主張されているのですが?

    使用者は、セクハラの申告に対しては、誠実に対応する義務を負い、被害者が意に反して退職することのないように職場の環境を整える義務があります。
    まずは、会社としては十分な調査が必要です。被害者の申告のみを鵜呑みにして、加害者である社員に懲戒処分等をなした場合に、後にその事実を争われ、事実関係が覆った場合には会社は損害賠償責任を負う場合があります。一方で、被害者からのセクハラの申告に対して、会社が何の対応も取らず被害者が就業困難になり退職に追い込まれてしまった場合や、セクハラを原因とする単なる個人的な対立関係と見て被害者に退職を求めたり、解雇するようなことがあると会社は責任を問われるおそれがあります。
    事実関係の詳細な調査は必要ですが、調査方法次第では被害者の苦痛を深めますので調査は慎重に行う必要があります。専門の相談窓口を設け、専門の委員会等が調査を行うことが求められます。
    調査の結果、セクハラがあったことが明らかになった場合、職場環境を保持するため、適切に処理することが要求されます。加害者に対しては配転命令や、懲戒処分が考えられますが、慎重に行う必要があります。 なお、男女雇用機会均等法第11条では、職場においてセクハラ行為を防止するため、雇用管理上必要な配慮をすることが義務づけられています。会社において、上記の様に相談窓口を設けるほか、どのような行為がセクハラになるのか社内での明確化と周知、セクハラ防止のための教育、就業規則等での定め、起きた場合の適正かつ迅速な処理、再発防止のための措置等が求められます。
    社内でのセクハラが適正に処理できず、公になった場合には会社の社会的評価は低下します。
    社内でのセクハラの相談を認識した場合には、早急に対応する必要がありますので早期にご相談ください。

  • 職場内のいじめ、パワハラにはどのように対処したらいいですか?

    最近、職場内でいじめやパワハラを受けて退職した従業員から、会社が訴えられるというケースも増えてきています。
    従前は個人間の問題として取り扱われてきましたが、現在では以下に述べるように労務管理としての問題として捉えていく必要があります。
    厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」が、平成24年3月に発表した提言では「職場のパワーハラスメント」は、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」となっています。ポイントは次の点にあります。

    職場内の優位性

    上司から部下に対しての行為だけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるなどの様々な職務上の地位や人間関係の優位性を背景に行われるケースが含まれます。

    業務の適正な範囲

    個人の受け止め方によって不満に感じる指示や注意・指導があっても「業務の適正な範囲」内であればパワーハラスメントに該当はしません。
    典型的な、パワーハラスメントとしては、次の6つが挙げられます。

    • 暴行・傷害
    • 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
    • 隔離・仲間外し・無視
    • 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
    • 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
    • 私的なことに過度に立ち入ること

    職場のパワーハラスメントを放置すれば、被害従業員の心の健康を害するだけでなく、職場の雰囲気・生産性の悪化や退職等による人材の流出の問題が生じます。
    さらに加害従業員のみならず、会社も使用者として「不法行為責任(使用者責任)」や「職場環境配慮義務違反」などの法的責任を問われて訴訟による金銭的負担の発生、そして企業イメージの低下と、企業へも大きな悪影響を及ぼすことも考えられます
    まずは、パワーハラスメントの問題は、労務管理の問題であるという会社内での認識が必要です。そして、セクハラの問題と同じように、慎重かつ適切な処理が要求されます。対応を誤ると、問題が大きくなり企業イメージの低下に結びついてしまいます。
    ではパワーハラスメントの問題について、会社はどのように対応すべきでしょうか。基本的には、「職場内のいじめ、パワハラにはどのように対処したらいいですか」の項で述べた様な対策と共通性があります。
    予防としては、経営者が、パワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示すとともに、就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結するなど一定のルールを設けることも必要です。また、予防・解決についての方針やガイドラインを作成するとともに、従業員アンケートを実施するなどしてパワハラやいじめの実態を把握することも有効です。また、どのような行為がパワハラになるのかを従業員に教育し、研修等を実施して周知する必要もあります。
    生じてしまったパワハラやいじめの問題については、解決のための相談窓口を予め設けると共に、職場の対応責任者を決め、早期に事実の確認・調査を行う。場合によっては、弁護士等の外部専門家と連携し適切な対処法を検討する、
    加害者の適切な配置転換や処分を行う、行為者に対する再発防止研修を行うなどの対応が必要です。
    上で述べた様に、対応を誤りますと、訴訟になり企業イメージが低下しますので、パワハラの問題が生じたときは早期に弁護士に相談することが肝心です。

  • 従業員から退職にあたり退職金を支払って欲しいと言われているのですが?

    退職金制度を定めるかどうかは、会社が自由に定めることができます。
    労働基準法は第89条において退職手当の定めをする場合には、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法、支払いの時期に関する事項について就業規則に定めなければならないことになっています。
    したがって、会社に退職金に関する就業規則や退職金規程が無い場合には退職金という問題は原則として発生しません。
    もっとも、就業規則や退職金規程の定めがない場合において、一定の期間の勤続者に対して、ほぼ退職金が支給され、その額も一定の基準によって支給され、そのような取扱が少なくとも数年以上にわたって継続しているような場合には、そのような内規がある場合、または内規のような文書がなくても、労使間には黙示に慣行に従った退職金の支払に関する合意があったと認められる場合には退職金の支払が裁判上認められる可能性があります。
    このように、就業規則に定めがない場合にも、例外的に退職金を支払わなければならないことがあります。
    会社としては、退職金制度を整備するか、制度化しないかを明確化し、従業員に周知する必要があると言えます。また、制度化しない場合には労使慣行が定着化しないよう、曖昧な取り扱いについて見直す必要があります。

  • 従業員が、交通事故を起こし場合、会社は責任を負いますか?

    まず、従業員が会社の業務中に会社の車で交通事故を起こした場合には、会社は使用者責任及び運行供用者責任を負い、運転者と共に損害賠償責任を免れることはできないでしょう。会社は使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは責任を免れますが、極めて限定的な場面と言えます。
    また、例え会社の車でなくとも業務中にマイカーを使用して事故を起こした場合にも、会社は使用者責任及び運行供用者を負うことは免れないでしょう。マイカーを社用で使用していることを会社が容認していた場合は、その自動車を利用して会社の業務を行っていたと言え、会社の自動車を使用していたのと同視できるからです。また、容認は積極的に認めていた場合だけでなくなく、自家用車利用を認識していながら、注意することもなく放っておいたといった黙認しているような場合も含まれるでしょう。
    では、従業員が通勤・退勤途中に事故を起こした場合はどうでしょうか。通勤は、会社が指揮関係を有し運行を支配している状態ではありませんので、マイカー通退勤中に事故が起きた場合でも、会社がマイカーを業務のために利用しているという関係を見出しにくいため、原則としては会社に使用者責任や運行供用者責任は認められていないようです。もっとも労災保険では、通勤災害について、業務災害ではないものの、保険給付の対象としています。通退勤は労務の提供に必然的に伴うものですから、業務と密接な関連をもっていると言えます。マイカーが日常的に会社の通退勤等に利用されていて、会社がマイカー通勤について通勤手当を支給したり、駐車場を提供したりするなど、会社がマイカー利用を積極的に容認しているような場合に、会社がマイカーを業務のために利用していると評価して、使用者責任や運行供用者責任を認めた裁判例もあります。多くの会社では、マイカー規定を設け、マイカーの通勤を許可制にし、任意保険の加入をマイカー通勤の条件としています。規定には、事故が起きた場合、一切会社は責任を負わず事故で処理する旨の条項及びその旨の誓約書を出させることが一般的です。
    上記の様に、会社が責任を負う裁判例もありますが、従業員個人が任意保険に加入している場合には会社が実際に金銭を支払う事態はほぼ想定できません。重要なのは、会社のマイカー通勤に際し十分な額の任意保険の加入のチェックとその指導にあると言えます。

  • 労働組合から団体交渉を求められているのですが?

    労働組合から団体交渉を申し込まれた場合、労働者との間で賃金等の労働条件の問題や解雇の問題等で既に問題が顕在化しているものと思われます。
    団体交渉を求められた場合、使用者には団体交渉について合意達成の可能性を模索して誠実に交渉しなければならない義務(誠実交渉義務)が課せられています。その趣旨は憲法上の権利である労働者の団体交渉権を裏から実質的に保障するものです。ただし、使用者は団体交渉に応じる義務はありますが組合の要求に応じる義務はありません。もっとも、ここでの対応を間違えると、問題が長期化、拡大化しますので慎重かつ迅速に対応する必要があります。
    団体交渉に際しての一般的な注意点は、以下のとおりです。

    労働組合についての情報を収集する。

    団体交渉申入れをしてきた労働組合が、会社内の労働組合であれば、組織の内容についてある程度把握することはできます。しかし、例えば合同労働組合のような社外で組織された労働組合の場合には、組織の実態もわからないことも多いと思います。こうした場合には、ホームページ等で当該組合の組織内容、活動の方針や状況等について確認することが、団体交渉の下準備として重要です。

    交渉のスケジュールを確認する。

    労働組合から交渉の申し入れをされた場合、同時に団体交渉の日時の指定がされることが多々あります。しかし、使用者側としては、準備不足のまま団体交渉に臨むことは避けなければなりません。まずは時間猶予の申入れを行い、事前準備として事実調査や弁護士に依頼するなどを行う必要があります。もっとも、単なる引き延ばしに過ぎない時間猶予の申入れは合理的な理由の無いものとして不当労働行為と評価されてしまうこともありますので注意が必要です。

    出席者について

    労働組合側で誰が出席するのかを予め確認すると良いでしょう。
    一方、労働組合側では、社長に強く出席を求めることがよくあります。しかし、使用者側としては交渉権限がある担当者を出席させれば、誠実交渉義務を十分に果たしているといえます。
    会社代表者が出席する場合には、労働組合側から厳しい追及を受け、その場での回答を求められたりすることもしばしばあります。そのような場合には、即座に回答ぜずに持ち帰って検討するなど場の雰囲気に流されてしまわず冷静に対応することが必要です。

    交渉の場所と時間に注意する

    交渉の場所については、交渉がエンドレスになってしまう危険があるので会社内はできる限り避けた方が良いでしょう。公共の会議室等を指定するのが望ましい対応です。労働組合の事務所も交渉がエンドレスになってしまいがちなのは社内で行う場合と同様ですが、加えて相手方のホームグラウンドであるので、労働組合側のペースに飲み込まれてしまいやすいという点、どうしても労働組合の事務所で交渉を行わなければならないような場合には、弁護士を同行させる等の事前の対策が必要となります。
    交渉の時間についても、交渉がエンドレスになる恐れがあるので何時から何時までと適切な交渉時間を設定することが大切です。また、できる限り労働時間内は避けた方が良いでしょう。

    議題について確定する

    労働組合側からの団体交渉申入書に記載のある議題が、広範にわたっている場合には適宜修正を加えて議題を絞り、議論が波及・紛糾しないよう事前に調整する必要があります。

  • 労働審判を申し立てられました。どういう制度ですか?

    労働審判は、労働審判官(裁判官)1人と労働関係に関する専門的な知識と経験を有する労働審判員2人(使用者側1人、労働者側1人)で組織された労働審判委員会が、個別労働紛争を、原則として3回以内の期日で審理し、適宜調停を試み、調停による解決に至らない場合には、事案の実情に即した柔軟な解決を図るための労働審判を行うという紛争解決手続です。
    次のような特徴があげられます。

    迅速な対応が要求されること

    労働審判は、迅速な解決を目指すものであるため、原則として3回以内の期日で審理が終結されます。
    第1回目は、申立てから40日以内に指定されます(規則13条)。
    労働審判委員会は、第1回期日に、当事者の陳述を聴いて争点及び証拠の整理をし、可能な証拠調べを実施して審理の終結を目指すこととされ(規則21条)、第1回期日に審理を終結できない場合等に初めて次回期日を指定すべきこととされています(規則21条2項)。
    このように、労働審判は、訴訟が長期間かかることに比べると、日程が非常にタイトです。そして、第1回目の期日で主張や証拠が出揃い、裁判所(労働審判委員会)の心証が得られ、調停案(和解案)が提示されることも多いです。
    労働審判においては、第1回目が勝負といえます。そして、このことは会社側にとっては、迅速に対応することが極めて重要であることを意味します。解雇の有効性等が争われる場合には、会社側に立証責任があります。したがって、第1回期日までに、事前に会社の主張をきちんと文書(答弁書)にまとめ、その証拠を十分揃えて裁判所に送付することが求められます。このような準備を40日に満たない期間で行わなければならいのですから、会社側の負担は非常に大きいといえます。上で述べたように、会社側に立証責任があることが多く書面も提出する証拠も膨大になります。労働審判を申し立てられた場合、一刻も早く、労働審判手続に精通した弁護士に相談しましょう。

    柔軟な解決が可能であること

    裁判での判決は請求が認められないか、請求が認められるかの判断しかありません。例えば、解雇無効を訴訟で訴えた場合、裁判所は解雇が無効か有効かの判断が行われます。
    労働審判においては、手続きの過程で調停の成立による解決の見込がある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、労働審判を行う(法1条)ものとされています。つまり、紛争の実情に即して、調停(話し合い)による柔軟な解決が可能となります。

    手続きが強制されること

    都道府県労働委員会が扱うあっせん制度は、行政サービスのため出頭義務はありません。そのため相手方が出頭しないと何も進まないという問題がありました。労働審判では、労働審判官からの呼び出しに対して正当な理由無く出頭しなかった関係人は5万円以下の科料に科せられます(法31条)

    非公開であること

    手続は柔軟な解決を目指しているので非公開で行われます。非公開とすることで、双方当事者の率直な意見の表明、意見交換、交渉、議論を促進して、当事者の互譲につなげていくという狙いがあります。
    当事務所では、労働審判事件についても迅速に対応できます。労働者から申し立てがあった時には、準備の期間をできるだけ確保するためにも、まずは事務所までご相談下さい。

遺言・相続問題

相続に関する紛争

  • 相続とは?

    相続とは故人(被相続人)が生前持っていた一切の財産や債務が、死亡と同時に相続人に引き継がれる制度のことをいいます。

  • 誰が相続人になるのか?

    父が亡くなりました。相続人になるのは誰ですか。

    法律で規定された、相続の権利がある人のことを「法定相続人」といいます。以下のような人が法定相続人になることができます。誰が相続人になれるのかを調べるにあたっては、亡くなった方(被相続人)の親族関係図を、その近い方から作成していく必要があります。

    法定相続人とは

    • 配偶者
      法律上の配偶者は常に相続人となります(相続欠格事由、廃除等がある場合を除く)。内縁の配偶者には相続権はありません。
      配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
    • 第1順位:被相続人の子ども
      子には、離婚した妻との間の子どもや、認知した子ども、胎児、養子も含まれます。胎児が死産した場合には最初からいなかったものとされます。
      被相続人の子どもが既に死亡しているときは、その子ども直系卑属(子や孫など)が相続人になります。子どもも孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子どもが優先されます。
      親族関係が複雑な場合は、被相続人の戸籍謄本を十分確認することが必要です。
    • 第2順位:被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)
      被相続人に直系卑属(子や孫など)がいない、または全員相続放棄している場合には、被相続人の直系尊属(父母、祖父母など)が相続人になります。直系尊属の中では、親等の近い者が優先的に相続人になります。
    • 第3順位:被相続人の兄弟姉妹(姪・甥まで)
      被相続人に直系卑属(子や孫など)や直系尊属(父母、祖父母など)がいない、または全員相続放棄している場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡している場合には、兄弟姉妹の子(被相続人の甥姪まで)が相続人になります。

    法定相続人の相続分とは

    法定相続分は、以下のように定められています。

    • 配偶者と子供が相続人である場合
      配偶者1/2 子供(2人以上のときは全員で)1/2
    • 配偶者と直系尊属が相続人である場合
      配偶者2/3 直系尊属(2人以上のときは全員で)1/3
    • 配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
      配偶者3/4 兄弟姉妹(2人以上のときは全員で)1/4

    子ども、直系尊属(父母や祖父母)、兄弟姉妹がそれぞれ2人以上いるときは、原則として均等に分けます。
    なお、法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの取り分なので、必ずこの相続分に従わなければいけないわけではありません。

  • 代襲相続とはどういうことですか?

    先日、祖父が亡くなりました。祖父の息子である私の父は、祖父より前に亡くなっています。祖父の財産を、私が相続することはできますか。

    被相続人(祖父)が亡くなる前に、相続人(父)が既に亡くなっていたり、相続欠格事由や廃除により相続権を失っている場合は、その子ども(孫)が相続人(父)の代わりに相続することができます。これを代襲相続と言います。

    代襲相続は、相続人の子どもや孫など、自分より後の世代の親族が行えます。
    父(被相続人)→子→孫→ひ孫、という関係では、父が亡くなる前に子が既に亡くなっていたり、子が相続欠格事由や廃除により相続権を失っていた場合には、孫が祖父を相続できます。また、子と孫が死亡していた場合等は、ひ孫が祖父を相続できるなど、永遠に再代襲相続します。

    代襲相続する場合とは

    代襲相続は、以下のような場合に発生します。

    • 相続人が、被相続人が亡くなる前に死亡していた場合
    • 相続人に、相続欠格事由が生じた場合(被相続人の死亡の前後を問わない)
    • 相続人が廃除された場合(被相続人の死亡の前後を問わない)

    なお、相続人が相続放棄した場合は、代襲相続は発生しないので注意が必要です。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続や遺産分割の際には、相続人を確定させることは非常に重要である一方、代襲相続の発生時期などは、複雑な判断が求められるケースも少なくありません。高木光春法律事務所では、相続人の範囲や順位に関する仕組みを詳しくご説明し、代襲相続の範囲の確定などをサポートすることができます。代襲相続でお悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 相続欠格と廃除ってなんですか?

    相続欠格、廃除とはいずれも、本来の相続人が、一定の事情により相続できなくなることを言います。相続欠格は、法律で相続欠格にあたる事由が決められているのに対し、廃除は、被相続人の申立に基づいて家庭裁判所が調停、審判によって判断し、相続権が剥奪されるという違いがあります。

    相続欠格とは

    相続欠格とは、法定相続人が、相続に関して不正な利益を得ようとして、不正な行為をしたり、又は不正な行為をしようとした場合に、法律上当然に相続人の資格を剥奪する制度のことをいいます。

    相続欠格が生じる場合(相続欠格事由)は、法律によって以下のように定められています。

    • 故意に被相続人又は先順位若しくは同順位の相続人を死亡させたり、又は死亡させようとして、刑に処せられた者
    • 被相続人が殺害されたことを知っていながら、告訴・告発をしなかった者
    • 詐欺・強迫によって、被相続人の相続に関する遺言の作成・撤回・取消・変更を妨げた者
    • 詐欺・強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、またはその撤回・取消・変更をさせた者
    • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造・変造・破棄・隠匿した者

    相続人の廃除とは

    相続人の廃除とは、相続欠格と異なり、被相続人からみて、相続させたくない場合に、被相続人の請求に基づいて、家庭裁判所が審判又は調停によって、相続権を剥奪する制度のことをいいます。

    相続人の廃除が認められる場合は、単なる主観的、感情的な理由だけでは足りません。家庭裁判所の審判では、虐待・重大な侮辱・その他の著しい非行などの法律上の廃除原因があるか否かの判断は、客観的に行われます。
    実務上は、父母に暴行をふるう・親名義の財産を無断で売り払う・浪費癖がある・遊興に耽るなどの複数の行為をしている場合に、「著しい非行」が認められやすい傾向にあります。

    遺言で遺産の分け方を指定することで、相続させたくない相続人に遺産を遺さないこともできますが、子・配偶者・直系尊属には法律で認められた遺産の最低限の取り分(遺留分)があるので、第三者に遺贈するだけでは、遺留分減殺請求により遺産を取得することが可能です。
    廃除は、遺留分も含めて相続権を剥奪することができる制度なので、相続させたくない相続人に、確実に遺産を遺さないという対応が可能になります。

    このことから、廃除の対象となるのは、遺留分を有する子(及びその代襲者)、配偶者、直系尊属に限られ、被相続人の兄弟姉妹は含まれません。

    廃除の手続とは

    廃除の手続きは、生前に行う場合と、遺言により行う場合があります。
    被相続人が生前に廃除の手続きをする場合は、家庭裁判所に対し、廃除の調停か審判を申し立てます。
    遺言により廃除の手続きを行う場合は、遺言で廃除の意思表示をしておき、相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に申し立てを行います。

    いずれも、一旦廃除が裁判所に認められた場合でも、被相続人は、家庭裁判所に対し廃除の取消を求めることができ、遺言で廃除の取り消しの意思表示をすることも可能です。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続欠格や廃除の効果が生じると、その相続人は初めから相続人で計ったことになるので、遺産分割協議などに大きな影響を及ぼします。他方で、相続人の範囲・順位や相続欠格事由の判断は個別の事案に依る分、分かりづらい部分もあり、相続人の範囲を確定するにあたっては、弁護士による調査・助言が有効です。相続欠格、廃除でお悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談下さい。

  • 相続財産にはどのようなものがあるか?

    先日、父が亡くなりました。相続の対象になるのは、どのような財産が含まれますか。

    相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされています(被相続人の一身専属権を除く)。

    相続財産には、土地・建物などの不動産や、預貯金や現金、株などの債権、勤めていた場合は退職金、生命保険金、自動車などの動産が含まれます。
    但し、預貯金などの金銭債権は、相続開始と同時に相続人に当然に分割されると考えられているので、相続人全員の合意がないと遺産分割の対象になりません。
    このように、遺産分割の対象となる財産かどうかについては複雑な判断が必要になる場合もあります。
    遺産分割の対象になる財産は、具体的には以下のようなものがあります。

    不動産

    自宅、投資物件、自営業者場合の営業所など

    預貯金、現金

    銀行預金やタンス預金など

    高価物

    自動車、宝石・絵画など

    債券、権利、有価証券

    国債、ゴルフ会員権、株など

    生命保険金

    生命保険金は、被保険者が死亡した後、受取人が固有の権利として保険金請求権を取得します。そのため、遺産に含まれず、遺産分割の対象とはなりません。

    死亡退職金

    死亡退職金は、「賃金の後払い」「遺族の生活保障」という2つの正確があります。前者では遺産性が認められ、後者では遺産性が認められにくくなります。
    遺産性の有無は、死亡退職金の支給基準や受給権者の範囲などの個別の事情によって判断されるので、ケースによって異なると言えるでしょう。

    代償財産

    代償財産とは、遺産を処分することで得られた財産のことをいいます。具体的には、遺産である不動産の売却金などです。
    相続人全員が合意すれば、遺産分割前でも共有状態の遺産に含まれる物や権利を処分することが可能です。代償財産が相続財産に含まれるとすると、遺産分割が終了するまで、相続人が代償財産を取得できないため、大小財産が相続財産に含まれるかという問題が生じます。

    この点、相続人全員の同意によって売却された土地代金の代償財産に関する裁判例では、代償財産は、特別に遺産分割の対象とする合意がある場合を除いて相続財産に含まれないという判断が下されました(最高裁昭和54年2月22日判決)。この判断によれば、相続人は、遺産分割前でも、自分の相続分に応じた代償財産の取得や引渡しを請求することができます。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺産分割にあたっては、相続財産の範囲を確定する必要がありますが、遺産性の判断に困ることは少なくありません。
    後日、トラブルが生じないよう円満且つ迅速に遺産分割をまとめるには、法律専門家のアドバイスが有効です。相続財産の範囲でお悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 債務も相続の対象になりますか?

    先日、父が亡くなりました。父は会社を経営していましたが、会社の借金の連帯保証人になっていました。また、個人でも銀行などから借金をしていたようなのです。借金や保証債務は相続されますか。

    相続人は、相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされています(被相続人の一身専属権を除く)。これには、借金や保証債務、未払い賃料なども含まれるので、これらのマイナスの財産も相続の対象になります。

    相続のうえでの負債の取り扱いとは

    法律上、相続では、被相続人に属した一切の権利義務を承継することになります。そのため、借金や保証債務といったマイナス財産も、相続人に引き継がれます(身元保証や、包括的信用保証債務については、被相続人の一身専属的な債務なので相続されません)。

    但し、不動産や預貯金等のプラスの財産と異なり、借金や保証債務などは遺産分割協議の対象とはならず、相続開始と同時に当然分割されるとされ、各相続人が法定相続分に従って負担します。

    債務の場合、相続人全員が合意したとしても、法定相続分とは異なる分割を行うことはできません。債務について特定の相続人が負担する、というような遺産分割協議をしても、それは相続人間の契約にとどまり、債権者の承諾を得なければ主張できない点に注意が必要です。そうしなければ、資力のない相続人に債務を押し付けるなど、債権者に著しい不利益を生じる恐れがあるからです。

    そのため、遺産分割の対象となるのは、プラスの財産のみ、ということになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺産分割の対象となるのはプラスの財産のみですが、実際上は債務の内容なども踏まえて分割協議を行います。適正な遺産分割を迅速に実現するには、法律専門家の助言が有効ですので、遺産分割でお困りの際は高木光春法律事務所までご相談ください。

  • お墓や仏壇は相続されるのでしょうか?

    お墓や仏壇は、遺産分割の対象になりますか。

    お墓や仏壇などの「祭祀財産」は、遺産分割の対象に含まれません。

    祭祀財産とは

    お墓や仏壇といった祭祀財産は、その性質上、遺産分割により複数の人に分割して与えることに馴染まないとされています。民法でも、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、…慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべきものが承継する」とされており、遺産分割の対象にならないことが定められ、相続とは別個の基準で承継されることになっています。

    具体的には、祭祀財産の承継者は、以下のように定められています。

    • 第1順位:被相続人が指定した者
      (遺言で祭祀の主宰者を指定する場合、「祖先の祭祀を主宰すべき者として、長男×××を指定する。」などと記載します。)
    • 第2順位:慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者と定められた者
    • 第3順位:家庭裁判所の審判又は調停により定められた者

    なお、遺体や遺骨についても、相続財産として遺産分割の対象とはならず、その所有権は祖先の祭祀を主宰すべき者に帰属すると考えられています。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、祭祀財産の取扱いはもちろん、遺産分割全体についても、ご相談・ご依頼をお受けしております。適正な遺産分割を迅速に実現するには、法律専門家の助言が有効ですので、お困りの際は高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 相続財産を調べたいのですがどうすればよいでしょうか?

    先日、父が亡くなりました。父の相続財産はどのようにして調べたらいいですか。

    相続財産は、できる限り明らかにしなければなりません。
    預貯金の場合は、通帳に加え、被相続人宛に来た郵便物、取引先金融機関の担当者の名刺も手掛かりになります。被相続人が死亡し、自身が相続人であることがわかる資料(戸籍謄本、除籍謄本、身分証明書等)を金融機関に持参すれば、被相続人名義の口座の有無、残高を知ることができます。
    不動産については、固定資産税の名寄帳や、法務局備付けの登記事項証明書等を調査して行います。

    金融機関に対する調査の仕方

    被相続人の預金口座の残高を把握している相続人は多くはないでしょう。
    通帳や金融機関からの郵便物を紛失している場合、不仲な相続人が通帳等を保有していて調査協力が得られない場合もあり得ます。
    そのような場合は、各金融機関に出向いて、被相続人が死亡したことと自身が相続人であることが分かる資料(戸籍謄本、除籍謄本、身分証明書等)を持参して、被相続人名義の口座の有無や残高を調べてもらいます。
    今日では、金融機関の各店舗で他支店の口座状況を調べることも可能です。まずは、最寄りの取引銀行支店に相談されることをお勧めします。

    不動産に対する調査の仕方

    不動産については、被相続人の自宅のみならず、その他の不動産の状況も調査する必要があります。固定資産税の納付書等の資料を参考に、登記事項証明書を調査する場合もあります。土地が何筆かに分かれている場合であっても、役場で名寄帳を取り寄せることにより、被相続人名義の土地を把握できます。

    債務の調査の仕方

    債務などのマイナスの財産も相続の対象になるので、債務の調査もおろそかにできません。プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合は、相続放棄を検討する必要があり、仮に債務超過でない場合でも、遺産分割の際に債務の負担を考慮しなければなりません。
    被相続人の自宅に資料がない場合には、信用情報機関から情報を取り寄せる方法も考えられます。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、被相続人の財産や負債状況の調査についてもご依頼をお受けしております。上記以外にも、財産の内容にしたがって調査方法がありますので、被相続人の財産の全容が分からずお困りの場合は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 遺産分割がまとまらない場合、どう対処したらいいですか?

    相続人同士の言い分が異なり、遺産分割協議がまとまりません。どのようにして遺産分割をまとめたらいいですか。

    遺産分割には、遺言による分割、協議による分割、調停による分割、審判による分割の4つの方法があります。相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合は、裁判所の制度を利用することで円滑な解決が図られる場合があります。

    遺言による遺産分割

    遺言がある場合には、遺産分割は原則として遺言の内容に従って分割します。これを指定分割といいます

    遺産分割協議をするための準備とは

    遺言がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分けを行います。
    遺産分割協議は、必ず相続人全員で行う必要があり、一部の相続人を除いて行われた遺産分割協議は無効です。また、相続財産の内容に漏れがあると、再度、話し合いをもたなければならなくなります。 そのため、遺産分割協議を行う前提として、「相続人調査」と、「相続財産の調査」を行う必要があります。

    協議による遺産分割とは

    遺言がない場合は、相続人同士で話し合いを行い、遺産分割をします。相続をする者全員で協議することを「遺産分割協議」といいます。
    遺産分割協議は、四十九日法要などで集まった際などに行われるのが一般的です。このとき、残念ながら相続人同士の利害関係が対立し、相続人同士の紛争に進展することも少なくありません。

    遺産分割調停とは

    相続人間で遺産分割協議は難航する場合は、家庭裁判所での遺産分割調停の手続きを活用することをお勧めします。調停は、相手方の住所地を管轄とする家庭裁判所に申し立てをし、相続人全員を相手方として行います。調停手続きは、家事審判官、調停委員らが双方の意見を聞きつつ行います。双方が合意すれば調停が成立し、調停調書が作成されます。調停調書で相続人全員が合意した事項は、確定判決と同一の効力を有します。

    遺産分割審判とは

    調停が不成立に終わった場合で裁判所による解決を望む場合には、家庭裁判所に審判の申立を行います。審判では、家事審判官が法律と運用に基づいて判断を下します。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続人・相続財産、被相続人の負債状況などについて調査し、遺産分割にあたっては、協議・調停・審判を通じて、全ての手続き・交渉を代理いたします。
    遺産分割では、いたずらに対立関係をあおっても、当事者にとって利益になりません。相手方の利益を含めた大局的な見地で着地点を見極め、より適切な手段選択で協議を行い、早期解決を実現したいと考えています。

  • 弁護士を立てないと遺産分割はできないのでしょうか?

    先日、父が亡くなりました。今後、遺産分割の話し合いで、感情的な対立からもめそうです。弁護士を立てたほうがいいですか。

    遺産分割協議では、普段顔を合わせない兄弟など相続人が一堂に集うこと、各人の利害関係が絡むことから、予想外の紛争に発展することが少なくありません。
    相続人の範囲や遺産内容が不明確な場合や、遺産分割の方法や相続分について合意が困難な場合などは、弁護士を立てた方が円満・適切に遺産分割を実現できる場合があります。

    弁護士に依頼する目的とは

    遺産分割は、相続人・相続財産の調査から、分割方法の協議、遺産分割協議書の作成までの過程を経て実現されます。
    相続人の利害が対立するうちに、円満だったはずの親族関係が徐々に悪化することも残念ながら否定できません。
    弁護士が遺産分割の依頼を受ければ、後日の、蒸し返しやトラブルを防ぐため、相続人、相続財産、被相続人の財産や負債状況を詳しく調べ、相手の言い分の不当性、法的不備などを指摘して、双方の調整を図ることができます。

    遺産分割協議は、長引けば長引くほど、親族関係の不和につながりやすいものです。遺産に利害関係がなく、且つ法律の専門家である弁護士が入ることにより、より迅速に事案を処理することが可能です。

    高木光春法律事務所のサービス

    分割方法などの具体的なご希望はもちろん、相手との関係にも配慮した交渉を行います。「弁護士を立てる=闘争」ではありません。遺産分割でお悩みの際は、ぜひ高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 遺産分割調停はどのように進められるのですか?

    遺産分割調停はどのように進められるのですか?

    調停とは、裁判とは異なる、調停委員という第三者を介して行う「話し合い」のことをいいます。
    調停委員(一人の裁判官と民間から選任される二人以上の調停委員で構成されます)が、相続人や関係者から言い分を聞いて、事情を調べ、話し合いにより適切な解決を図るように助言等を行う制度です。

    「調停」の実際の行われ方とは

    相続人同士で遺産分割協議の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所に家事調停の申し立てを行います。

    調停とは、前述のように、裁判とは異なる「話し合い」の制度です。
    調停は、争っている当事者双方が、冷静な話し合いができるように、様々な工夫が行われています。
    具体的には、調停室に入るのも当事者双方が別々に入りますし、調停委員(通常は男女のペアの2名です)にそれぞれの言い分を伝えます。
    相手と顔を合わせることなく、調停委員が別途調整を行うので、冷静に話を進めることができます。

    調停室は、比較的狭い部屋に、6名程度が座れるテーブルと椅子が置かれています。当事者が交互に調停室に呼ばれ、1回30分程度ずつ話を聞かれるという流れが繰り返されます。相手が調停室に呼ばれている時は、調停委員が呼びにくるまで待合室で待機します。
    調停委員に話しをする際に、緊張して思うように話せないのではないかと不安に思う方もいるかもしれません。調停委員は、話し合いの調整のプロなので、親切・丁寧に話を聞き、冷静に話し合いを進めてくれるので安心です。ご自分の考えや気持ちを率直に話すことが、問題の解決に繋がります。

    遺産分割調停の流れとは

    遺産分割調停の流れの概要は、以下のようになっています。

    ①相続人の確定

    遺産分割をする前提として、誰が相続するかを明らかにしなければなりません。事実と異なる戸籍が残っている等、相続人の範囲に問題がある場合には、人事訴訟等の手続きが必要です。また、相続人の中に判断能力に問題がある方(認知症など)がいる場合には、成年後見等の手続きを行います。

    ②遺産の範囲の確定

    遺産分割をするためには、被相続人のどのような財産が遺産分割の対象になるかを明らかにしなければなりません。
    遺産分割の対象になるのは、原則として、被相続人が死亡時に所有し、現在も残っている財産です。
    但し、遺言書が残されていて譲る相手が決まっている財産や、遺産分割協議書で分割方法が決まっている財産は、遺産分割の対象にはなりません。相続人の誰かが遺産を隠したり、使った場合は、別途請求など他の手続きが必要です。

    ③遺産の評価

    遺産分割の対象となる財産のうち、不動産等については評価額を確認し、合意できない場合は鑑定を実施します。
    株式については、上場株式の場合は、取引相場をもとに、分割時の特定の日、又は一定期間の平均価格で算定します。なお、税務上は取引所における時価として、相続日、相続の月、前々月のうちの最低価格をとります。非上場株式の場合は、様々な評価方法がありますが、中小企業の非上場株式の場合は純資産価額方式によることが多いです。相続人間で評価が定まらない場合には、専門家に鑑定を依頼して評価します。

    ④各相続人の取得分の確定

    遺産の範囲・評価の確認を行うと、各相続人の取得額が法定相続分に基づいて決定されます。特別受益や寄与分が認められる相続人がいる場合は、それらを考慮して各相続人の取得額を修正が加わります。

    ⑤遺産の分割方法の確定

    各相続人の取得額が決まると、それに見合うように遺産の分割方法を決定します。分割方法には、遺産そのものを分ける「現物分割」、そのもの自体を分けて差額を金銭で調整する「代償分割」、その遺産を売却して金銭を分配する「換価分割」などの方法があります。

    調停で話し合いがつかない場合の方法とは

    遺産分割調停で話し合いがつかない場合は、「審判」という手続きに移行します。
    審判とは、当事者が提出した資料や事実の調査結果に基づいて、裁判所が最終的な判断をする、裁判上の手続きのことをいいます。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺産分割調停は、当事者だけでも行うことができます。しかし、法律的な検討事項も多く、調停申立書の作成や添付書類の収集など、当事者で行うには困難な場合も否定できません。
    高木光春法律事務所では、事務作業や裁判所での手続だけではなく、依頼者の要望に沿った交渉を行い、最も望ましい解決に向けて万全のサポートをお約束します。遺産分割調停でお困りの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 調停でも話がまとまらない場合、どうすればいいのですか?

    遺産分割調停でも話がまとまらない場合、どのようになりますか。

    遺産分割調停でも話し合いがまとまらない場合、「審判」手続きに移行します。
    審判では、裁判所が最終的な判断を行います。

    審判とは

    遺産分割調停で話し合いがつかない場合は、「審判」手続きに移行します。
    審判とは、当事者が提出した資料や、事実調査の結果に基づいて、裁判所が強制力を持った最終的な判断をする裁判手続きのことをいいます。

    審判に移行した場合のメリット・デメリットとは

    審判では、裁判官の判断で強制的に遺産が分割されるため、問題が積み残しにならずに済みます。しかし、審判では、以下のような点に注意が必要です。

    不動産の取得者は審判では決まりません

    遺産である不動産の取得を巡る相続人の争いで、協議や調停でも話し合いがまとまらなかった場合、裁判所は「その不動産を競売して代金を分けよ」という審判を下します。
    しかし、不動産の売却を望まない相続人も多いでしょう。相続人当事者の意に反する結論を避けるために、調停で話し合いによる解決を目指すべきです。

    審判では預貯金の分割が困難です

    預貯金は、相続の発生時点(故人が死亡した時点)に、法定相続分の割合で当然に相続人に分割されると考えられています(分割債権)。そのため、相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とはなりません。
    但し、実務では、相続人による法定相続分に基づく個別の払戻請求を認めていないことに注意が必要です。そのため、相続人の誰かが、被相続人名義の預貯金を遺産に含めることに反対すると、預貯金を誰が取得するかという問題が解決できず、いつまでも預貯金を引き出せない状態に陥る可能性があります。

    株式の取得について、審判では適切な分割ができないおそれがあります

    会社経営の被相続人の遺産に、その自社株があるという場合には、事業承継の問題が生じます。
    生前営んできた事業を、長男等の後継者に承継させたい場合、自社株を全て後継者が承継しなければ会社経営が不安定になる恐れがあります。しかし、自社株の評価が高額な場合など、相続人間で不公平感が広がり合意が得られず、株式が複数の相続人に分散するという不都合な結果を招きかねません。
    この場合にも、調停により、代償分割等柔軟な解決を図ることをお勧めします。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺産分割は、「遺産分割協議」、「調停による分割」、「審判による分割」などの手続きのうち、最も適切な手段を選択することです。
    高木光春法律事務所では、遺産分割に関する豊富な実績があります。遺産分割でお困りの方は高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 遺産の範囲に争いがある場合にどうやって確定したらいいですか?

    先日父が亡くなりました。父の遺産のうち、自宅の土地建物は兄の名義です。しかし、その土地建物を購入したのは父で、兄は一切労力やお金を出していません。私は、自宅の土地建物は父の財産として遺産分割の対象になると思うのですが、兄は名義が自分であることを理由に、遺産ではないとして協議に応じません。どうしたらいいですか。

    不動産の名義が被相続人以外の別人の名前の場合でも、実質的にみて被相続人の財産と判断されれば、遺産分割の対象となり得ます。
    この場合、まず調停や訴訟で、当該不動産が遺産にあたるということを明らかにしてから遺産分割協議に入ることになります。

    相続人の一部が「遺産でなく自分のものだ」と主張している場合には

    相続人の一部が、被相続人の不動産や債権等について、被相続人の財産であることを認めず、自分の財産だなどと主張している場合は、そのままでは遺産分割調停の申し立てを行うことはできません。
    遺産分割調停を行うためには、前提として、その財産が被相続人の遺産であることが明確になっていなければいけないからです。

    その財産が、そもそも遺産であるかどうかに争いがあるような場合は、遺産分割協議や遺産分割調停とは別に「遺産に関する紛争調整調停」を申し立てる必要があります。「遺産に関する紛争調整調停」も話し合いによる解決をめざすものなので、この調停で話し合いがまとまらない場合には、「遺産であることの確認を求める訴え」等を提起しなければなりません。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺産を独占するために、被相続人の財産の一部を自分のものだと言ったり、自分の会社の財産であるなどの主張をして、「遺産」であることを認めない相続人は少なくありません。そのような場合、弁護士による助言・助力が有効です。
    このような件でお悩みの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 他の相続人より多くの相続分を取得したいが

    先日、父が亡くなりました。息子である私と弟が相続人です。弟は、生前の父から留学資金や開業資金として多額の援助をもらっていました。他方、私は父介護に心血を注ぎ、治療費や入院費など多額の出費をしています。そのため、父の遺産を弟と折半するのは納得できません。どうしたらいいですか。

    具体的な相続分の算定時に、単純な法定相続分の相続だけでなく、相続人が被相続人から受けた利益(特別受益)や、相続人が被相続人の財産の維持や京成に貢献した分(寄与分)が考慮されることがあります。

    「特別受益」とは

    特別受益とは、被相続人から遺贈や生前贈与を受けた相続人がいた場合に、これらを「特別受益」として相続財産に加え、特別受益を受けた相続人の相続分から控除した上で、各相続人の相続分を決めることをいいます。特別受益を受けた相続人は、いわば相続分の前渡しを受けたものとして取り扱われることになる制度です。

    「寄与分」とは

    寄与分とは、相続人の中に、被相続人の財産の維持や形成に特別の貢献をした人がいる場合に、その貢献の程度(寄与)に応じて相続分を増やすなど、具体的な相続分の算定時に考慮することをいいます。
    寄与の内容としては、被相続人の療養看護や、財産の提供、事業への貢献などがありますが、単に親の面倒を見ていたなどの家族間の通常の扶養関係とみなされるような場合は寄与分として認められません。

    よく、被相続人である両親と同居していた兄弟だけが療養看護に努め、遠方に住む兄弟は全く看護をしなかったという話もありますが、そのようなケースでも寄与分が認められるとは限りません。
    また、相続人である息子の妻が、被相続人である義父を介護していたような場合も、そもそも息子の妻は相続人ではないので、寄与分は認められません。

    高木光春法律事務所のサービス

    特別受益や寄与分の主張をする際は、主張を裏付ける資料を示し、他の相続人の理解を得られるように説明する必要があります。それには、専門家である弁護士によるサポートが有効です。遺産分割の話し合いで、特別受益や寄与分の主張をしていきたい、あるいは、主張されて困っているという方は、ぜひ高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 相続税についておしえて下さい

    先日、父がなくなりました。相続が発生した場合には相続税がかかるという話を聞いたことがあります。相続税とはなんですか。どのくらい払わなければいけないのか教えてください。

    相続税とは、相続や遺贈によって取得した財産や、相続や遺贈で取得したとみなされる財産、相続開始前3年以内に贈与された財産等にかかる税金のことを言います。
    相続税は、財産を相続した法定相続人だけでなく、遺贈や死因贈与によって財産を取得した人も支払う必要があります。
    相続税は、相続開始を知った時から10か月以内に納付しなければなりません。

    相続税の申告とは

    相続税の申告は、相続開始を知った日から10か月以内に、被相続人の死亡当時の住所を管轄する税務署に行います。10か月を遅れると延滞税が課せられます。
    なお、この時、相続人全員が署名・押印した遺産協議分割書を税務署に提出する必要があります。

    しかし、相続人間で遺産分割に争いがある等、遺産分割協議が10か月以内に終了しないケースもあります。この場合も、放置しておくことはできません。各相続人が、法律で規定された相続分の割合に従って財産を取得したとして相続税の計算をして、申告と納税をします。そして、遺産分割協議が終了したあとに、改めて申告することになります。

    基礎控除とは

    「基礎控除」とは、相続した財産が一定額以内であれば、相続税が発生しないという制度のことをいいます。つまり、相続財産が、基礎控除額の範囲内であれば、相続税を申告したり納付する必要はありません。

    相続税を計算する際には、以下の流れで行います。

    • ① 遺産の税務上の評価額に基づいて、遺産の総額を計算します。
    • ② 相続財産から控除できるものと、非課税財産の価格を控除して、課税価格を計算します。
    • ③ 課税価格から、基礎控除額を差し引くと、相続税の対象となる遺産総額が算定されます。
      ※基礎控除額=5000万円+(1000万円×法定相続人数)

    <具体例>

    相続人が妻と子ども1名の合計2名の場合

    • 基礎控除額=5000万円+(1000万円×2)=7000万円

    相続財産の総額が7000万円以下ならば、相続税の申告・納付は必要ありません。

    ただし、この基礎控除額は、法改正で将来縮小されます。
    ※改正後の基礎控除額=3000万円+(法定相続人の数×600万円)
    これは、平成27年1月1日以後の相続から適用されます。
    先の<具体例>に当てはめると、相続財産の総額が4200万円を超える場合に相続税の申告・納付が必要になります。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続税が発生するケースでは、相続税対策をも意識した遺産分割を行います。まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 全財産を相続人の1人に相続させるという遺言があると他の相続人は何も取得できないのですか?

    先日、父が亡くなり、全財産を兄に相続させると書かれた遺言が見つかりました。私は全く財産をもらえないのですか。納得できません。どうしたらいいですか。

    全財産を他の相続人に相続させるという内容の遺言があった場合でも「遺留分減殺請求」を行うことで、兄に対して相続財産の一部を渡すよう請求することができます。

    遺留分とは

    遺留分とは、法律で定められている相続人が最低限相続できる財産のことをいいます。

    本来、自分の財産は自由に処分できるので、死後、誰に何をどのくらい遺産を相続させるのかについても、自由に決められるのが原則です。
    しかし、遺された親族の生活を保障するために、法定相続人には最低限の取り分として遺留分が、遺言によっても奪われない権利として認められています。
    但し、遺留分が保障されている相続人は配偶者、子供、親までで、兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。また、相続欠格事由を生じた方、廃除された方、相続放棄をした方にも、遺留分は認められていません。

    遺留分の割合は、以下のようになっています。

    • 相続人に配偶者か子がいる場合…相続財産の1/2
    • 相続人が直系尊属(親)のみの場合…相続財産の1/3

    遺留分減殺請求権の行使の可能性を調べるには

    遺留分減殺請求されるかどうかを調べるには、まず被相続人の遺産の内容を調べ、次に法定相続人とその取得分について調査する必要があります。つまり、被相続人がどの程度の財産を持っていて、誰がどのくらい相続するはずだったかを調べなければなりません。
    次に、遺言の内容を確認し、遺留分を侵害しないかをチェックします。発見された遺言が自筆証書遺言で、既に検認手続を行っていれば、法定相続人は裁判所で検認調書の閲覧・謄写が可能です。

    遺留分減殺請求のやり方とは

    遺留分減殺請求には期限があります。具体的には、相続の開始と、贈与や遺贈があったことを知ったときから1年以内に遺言書で指定された相続人、つまり遺留分を侵害している相手に遺留分減殺請求を行わないと、請求権が時効にかかり消滅してしまいます。
    そこで、まずは、内容証明郵便で、遺留分減殺請求をする旨の通知し、その後、遺産分割協議と同様に、相手と話し合います。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に対し調停を申し立て、調停でも決着がつかない場合は、地方裁判所に対して、裁判を起こすことになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    遺留分減殺請求をするには、遺産の内容や相続人の範囲を調査し、確定させなければなりません。また、遺留分侵害がある場合は、相手と交渉したり、調停、裁判等など種々の手続きで相手に請求していくことになります。
    弁護士が入って交渉したり、調停、裁判をすることで、当事者間双方の争いの円満な解決に役立つ場合は少なくありません。遺留分減殺請求でお悩みの際はぜひ一度ご相談ください。

  • 遺産がほとんどなく債務が多い場合相続はどうすればよい?

    相続では借金などのマイナスの財産も相続人が引き継ぐと聞きました。先日亡くなった父には、財産よりも借金などの負債が多かったので相続をしたくありません。どうしたらいいですか。

    被相続人に借金がある場合、その借金もマイナスの相続財産となります。遺された財産が、プラスの財産より借金などのマイナスの財産が大半であるような場合は、「相続放棄」をすることで、相続人が借金を背負い込むことを避けることができます。
    することが、相続人にメリットになる場合が多いです。相続が開始したことを知った日(お父様が亡くなられたことを知った日)から、3か月以内に、家庭裁判所に対し、「相続放棄の申述」をする必要があります。もし、3か月以上経過してから、負債の存在を知ったなどの場合でも、まずはご相談ください。

    相続放棄をするには

    相続により、故人(被相続人)の権利義務の全てを相続人が引き継ぐことになるので、相続放棄をすることが、相続人にとってメリットになる場合は少なくありません。

    相続放棄をするには、法律では、相続の開始を知ってから3か月以内に、家庭裁判所に対し、相続放棄の申述をしなければならないと定められています。
    但し、故人と生前疎遠だった場合など、3か月以内にプラスの財産とマイナスの財産を調査することが困難なケースも考えられます。この場合は、家庭裁判所に対して「相続承認・放棄の期間伸長の申立て」を行い、なぜ3か月以内に相続放棄ができなかったのかを裁判所に説明し、それが認められれば、3か月経過後でも相続放棄が認められます。

    相続開始を知ってから3カ月以上経って債務がわかった場合には

    相続が開始したことを知って3か月経過後に、借金などマイナスの財産の存在が明らかになった場合でも、事情によっては相続放棄が認められる場合があります。

    具体的な事情としては、相続放棄をしなかった理由が、相続財産や負債が全くないと信じたためで、しかもそう信じることについて相当な理由がある場合などがこれにあたります。この点について最高裁は、「①相当な理由がある場合には、民法915条1項所定の期間は、②相続人が相続財産の全部若しくは一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべかりし時から起算する」と判決しました(昭和59年4月27日判決)。
    つまり、この事情が認められるためには、

    • 法定相続人が、被相続人と没交渉であったなどの相当な理由がある。
    • 法定相続人が、被相続人の財産(遺産、特に債務)を知らなかった。

    という2つの条件を満たす場合に、被相続人の債務を知った時点から3ヶ月間の期間は進行することになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続放棄すべきケースかどうかの判断は、相続財産の全ての状況を把握した上でしなければなりません。しかし、相続放棄の申述の期間は原則3か月と短く、被相続人の死亡後であわただしい時に調査を行うのは困難な場合もあります。また、相続開始を知ってから3か月経過後に、相続放棄の申述を行う場合は、具体的且つ詳細な理由を主張しなければなりません。高木光春法律事務所では、このような相続財産の調査や主張についても幅広くサポートしています。相続放棄でお困りの方は、高木光春法律事務にご相談ください。

  • 相続放棄ができなくなる場合があると聞きましたが…

    どのような場合、相続放棄ができなくなりますか。

    相続放棄ができる期間は、相続開始を知ってから3か月以内です。この期限を過ぎると、基本的には相続放棄ができず、単純承認したものとみなされます。また、3か月経過していなくても、相続財産を処分すると相続放棄ができなくなります。

    相続をしたとみなされる場合

    相続人は、相続を承認するか、放棄するかを選ぶことができます。但し、一定の事由が生じた場合、相続放棄ができず、また、相続放棄の効力が否定され、被相続人(故人)の財産のすべてを相続したとみなされます(法定単純承認)。

    法定単純承認が生じるのは、以下の3つのケースです。

    ① 相続財産を処分した場合

    相続人が、相続財産の全部又は一部を処分(売却、贈与、費消など)した場合、相続を承認したものとみなされます。
    相続人が相続の開始を知らなかった場合は例外として含まれません。葬式費用に相続財産を支出した場合や、被相続人の古着を他人に譲った場合などは、ここで問題とする相続財産の処分には当たらないと判断されることもあります。

    ② 3か月の熟慮期間を過ぎた場合

    相続人が、承認または相続放棄できる期間(3か月)以内に、放棄をしなかった場合、相続を承認したものとみなされます。
    ただし、相続放棄をしなかった理由が、相続財産や負債が全くないと信じたためで、しかもそう信じることについて相当な理由がある場合など、事案によっては相続放棄が認められることもあります。

    ③ 背信行為があった場合

    相続人が相続放棄をした後でも、相続財産の全部もしくは一部を隠したり、消費したり、故意に相続財産の目録中に記載しなかったような背信行為がある場合は、その相続には相続を承認したものとみなされます。
    ただし、その相続人の相続放棄によって、新たに相続人となった者が承認した場合は、相続放棄の効力はそのまま保たれます。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続放棄すべきか否かは、負債状況の調査をしてみなければ判断がつかない場合もあります。その調査についても高木光春法律事務所にてお受けできますので、ご希望の際は一度ご相談ください。
    また、特に、相続開始を知ってから3か月を経過した後に、相続放棄の申述を行う場合は、3か月以内に申述をしなかった事情に関する、ある程度具体的且つ詳細な事実主張と、それを裏付ける証拠の提出が必要になると考えられます。その際は、弁護士による助力が有効・適切ですので、ご相談ください。

  • 相続放棄をすると他の相続人にどのような影響がありますか?

    相続放棄をすると、どうなりますか。

    相続放棄をすると、その人は最初から相続人ではなかったことになります。そこで、被相続人の借金を被ったり、負債を負担しなくても済むようになります。
    相続人の一人が相続放棄をした後は、同順位の相続人がいなければ、次順位の推定相続人が、相続人として扱われます。

    相続の放棄をした場合に債務を引き継ぐ人とは

    相続放棄をすると、その効果は相続が開始したときにさかのぼって生じます。これにより、相続放棄をした相続人は、はじめから相続人ではなかったとみなされるので、被相続人の借金や債務を支払う必要はなくなります。相続放棄の効果は、被相続人にお金を貸していたなど債権者も否定することはできません。

    また、相続放棄をした場合は、代襲相続は発生しません。具体的には、父親が死亡し、相続人である子どもが相続放棄をしたケースでは、孫は父親を代襲相続しません。次順位の直系尊属である親が相続人となり、その親もいない場合は兄弟姉妹か、その代襲相続人である甥姪が相続することになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    相続放棄すべきケースかどうかの判断をする際には、被相続人の財産、負債状況の調査を十分に調査する必要があります。高木光春法律事務所では、相続財産の調査から、相続放棄の申述のサポートまで幅広く対応しています。相続放棄でお困りの方は、高木光春法律事務にご相談ください。

  • 相続に関する弁護士費用

    法律相談料(消費税別)

    初回30分 無料
    以降30分ごとに 5,000円

    書面作成料(消費税別)

    1通 30,000円~50,000円
    • 内容証明や、裁判所に提出する訴状、答弁書などの書面作成のご依頼をお受けした場合の弁護士費用です。
    • 法律相談の結果、書面作成のご依頼をお受けする場合、法律相談料は別途いただきません。
    • 書面作成の後、事件のご依頼をお受けした場合(例:答弁書の作成のみを依頼したが、その後、代理業務を依頼することになった場合等)、受任事件の着手金は、書面作成料を差し引いた額とさせていただきます。
  • 調停・訴訟事件のご依頼

    民事裁判等のご依頼をお受けする場合の費用は、通常、受任時(着手金)と事件終了時(成功報酬)の2回に分けてお支払いいただきます。 金額は、ご依頼事項の経済的利益の額に応じて、次のとおり(消費税別)になります。

    経済的利益の額 着手金 報酬金
    300万円以下 8% 16%
    300万円を超え、3000万円以下 5%+9万円 10%+18万円
    3000万円を超え、3億円以下 3%+69万円 6%+138万円
    3億円を超える 2%+369万円 4%+738万円
    • 通常の訴訟事件と同様に、受任時(着手金)と終了時(報酬金)をご負担いただきます。
    • 以上を基準とし、相続人の人数、相続財産の内容、争いの程度などを考慮しつつ、適正な費用をご提案させていただきます。
  • 相続放棄のご依頼(消費税別)
    具体例と事務内容 費用
    定型 相続開始を知った日から3か月以内に行う、定型的な相続放棄の申述の場合。
    戸籍謄本等必要書類の取り寄せ。家庭裁判所宛の家事審判申立書の作成、提出。
    100,000円
    非定型 相続開始を知った日から3か月以上経過したが、後日亡くなった方に多額の借金があったことが発覚したため相続放棄の申述をする場合。
    3か月以内に申述ができなかった事情等について詳細に記載した申立書の作成と、その事情を裏付ける資料の収集、提出。
    着手金
    100,000円
    報酬金(相続放棄受理時)
    200,000円

遺言に関する紛争

  • 自筆証書遺言を発見した場合の対処法は?

    先日、亡くなった父の遺品を整理していたら、封がされている遺言書が出てきました。どうしたらいいですか。

    自筆証書遺言が出てきても、勝手に開封してはいけません。封を切る前に、家庭裁判所に検認の申立てを行う必要があります。
    検認の申立て前に開封した場合でも遺言の効力には影響はありませんが、5万円の過料に処せられる可能性があるので注意が必要です。
    なお、公正証書遺言の場合は、開封しても構いませんし、検認の必要もありません。

    検認をする意味とは

    検認とは、遺言書の形式や状態の調査・確認の手続きのことをいいます。相続人に、遺言の存在や内容を知らせると同時に、遺言書の状態や署名など遺言書の内容を明らかにして、遺言書の偽造・変造を防ぐために行われます。

    遺言が存在する場合、遺言通りに遺産を分けるのが原則なので、遺言書は相続人にとって非常に重要な書類となります。遺言を見つけた際は、検認の申立てをする前に、遺言書の存在を他の相続人に知らせておくことをお勧めします。

    検認の方法とは

    検認の申立てをすると、1~2か月後に、検認期日が指定されます。
    期日では、相続人、受遺者や、その代理人の立ち合いのもと、遺言書が開封されます。そして、裁判官が、相続人等に対して、故人(被相続人)との関係、遺言書を見つけた状況や、遺言書が故人の筆跡によるものかなどを質問し、それらの答えを記した調書に遺言書を添付して「検認調書」を作成します。

    検認調書は裁判所で保管され、相続人等の利害関係人は、検認調書の閲覧謄写を請求できます。

    なお、検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではないので、遺言の無効を主張する場合には別途裁判で争うことになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    検認の手続は、一般の方でも申立て等をすることができます。しかし、弁護士がついていれば、申立書の作成や添付書類の収集などの事務作業を迅速・確実に行うことが可能です。検認手続のご不明・ご不安な点は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 公正証書遺言とは何ですか?

    証人2人以上の立会いの下で、公証人によって遺言者の意思を確認しながら作成する遺言のことを「公正証書遺言」と言います。
    具体的には、遺言をする人が、証人立会いのもとで、公証人に遺言の趣旨を口頭で伝え、これを公証人が筆記して、遺言者や証人に読み聞かせるか、閲覧させるかして、内容が正確だと確認してもらいます。その後、各自がこれに署名押印して、公証人が方式に従って作成された旨を付記して署名押印を行います。

    公正証書遺言は、公証役場の手数料や証人依頼代などの手数料が必要であることや、遺言の内容が公証人や証人に知られるというデメリットはありますが、方式の不備なく確実に作成することができること、破棄・隠匿・改ざんされる可能性が低いこと、字が書けなくても利用でき、検認手続が不要などのメリットがあります。
    また、公正証書遺言は、万が一紛失しても、原本が公証役場に保管されているので、再度謄本の交付を求めることも可能です。
    このように、確実性の観点からは、公正証書遺言が最も推奨される遺言の方法と言われています。

    当法律事務所のサービス

    当法律事務所なら、遺言者の方の意向を生かしつつ、相続人・相続財産の内容を踏まえた相続税対策など、遺された方が将来困ることのないように、よりよい遺言について提案することができます。
    公正証書遺言作成の際は、公証人役場に出向く労力が1回で済むように弁護士が公証人と交渉し、できるだけ少ない負担で、確実な公正証書遺言が作成できるようサポートします。

  • 子どもに遺産を一切渡さない方法はあるか?

    私には、妻と同居中の息子がいます。しかし息子は、私や妻に暴力を振るい、書類を偽造して私名義の土地を勝手に売るなどの非行を繰り返してきました。将来、息子に相続させたくありません。どうしたらいいですか。

    子どもは法律で定められた相続人(法定相続人)ですが、法定相続人でも、相続資格を失い相続できない場合があります。相続欠格事由がある場合、又は被相続人から廃除された場合です。
    息子に相続させたくない場合は、廃除の調停又は審判を申し立てるか、遺言で廃除の意思表示をするという方法があります。

    遺言による相続人の廃除とは

    相続人の廃除とは、被相続人の意思によって相続人の相続権を奪う制度のことをいいます。
    被相続人からみて、相続させたくないような非行があり(被相続人に対する虐待、侮辱など)、且つ被相続人がその者に相続させることを望まない場合に、被相続人の申立てにより、家庭裁判所が審判又は調停によって相続権を剥奪します。
    申立ては、被相続人が生前に家庭裁判所に行う場合と、遺言で意思表示をして相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に行う場合があります。

    遺言で遺産の分け方を指定し、息子の取り分をなくすこともできますが、子・配偶者・直系尊属には、法律で最低限の取り分が認められているので(遺留分)、第三者に遺言で財産を遺しただけでは、遺留分減殺請求により息子に遺産が渡ることになります。これに対し、廃除は、遺留分も含めて相続権を奪う制度なので、確実に息子に想像させることを防ぐことができます。

    なお、このように、廃除の対象となるのは、遺留分を有する者(子及びその代襲者・配偶者・直系尊属)に限られ、兄弟姉妹は含みません。

    廃除が認められる場合とは

    廃除は、単なる主観的、感情的な確執だけでは認められません。法律上の廃除原因(虐待、重大な侮辱、その他の著しい非行)があるかの判断は、家庭裁判所が客観的に行います。
    実務では、父母に暴力をふるう、財産を無断で売り払う、浪費癖がある、遊興に耽るなどの複数の事情に該当するような場合に、「著しい非行」が認められやすいといえるでしょう。

    廃除の手続の方法とは

    廃除の手続きは、生前に行う場合と、遺言により行う場合があります。
    被相続人が生前に廃除の手続きをする場合は、家庭裁判所に対し、廃除の調停か審判を申し立てます。
    遺言により廃除の手続きを行う場合は、遺言で廃除の意思表示をしておき、相続開始後に遺言執行者が家庭裁判所に申し立てを行います。

    いずれも、一旦廃除が裁判所に認められた場合でも、被相続人は、家庭裁判所に対し廃除の取消を求めることができ、遺言で廃除の取り消しの意思表示をすることも可能です。

    当法律事務所のサービス

    当法律事務所では、依頼者の希望に沿って、廃除の調停・審判の申立てを代理することができます。廃除をご検討されている方は、当法律事務所にご相談ください。

  • 内縁の妻に相続権はありますか?

    私は、ずいぶん昔に別れた妻がおり、彼女との間に子どももいますが、一切連絡を取らない関係が続いています。今は、離婚後に出会った内縁の妻と二人暮らしをしており、内縁の妻に遺産の全てを渡したいと思っています。どうしたらいいですか。

    相続の場合、法律上の夫婦と異なり、内縁関係ではお互いが相続人とならず、一切の相続権が発生しません。そのため、財産を遺したい場合には、生前贈与によるか、遺言を作成する必要があります。

    内縁の妻に相続させる方法とは

    夫婦として共同生活を営んでいるような実質的に夫婦関係にあっても、婚姻届を提出しない、つまり法律上の正式な婚姻関係ではない関係を「内縁関係」といいます。
    内縁が成立すると、法律上の婚姻関係にある夫婦と同様の効果が認められる者があります(貞操義務、婚姻費用分担義務、内縁解消に伴う財産分与など)。

    しかし、相続に関しては、内縁関係に法律の規定は当てはまらないとされるので、婚姻意思を持って共同生活を送り、夫婦同然の生活をしていた場合でも、相続権は認められません。
    そこで、内縁の妻に遺産を相続させるためには、遺言によって財産を遺す必要があります。ただし、遺留分を有する相続人(子又はその代襲者、配偶者、直系尊属)が存在し、内縁の妻への遺贈を反対しているような場合には、遺留分減殺請求として相続人の最低限の取り分の請求を受ける可能性があります。

    当法律事務所のサービス

    当法律事務所では、相続人と内縁配偶者との利害対立を調整し、被相続人名義の不動産の居住権などを巡る争いを仲裁するお手伝いをすることができます。現に争いが生じている場合だけでなく、将来的なトラブルを防ぐためにも、内縁関係を巡る問題でお悩みの方は、当法律事務所までご相談ください。

  • 子に生前贈与する際の留意点

    私には2人の息子がいます。私が亡きあと、息子たちが相続や遺産分割で揉めてほしくありません。生前贈与をしたいのですが、どうしたらいいですか。

    生前贈与とは、生きている間に行われる贈与契約のことを言います。相続が発生した際は、生前贈与は「特別受益」とされ、遺産に含まれるものとして、具体的な相続分が計算されることになります。
    また、相続税に比して、贈与税の方が税率が高い点にも留意すべきです。

    生前贈与が相続に与える影響とは

    特定の相続人に対して金銭的な援助をするために生前贈与する場合の留意点として、以下の3点に注意する必要があります。

    ①贈与税は相続税より税率が高いので、課税額に注意する。

    不動産など高価なものを贈与する場合、相続税よりも贈与税の方が税率が高くなるので注意が必要です。

    ②生前贈与は特別受益とみられることがあるので、トラブルの原因にならないよう注意する。

    特定の相続人に金銭的な援助をするために生前贈与する場合の留意点として、生前贈与が「特別受益」とされ、計算上、遺産に戻して具体的相続分が算定されるということがあります。特別受益の持ち戻しを考慮せずに生前贈与を行うと、相続人間でトラブルになる危険があるので注意が必要です。
    <具体例>
    父親Xが1000万円を持っていて、推定相続人が子どもA、Bの2名の場合
    XがAに200万円を贈与し、800万円を残して死亡した場合、800万円をA、Bの2名で400万円ずつ分けるのではありません。
    生前贈与の200万円を遺産に持ち戻し、法定相続分に従って分割することになります。Aは相続時点で300万円、Bは500万円を取得します。

    ③生前贈与をする際の贈与契約書を贈与の毎に作成し、公証人役場で確定日付を取っておく。

    逆に、相続税対策の目的で生前贈与を行う場合、定期金の贈与として一括課税されないよう、年によって贈与額を変えたり、違う種類の財産(株式など)を贈与するなどの工夫をするとよいでしょう。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、生前贈与のお悩みの解決に、税金の問題だけでなく、将来のトラブルの防止も考慮し、よりよい生前贈与の方法を検討、ご提案します。生前贈与でお悩みの方は、まず高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 遺言作成の意味・メリット

    遺言とは、遺言する方(遺言者)が、生前に残した財産を、死後に有効に活用してもらうための意思表示のことをいいます。

    遺言をすることには、以下の4つの意味・メリットがあります。

    ①遺言をすれば、相続をめぐる争いを防ぐことができる

    遺言をすると、遺された相続人が遺産をめぐって争うリスクを防止できるというメリットがあります。
    遺言がなければ、相続人が誰か、遺産は何か、生前に特別に財産をもらった人はどうするかなど、細部にわたる事情まですべて調べ、話し合いで決めなければなりません。残念ながら、遺産を巡る争いで、元来仲が良かった相続人が険悪になることも少なくありません。また、一見すると円滑に遺産分割が成立しても、不満がくすぶることもあり得ます。
    しかし、遺言を遺して財産の帰属を明確にしておくことで、相続人同士の争いや仲たがいを防ぐことができます。特に、疎遠になっている相続人がいる、再婚して先妻の子と後妻の関係が円滑でないなどの事情がある方は、遺言をしておくことをお勧めします。

    ②遺言をすれば、相続人以外にも財産を遺すことができる

    故人(被相続人)の死亡などをきっかけに、故人の財産上の地位を相続人が受け継ぐことを相続と言います。
    相続人の範囲は法律で決められているので、相続人でない人(内縁の妻や夫、息子の嫁、家族以上に特別お世話になった友人など)は、故人の財産を死後に引き継ぐことはできません。故人と生活を共にしていたような場合は、たちまち生活に困窮してしまうケースもあります。
    しかし、遺言をすれば、相続人以外の人や団体に、財産を譲るように意思表示をすることができます(これを「遺贈」といいます)。遺言しておくことで、生前に世話になった人に報いたり、社会福祉に役立ててもらうことが可能になるのです。

    ③遺言をすれば、自由に財産の分割を決めることができる

    法律では、相続人の相続分は明確に規定されています。しかし、幼い頃から家業を助けたり、介護に尽力したなど、特に貢献の大きい相続人や、ハンディキャップがあり生活が心配な相続人には多く財産を遺してやりたい場合もあるでしょう。他方で、信頼を裏切るような相続人にはあまり遺したくない場合もあるかもしれません。
    法律では、相続人間の公平を図るため、法定相続分を基に、特別の貢献をした相続人には増額したり(寄与分)、生前に特別の利益を与えた相続人からはその受益分を差し引くという制度が用意されていますが、法定相続分と異なる割合の相続を相続人の話し合いで解決するのは難しいのが実情です。
    しかし、遺言をすると、法定相続分と異なる相続分や分割方法を定めることができます。そのため、遺された相続人の家庭や、具体的事情に応じた対応をすることが可能になります。

    ④遺言をすれば、事業承継が円滑にできる

    故人が事業を営んでいる場合、店舗用の建物や工場の敷地といった事業用の財産が各相続人に分割されると、事業を続けることが困難になる恐れがあります。後継者が決まっても事業用の財産を承継できずに、築き上げた事業が頓挫する危険性も否定できません。
    個人事業に限らず、会社組織の場合も同様です。後継者が株式の多数を取得できず、他の相続人の雇われ社長状態になり、恣意的な経営に陥る危険性を防ぐためにも、会社の株式の承継方法などを決めておく方が安心です。
    しかし、遺言によって、事業用資産や株式を後継者に集中させておくことで、死後の事業承継を円滑に行うことが可能になります。

    遺言には一定の様式が要求されます。

    遺言は「要式行為」といって、一定の様式に従わないと不成立または無効とされる法律行為です。
    故人の意思の内容や真偽を、故人本人に確認することができないため、一定のルールに従った遺言書の作成を要求することで、故人の真意を確保することに目的があります。
    以下は、遺言の代表的な方式である「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について解説します。

  • 自筆証書遺言をする場合

    自分で遺言書を書きたいと思っています。遺言書を書くときには、どういうことに気を付けたらいいですか。どのようなことに気を付けるべきですか。

    遺言者が自分で全文を手書きし、日付を書き、署名・捺印することで作成する遺言のことを「自筆証書遺言」と言います。
    自筆証書遺言は、本文を含めた全文を自分で手書きしなければなりません。また、遺言には、作成した日の日付、氏名を記載して押印しなければなりません。これらの一部でも欠けると、遺言自体が無効になります。

    遺言には何を書いても構いませんが、決められた事項以外は法的な効力がありません。遺言の内容に法的な効果をもたらすものは、法律で決められています。

    • 相続に関すること(遺産の分割方法の指定など)
    • 財産の処分に関すること(遺言による相続分の指定など)
    • 遺言執行者に関すること(遺言執行者の指定など)
    • 身分に関すること(婚姻外の子どもの認知など)
    • その他(未成年後見人の指定など)

    自筆証書遺言の場合、財産目録と、それぞれ誰が相続するのかを書き、最後に署名捺印をします。遺言は、封筒に入れて、遺言の押印したのと同じ印鑑で封印をします。

    自筆証書遺言のメリット・デメリットとは

    自筆証書遺言は、1人で作成できるので、遺言の存在や内容も秘密にできること、作成費用がかからないなどのメリットがあります。
    他方で、自筆証書遺言は、手書きに限定されること(本文がワープロ打ちの遺言は無効です)、遺言の要件を欠きやすいこと(「●年●月吉日」など日付の特定がされていない遺言、押印漏れがある遺言は無効です)、不利な内容が書かれた相続人が変造・偽造するなどの危険性が高いというリスクもあります。

    高木光春法律事務所のサービス

    自筆証書遺言を作成する場合には、専門家である弁護士によるアドバイスが有効です。自筆証書遺言の作成をお考えの方は、高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 自筆証書遺言の保管の仕方

    自筆証書遺言を作成しました。生前に見つかると困るのですが、死後に見つからなくても困ります。遺言書はどのように保管したらいいですか。

    遺言は、故人の死後の財産の変動を伴う効果があるので、相続人などの関係者に大きな意味を持ちます。それだけに、自筆証書遺言を発見されやすい場所に保管しておくと、偽造・変造のおそれが否定できません。
    自筆証書遺言の保管を弁護士や信頼でいきる人に依頼し、死後に相続人に伝えるよう依頼しておくことで、確実な遺言の実現が可能になります。

    自筆証書遺言の保管方法とは

    遺言書を作成した後は、どこに保管するかが重要な問題となります。
    発見されやすい場所に保管すると、偽造・変造される危険がある一方で、入念に隠しすぎると、紛失したり、遺言の存在自体が気づかれない危険もあります。
    このような危険を回避する方法として、遺言書の存在と保管場所を、遺言の内容に無関係で、信頼できる第三者にあらかじめ伝え、死後に相続人や遺言で財産を遺した人に伝えるよう頼んでおくという方法があります。
    この時、弁護士に遺言の保管を依頼し、且つ遺言で遺言執行者として指定をしておくことで、より円滑で確実に遺言の実現をすることが可能になります。
    詳しくは、高木光春法律事務所までお問い合わせください。

  • 親が亡くなったら、法律上子どもは何をしたらいい?

    先日、父が亡くなりました。今後、遺産分割や相続税の支払いの問題が生じると思うのですが、いつ、何をしたらいいですか。

    故人(被相続人)の死亡などをきっかけに、相続が開始します。これにより、被相続人の財産上の地位を相続人が受け継ぐことになります。相続開始後は、死亡届の提出から相続税の申告・納付に至るまで多くのことを行わなければなりません。
    以下では、主だったスケジュールを示していますが、手続きの中には、期限を過ぎるとできなくなるものもあるので、専門家である弁護士にご相談ください。

    法律上やるべき手続

    死亡後の
    日数の目安
    被相続人(故人)が死亡
    7日 ・市区町村長に死亡届を提出
    14日 ・世帯主変更届の提出
    ・銀行預金口座凍結の連絡
    ・国保の資格喪失届等、年金受給停止の手続等
    ・遺族が健康保険の被扶養者の場合は国民健康保険加入の手続
    3か月 ・相続人の財産・負債を調査した結果、負債が多い場合は、相続開始を知った時から3か月以内に相続放棄や限定承認の手続き
    4か月 ・被相続人に関する所得税の申告・納税
    10か月 ・相続税の申告・納付相続税の申告・納税
    (遺産分割協議がまとまらない場合は、法定相続分で分割したものとして納税し、遺産分割協議が確定した時点で修正申告等を行います)

    相続に関しては、相続開始後、まず、相続人の調査を行います。次に、相続人が確定したら、相続財産を調査し、被相続人の負債状況を明らかにします。さらに、遺言書の有無を調査します(自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合、家庭裁判所に検認の申立てが必要です)。これらを踏まえて、実際に相続するかしないかを判断するのが、相続の流れになります。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、相続財産の調査が困難な場合や、遺産分割協議が難航する場合でも、相続発生から遺産の分配等にまで総合的にサポートすることができます。相続、遺産分割等でお悩みの方は、まずは高木光春法律事務所ご相談ください。

  • 遺言執行とはどういうことか?

    先日、父が亡くなりました。遺言書で、私が遺言執行者に指定されていました。遺言執行とはどういうことを言うのですか。

    遺言執行とは、遺言の内容を実現することをいいます。具体的には、土地・建物などの不動産の登記、銀行預金など預貯金の解約や分配などの財産に関するもの、また婚姻外の子どもの認知や、相続人の廃除なども含まれます。

    遺言執行者の意味とは

    遺言執行者とは、遺言を実現する人のことを言います。
    遺言には、不動産や預貯金などの財産の処分だけでなく、子どもの認知や相続人の廃除などの身分に関するものまで、さまざまな事項が記載されています。財産が相続人や受遺者にわたるまでには、不動産を登記したり、預貯金を解約するなど、実行しなければならないことが多くあります。これらの手続きを行うのが、遺言執行者なのです。

    遺言執行者を指定するメリットとは

    遺言執行者は、必ずしも遺言の中で定める必要はありません。遺言執行者を定めない遺言も、もちろん有効です。
    ただ、遺言執行者が指定されていない場合は、相続人が、遺言を実現するための各種の手続きを行わなければなりません。多数の相続人がいる場合、相続人間にトラブルがあり協力が得られない場合などは、遺言を実現するための諸連絡や手続きが難航する可能性もあります。

    しかし、遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が相続人全員の代理人として全ての手続きを行うため、遺言内容をスムーズに実現することが可能になります。

    遺言執行者の適任者とは

    遺言執行者は未成年者、破産者を除き、だれでもなることができます。相続人又は受遺者(遺言により財産を譲り受ける人)を遺言執行者に指定することもできますし、法人(信託銀行など)もなることができます。
    しかし、遺言執行という行為は、利害関係が複雑にからみ、手続きがスムーズに進まないおそれがあるので、遺言執行者の負担は決して軽くありません。
    できることなら、相続に関して利害関係のない、そして相続に関して知識と経  験がある人を指定するのが望ましいでしょう。
    遺言執行をめぐるトラブルを回避するためには、弁護士を遺言執行者に指定することをお勧めします。弁護士なら、法的対応の経験が豊富なので適正・迅速に手続きを進めることができますし、相続人間のトラブルを回避することが可能です。

    遺言の弁護士費用

    ▼法律相談料(消費税別)

    初回30分 無料
    以降30分ごとに 5,000円

    ▼遺言に関し受任した場合(消費税別)

    内容 手数料
    遺言作成 自筆証書遺言 定型 100,000円~200,000円
    非定型 協議による。
    公正証書遺言 上記に、30,000円を加算
    (別途、公証人への費用が必要です。)
    遺言検認 自筆証書による遺言書の検認。
    家庭裁判所宛の家事審判申立書の作成、戸籍謄本等必要書類の取り寄せ。
    100,000円~200,000円
    遺言執行 遺言の内容に従い、遺産を換金・分配、不動産の移転登記、引渡、廃除の審判申立て。 対象財産の価額
    300万円以下300,000円
    300万円超3000万円以下 2%+240,000円
    3000万円超3億円以下1%+540,000円
    3億円超0.5%+1,500,000円

    遺言についての通常の法律事務は、勝訴(成功)を目指すものではないため、着手金・報酬金(成功報酬)の形で費用をご負担いただくのではなく、手数料としてご負担いただく形となります。
    ただし、遺言の無効を裁判上争う場合(遺言無効確認訴訟)や、遺言の解釈を巡って裁判上争う場合は、通常の訴訟事件と同様の扱いとなります。

金銭トラブル

  • 金銭を貸す場合の注意点

    他人に金を貸したが借用証がありません。返してもらえませんか?

    2年前、友人に頼まれて300万円を貸しました。友達なので、借用書などの書面はもらっていません。しかし未だに返してもらえず困っています。返してもらうことはできますか。

    借用証がなくても、貸したお金の返金を請求できる場合があります。
    借用書は「証拠」の一つなので、その他にお金を貸したということが証明できれば、貸したお金の返還請求をすることができます。どういう方法で請求するのが適切か、弁護士にご相談ください。

    お金を返してもらうためには借用書は必ず必要ですか?

    当時は相手を信用してお金を貸した、友人に借用証を書いてもらいにくかった等々、友人・知人間でお金の貸し借りをする場合に借用証を交わさないケースも見受けられます。借用証は、お金の貸し借りがあったことの「証拠」として証明するものなので、もし借用書がなくても、お金の貸し借りがあったという事実を何らかの方法で証明できれば、貸したお金を返してもらうよう請求できます。
    具体的には、お金の貸し借りを示したメモやメールのやり取り、第三者の証言、分割払いの場合の一部入金の入金記録などが挙げられます。その他にも、貸した相手方にお金を借りたことを認めさせる(債務の承認)など、お金を貸した事実を事後的に証拠化することも可能です。
    貸したお金の返還請求を正式に請求したケースを想定して、相手がお金を借りたことを認めなくても反論できる資料が必要です。同時に、且つ、その程度の資料さえあれば、借用証のような正式な書面がなくても、裁判上返還を請求できるのです。

    高木光春法律事務所のサービス

    「借用書がなくお金を返してもらえない」、「どうやって請求したらいいか分からない」「お金を貸した証拠の集め方が分からない」など、貸したお金を取り戻す方法についてお困りの方は、まずは高木光春法律事務所までご相談ください。ケースに応じた、最適な解決方法をご提案いたします。

  • 貸した金銭を回収する方法

    お金を返してもらえない場合、どのように回収すればいいですか?

    以前、知人に貸したお金を返してほしいと思っています。弁護士さんにお金の回収や金銭トラブルを頼んだ場合、どうやってお金を回収して解決してくれますか。

    貸したお金を返してもらう方法は一つではありません。事案に応じて、適切な手段で、適切な手順を踏んで回収する必要があります。弁護士なら、個別の事情を伺い、更に資料の検討を十分に行うことで、最適な回収方法を提案して解決することができます。

    どのような方法で金銭の返還を求めるのですか?

    貸したお金を返してもらう際には、まずどのようにして回収するかに注意しましょう。話し合いでお金の返還を求めても効果がない場合では、最終的には法的手段に頼らざるを得ないケースもあります。交渉、支払督促、裁判などの様々な方法の中から、状況に応じて適切に使い分けることが重要です。

  • 内容証明郵便

    内容証明郵便とはどういうものですか?

    内容証明郵便とは、いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本(内容文書を謄写した書面で、差出人と差出郵便局で保管するもの)によって、日本郵便株式会社が証明する制度です。内容証明郵便は、通知したこと自体を証拠として残すことに加え、内容証明郵便の受取人である借主に対して「お金を返してもらう」という強い意思を伝えることができます。

    内容証明郵便とはどういう場合に使うのですか?

    お金を貸した相手には、まずは貸主が電話などで督促するのが一般的ですが、あまり効果的ではないのが実情です。当事者の代わりに、弁護士が電話で交渉することで、借主が支払いに応じることもありますが、なかにはそれでも督促に応じないケースもあります。
    そのような場合、内容証明郵便という、日本郵便株式会社が通知を証明する方法で通知を受けた借主は、後日通知をうけていないと言えなくなります。これにより、借主に対して貸主の強い意思を伝えることが可能になります。
    また、内容証明郵便は、通知したこと自体を証拠として残しておくことができるので、時効を援用する場合や、クーリングオフ等の解約通知などの場合に用いられることがあります。

    お金を返して欲しい場合に内容証明郵便を出すメリットとは?

    お金を返してほしい場合に内容正面郵便を出すメリットは2つあります。
    1つは、請求したこと自体を証拠として残せるという点です。
    貸したお金は、何もせずに放置しておくと、債権の消滅時効にかかって請求できなくなります。消滅時効の完成前に支払を催告することで、時効完成を6か月遅らせることができます。この場合、内容証明郵便で催告することで、後日催告を受けていないという主張ができないように、証拠化しておくことが重要です。
    また、もし返済期限を決めずにお金を貸した場合でも、内容証明郵便により、請求したことを証拠化しておくことには意味があります。借主(債務者)は、お金を返すという履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負い、年率5%の遅延損害金を支払わなければならないとされているからです。
    もう1つは、内容証明郵便の事実上の効果として、支払い要求の強固な意思を相手に示すという点です。内容証明郵便には、「期限内に支払わなければ法的措置を講じる」と明記するのが一般的です。そのため、裁判で請求するなど、事態が大きくなる前に、相手に心理的圧力をかけて債権を回収できる可能性が高まります。

    内容証明郵便を出したが相手が支払ってくれない場合は?

    内容証明郵便は、請求したことを証拠として残せるという効果はありますが、その性質は、あくまでも借主が自ら支払って解決することを目的とした働きかけです。そのため、内容証明郵便を出しても、借主に支払いを拒絶されたり請求を無視された場合は、民事訴訟や民事調停の申立て等の法的措置を検討する必要があります。
    なお、相手方が故意に内容証明郵便の受け取りを拒否することもあります。弁護士はこのような事態に備えて内容証明郵便を送付するのと同時に同じ内容の文書を普通郵便で送付することもあります。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、依頼者の希望に応じて、弁護士名で内容証明郵便を送るだけというご依頼にも対応しています(その場合、内容証明郵便の作成費用のみを申し受けます)。その後、債権回収をお引き受けする場合は、通常の着手金額から、内容証明郵便の作成費用を差し引いた額にて受任いたします。内容証明郵便による督促をご検討の際は、高木光春法律事務所までお気軽にご相談ください。

  • 少額訴訟の提起

    少額訴訟とは、少ない価額を争う場合に一般の訴訟とは異なり手続きが簡略化された制度を設けて、より多くの人々が裁判所を利用できるような制度のことを言います。

    • 少額訴訟は60万円以下の金額請求に限って利用できます。(自動車の引渡しや不動産の明け渡しを求めることはできません)
    • 少額訴訟では、原則として1日だけの審理をしてその日のうちに判決を下します。(ただ和解が成立しそうであったり、重要な証人がその日に出頭できないなど特別な場合には別の日に審理が行われます)
    • 少額訴訟では原則として審理が1日だけなので、提出できる証拠はすぐに調べられるものに限られます。
    • 少額訴訟では、トラブルを迅速に解決するという観点から判決に不服があっても控訴することは許されません。
    • 少額訴訟を提起した場合、被告が少額訴訟に同意しないで本格的な審理を希望して一般の訴訟に移行するように要求することが認められています。
    • 原告の請求を認容する判決が下されても被告の支払いを猶予することがあります。
  • 少額訴訟

    少額訴訟の意味

    知人が貸したお金を返してくれません。お金の額は50万円です。返してほしいのですが、回収のためにさほどお金がかけられません。どうしたらいいですか。

    民事訴訟のうち、60万円以下の金銭の支払を求める訴えを起こす場合に、原則1回の審理で解決を目指す特別な訴訟手続のことを「少額訴訟」と言います。
    通常訴訟を起こすと、判決が下されるまで何度も期日を行うため、多くの時間と費用と労力がかかるので、訴額が小さい場合、実際に取り戻したいお金よりも、裁判費用の方が高くついてしまう可能性もあります。
    少ない金額を取り返したい場合に、通常裁判よりも少ない負担で裁判所による権利救済をうけることができるという大きな利点があります。

    少額訴訟の進め方とは?

    少額訴訟が行われる法廷においては、裁判官と当事者が一緒にラウンドテーブル(円卓)に座り、審理が行われます。少額訴訟の途中で、話し合いで解決することも可能です(和解)。
    少額訴訟の判決は、分割払いや遅延損害金免除の判決がなされるなど、和解に近い内容になることもあります。少額訴訟での判決や和解調書に基づいて、強制執行を申し立て、相手方の財産から強制的に貸金を回収することも可能です。
    但し、少額訴訟は、相手方が応じずに通常訴訟をすることを求めた場合は、通常訴訟に移行することや、少額訴訟の判決に相手方が不満を唱えて異議を申し立てた場合は、再び審理をやり直さなくてはいけないので、余計に時間がかかるというリスクはあります。

    なお、少額訴訟は、1回の審理のみで解決を目指すという性質上、証拠書類や証人は、審理当日にその場で調べられるものに限定されます。また、被告(訴えられた方)は、少額訴訟では反訴(訴えられた被告が、訴えた原告に対して、同じ裁判手続きの中で逆の請求をすること)ができません。

    どのような事案が少額訴訟に適するか?

    少額訴訟は、請求内容が単純で、証拠関係が明らかなようなケースに適していると言えます。被告(訴えられた側)の事情なども汲み取り、支払を猶予したり、分割払いを認めたり、遅延損害金の支払いを免除するなど、被告側が現実に返済できる方法で事案を解決することができます。
    他方で、相手方との間で言い分が大きく食い違い、争うことが避けられないような場合は、少額訴訟での解決は不適切と言えるでしょう。
    なお、被告側(訴えられた側)は、少額訴訟を提起されても、通常訴訟に移行させる旨の申述をして普通の裁判に持ち込むことができます。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、少額訴訟についてのご相談、ご依頼もお受けしています。依頼者にとって最少の負担で最善の結果につながるよう、最善のサポートをお約束します。

  • 支払督促の申立て

    支払督促の手続はどのようなものか?

    私が貸したお金を借主が返してくれません。内容証明郵便を送っても効果がなさそうです。支払い督促という制度を聞いたことがあるのですが、どういうものですか。

    支払督促の手続とは、裁判所から「支払督促」の書類を相手方に送付して貰い、相手方が反論してこなければ、「支払督促」記載の貸金(債権)があるということを正式に認めてもらえる手続のことを言います。
    借主である相手方の性格などから、内容証明郵便を送って催促しても無視することが予想される場合で、且つ、お金を借りているということを争わないと予想されるような場合は、支払督促の申し立てが有効に働く場合があります。貸主からの督促は、無視してもそれ自体で不利益な扱いは受けませんが、支払督促は裁判所が出す書類なので、借主からの異議がなければ裁判をせずに強制執行が可能になります。
    通常、強制執行により貸金を回収する場合は、裁判を起こして、「借主は借りたお金を払え」という趣旨の判決を得なければなりませんが、そこに至るまでに時間とお金がかかります。借金の存在と内容について、貸主と借主の争いがないケースでは、支払い督促という簡易・迅速な手続きは有効な手続きと言えるでしょう。

    支払督促の進め方とは?

    支払督促は、相手方の住所地等の簡易裁判所書記官に申し立てを行います。
    支払督促の申立てに対し、借主が14日以内に異議を述べなければ、債権者(貸主)の申立てにより、裁判所は支払督促に仮執行宣言を付します。そして、借主がそれから14日以内に異議を述べない場合は、裁判手続きを経ずに、強制執行により貸したお金を回収することができます。
    ただし、支払い督促では、借主が異議を述べて反論した場合は、通常の訴訟手続きに移行します。貸主が請求した金額が140万円以下の場合は簡易裁判所に、140万円を超える場合には地方裁判所に訴えが提起されたものとみなされるのです。そのため、もし借主から反論があることが予想できる場合は、最初から訴訟を起こす方が適切といえるでしょう。

    どのような事案が支払督促に適するか?

    支払い督促は、債務(借金)の存在自体に争いがないケースに適していると言えます。具体的には、借用証もあって、貸した相手も借りたことを認めているけれど、あれこれ理由をつけて返してくれないなどのケースです。
    他方で、相手方から、異議が出されると通常訴訟によらなければいけないので、事件後直ちに訴えを提起した場合と比べてかえって余計な時間がかかってしまいます。借主が純粋に争う場面だけでなく、単なる時間稼ぎのため異議を出すこともあるので、相手方の性格や貸金の内容などを考慮しつつ判断すべきでしょう。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、どのようなケースが支払督促をするのに有効かなどのアドバイスから、実際の申立まで幅広く対応しています。また、支払督促を受けている方からも、異議申立てやその後の訴訟対応のご相談、ご依頼をお受けしています。支払い督促でお困りの方は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 民事調停の申し立て

    民事調停とはどのようなものですか?

    お金を貸した相手に返してもらいたいのですが、内容証明郵便を送っても応じないし、私が請求している借金の内容に反論があるとも聞いています。お金を取り戻すのに民事調停という制度があると聞きました。どういうものですか。

    民事調停とは、簡易裁判所で話し合いによって解決する方法です。裁判官と調停委員2名で構成される「調停委員会」が、貸主と借主の当事者双方の言い分を聞いて、利害関係を調整するなどして歩み寄りを促し、当事者間の合意による解決を目指します。
    このように、民事調停はあくまでも当事者同士が話し合って争いごとを解決することを目的としています。当事者どうしではまとまらなかった問題も、第三者が間に入ることで、冷静に且つ自分の主張を全て伝えることができます。

    民事調停の進め方とは?

    民事調停は、簡易裁判所に申し立てることによって行います。貸主が自分で調停の申立を行うこともできますが、守らなければならない法的手続きが多いので、弁護士に依頼して申し立てるのが確実でしょう。なお、民事調停の申立て手数料は、訴え提起手数料の半額です。
    通常の民事裁判は公開で行われますが、民事調停は非公開で行われます。通常の場合、双方当事者が同席して意見を言い合うのではなく、申立人(貸主)と相手方(借主)が調停室に交互に入り、調停委員に意見を伝えます。
    当事者が合意に達し、調停が成立すると、調停調書が作成されますが、その合意には確定判決と同一の効力が認められます。これにより、借主が合意に基づいた内容で支払わないような場合は、改めて裁判をすることなく強制執行により取り立てることが可能です。
    但し、当事者のどちらかが合意に応じない、そもそも調停期日に出頭しないなど、当事者双方が合意に達しない場合は調停不成立となります。その場合は、申立人は別途、訴訟を提起することができます。

    どのような事案が民事調停に適するか?

    民事調停は、問題になっている請求額が少額でコストをかけたくない場合や、借金があることは争いがないが支払条件等について話し合いが必要な場合などに適していると言えます
    他方で、お金を貸した・借りたことの主張自体が大きく食い違っているようなケースでは調停でもまとまらないことが多いので、最初から裁判で決着をつける方が効率的な場合もあります。民事調停を利用するか否かは、相手の性格や、お金の貸し借りに関する内容まできちんと把握して、争いの解決方法としてふさわしいかを検討して決めるべきでしょう。

    高木光春法律事務所のサービス

    債権回収の手段を選ぶ際には、相手方の性格や支払能力、証拠の有無、いくら請求するのか等、様々な事情を総合的に判断しなければなりません。高木光春法律事務所では、貸したお金を取り返すという債権回収を行う際に、民事調停を申し立てることが有効か否かのご判断のためのサポートから、民事調停の代理人まで幅広くご対応します。また、民事調停を起こされている方からのご相談にも対応しています。民事調停でお困りの方は、高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 消滅時効と中断

    他人に債権をもっていますが消滅時効期間はどうなっていますか?

    以前、友人にお金を貸したのですが、長い間何もせずに過ごしてきました。貸したお金は、一定期間経過すると、時効になって返してもらえなくなると聞いて心配です。どのくらいの期間で時効になってしまうのですか。

    お金を貸した人が借りた人に対してお金の支払いを要求するなど、特定の人に対して一定の給付を請求できる権利のことを債権と言います。
    法律では、債権は原則として10年で消滅時効にかかるとされています。つまり、お金を貸したという債権を消滅時効の期間が経つまで放っておき、相手方が消滅時効が成立したことを主張すれば(これを時効の「援用」といいます)、貸したお金を返してもらうように請求することができなくなるのです。
    但し、権利を行使すれば、時効の進行を中断させることができます。

    なお、債権の種類によって、消滅時効の期間が異なります。

    どういう債権が何年の時効にかかりますか?

    貸金や売掛金、損害賠償請求権等の債権も、一定期間が経過すると消滅時効にかかります。民法では、債権の消滅時効期間は原則10年と定められていますが、債権の種類によって例外が認められているので、注意が必要です。以下はその一例です。

    消滅時効期間 債権の内容
    1年 ・月又はこれより短い時期によって定めた使用人の給料にかかる債権
    ・自己の労力の提供又は演芸を業とする者の報酬又はその供給した物の代価に係る債権
    ・運送賃に係る債権
    ・旅館、料理店、飲食店、貸席又は娯楽場の宿泊料、飲食料、席料、入場料、消費物の代価又は立替金に係る債権
    ・動産の損料(たとえば、レンタルCD、DVDなどの貸出物の損料)に係る債権
    2年 ・弁護士、弁護士法人又は公証人の職務に関する債権
    ・生産者、卸売商人又は小売商人が売却した産物又は商品の代価に係る債権
    ・自己の技能を用い、注文を受けて、物を製作し又は自己の仕事場で他人のために仕事をすることを業とする者の仕事に関する債権
    ・学芸又は技能を行う者が生徒の教育、衣食又は寄宿の代価について有する債権
    ・労働基準法の規定による債権(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権
    3年 ・医師、助産師又は薬剤師の診療、助産又は調剤に関する債 権
    ・工事の設計、施工又は管理を業とする者の工事に関する債権
    ・不法行為債権(ただし、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から)
    5年 ・商行為によって生じた債権
    ・年又はこれより短い時期によって定めた金銭その他の物の給付を目的とする債権(定期給付債権)
    ・退職金債権
    10年 ・確定判決、裁判上の和解、調停その他確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利
    20年 ・不法行為債権(不法行為の時から)

    時効を援用するというのはどういうことですか?

    消滅時効の期間が経過しても、それだけで債権が消滅するわけではありません。借りたお金を返さなくて良いなど、時効の効果を得るためには、時効を「援用」しなければなりません。
    時効の「援用」とは、時効によって利益を受ける人が、時効が成立したことを主張することをいいます。援用の方法は、単に「消滅時効を援用する」と相手方に伝えるだけで足ります。但し、裁判になっていない場合は、援用した事実を明確に残して、将来裁判になった時に備えて証拠化しておくため、内容証明郵便を利用することが一般的です。裁判になっている場合は、裁判所に提出する答弁書や準備書面の中で、「原告主張の債権については消滅時効が完成しているため、被告は本書をもってこれを援用する」という方法で主張をします。
    仮に、貸主が裁判で「お金を返せ」と請求している場合は、時効を援用しないと、通常どおり支払いを命ずる判決が下されることになるので注意が必要です。

    時効が「中断」するというのはどういうことですか?

    消滅時効は、一定期間講師をしない場合、権利を消滅させる制度ですが、これは「請求できるのに何もしないで放っておくような、権利の上に眠る者は保護しない」として、「長期間請求がないから今後も請求されることはないだろう」という借り手である債務者側の期待を保護する目的があります。
    反対に、消滅時効は、権利を行使すれば進行を中断させることが可能です。債権を回収するために何らかの行動を取ったり、債務者自身が「自分はお金を借りている」と、債務の存在を認識している場合は、時効の「中断」が認められます。
    時効の中断とは、時効期間の進行が停止するのではなく、時効期間の進行がリセットされることを意味し、通常の債権の場合であれば、中断時点からさらに10年間が経過しないと、時効は完成しません。
    中断事由には次のようなものがあります。

    中断事由 内容
    請求 裁判等で支払いを求めることです。
    ※内容証明等、通知書で求めることは「催告」といい、「請求」ではないので、時効は中断しません。但し、催告から6か月以内に、時効中断事由にあたる手続きを行えば、時効が中断されます。
    差押え
    仮差押え
    又は仮処分
    差押えをすることで時効が中断します。但し、判決書、和解調書や、強制執行認諾文言付の公正証書に基づいて、正式に差押えを行うことが必要です。
    裁判を起こす前に、仮差押えや仮処分を実施する場合も同様です。
    承認 債務者が、債務の存在を認めることです。
    具体的には、借金を一部返済したり、支払猶予を求めること等も「承認」に含まれます。

    時効が問題となる場合の対処方法とは?

    時効期間が経過したからといって、直ちに債権が消滅して、お金を巡るトラブルが解決するわけではありません。貸した側(債権者)にとっては、時効期間の経過によりすぐにお金を諦める必要はなく、借りた側(債務者)としては、時効期間が経過したからといって安心していては後で思わぬ請求が来る場合があります。
    時効が絡む問題は、時効の中断事由がはたして存在していたのか等、様々な言い分が対立する場合が少なくありません。このような場合は、弁護士による早期且つ適切な助言が問題解決に有効な場合は多くあります。

  • 仮差押仮処分

    訴訟を起こしたいと思いますが、その前にやることはありますか?

    相手がお金を払わないので、裁判を起こすしかないと思いますが、その前にすべきことはなんですか。

    仮差押えとは、債務者が代金等を支払わないのに、持っている財産を処分しようとしている場合に、裁判所に対して取引先の財産を仮に差押えるよう申立てることができる制度のことをいいます。具体的には、債務者が、銀行預金や取引先への売掛金債権を持っている場合に、銀行や取引先から債務者に対する支払いを禁止させる処分のことです。債権者は、後日裁判で勝訴判決を得た場合には、銀行や取引先から直接支払いを受けることになります。
    法律上、債務者は仮差押えの対象財産を処分できないわけではないのですが、仮差押があると、債務者から対象財産を取得しようとする者は、将来権利を失うかもしれないという不安定な地位に置かれるため、通常の取引では取得しようとする者がいなくなります。債務者側にとっても、実質財産の処分ができず、銀行口座を凍結されるなど大きなダメージを与えることになるので、裁判前に自主的に債務を支払う合意が成立することもあります。

    仮処分とは、裁判で結論が出るまで、債務者の財産の処分を禁止するなどして現在の状態を維持するための制度のことをいいます。具体的には、債務者名義の不動産を、他者に売却するなどの処分を禁止させる処分のことです。債権者は、後日、裁判で勝訴判決を得た場合は、その不動産を差し押さえて、競売で得た売却代金から債権を回収することができます。

    仮差押え・仮処分の有効性は?

    債務者側がいつまでも債務の弁済をしないケースでは、債権者は、裁判を起こして勝訴判決を得て、これに基づいて強制執行をして債権を回収することになります。
    しかし、せっかく裁判で勝訴判決を得たとしても、強制執行する時点で債務者側に資産が残っていない状態では、結局のところ何も回収できず、骨折り損になってしまう恐れがあります。
    仮差押えや仮執行は、このような事態に備えて、債務者側の財産を維持・保全しておくために有効な手続きです。
    債務者の中には、どうしようもなく経済状態が悪化してしまった人だけではなく、強制執行されることを予想して、保有している財産を家族や第三者に贈与・売却したり、あらかじめ銀行口座から預貯金を引き出すなどの悪質な対応を取る人もいます。このような行為は、強制執行妨害罪に問われるケースもありますし、他の法的手段により回復することも可能です。しかし、そういった手段を取ることは、単に債権を回収したい債権者の負担を増すことにもなりかねません。こうした事態を防ぐためにも、仮差押えや、仮処分は有効な手段ということができるでしょう。

    仮差押え・仮処分をするには?予納金とは?

    仮差押え・仮処分は、迅速に執り行わなければなりません。手続きの性質上、事前に債務者に告知していたのでは、債務者に財産を処分させてしまう危険があるためです。
    他方で、仮差押は債務者に大きな負担をかけることから、いつでもできるというわけではありません。仮差押の決定を得るには、債権等(被保全権利)があることと訴訟を待たずに仮差押をする必要性の2点を、証拠等で裁判所に認めてもらう必要があります。
    また、仮差押の決定には、後日の訴訟で、誤りであったことが明らかになった場合に備えて、通常、裁判所の指定する金額と方法により担保を立てることが条件となります。担保の額は、債権の確実性や保全の必要性、債務者の受ける不利益などを考慮して決められ、仮差押えの対象財産の価格の5~40%程度で決まることが多いようです。担保は、現金を法務局に供託する方法により納付します。
    仮差押え・仮処分は、債権の存在について厳格な証明は必要でなく、しかも相手の言い分を聴くことなく命令が出される反面、貸主にも担保という責任が課されることでバランスがとられているのです。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、仮処分・仮差押えについても、費用や債権回収の可能性を踏まえたうえで、依頼者の事情やご希望に沿ったご提案をいたします。仮処分・仮差押えでお困りの方は、まずは高木光春法律事務所にご相談下さい。

  • 強制執行

    強制執行とはどういうものですか?

    勝訴判決が出ましたが、相手が判決を無視し、お金を払ってくれません。

    強制執行とは、債務者がきちんと債務の履行をしない場合に、国家機関が強制的にその債権内容の実現をしてくれる制度のことをいいます。強制執行は、国が強制的に債務の履行をさせるものなので、強制執行が認められるためには、確定判決や強制執行認諾文言付き公正証書等の公正の文書(債務名義といいます)が必要です。

    強制執行のその方法としては、預貯金や売掛金等の債権を押さえる方法、相手の給与債権を差し押さえる方法、不動産を差し押さえる方法等があります。

    強制執行をしなければならない場合とは?

    債権者が裁判で勝訴判決を得たり、債権者と債務者の間で和解が成立した場合でも、債務者側が任意に支払いをしないケースも少なくありません。判決がでても、それだけでは相手が自動的にお金を払ってくれるわけではないので、そのような場合は、判決とは別に、強制執行の手続きを執る必要があります。

    強制執行の種類には、直接強制、代替執行、間接強制があります。
    直接強制とは、債務者の意思にかかわらず、国家機関が直接、強制的に債権を実現することをいいます。具体的には、買主が代金を支払わないとき、裁判所が買主の預金や給与、不動産等を差押え、これを代金に充当する等の場合です。但し、直接強制は、物の引き渡しを目的とする債務についてだけ認められます。

    代替執行とは、第三者に債権の内容を実現させて、その費用を国家機関が債務者から取り立てることをいいます。具体的には、土地を借りて建物を建てている人が、地代を支払わないために土地の賃貸借契約が解除されると、建物を取り壊して更地に戻して土地を返還する債務を負いますが、借主がそれを行わない場合に、裁判所が認めた者に取り壊させて借主に費用を負担させる等の場合です。
    他にも、債権執行(預貯金、給与、売掛金等)、動産執行等の方法がありますが、第三債務者から直接、金銭を支払ってもらう債権執行が簡易な方法と言えます。債権執行にあたっては、債務者がどの銀行に口座を持っているか、どこに勤めているか等の情報が重要になります。
    但し、代替執行は第三者が代わって行える債務について認められます。

    間接強制とは、債務を履行するまでの間、裁判所が債務者に対して一定の金銭の支払義務を課することによって、債務者を心理的に圧迫して、間接的に債権の実現を図るものです。従来は例外的にしか認められていませんでしたが、現在は、金銭債務を除く物の引渡債務や代替執行が可能な債務については、直接強制、代替執行の方法だけではなく間接強制も認められています。

    高木光春法律事務所のサービス

    高木光春法律事務所では、債務の支払いが滞っているようなケースについても、強制執行のご相談、ご依頼をお受けしております。ご検討の際は、高木光春法律事務所までご相談ください。

  • 回収までの流れと要する時間

    お金を回収するのにどの位の時間がかかりますか?

    債務者に貸したお金を取り返したいと思っています。弁護士に依頼した場合、通常どの程度時間がかかるのですか。

    お金を回収するのに要する時間は、債務者の性格や態度、保有している財産など、様々な事情によって異なります。いずれにしても、1日も早い解決を目指すには、債権回収のための適切な手段を選ぶことが重要です。

    事件が終わるまでにどの位の時間がかかるか?

    お金を貸している方にとっては、どのくらいの期間で実際に債権を回収できるのかは、最も気になる問題だと思います。
    しかし、お金に関するトラブルを解決するまでにかかる時間は、債務者側の対応や保有している財産など、個々のケースによって異なるのが実情です。また、早く解決できると思われていた事件が予想外の事情が生じて長期化したり、逆に、まったく進展が望めないような事案で、債務者側が突然任意に支払いに応じて解決すると言った場合もあるのです。

    もっとも、どのような手続きを取るかによって、概ねかかる時間が決まってきます。
    具体的には以下のようになります。

    話し合いを行う場合(双方が裁判を避けたいと思っている場合)

    1~3か月程度で終了する場合が多いです。
    裁判とは異なり事実関係の主張立証をしないこと、話し合いの内容が金額や支払時期等の条件に集約されるため、比較的短期間で終了します。

    民事調停の場合

    民事調停の申立てから6か月程度で目途が立つこと場合もあります。
    民事調停は、話し合いによって解決を目指す手続きです。そのため、事実関係の主張を交わす裁判よりも短い期間で解決することが多いです。
    通常、申立てから1か月強程度で第1回調停期日が指定され、その後、1か月から1か月半毎に期日が開かれます。

    民事訴訟の場合

    長期化しがちです。
    任意での交渉や調停がまとまらず、裁判を起こす場合は、解決までの期間が長期化しがちです。証拠がしっかりしていても、相手方が無駄に事実関係を争ったり、感情的になることも少なくありません。逆に、債務者側も、裁判が長期化することを防ぎたいとして判決前に事件が解決できる場合もあります。

    どのようにすれば早い解決ができますか?

    お金に関するトラブルをできるだけ早く解決するためには、解決のための手段を適切に選ぶことが大きな意味を持ちます。話し合いに固執するあまり、かえって事態を長期化し、無用な時間とお金がかかる場合も少なくありません。状況を見据えて適切な手段を選択するには、専門家である弁護士のアドバイスが有効です。弁護士が間に入ることで解決に向かうケースも少なくありません。お金を巡るトラブルでお困りの方は、まずは高木光春法律事務所にご相談ください。

  • 借金と保釈人の責任

    保証人の責任はどのようなものですか?

    友人が借金をする際、その保証人になりました。しかし、友人が借金を返さなかったようで、私に請求がきました。友人本人から取り立てるように言えるでしょうか。

    保証には、単なる「保証」と「連帯保証」とがあります。質問のようなケースでは、単なる「保証」をしたのか、「連帯保証」をしたのかで取り得る対応が変わってきます。
    単なる「保証」をしていた場合は、債務者本人である友人から取り立てる(催告)よう請求することができますし、友人本人に借金を返せる財産があり、且つその財産から借金を回収すること(執行)が容易であることを証明すれば、本人の財産から執行するよう求めることができます。これに対して、「連帯保証」をしていた場合は、保証人であっても債務者本人とほとんど同じ責任を負います。そのため、友人本人から取り立てるように請求することはできません。

    保証と連帯保証とはどのように違うのか?

    保証には単なる「保証」と「連帯保証」とがあり、法律上、効果や負うべき責任の範囲は、以下のように区別されています。

    単なる保証の場合

    「催告の抗弁権(まず本人に催告をするよう請求できる権利)」、「検索の抗弁権(本人に債務を弁済する財産があり且つ執行が容易であることを証明すれば、本人の財産から執行するよう求めることができる権利)」が認められています。
    また、「分別の利益」が認められています。これは、保証人が複数人いる場合は、債務全額を保証人の頭数で割った金額の範囲で責任を負えばよいとする制度です(具体的には、200万円の借金に4人の保証人がいた場合、各保証人は、200万円÷4人=50万円の範囲で責任を負えば足ります。

    連帯保証の場合

    債務者本人が財産を持っていても、債権者から請求があれば連帯保証人が弁済しなければなりません(「催告の抗弁権」「検索の抗弁権」が認められません)。
    また、「分別の利益」が認められず、債務額全額の範囲の責任を負います(具体的には、200万円の借金に4人の連帯保証人がいた場合、4人の連帯保証人全員が200万円全額の範囲の責任を負い、債権者側からすると、債務者本人と、連帯保証人4人の計5人の最も回収しやすい人に請求できます)。
    一般的に、保証を求める際は、「連帯保証」とすることが多く、不動産の賃貸借契約書や、金銭消費貸借契約書では、連帯保証とされるのが通常です。

  • 金銭貸借の紛争に関する弁護士費用

    法律相談料(消費税別)

    30分ごとに 5,000円

    着手金の一般的な例(消費税別途)

    経済的な利益の額が
    300万円以下の場合 経済的利益の8%(最低額は10万円)
    300万円超3000万円以下の場合 同5%+9万円
    3000万円超3億円以下の場合 同3%+69万円
    3億円を超える場合 同2%+369万円

    成功報酬の一般的な例(消費税別途)

    経済的な利益の額が
    300万円以下の場合 経済的利益の16%
    300万円超3000万円以下の場合 同10%+18万円
    3000万円超3億円以下の場合 同6%+138万円
    3億円を超える場合 同4%+738万円

離婚・男女トラブル

弁護士費用

  • 離婚問題の弁護士費用

    離婚問題の弁護士費用(消費税は別途申し受けます)

    内容 金額
    着手金 事件の着手にあたってお支払いいただく費用 200,000円~300,000円
    成功報酬 離婚、認知などの調停の目的を達成したとき 200,000円~400,000円
    調停の最終的な目的は達成できなかったが、関連する事項の一部を合意するなど、一定の結果が生じた場合(例:離婚自体は成立しなかったが、婚姻費用の分担や子どもとの面会交流について合意が成立した、など。 上記を上限としつつ、協議のうえ減額。
    裁判・着手金 調停から引き続き、裁判のご依頼をお受けした場合 100,000円~200,000円
    裁判・成功報酬 離婚、認知などの裁判の目的を達成したとき 300,000円~400,000円
    裁判の最終的な目的は達成できなかったが、関連する事項の一部を合意するなど、一定の結果が生じた場合(例:離婚自体は成立しなかったが、裁判上の和解で婚姻費用の分担や子どもとの面会交流について合意が成立した、など) 上記を上限としつつ、協議のうえ減額。
  • 男女トラブルの弁護士費用

    金銭トラブルについてのご依頼をいただいた場合

    民事裁判等のご依頼をお受けする場合の費用は、通常、受任時(着手金)と事件終了時(成功報酬)の2回に分けてお支払いいただきます。
    金額は、ご依頼事項の経済的利益の額に応じて、次のとおりになります。

    経済的利益の額 着手金 報酬金
    300万円以下 8% 16%
    300万円を超え、3000万円以下 5% +9万円 10% +18万円
    3000万円を超え、3億円以下 3% +69万円 6% +138万円
    3億円を超える 2% +369万円 4% +738万円
    • 経済的利益の額とは、裁判で金銭の支払いを求める場合はその金額、不動産の明渡しを求める場合は不動産の時価などを指します。
    • 例えば、500万円の貸金返還請求訴訟を起こす場合、上記の表に当てはめれば、着手金の金額は34万円(500万円×0.05 +9万円)、報酬金の金額は68万円(500万円×0.1 +18万円)となり、最終的にご負担いただく弁護士費用は102万円ということになります。
    • しかし、単に「500万円の貸金返還請求訴訟」といっても、その難易は事案によって様々です。しっかりした契約書があり、相手方に資金調達の目途があれば、容易かつ短期間に解決することもありますが、逆に、証拠が乏しいことを幸いに相手方が全面的に争ってくれば、事件は複雑化・長期化します。
    • このようなことから、上記の表はあくまでも目安で、事案の実態に沿った費用をご提示させていただきますので、まずはご相談ください。

    認知など、金銭トラブル以外のご依頼をいただいた場合

    通常、受任時(着手金)と事件終了時(成功報酬)の2回に分けてお支払いいただきます。任意での話し合いや調停(裁判所での話し合い)がまとまらず、訴訟を起こすことになった場合は、別途費用(追加の着手金)をお支払いいただくことになります。

    着手金 事件の着手にあたってお支払いいただく費用 200,000円~
    300,000円
    成功報酬 認知などの調停の目的を達成したとき 300,000円~
    400,000円
    裁判・着手金 調停から引き続き、裁判のご依頼をお受けした場合 100,000円~
    200,000円
    裁判・成功報酬 離婚、認知などの裁判の目的を達成したとき 300,000円~
    400,000円

男女トラブル

  • 婚約を破棄された

    婚約とは、将来婚姻することの約束のことです。身分法上の契約で、当事者に意思能力があれば有効に成立するとしており、結納その他慣行的儀式を伴う必要はありません。判例によれば、男女が誠心誠意をもって将来夫婦になることを約束すれば足りるとしています。約束であるが故に、一人の人間に対して複数の婚約が同時に成立している場合もあります。(社会通念上・公序良俗上、認められるかは別問題です。)婚約は口約束だけでも成立しますが、万が一トラブルが生じて、裁判等で婚約の成立を認めてもらう必要が生じた場合は、婚約の事実を立証しなければなりません。結納の授受・婚約指輪の交換・両親に婚約者として紹介する等の外形事実がなく、口約束しかない場合、婚約事実を立証することは非常に困難なものになります。婚約が成立した場合、当事者は婚姻を成立させる義務を負うことになります。しかし、婚姻自体は完全な自由意志によってなされるべきもので法的強制にはなじまないものですので、婚約が成立しているからといって、相手に対して入籍を強要することはできません。

    婚約を解消された場合

    前述したとおり、婚姻は完全な自由意志の基づいてなされるものです。よって、婚姻の意思がなくなってしまった以上、例え婚約していたとしても婚姻を強制することはできません。つまり、当事者の一方に婚姻意思がなくなってしまった以上、婚約の解消自体は自由となっています。しかしながら、一方の当事者からの婚約の解消が自由であるとしても、婚約によって、両当事者は婚姻を成立させる義務を負っていたはずです。なので婚約解消に理由がない場合には、婚約解消によって受けた損害について損害賠償請求が出来ることになります。婚約解消における損害賠償請求を考えていくにあたり重要な点は、どちらが婚約解消したかではなく、婚約解消自体に正当な理由があったかどうかということが争点になります。損害賠償できる範囲には、財産的損害と精神的損害があります。財産的損害については、結婚式場や新婚旅行等の申込金のキャンセルや準備した指輪、新居を借りるにあたっての権利金等が含まれます。精神的損害は、婚約解消の時期やそれまで付き合ってきた期間の問題等、違法性の程度が事案によって異なってきますので、一概に基準があるわけではありません。最終的には、裁判所の判断に委ねられることになります。また、結納金の授受があった場合には、相手方に対して結納金の返還を求めることも可能です。

  • 内縁を破棄された

    結婚間もない離婚といっても、法律上は2つに分けて考える必要があります。それは、婚姻届の提出がすんでいるかどうか、俗に言えば入籍前か後かの問題です。婚姻届を提出していないため、法律上の夫婦ではないが、双方が婚姻意思をもち夫婦として共同生活を営んでいる、事実上の夫婦関係を内縁といいます。法律上の結婚であれば、いかに期間が短くても、その別れには手続き・財産分与・慰謝料などの取り決めがありますが、事実上の結婚にとどまっていた場合は、言葉では「離婚」といっても、法律的には離婚ではなく「内縁の解消」になります。
    内縁の解消は、事実上の離婚手続きといってもいいのでしょうが、法律婚の解消とは違い、協議離婚・裁判上の離婚の場合のような一定の手続きがありません。内縁は、一緒に夫婦生活をしているという事実が2人の基礎ですから、別れる意思で別の生活に入ってしまうと、それが内縁の解消になります。双方の合意、協議で別れる事が穏当ですが、一方がどうしても合意しない場合、事実婚は、戸籍上は何も記載されていないので、事実の終わりが、すなわち離婚になります。あとは、内縁を不当に解消(破棄)した者に対する損害賠償の問題となります。このように事実上の離婚自体は自由ともいえますが、正当な理由もなく破棄した場合は、損害賠償・慰謝料を支払う義務があります。ここでいう正当な理由とは、離婚原因(民法770条1項)と同じくらいの事実と考えてよいでしょう。また、内縁解消が一方当事者の帰責事由(貞操義務,同居協力扶助義務,婚姻費用分担義務違反等)によって生じたときは、他方は生じた損害の賠償を請求できます。

  • 認知して欲しい

    子どもが生まれた場合、生んだ女性は認知され、「母」になれます。生んだ女性が結婚していれば、その夫である男性も、法律上「父」と認められます。しかし、結婚していない場合、父であるはずの男性は,法律上「父」とは認められません。その場合は養育費の請求も、また男性が死亡しても子どもは男性の財産を相続できません。そのために認知が必要になります。認知とは、非嫡出子についてその父又は母との間に、意思表示又は裁判により親子関係を発生させる制度をいいます。
    認知は、所定の用紙に必要事項を記載し,市町村役場に提出することで成立します。相手が認知に応じてくれない場合は、家庭裁判所に認知を求める調停を申し立て、それでも応じてくれない場合は、裁判を起こすこととなります。
    認知の方法には任意認知と強制認知とがあります。

    任意認知

    子の父又は母が自ら進んでする認知をいいます。原則として戸籍上の届出によって効力を生じます。父は退治を認知することができますが、母の承諾が必要になります。父又は母は、子に直系卑属がある場合には、その利益の為(相続権など)たとえ子が死亡した後でも認知することができます。

    強制認知

    子、その直系卑属又はこれらの法定代理人は、父又は母を相手方として、家庭裁判所に認知を求める訴えを提起することができます。しかしその前提として、調停を申し立てなければなりません。

  • 交際相手が結婚していた

    日本においては、民法723条で、一夫一妻制を建前としています。例えばあなたは女性で、交際相手と結婚したいと思っていますが、相手は既に結婚しています。彼は「妻とはすぐに離婚するつもりだから」といっています。この場合どういった法律問題が生じるでしょう?
    まず妻子ある男性との婚約は基本的には、公序良俗に反するので無効となります。そればかりか、彼と妻子との婚姻関係の破綻の原因が、彼とあなたの交際にあるとすると、あなたは妻から損害賠償請求されるおそれもあります。しかし、彼と妻との関係が既に破綻していて事実上の離婚状態にあるような場合は、離婚後に結婚するという約束は婚約として有効といえるでしょう。彼とあなたとの交際が離婚原因であるなら、問題はとても複雑になります。有責配偶者からの離婚請求ができるのかというのがまず一点目です。他の女性と結婚したいから離婚を求めるというのは、自分で不貞行為をしたにもかかわらず非常に身勝手な理由です。日本においては、有責配偶者からの裁判で離婚を認めてもらう場合にはいくつかの条件があります。

    別居期間

    離婚とは夫婦関係の破綻であることなので、その目安として別居期間が長いことをひとつの指針にしています。この別居期間の長さとは、結婚生活の長さとの比較で判断します。結婚期間が長い場合は、夫婦の絆も強いはずなので相当期間別居していることが必要です。

    子どもの年齢

    未成熟児がいると離婚は認められません。

    十分な金銭給付

    財産分与や慰謝料を出来るだけ多額に支払わなければなりません。支払う側の資力でその金額は変わります。
    上記の理由が揃っていたとしても、離婚が認められないことは多々あります。裁判による離婚ではなく、協議や調停による離婚のほうがあなたや交際相手にも負担がかからない方法といえるでしょう。

私は離婚できますか

  • 離婚の種類にはどのようなものがありますか

    離婚の種類には、

    • 協議離婚
    • 調停離婚
    • 審判離婚
    • 裁判離婚

    の4種類があります。
    このうち、審判離婚については、審判がなされても、当事者が審判の告知を受けた日から2週間以内に適法な異議申立をすれば、審判の効力は失われてしまうため(家事事件手続法286条)、ほとんど利用されていません。

  • 協議離婚とは

    協議離婚とは夫婦に「離婚したい」という共通の意思があって離婚届を役所に提出して成立する離婚をいいます。
    ただし未成年(満20歳未満)の子どもがいる場合は、離婚後の親権者を決めておかないと離婚届は受理押されません。

    • 協議離婚には裁判所は全く関与せず、夫婦間の話し合いで養育費や財産分与・慰謝料について取り決めをすることもできます。
    • 協議離婚はいつ・どこで・どういうかたちで話し合うか夫婦を含めて関係者の都合次第で決められるので離婚届の提出には費用はかかりません。
  • 調停離婚って何ですか

    調停離婚とは、離婚の話し合いがまとまらない、相手が話し合いそのものに応じてくれない、子どもの親権や財産・養育費などの話し合いがつかない等の場合に家庭裁判所に夫婦関係調整の申し立てをしてする離婚のことをいいます。

    • 調停には、裁判のような強制力はないため裁判所として離婚が適切だと判断する場合でも最終的に夫婦間の合意がなければ離婚は成立しません。
    • 夫婦間で離婚の意思は合致しているけれど、その他の問題が解決されていないため協議離婚ができないような場合でも、調停を申し立てることができます。
    • 調停を申し立てるための理由については、特に制約はありません。
    • 調停を重ねて話がまとまり合意に達すると裁判所が調停調書を作成し調停離婚が成立します。
    • 原則として成立から10日以内に離婚届を提出しなければなりません。
    • 調停では、家事審判官や調停委員の前で離婚の経緯を説明しなければなりませんが、家事審判官や調停委員には担当した事件についての秘密保持義務があるので、個人情報が外部にもれることはありません。
    • 調停離婚の手続きは、同居している場合は住所地の家庭裁判所に、別居している場合は相手の住所地の家庭裁判所に調停申立書を出します。また夫婦の戸籍謄本一通が必要になります。
  • 裁判離婚って何ですか

    裁判離婚とは、家庭裁判所での離婚調停を経ても解決がつかず、夫婦どちらか一方が家庭裁判所に対して「離婚の訴え」を提起し裁判所の判決によって行う離婚をいいます。
    このように裁判離婚において、裁判所が判決によって離婚を言い渡すことになるので、協議離婚・調停離婚等の他の手続きと異なり,当事者間の合意が不要となります。

    • 裁判離婚をする場合は、家庭裁判所に訴状を提出して、訴えを提起する必要があります。
    • 裁判離婚では、離婚の請求と同時に慰謝料や財産分与・養育費・年金分割の請求もできます。また、未成年の子どもがいる場合は裁判によって親権も決めます。
    • 裁判離婚は原則として公開で行われます。ただし私生活上の重大な秘密にかかわることについて尋問を受ける場合やその人が公開の法廷で陳述することによって社会的に著しい支障をきたす場合は、裁判所の判断でその事項については公開しないことができます。
  • 法律上の離婚原因とは

    裁判離婚では下記に述べられている民法で定められる5つの離婚原因のいずれかに当てはまることが証明されないと離婚は認められません。

    1. 配偶者に不貞行為があったとき
    2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    3. 配偶者の音信がとだえて生死が3年以上明らかでないとき
    4. 配偶者が強の精神病にかかり回復の見込みがなく、夫婦としての関係を継続しがたい場合
    5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき(性格の不一致・配偶者かたの暴力・配偶者の親族との不仲・ギャンブルや浪費癖・多額の借金・宗教活動にのめり込む・性交渉拒否や性の不一致)又は①~④に当てはまらないものの、愛情も冷め夫婦生活が事実上破綻している場合

    夫婦のどちらかが「離婚したい」と思っていても、相手方が「離婚したくない」という場合は、最終的には離婚訴訟の中で裁判所が離婚を認めるか、認めないかの判断をすることになります。その場合、上記に挙げた①~⑤の法律上の離婚原因のどれかに当てはまるのかどうかが検討され、当てはまれば離婚が認められ、どれにも当てはまらなければ「法律の離婚原因はない」ということになり離婚は認められません。

  • 自分が浮気をしましたが離婚できますか

    法の原則として「クリーン・ハンズ」があるため、浮気など夫婦関係が破綻する原因を作った妻あるいは夫を「有責配偶者」といいます。従来、裁判所は有責配偶者から離婚を求めることはできないという立場をとってきました。

    有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められませんが、例外的に認められる場合もあります。例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、下記の3つの条件を満たす必要があります。

    • 別居期間が相当長期に及んでいる場合。(明確な期間の基準は無い)
    • 未成熟(満20歳未満の子など)の子どもがいない場合。
    • 離婚しても相手が精神的・経済的にきわめて過酷な状態におかれる恐れが無い場合。

    長年にわたって別居生活が続き、夫婦としての実態が無く、婚姻関係が破綻していて修復が無理とみなされるのであれば、有責配偶者からの離婚も認めようという考え方に変わってきています。

    昭和62年9月2日、最高裁の大法廷は、有責配偶者からの離婚請求であっても認めうる、という判例を生み出しました。これは判例変更であり、画期的判決となりました。その後の判例においては、「別居が相当の長期期間にあたる」と認定される別居期間も、少しずつ短くなってきています。

  • セックスレスが理由で離婚できますか

    「法律上の離婚原因」のところでも説明しましたが、もう一度説明いたします。裁判離婚では下記に述べられている民法で定められる5つの離婚原因のいずれかに当てはまることが証明されないと離婚は認められません。

    1. 配偶者に不貞行為があったとき
    2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
    3. 配偶者の音信がとだえて生死が3年以上明らかでないとき
    4. 配偶者が強の精神病にかかり回復の見込みがなく、夫婦としての関係を継続しがたい場合
    5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき又は①~④に当てはまらないものの、愛情も冷め夫婦生活が事実上破綻している場合

    夫婦のどちらかが「離婚したい」と思っていても、相手方が「離婚したくない」という場合は、最終的には離婚訴訟の中で裁判所が離婚を認めるか、認めないかの判断をすることになります。その場合、上記に挙げた①~⑤の法律上の離婚原因のどれかに当てはまるのかどうかが検討され、当てはまれば離婚が認められ、どれにも当てはまらなければ「法律の離婚原因はない」ということになり離婚は認められません。

    「セックスレス」は、⑤「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」という要件に当てはまるかどうか、ということを考えていくことになります。

    法律に明文化されているわけではありませんが、夫婦には貞操義務があるとともに、夫婦間のセックスも義務とみなされています。だからといって、セックスレスでも夫婦間に愛情や信頼関係があり、互いに納得の上であれば問題はありません。
    一方が理由もなく長期間にわたって性交渉を拒否しそれが原因で夫婦関係が破綻した場合は「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」の1つとして離婚が認められます。
    また、性的不能の場合はそれが発生した時期や原因などが考慮されます。性的不能を隠していて結婚した場合は離婚が認められます。
    セックスの拒否のほか、性の不一致も離婚の理由になることがあります。配偶者の性的嗜好が異常であったり、不本意な性交渉を強要され続けたりした場合などで婚姻を継続し難いときは離婚が認められることもあります。しかしそれを証明することが困難なのも事実です。

  • 別居していれば離婚できますか

    配偶者との同居が耐えられなくなり、別居を開始し離婚の要求をしたが、相手が全く離婚をする意思もなく、離婚事由もないため裁判離婚ができずに時間だけが経過しているというケースも多くあります。
    そのような場合でも、別居期間が長期間に及ぶと、婚姻共同生活を回復する見込みがないものとみなされ、離婚が認められる場合があります。

    別居の期間については、「夫婦が5年以上継続して共同生活をしていないこと」として挙げられています。これは破綻主義の立場から、夫婦の共同生活の不存在を結婚破綻の客観的かつ典型的なしるしとみて、それが5年以上継続した場合には、裁判上の離婚原因として認めるものです。
    ただし、同居期間の長さ・別居に至った理由や子どもの有無(未成年の子どもがいるような場合)・経済的事情・別居後の状況・離婚請求する側の有責性の有無などさまざまな事情が考慮されて、2・3年程度のより短い期間でも性格の不一致のように、夫婦とも別居に至るにあたっての責任が同等な場合には離婚が認められることもあれば、8・9年程度のようなより長い期間別居していてもその間生活費を送金していなかった場合には離婚が認められないこともあります。

  • DVを理由に離婚できますか

    近年、妻からの離婚調停申し立ての動機の中で、「配偶者からの暴力」は「精神的な虐待」を加えると最も多い数字であり、配偶者から繰り返し行われる暴力は離婚の原因の代表的なものです。
    以前は夫婦間での暴力行為は「夫婦喧嘩」「家庭内のこと」として軽視されてきましたが、現在では「暴力はどんな形であれ、相手の尊厳を傷つけ、重大な人権侵害にあたる」として、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(DV防止法)」により、決して許されない行為であることが明示されています。
    これは法律で定められている離婚事由の「婚姻を継続しがたい重大な事由」にもあたりドメスティックバイオレンス(DV)を理由に離婚することは可能です。
    DVには、身体的な暴力だけではなく、言葉による侮辱や罵詈雑言を浴びせる精神的な暴力、生活費を渡さない、働くのを禁止する、支出を細かく監視する、おどしや暴力による性交渉の強要などの性的暴力なども含まれます。

    弁護士はもちろん、警察や行政(各地にある「配偶者暴力相談支援センター」)で,随時相談を受け付けています。保護命令などの手続に必要となるので、警察ではDV相談であることを明らかにし、相談記録を作成してもらいましょう。

    また、夫の暴力を防止するため裁判所に対してDV防止法に基づく保護命令を申し立てることがきでます。
    保護命令には、接近禁止命令(6か月間、住居や職場に接近したり付近を徘徊することを禁止)、退去命令(2か月間住居から退去させ・接近を禁止),電話等禁止命令(面会の要求・電話・ファックス・メールの禁止)などがあります。
    申立人の妻だけではなく、一緒に避難している子どもがいる場合に,子どもへの接近も禁止できます。
    夫がこの保護命令に違反した場合は、犯罪(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)として処罰されます。

  • 離婚するときに決めること
    • 離婚後の戸籍・姓について
    • 財産分与について
    • 未成年の子どもがいる場合の親権・監護権について
    • 子どもの養育費について
    • 子どもの面会交流について
    • 慰謝料について
    • 年金分割について

     

    上記に述べたのが離婚するときに決めることです。

    夫が筆頭者である戸籍に入っていた場合、離婚すると夫の戸籍から除籍されるため、子どもがいないのであれば、妻は離婚後に新しい戸籍を作るか、結婚前の親の戸籍に入るか選ぶことができます。
    夫婦が婚姻中に築いた財産は、預貯金や現金・土地など夫婦どちらの名義になっていても関係なく共有財産となるので分け合うことができます。ただし婚姻中に負った借金などのマイナス財産も財産分与の対象になりますので注意が必要です。
    子どもがいる場合は親権者を決めなくてはなりません。また子どもと共に生活をし、子どもの教育・身の回りの世話をするのが監護権になります。親権者と監護者が一緒とは限りません。幼児の場合は、子ども自身での判断ができないので、調停では子どもが心身とも健康に育つに相応しい環境を考慮して判断します。
    養育費の算定になる基準は、父母双方の経済力・子どもの年齢・人数などにより金額を決めます。

  • 離婚の手続きは弁護士に頼んだ方が良いのですか

    離婚の際、必ず弁護士に依頼する必要があるわけではありませんが、弁護士に依頼したほうがスムーズに解決する場合もあります。
    財産の分与や子どもの親権・養育費の問題、相手が離婚に応じないなど、当事者同士での話し合いがつかない場合や、自分が希望していることが法的に認められるかどうか知りたい場合には、弁護士に法律相談して、解決方法や裁判手続とその流れ、裁判にかかる費用等について、アドバイスを受けた方がよいでしょう。
    また、離婚訴訟(裁判)に進んだ場合、本人訴訟といって自分で訴状を書き、手続きを進めることもできますが、勝訴を勝ち取るためには専門的な知識や法廷闘争のテクニックも必要になりますので、訴状の段階から弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
    気になるのは料金についてですが、弁護士の費用はそれぞれの弁護士により、自由に決められるようになっています。弁護士に依頼する場合は、その弁護士事務所の規定についての説明を受けて、見積もりを出してもらいましょう。

離婚とお金

  • 婚慰謝料はどのくらいとれますか

    離婚というと「慰謝料」がつきもの、と思っている人は多いようですが、慰謝料はそのようなケースの離婚でも請求できるものではありません。
    離婚の慰謝料は、相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する「損害賠償金」のことをいいます。つまり、相手の暴力や不貞といった不法行為によって結婚生活が破綻し、離婚せざる得なくなった場合、それによる精神的苦痛に対して相手が請求できます。
    例えば離婚の理由が「性格が合わない」とか責任がどちらにあるともいえないといった場合には、慰謝料は請求できません。
    慰謝料の金額や支払い方法に決まりはありません。金額は精神的苦痛の度合いや相手の資産、収入などに応じて、夫婦で話し合って決めます。離婚後にも請求できますが、慰謝料には時効があり、請求できるのは離婚成立後3年以内です。
    慰謝料の金額に基準や目安はないので、離婚の原因や相手から受けた精神的苦痛はなど下記の要素を考慮して決定します。

    • 相手の違法行為の内容と責任度合い
    • 相手の違法行為で受けた精神的苦痛の程度
    • 婚姻期間
    • 子どもの有無
    • 当事者の年齢
    • 当事者の社会的な地位や経済状況(収入・資産)

    協議離婚では相手への請求額は自由に決められますが、高額な慰謝料を請求しても相手にそれだけの経済力がなければ支払ってもらえません。どのくらいの額が妥当なのか、弁護士に相談したほうがよいでしょう。
    離婚調停では調停委員のアドバイスのもとに双方の合意で金額などを決めます。協議や調停によって離婚の話し合いがつかず裁判に進んだ場合は、裁判官の判断によって金額が決定されます。その場合はケースバイケースですが、一般的には、100万円~300万円が多いようです。
    離婚の約90%を占める協議離婚については慰謝料がどれくらい支払われているかデータはありません。

  • 不貞行為の慰謝料はどのくらいですか

    日本では協議離婚が全体の離婚件数の約90%を占めており、その協議離婚において慰謝料や財産分与がどのように取り決められたか、あるいは全く取り決められなかったかは、プライバシーに関することなので詳しい金額はわかりません。
    厚生労働省の調査では、協議離婚・調停離婚・裁判離婚を全てひっくるめていますが、慰謝料・財産分与の支払い金額の平均は380万円前後となっています。(ただし財産分与も含めての金額)
    慰謝料額の算定方法としては、不貞行為の期間や頻度・婚姻期間子の有無や不貞行為当事者の有責性の程度、夫婦が離婚に至ったか否かなどの客観的資料を考慮して、事案に応じて個別具体的に判断して決定することになります。

  • 証拠がなくても慰謝料は請求できますか

    慰謝料を請求する場合、原則的には話し合いから始まります。そのため不貞やDVの明確な証拠がなくても相手方の配偶者が不貞やDVに関して自白をすれば慰謝料を受け取ることはできます。しかし相手方も素直に自白するとは考えにくいので現実的に慰謝料を受け取ることは難しいかもしれません。
    相手方が行為に対して否定した場合、訴訟などでは証拠によって証明しなければその事実が存在したことにはなりません。いくら事実を突き付けても、それを裏付ける証拠がなければ、裁判のうえではそのような事実はなかったものとして扱われてしまうのです。そのため、弁護士に依頼して慰謝料を請求する場合は、相手方が事実を否認することを想定して証拠を固める必要があります。

    そもそも不貞やDVの証拠とは、メールのやり取りや通話履歴では不十分です。メールの内容や通話履歴では、相手方に「これは遊びでした」などと言われては反論が難しいからです。そのため確実な証拠をつかむ必要があります。確実な証拠と認められているのは、性行為をしたときの写真や動画・ホテルなどに出入りする写真・DVを受けたときの診断書・肉体的・精神的な暴力を受けた日時や場所など具体的な様子のメモなどがあたります。
    ただし弁護士に依頼してその他の証拠と合わせてメールや通話履歴を突き出せば相手方の不貞行為などを立証することができますので確実な証拠がなくても慰謝料を受け取ることができます。

  • 離婚が既に成立していたら慰謝料は請求できませんか

    離婚が既に成立していても、慰謝料の請求は可能です。
    ただし、慰謝料請求は、3年で時効にかかってしまう(不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する、という民法724条の規定に基づきます)。ので、離婚が成立してから3年を経過してしまうと、原則として慰謝料を請求できません。

    もし、時効完成間際であれば、時効の中断の手続などを採る必要があるので、是非お早めに弁護士にご相談下さい。

  • 離婚するまでの生活費はどうすればよいですか

    夫婦間には、夫婦の生活費と子どもの養育費(婚姻費用)を分担する義務があります。収入がない・あるいは収入が配偶者よりも少ないのに生活費を渡してくれない場合は婚姻費用を請求できます。また、婚姻費用は、たとえ別居していたとしても支払わなければならないので、支払ってくれない場合には相手に請求することができるのです。
    通常の場合は、離婚するための調停や訴訟の申立と同時に、この婚姻費用の分担調停を申し立てることが多いです。また、離婚するか決めかねている場合も調停を申し立てることができます。

    離婚調停を申し立てると、相手方が生活費の送金などを止めてくる場合があります。離婚が決まれば養育費や児童扶養手当などの公的な援助を受けられますが、離婚調停がなかなか進まなければ、その間の生活費がなくなってしまう場合があります。そのような事態を防ぐために、離婚調停の申し立てと同時に婚姻費用分担調停の申し立てを行います。
    調停では、夫婦双方の資産や収支などの事情・源泉徴収票などの資料を提出し、家裁の算定表に基づいた助言を受けながら合意点を探します。調停でも話し合いがまとまらず、調停が不成立に終わると自動的に審判に移行し、裁判所が婚姻費用の金額を決定します。裁判所の調停や審判には時間がかかるので、お金がなく生活できないときは、審判の申し立てと同時に「審判前の保全処分」を申し立てましょう。裁判所の判断により、生活費の支払いを命じてもらえます。
    このような手続きととれば、仮に離婚調停がまとまらなくても婚姻費用だけは支払ってもらうことができるのです。申し立てをせずに離婚調停の中でも婚姻費用を請求していくこともできますが、相手方が拒んだ場合、強制力をもって婚姻費用を支払ってもらえるのでメリットが大きいです。

  • 生活費(婚姻費用)はどのように決まりますか

    婚姻費用の程度(金額)ついては、当事者間で自由に話し合い決めることができますが、一般的には家庭裁判所に対して婚姻費用分担を求める調停を申し立てて請求することになります。

    家庭裁判所でも、話し合いで金額を決めるという前提になっていますが、ほとんどの場合は、家庭裁判所のホームページに掲載されている「婚姻費用算定表」を活用して話し合いを進め、婚姻費用の金額を決定しています。
    子どもの人数や夫婦双方の収入によって,月々負担すべき金額の概算が表になっています。
    この表でみると、例えば

    夫の収入800万円 妻の収入0円 5歳の子がいる場合
    妻は夫に、10~12万円を請求できる
    夫の収入500万円 妻の収入200万円 15歳の子と13歳の子がいる場合
    妻は夫に、8~10万円を請求できる

    ということになります。

  • 財産分与って何ですか

    財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して得た財産(共有財産)を分け合うことをいいます。また、夫婦のどちらの所有か明確でない場合も共有財産とみなされます。他方、婚姻前から所有している財産や、婚姻中に相続や贈与により取得した財産などは、夫婦の一方が単独で所有する財産(特有財産)とされます。特有財産は財産分与には含まれません。

    慰謝料を請求しない場合でも、夫婦で築いてきた財産があれば、離婚の原因に関係なく財産分与の請求ができます。どの財産をどのように分けるかについてや金額などは話し合いで決定しますが、財産分与は離婚するときに抱える問題の中でも揉めることが多く解決までに時間がかかることも多いです。
    妻が専業主婦で夫の収入だけで生活し、預貯金・不動産などの名義が夫であっても、財産を築き維持できたのは妻の協力があったからとみなされ、実質的には財産は夫婦共有のものと考えられます。

    財産分与には主となる「清算的財産分与」と「扶養的財産分与」の2つの要素があります。

    清算的財産

    共有財産をそれぞれの貢献度によって分け合うこと。

    扶養的財産

    離婚後、生活が不安定になる側にもう一方が生活費の援助をする財産分与のこと。(請求する側の生活状況を考慮して慰謝料とは別に加算される場合がある)

  • 専業主婦ですが、財産分与はどうなりますか

    以前は「夫が給与収入を得て、妻が専業主婦」という夫婦が非常に多く、財産の形成は夫がメインで妻の貢献度は低いと考えられていました。そのため妻の財産分与割合は20%程度とされてきました。
    しかし近年では、男女平等の思考が高まり、妻の貢献度が見直されて、現在では財産分与割合は、原則として2分の1と考えられています。
    これは、財産を築き維持できたのは妻の協力(家事労働・内助の功)があると考えられてきているからです。

    [広島高等裁判所平成18年(ネ)第564号離婚等請求控訴事件平成19年4月17日(抜粋)]
    夫婦が婚姻期間中に取得した財産は、夫婦の一方の所得活動のみによるものではなく、他方の家計管理や家事・育児等を含む夫婦共同生活のための活動の成果として得られたものというべきであるから、妻が専業主婦の場合の財産分与の判断においても、家事従事による寄与を正当に評価する必要がある。
    本件においては、一審原告は、婚姻後、一審被告Bとの同居期間中、仕事に就いたことはないが、専業主婦として家事や育児に従事し、夫婦の共同生活の維持や一審被告Bの所得活動による財産形成に寄与してきたことが認められる。これらの事情のほか、扶養的要素も考慮すれば、財産分与割合は2分の1とするのが相当である。

  • 親から相続した不動産は財産分与の対象ですか

    財産分与の対象となる財産は「結婚中に夫婦の協力によってえた財産」となっています。したがって親から相続した不動産は、夫婦共有の財産とは言えず原則として財産分与の対象ではありません。
    しかし、固有の財産も相手の特段の協力があって維持できたということもありますから、あまり形式的に考えると妥当性を欠く場合もあります。
    たとえば、夫が親から引き継いだ店を夫婦で切り盛りして維持してきた場合などは「特有財産の減少防止に協力した点において、その財産につき、一種の持分的権利を有する」などと判示した裁判例もあります。

  • 会社を経営していますが財産分与は半分ですか

    例えば、個人事業主のような会社の場合、従業員が社長とパートのみという会社が多く、家族で経営し会社名義で自動車や備品を買ったりしているところも多々あります。そういった場合、裁判所の見解では「法人はあくまでも個人とは法的に別個の存在」であり、財産分与とはあくまでも夫婦個人の財産を分けるものであるから、原則として法人の財産は財産分与の対象にはならないとしています。
    しかし言い切ってしまうと、そのような会社の場合、何でも法人名義で買っておけば離婚しても分けることなく所持できるという不平等が生じてしまいます。そこでこのような不平等が起こらないように、裁判所は妻と夫だけのような会社であるような場合はその法人の財産も財産分与の対象として夫婦で平等に分けるという考え方になっています。

    [東京地方裁判所平成13年(タ)第304号、平成13年(タ)第668号離婚請求事件、離婚請求等反訴事件平成15年9月26日(抜粋)]
    (2)そこで、問題は、被告が上記共有財産の形成や上記特有財産の維持に寄与したか、寄与したとして、その程度が問題となる。
    ア 前記認定のとおり、被告は、A1社、I1社を初めとする多くの会社の代表者であって、社団法人、財団法人等の多くの理事等を占める、成功した経営者、財界人である原告の、公私に渡る交際を昭和58年頃から平成9年頃までの約15年に亘り妻として支え、また、精神的に原告を支えたことからすると、間接的には、共有財産の形成や特有財産の維持に寄与したことは否定できない。
    なお、この点に関し、原告は、被告が原告の交際を助けた点については、直接利益に繋がるものではなく、経営者、財界人としての社会的責務を果たしたボランティア的なものに過ぎず、原告の財産形成に対しての寄与はまったくなく、むしろ経済的には損失である旨主張する。
    しかし、その社会的責務は、成功者である経営者、財界人としての原告の地位に当然伴うものであること、それを果たさないことは、成功者である経営者、財界人としての原告の地位を脆弱とする危険性も否定できないこと、原告が、被告が社会的責務を果たすことを要請し、具体的な指示もしていることからすると、その社会的責務を共に果たした被告は、間接的には、原告の財産維持、形成に寄与していると解される。
    イ しかし、他方、前記認定のとおり共有財産の原資はほとんどが原告の特有財産であったこと、その運用、管理に携わったのも原告であること、被告が、具体的に、共有財産の取得に寄与したり、A1社の経営に直接的、具体的に寄与し、特有財産の維持に協力した場面を認めるに足りる証拠はないことからすると、被告が原告の共有財産の形成や特有財産の維持に寄与した割合は必ずしも高いと言い難い。
    ウ そうすると、原被告の婚姻が破綻したのは、主として原告の責任によるものであること、被告の経歴からして、職業に携わることは期待できず、今後の扶養的な要素も加味すべきことを考慮にいれると、財産分与額は、共有物財産の価格合計約220億円の5%である10億円を相当と認める。

  • 私は医者ですが財産分与は半分ですか

    夫婦共働きの場合、または妻が専業主婦の場合であっても財産分与は2分の1というのが原則になっています。
    しかし、夫婦どちらかが医者などの資格業であり収入が高く、財産分与割合が2分の1にならない場合もあります。裁判例においても、個人の特殊な能力や努力によって高額な財産を得た場合、財産分与の2分の1ルールを適用しなかった事例もあります。このように財産分与の割合が2分の1でなくなる場合は、あくまでも個別的に妻の貢献度が低い場合のみです。
    しかし、資格を取る段階で既に結婚していて、妻が「経済的・精神的にサポートをしていた」という場合、貢献度は高いと言えます。妻のサポートが充実していた場合は、資格自体を財産として、むしろ財産分与が高額化する場合もあります。

    [福岡高等裁判所昭和42年(ネ)第288号、昭和42年(ネ)第289号離婚等請求控訴事件昭和44年12月24日(抜粋)]
    財産分与の額であるが、前示の一審原、被告の婚姻継続期間、本件離婚に至った経緯、一審原告の年令、双方の財産状態、婚姻中における一審原告の医業への協力の程度、子の扶養関係(この点は後記第四、に認定のとおり)等諸般の事情を考慮して、金二、〇〇〇万円が相当であると認める。
    この点に関し、一審原告は、財産分与の額は夫である一審被告の財産の二分の一を原則とすべきであると主張する。なるほど、財産分与の本質は夫婦間における実質的共有財産の清算を中核的要素とするものと考えられるから、例えば、夫の財産が全部夫婦の協力により取得されたものでしかも双方の協力の程度に甲乙がないような場合であれば、財産分与の額を定めるにあたり夫の財産の二分の一を基準とすることも確かに妥当であろうが、本件においては、一審被告が前示の如き多額の資産を有するに至ったのは、一審原告の協力もさることながら、一審被告の医師ないし病院経営者としての手腕、能力に負うところが大きいものと認められるうえ、一審原告の別居後に取得された財産もかなりの額にのぼっているのであるから、これらの点を考慮すると財産分与の額の決定につき一審被告の財産の二分の一を基準とすることは妥当性を欠くものといわざるを得ず、一審原告の主張は採用できない。

  • 住宅ローンはどうなりますか

    借金・ローンについて

    配偶者の独身時代からの借金は、借りた本人に支払い義務があります。婚姻期間中に一方がした借金は、本人にだけ支払い義務があるものと、夫婦に支払い義務があるものとがあります。結婚してからの借金でも、自分の趣味やギャンブルなどに使うための借金であれば借りた本人に支払い義務があります。しかし明らかに生活費の為にした借金(日常家事債務)であれば、財産分与のときに分け合わなければいけないので、夫婦双方に支払い義務が生じます。ただし連帯保証人になっていなければ、第3者からの返済請求を受けることはありません。ここでいう日常家事債務とは、衣食住の費用・光熱費・家具・医療費・保険費用・子どもの教育費などをいいます。

    ローン返済中の不動産の財産分与

    婚姻中に取得した居住用不動産は、原則的には不動産の現在の時価から残ローンを差し引いた余剰価値が財産分与の対象となるという考え方をします。

    1つ目は、不動産の価値(今、売却したらいくらの値がつくか)が、ローン残額を上回っている場合です。

    現在の時価が4000万円であり、ローンの残高は2000万円という場合、財産分与の対象は、時価からローン残額を差し引いた2000万円で、もしその半分を財産分与すると考えると、1000万円ということになります。
    分与の方法としては、売却して余剰金を半分ずつ分けるという方法でも良いですし、一方が不動産を全部取得してローン残額を負担し、さらに現金1000万円を他方に支払う、という方法でも良いことになります。
    自宅を売却する場合と異なるのは、自宅を売却した場合には実際に手元に入る現金を分ければいいのに対し、自宅を維持する場合は、他からお金を用意しなければならないという点です。不動産を維持するほうに全く他にお金がない、という場合にはその金額を受け取ることが難しくなるので、分割払いをして公正証書を作成するなど、お金を確保する方法を考えなければなりません。
    またこの場合、住宅ローンも残り続けることになりますが、不動産を維持するほうがローンを滞納して自宅が競売にかけられたとしても、売り値の方がローンより高くなるので、もう一方に支払いの請求が来る可能性は低いといえます。
    この2点が、自宅の価値がローン残額よりも高い場合の処理方法です。

    2つ目は、反対にローン残額が不動産の価値を超えており、いわゆるオーバーローン(不動産を売却してもローンが残ってしまう状態)の場合です。

    現在の時価が1500万円でローン残高が2000万円だったらどうするか。原則として、財産分与の対象となる資産はないということになります。東京高裁の決定では、離婚に至るときまでにローンを支払い続けていたとしても、その結果として不動産に余剰価値が残っていないのだから、過去に支払ったローンを財産分与の対象として考えることはできないとしています。
    上記で述べたように借金については、財産分与の対象とならず各自がそのまま責任を負うということになります。よってローンを組んだ名義人や保証人は、そのまま責任を負うということです。この場合、離婚したから半分にしてほしいとか、保証人から外してほしいということも原則的にはできません。離婚後はどちらが支払っていくかを協議したり、支払えないため破産などの方法で解決するかを検討することになります。
    不動産を維持する場合も、不動産は価値がないことになりますので、財産分与の対象とはなりません。そのため、夫婦間での金銭のやり取りはなく、ローンや保証人もそのまま、ということになります。
    この場合、不動産を維持する側は自分が住む住宅のローンを払うのに対し、もう一方にはメリットがないまま、ローンの支払義務が残るというのは不公平な感じがします。そこでこの場合、保証人から抜ける方法をとるのが通常です。

  • 年金分割って何ですか

    離婚の際の年金分割制度は、厚生年金や共済年金を対象にした制度です。婚姻中に夫婦の一方が納付した保険料の一定割合を、分割を受ける者が納付したものとして記録を付け替えて、分割を受けた者に受給開始の契機となる事態が生じた場合には、分割を受けた保険料を考慮した年金を受給する権利が,割を受けた者自身に発生するという制度です。自営業などで夫婦ともに国民年金に加入している場合は対象になりません。
    また、自分自身の厚生年金の加入期間や国民年金の保険料納付期間により受給資格を満たしていないと年金は受け取れません。
    被保険者の種類によって、年金分割制度においてどのように扱われるかが異なる場合があります。

    第1号被保険者

    20歳以上60歳未満の人であって、厚生年金又は共済年金に加入しておらず、且つ厚生年金または共済年金の加入者に扶養されていない人のことをいいます

    第2号被保険者

    厚生年金保険の被保険者、国家公務員共済組合・地方公務員共済組合の組合員、および日本私立学校振興・共済事業団年金の加入者のことをいいます。

    第3号被保険者

    第2号被保険者の被扶養配偶者であって、20歳以上60歳未満の人のことをいいます。

    年金分割制度には「合意分割制度」と「3号分割制度」があります。

    合意分割制度

    2007年4月1日以降に離婚した夫婦が、結婚していた期間の厚生年金の標準報酬部分を最大2分の1まで分割できる制度です。分割の割合は夫婦の話し合いで決めますが、話がまとまらない場合は家庭裁判所の調停や審判で決めます。割合についての合意ができたら年金事務所に「年金分割」の請求を求める必要があります。

    3号分割制度

    3号とは専業主婦のことをいいます。2008年の4月から離婚するまで、第3号被保険者であった期間の夫の厚生年金の標準報酬額の2分の1を、話し合いや調停などによらずに受け取ることができます。ただし自動的に分割されるわけではないので、離婚後2年以内に、第3号被保険者であった本人が、年金事務所に分割の請求をする必要があります。

  • 養育費について

    離婚して夫婦は他人になっても、親子関係が途切れることはありません。親には未成年の子どもを養育する義務があり、子どもには扶養を受ける権利があります。離れて暮らすことになった親にも養育費で扶養の義務を果たす必要があります。
    養育費には、子どもの衣食住などの生活費・教育費・医療費・娯楽費などが含まれます。離婚後、父母はその経済力に応じて養育費を負担し、通常は子どもを引き取って育てる親に引き取らない親が支払います。
    養育費を何歳まで支払うかは、父母の話し合いによって決定します。家庭裁判所の調停や審判では満20歳までが一般的ですが、高校や大学卒業とすることもあります。また、養育費の金額に法的な規定はありません。父母の収入や財産、生活レベルに応じて話し合います。金額は生活に必要な最低限度の額ではなく、親と同レベルの生活をさせる義務があると考えられています。一般的には子ども1人につき月額2万円~4万円が多いです。支払いは毎月振り込むのが一般的ですが、相手に長期にわたって支払う経済力がない、信用がおけないと思われる場合は、相手が承諾すれば一時金として離婚の際にまとまった支払いを受ける方法もあります。養育費は子どもからも請求することができます。

    養育費の算定には、東京・大阪の裁判官が共同研究所の結果、作成した「養育費算定表」が参考資料として広く活用されています。(東京家庭裁判所のホームページ参照)養育費算定表は、子どもの人数と年齢により9つの表に分かれていて、子どもを引き取る親と養育費を払う親の収入により、標準的な養育費の額を割り出せるようになっています。しかしこの金額は、あくまでも目安であり、最終的には当事者間の話し合いにより金額を決定します。話し合いがつかない場合、家庭裁判所に調停を申し立てします。

    この表でみると、 例えば、

    元夫の収入800万円、妻の収入100万円、12歳の子を妻が引き取った場合
    元妻は元夫に、10~12万円を請求できる
    元夫の収入500万円、元妻の収入300万円、18歳の子と12歳の子を妻が引き取った場合
    元妻は元夫に、8~10万円を請求できる

    ということになります。

    金額と共に支払い期間と方法も決めます。不払いなどのトラブルも少なくないので養育費についての話し合いがついたら、必ず文書にしておきましょう。文書には、支払いの期間・金額・支払い方法などを具体的に明記します。文書はできるだけ強制執行力のある公正証書にします。もし支払いが滞った場合に裁判をおこさなくても、相手方の給料や財産を差し押さえるなどの強制執行ができます。

  • DVを受けていた場合の慰謝料はどのくらいですか

    DVによる離婚の場合、DVによる身体的な暴力に限らず言葉による精神的な暴力に対する慰謝料と、離婚自体による精神的苦痛に対する慰謝料とを請求することができます。

    DVを受けていた場合、その行為の回数・行為の期間・暴力を受けた側に特に落ち度がないのに行為が開始されたかどうか・DV によるケガや障害の後遺症の程度など様々な事情を考慮してケースバイケースで慰謝料の額を算定します。その額は50万円~300万円程度といわれています。

    また暴力をふるわれてケガをした時の診断書や肉体的・精神的な暴力を受けた日時や場所など具体的な様子のメモがあるとDVを証明する重要な証拠となります。 弁護士が介入し慰謝料を請求する場合、協議離婚申入書の中に慰謝料請求の記載を併せて行い、内容証明郵便で送付することが多いですが、その請求に応じなければ離婚調停を申し立て、その中で財産分与や養育費・親権問題・慰謝料の支払いを求めていくことになります。

離婚と子ども

  • 親権、監護権とは何ですか

    親権とは、未成年の子どもを養育・監護し、その財産を管理する権利・義務のことをいいます。監護権とは、未成年の子どもを養育・監護する権利・義務のことをいいます。親権には、「身上監護権」と「財産管理権」の2つがあります。

    身上監護権

    子どもの衣食住の世話をし、教育やしつけをする義務のことをいいます。

    財産管理権

    財産を管理する能力のない未成年にかわって法的に管理し、契約などの代理人になる権利と義務のことをいいます。

    また親権には、

    • 子どもの住む場所を指定する
    • 親は必要な範囲内で子どもが悪いことをしたときに戒めたり罰を与えたりする
    • 子どもが仕事をするときには、判断し許可を与える

    といった内容も含まれています。

    通常は子どもを引き取った親が親権者となり、日常的な世話・教育をし、監護者ともなります。最近では例外的に親権から身上監護権の子どもの世話や教育の部分の権利と義務を分けて、親権者と監護権者に分けることで解決をはかることもあります。子どもを引き取らない親が親権者となり、引き取った親は監護権者として子どもの世話や教育・しつけを行う形です。しかしこのように、親権者と監護権者を分離してしまうと、トラブルの元になり、子どもに悪影響を及ぼすことが懸念されるため、家庭裁判所が親権者と監護権者の分離を認めることは,ほとんどありません。また、離婚だけを先に行い、親権者の決定を後回しにすることはできません。未成年の子どもが2人以上いる場合は、それぞれ親権者を決めなくてはなりません。

  • 夫・妻が子どもを連れ去りました

    子の監護をめぐって話し合いがつかないとき、とくに離婚問題自体がこじれて、夫婦が完全な別居状態に至った場合に、夫または妻が相手の意思に反して一方的に子を引き取ってしまう場合があります。
    このような場合、子どもを取り戻す法律的な方法、手続きとしては、家事事件手続法と人身保護法とがあります。
    「子の監護者の指定そのほか子の監護に関する審判の申し立てがあった場合に、家庭裁判所は別の申し立てによって仮差押え、仮処分その他の必要な保全処分を命ずることができる」というものです。そしてこの保全処分は、審判前における子の引渡しを含むとされていますので、この制度が利用できます。この申し立てが認められると、引き渡せという審判がなされます。保全処分には強制執行力があり、後に基本の審判でも監護者として指定される可能性が高いといえます。家庭裁判所が子どもを引き渡すように命じる審判や仮処分が出たにもかかわらず、子どもを引き渡さない場合は家庭裁判所が子どもを引き渡すよう説得したり(履行勧告)、お金を支払わせたりする(間接強制)ことで、子どもの引き渡しを促すことになります。
    また、子どもの引き渡しには人身保護請求という方法もあります。これは、請求の日から1週間以内に手続きし、すぐに裁判が行われます。裁判所が子どもを引き渡すように命じたにもかかわらず、これに従わない場合、罰金や懲役などが課せられます。

  • 子どもに会いたい

    子どもと離れて暮らす親には、離婚後、子どもとあったり連絡をとったりする面接交渉権があります。民法766条にも「父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子の面会及びその他の交流について、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と面接交渉についてもふれています。
    面接交渉について決めなくても離婚はできますが、離婚後の話し合いは難しい面があるので離婚前に決めておくのが望ましいです。話し合いでは、会う頻度や面接の時間・場所などを具体的に決めて離婚協議書などの文書にしておきます。話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に面接交渉の調停を申し立てることができます。ただし、親として会いたいからたくさん会わせてほしいというだけでは裁判所は説得できません。面接することが、子どもの幸せの観点から利益になるということを説得的に裁判所に伝える必要があります。

    子どもを引き取った側は、相手方とは会わせたくないと思っても、理由もなく子どもとの面会を拒否することはできません。ただし相手に会うことが子どもの幸せにとって害があるときは面接の拒否や制限をすることができます。例えば、暴力をふるう・養育費を支払わない・連れ去りの恐れがあるなどの場合です。

  • 親権者を変更したい

    無理矢理に親権を押し付けても、子どものための監護養育は期待できません。「やむを得ない事由があるとき」には親権者を辞任することができますが、やむを得ない事由があるかないかは、親の判断1つでは決められず、家庭裁判所に申し立てて許可の審判を必要とします。家庭裁判所は、長期間海外に滞在せざるを得ないとか、刑に服する、重病であるなどの個々の事情を調査した上で辞任を許可します。再婚なども事情次第になります。許可の審判書の謄本を添えて戸籍係に親権辞任の届出をしてはじめて辞任の効果が生じます。
    また、離婚のときにいったん親権者を定めたものの、その親権者が子どもに対して虐待を行っていたり、養育を放棄するなど、親権者として問題があるときや相手に親権を代わってほしいときは、親権者変更の申し立てをしなければなりません。変更できるのは「子の利益のために必要があると認めるとき」で、親の都合で変更できるものではありません。親権者変更の申し立てができるのは、子どもの父、母だけではなく、子の親族からもできます。例えば、妻を親権者と定めて協議離婚したものの、その妻が子どもを実家に預けたまま他の男性と同棲してしまい、子どもの面倒を見られないようなとき、夫はもちろん親権者の変更の申し立てをできますが、夫の父母からも親権者変更の申し立てができるのです。親権者変更の調停または審判が成立したときは、その謄本をもらって戸籍係への届出をすることが必要になります。子どもが虐待を受けているなど、子どもを保護する緊急の必要性がある場合は、親権者変更の調停または審判の申立てと同時に、審判前の保全処分として、仮の子の引渡し(暫定的に子どもを引き渡す処分)を申し立てることができます。

    親権者の変更が認められるかどうかの判断基準は、子どもの利益のために親権者の変更が必要かどうかという点で下記のような要因があります。

    • 養育の環境
    • 子どもに対する愛情の度合い
    • 現親権者の養育態度
    • 現親権者の心身の健全性
    • 子どもの年齢,心身の状況,精神状態
    • 子どもの意思 など

    しかし、申し立てをしても必ず変更されるとは限りません。家庭裁判所の実情をみると、親権者の指定及び変更事件の数は多いですが、そのうち不成立・取り下げも全体の約35%もあります。現状において、子どもが親権者となった親から虐待されたり、育児放棄されたりなど、かなり明白な事情を証明できなければ、子どもの現在の環境をひっくり返して、再度子どもを混乱させることは望ましくないと考えられているのです。

  • 養育費を増額・減額したい

    一度決められた養育費は、普通ある程度先の見通しに立った上で決められるものですから、それを変更することは困難になります。
    しかし、養育費のように年々子どもの成長につれてかかる費用も変化し、それが10年、15年と長期間にわたるものは、社会情勢・物価水準の変化に伴い、養育費の額も変更できることを認めないと不公平になる恐れがあります。物価の変動に加えて、子の事情として、進学による教育費の増加、病気、事故などによる医療費の増加などがあり、その子の親権者・監護者の事情としては、勤務先の倒産、病気、怪我など、やむを得ない事情により収入の低下をきたしたことなどが考えられます。養育費を取り決める際に当事者が、変更が予見し得た事情が現実化したにすぎないような場合などは「事情の変更」があったとは認められないとした決定もあります。しかし、養育費は子の福祉のためのものですから必ず増額又は減額が認められるわけではありません。
    そして、支払う側の事情としては、養育費を決めた時点よりも収入がアップしていること、つまり養育費の増額に応じられる事情があることが必要になります。逆に、支払う側に支払いの継続が困難なやむを得ない事情が発生し、受け取る側が収入の増加安定を得たときは、減額の請求もできる理屈になりますが、裁判所に正式に減額を請求する例は少なく、事実上減額送金、送金遅滞となってしまうようです。
    養育費の増減額も、まずは親同士の話し合いで決める問題となります。もし話し合いができないとき、あるいは話し合いがつかないときは、家庭裁判所に養育費の増減額を求める調停の申し立てができます。子の養育費は「監護について必要な事項」のうちの重要なものであり、「監護について相当な処分」として親権者から他方の親に養育費の分担を請求できることになっていますから、その変更も認められます。

  • 離婚後の子どもの氏は

    両親が離婚して一方が戸籍から抜けても、父母どちらかが親権者になっても、子どもの戸籍は元のままで変わりません。
    例えば、協議離婚で母親が子どもの親権者となり、子どもと生活することになり、母親が戸籍を抜けて新しい戸籍を作っても、子どもは父親を筆頭者とする戸籍のままで姓も変わりません。子どもの戸籍の記載事項に「父母が協議離婚をし、親権者を母とする」ということが記されるだけです。また、子どもを連れて離婚した母親が旧姓に戻っても、子どもの姓は変わりません。母親が離婚時に「離婚の際に称していた氏を称する届」を出し、離婚前と同じ姓を名乗った場合も、母親と子どもの姓は同じですが、戸籍は別々になります。
    父親が親権者となって子どもと生活する場合、両親が離婚しても、戸籍上・子どもの氏に影響はないため、子どもは父親の氏を名乗り続けることになります。姓も戸籍も同じですので問題はないでしょう。
    母親が親権者となって暮らす場合、母子の戸籍や姓が違うと、社会生活上、様々な支障が生じることがあります。親権者である母親が子どもに同じ姓を名乗らせ、同じ戸籍にしたい場合は、下記の手続きをとります。

    • 離婚の際に母親を筆頭者とする新しい戸籍を作る。
    • 家庭裁判所に子の氏の変更許可を得る手続きをとる。
    • 変更許可を得たら、子どもを母親の戸籍に入籍する。

    また、母親が離婚前の姓を選択し、子どもと同じ姓を名乗っている場合も、続きは同じです。

高齢者支援

  • 親が認知症になってしまいました。どうしたらよいですか。

    親等の親族が認知症になってしまった場合、その親族の療養看護と財産管理の問題が生じてきます。面倒を見ているのがお子さんであれば、お子さんが親の財産を管理しながら、施設に入所させたり病院に入院させたり療養看護に努めることになるでしょう。面倒を見ているお子さんが、面倒を見ていて何も問題が無い場合には良いのですが、親族間で争いのあるケース等では、親の財産を不当に使用しているなど、他の親族が文句を言ってきたりしてトラブルになるケースもあります。
    親族や弁護士などの第三者が、裁判所の監督の下で本人の適正な財産管理と療養看護を図るという後見という制度がありますので、この制度を利用することをお勧めします。
    認知症と言っても、程度に差がありますので、自分で判断できる能力がどれだけあるかによって法は3つの援助制度を設けています。いずれも、本人の保護が後見制度の趣旨です。

    ① 成年後見

    成年後見は、判断能力を欠いていることが通常である状態である者について、広範な代理権と取消権を後見人に与える制度です。ただし、本人の自己決定権の尊重から日常生活に関する行為については後見人も取消権を有しません。代理権と取消権の付与に本人の同意は不要です。

    ② 保佐

    保佐は判断能力が著しく不十分な者について、民法に規定する限定された行為について、保佐人に同意権・取消権を与える制度です。その他、当事者が選択する特定の法律行為について、保佐人に代理権を与える制度です。同意権と取消権を与えるだけの申立には、本人の同意は不要ですが、代理権を付与する申立てには、本人の同意が必要です。

    ③ 補助

    本人の判断能力が不十分な場合に、本人が選択する特定の法律行為について、代理権・同意権・取消権を補助人に与える制度です。本人の自己決定権を尊重するため、申立には、本人の同意が必要です。
    お医者さんとも相談し、本人に判断能力がどのくらい残っているのかを見てもらった上で、本人の判断能力に応じた申し立てを家庭裁判所にすると良いでしょう。
    当事務所でも、ご相談をお受けし本人の判断能力に応じた申し立てを行っております。

  • 後見には、どのような制度がありますか? 法定後見と任意後見。

    後見には、任意後見という制度と法定後見という制度があります。
    いずれも判断能力が減退した場合に利用する制度では共通しますが、法定後見は、判断能力が既に失われたか又は不十分な状態になり、自分で後見人等を選ぶことが困難になった場合に利用されるものであるのに対して、任意後見は、まだ判断能力が正常である人、又は衰えたとしてもその程度が軽く、自分で後見人を選ぶ能力を持っている人が利用する制度という点での違いがあります。
    法定後見は、判断能力が減退した本人について、成年後見人、保佐人、補助人を選任する制度です。判断能力の減退の程度によって、後見、保佐、補助に分かれます(3つの制度の違いについては、「1 親族が認知症になってしまいました。どうしたらよいですか。」の章を参照)。
    任意後見は、本人に判断能力がある段階で、将来の判断能力の減退に備えて、信頼できる任意後見人の候補者との間で委任する事項と報酬額を決めて、公正証書により契約を締結しておき、判断能力が不十分になった段階で、裁判所に任意後見監督人の選任審判を申し立て、監督人の選任により任意後見契約が発効する、という制度です。任意後見契約法に定めがあります。この制度の創設により、身寄りのない高齢者などが将来に備えることを可能にし、かつ、本人の判断能力が低下した後に、親族等による恣意的な行動(本人の財産の費消など)を抑制し、監督することが可能になりました。

  • 自分が認知症になったときのためにどのように備えたらいいですか?

    子ども等の親族と同居している場合や、将来面倒を見てくれる人がいる場合には、予めその者と認知症になったときに備えて、親族に後見申立てをしてもらい後見人になってもらい、財産の管理と療養看護をお願いするということを話し合ったり、自分の希望を伝えておくことも有効です。また、次に述べる任意後見の方法によって、予め希望を契約の形にすることもできます。
    身寄りのない方の場合には、親族などの援助が見込めず将来への不安は大きいものがあります。そのような場合には、任意後見という制度があります。
    任意後見の制度については、第2項の「後見には、どのような制度がありますか? 法定後見と任意後見。」の章を参照してください。

  • 後見申立は自分でのできるのではないですか?

    後見申し立ては、家庭裁判所に申し立てなければなりません。後見申し立ては(保佐・補助申立も同じ)、家庭裁判所に行くと、申立に必要な書類一式をもらうことができます。申し立ての方法について説明を受けることも可能です。弁護士に依頼しなくても、ご自分で申し立てることもできます。
    ただ、後見の申し立てには、後見申し立ての事情説明書の作成、相続関係を明らかにするための戸籍の取得、財産目録の作成、収支状況報告書の作成など、書類の取得や書類の作成等面倒な作業もあります。
    また、親族同士で争いのあるケースや、ご本人が虐待を受けているというようなケース、医師の診断書の取得が難しいケースもあります。
    弁護士に依頼すれば、書類の取得から作成、裁判所への申し立てまで行いますので、忙しくてなかなか時間が取れない場合や、難しいケースにも対応が可能です。

  • 高齢で、事務所まで相談に行くことができない場合相談はできないのですか?

    電話での相談内容の聞き取りは正確性を欠きますし、依頼者様との信頼関係を大切にしておりますので、当事務所では顔を合わせない電話での相談はお断りしております。
    ただ、高齢やご病気で事務所までお出でいただけないこともあると思いますので、そういった場合には可能な限り相談者様のご要望に応えるべく、出張可能な距離であれば出張相談も可能ですので、まずは事務所までご相談ください。

  • 高齢者向け施設の方が、入所者から相談を受けた場合どうすればよいですか?

    施設の職員の方は、日常的に入所者の方と接していますので、法的な問題について相談されることも多いかと思います。
    中には、法的に弁護士が関与せざるを得ないようなケースや、ご親族等との争いに巻き込まれ緊急性を要するケースもあると思います。
    施設に入所されている方が、法律相談を望んだ場合には、当事務所では出張法律相談も可能ですので、ご相談ください。

  • 高齢者を狙った詐欺被害・悪質商法に遭ってしまったら?

    高齢者を狙った詐欺被害、悪質商法については後を絶ちません。
    まずは、こういった被害に遭わないように、ご家族で、業者等から予め話を聞くときは必ずご家族同席で、親族と称する者から電話があったら一度電話を切って本人に確認するなどルールを決めておくことが大変有効です。
    不幸にも被害に遭ってしまったと気付いたときには、民法の錯誤や詐欺の規定や、様々な特別法の規定によって、クーリングオフや、契約の無効・取消を主張できる場合もあります。また、損害が生じた場合に不法行為に基づいて損害賠償の請求をできる場合もあります。
    まずは、法律の専門家である弁護士に相談することが有効です。どんな詐欺か、契約はしたのか、どのような内容の契約なのか等、お聞きした上でどのような法的手段が可能なのかを検討します。

  • そろそろ、子どもに会社を譲りたいと考えているのですが?

    「企業の法律相談」の事業承継の項をご覧下さい。

  • 自分が亡くなったあとの障害を持つ子の生活が心配なのですが?

    まずは、親御さんとしては、自分が亡くなった後に子どもにきちんと生活のための財産が行くように遺言をしておいてあげることが最低限必要です。もっとも、子どもさんが一人での生活が困難である場合には、信頼できる第三者や機関に子どもさんの面倒を見てもらうことを条件に、その第三者や機関に財産を遺贈する(負担付き遺贈といいます)ことを考える必要があります。
    次に、お子さんに契約の締結能力がある場合には、親御さんが亡くなったり、体力が衰えて介護ができなくなってきたような時期に備えて、お子さん自らに信頼できる第三者等との委任契約及び任意後見契約締結させておくことが可能です。
    お子さんの障害等が重く、契約締結能力がない場合には、信頼できる第三者等を見つけて、その第三者との間で、子が未成年である場合には親御さんが親権に基づいて子を代理して任意後見契約を締結しておくことができると考えられます。子が成年の場合でも、親自ら後見人となる審判を受けた上で、同様に子を代理して任意後見契約を締結しておくことが考えられますが、これを否定する考えもあるようです。
    信頼できる第三者や機関と親御さん自身との間で、親が死んだり体力が衰えたりした後の、その子の介護及び財産管理等について委任する契約をしておくことも一つの考えられる方法です。

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